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✯第一章 西の国〜前編〜✯
6話✯魔鏡の魔女さーーん‼︎✯
しおりを挟むセリア達はシャルルの森を抜けて以前救った街に向かっていた。
その街はシャーゼンと言う街で西の国と東の国の境にある、シャルルの森はシャーゼンの西側にあり、そう遠く無く一晩野宿する程度である。
とは言え、普通なら若い少女と言える二人だけで行くのは不安ではあるが……二人は普通ではない。
「今日はここで休もう!」
「はいはい……ここって前にシャルルさんと泊まった場所だね。」
「そだね!あの時の焦げ跡まだあるね」
それは、セリアとシャルルが腕試し?の様に戦った跡だ、よく見ると既に新しい芽が出ていて、暫くすればまた青々とした若い草が溢れるであろう、そんな美しい命の力を感じさせてくれていた。
二人は簡単にパンだけで夕食を済ませて、ころんと転がりながら星を見ていた。
「⁈」
セリエが何かの気配を感じ素早く起きて、来た道を見ると遠くに銀色の仮面が見えた。
黒いローブを纏い銀色の仮面が際立ち、妖しさと不気味さを漂わせて居る……
「あれは……魔女⁈」
セリエが数年前に魔女と対峙した時を思い出し身構える。
「あれは……」
セリアが気付いた。
「お姉ちゃん、あれは悪い魔女じゃないよ」
(なんであの二人がここに居るのよ……)
魔女は内心そう思い深く考える。
この魔女は二人に関わりたくない様だ。
特にセリアを汗を流しながら見つめ、振り向き立ち去ろうとしたが……
「魔鏡の魔女さーーん‼︎」
セリアが特大の大声を出して呼んだ。
「ちょっとセリア、知り合いなの?」
「うん、ちょっとね」
セリアがテヘッとしながら答えるが、魔鏡の魔女は少し手を振って、振り返り立ち去ろうとした。
(やっぱり普通じゃないよね、あの子‼︎)
明らかに魔鏡の魔女はそう思い逃げ出した。
「まてーー‼︎」
「イヤーーー‼︎」
セリアが笑顔で走り全力で追いかけ、魔女の方が悲鳴をあげている。
セリエは魔女も逃げ出しそれを追いかけ回す妹を見て呟く。
「セリア……」
そして魔鏡の魔女は姿を消し、セリア背後に現れて素早く気絶させようとして魔力を放つが、セリアは瞬時に交わして魔力を撃ち返す様に放つ。
魔鏡の魔女はセリアの手の内を知って居るのか、気絶させないと逃げ切れないと判断したのだ……
決して悪意が無いのをセリエは感じながら見ていた。
「何してるの?あの二人……」
セリアの動きと魔女の動きは魔道士の域を遥かに超えている、二人は全力なのが良くわかる。
凄まじくギリギリな線で魔女は姿を消し、セリアも楽しそうに魔女の魔力を鮮やかに躱している。
(ちょっと!セリアちゃん前より強くなってる⁈
こうなったら‼︎)
魔鏡の魔女は姿を消した瞬間、セリエの背後に回って隠れた。
「すみません、ちょっといきなり襲われたのですが……」
「あなた本当に魔女なんですか?」
セリエもこんな魔女は初めてだが、先程のセリアとのやり取りを見て、悪者じゃ無いと感じていた。
「はい……私も先を急いでますので、妹さんをちょっとお願いします。」
「私達を知ってるの?」
「まてーーー‼︎」
「セリア!待ちなさい!」
「はいっ‼︎」
セリエがいいセリアは瞬時にピシッと止まろうとして、転び派手に転倒する。
「ちょっと魔鏡の魔女さん?この先はシャーゼンの街だけど、災いを撒きに行くんじゃ無いでしょうね?」
セリエは念の為に聞いた。
「そんな事はしませんよ……
私はシャーゼンに調べに行くんです。
誰が疫病を撒いたのか、それとも人に移り自然と運ばれて来たのか、誰が疫病を鎮めたのかを調べに行くのです。」
「ちゃんと罪滅ぼししてるんだね‼︎」
それを聞いてセリアが飛び起きて言った。
「罪滅ぼし?」
セリエが聞く。
「うん!魔鏡の魔女さんは、シャルルさんみたいに魔女から元に戻って元魔女になりたいんだって!
だからそれに必要な罪を滅ぼす為に頑張ってるんだよ!」
言い方はおかしいがセリアが教えてくれ、セリエはなる程と納得したが魔鏡の魔女は止まった。
「今!シャルルさんってシャルルを知ってるのですか?
シャルルを知ってるですか⁈」
凄い勢いで魔鏡の魔女は聞いて来た、まるで生き別れ、再会を求める様に……
「知ってるも何も……」
セリエは教えていいのか躊躇うが、セリア普通に答えた。
「今一緒に住んでるよ、あの森にシャルルさんの家があるよ!」
「ちょっと、セリア‼︎相手は魔女よ!
そんな簡単に教えていいの?」
「いいのいいの!
魔女さんに恩返し、気にしない気にしない」
「魔女に恩返しなんて聞いたことないよ!」
「今聞いたぁ~!じゃ魔女さん頑張ってねーー!」
「あ、う、うんまたねっ」
そう言って魔鏡の魔女はシャーゼンの街に向かって行った。
「ちょっとセリア!
本当に大丈夫なの?」
「お姉ちゃん……
昔、お姉ちゃんが血の魔女にやられちゃった時、あの魔女が助けてくれたんだよ……
だから信じようよ、信じてあげようよ……」
「えっ!それじゃ……私の……」
「うん、お姉ちゃんにとって大切な人なんだよ、人に戻りたいらしくて頑張ってるの、解ってあげて……」
いつもふざけているセリアが、優しく何かを伏せて伝えている。
その何かをセリエを知っているが、三年前のセリアとは、比べ物にならない程セリアが成長している事にセリエは喜びを覚えた。
(セリアちゃん、いい子になったじゃない、これなら少しだけど安心ね)
魔鏡の魔女は信じていいのか限り無く不安な者を少しだけ信じていた……
(でも、まだ会いに行かない方がいいかな……それならぁ……)
魔鏡の魔女は足取りを軽くし先を急いで行った。
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