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✯第一章 西の国〜前編〜✯
10話✯わーい!合格したんだ‼︎って何に合格したの⁈✯
しおりを挟む「ただいま~」
元気よくセリアが言う。
「お帰り!ちゃんとお買い物出来たかな~?」
二人はその後無事にシャルルの家に帰って来た。
「これで大丈夫ですか?」
セリエが荷物をシャルルに渡した。
シャルルは荷物を確認して感心する。
「ちゃんとテンプ石も買えたんだね。」
「テンプ石は作ったんだよ!」
セリアが元気に言う。
「え?作り方……どうやって?」
シャルルが聞くと、セリエが作り方のメモをシャルルに渡した。
正確なメモで作り方も間違って無い。
「凄い……」
シャルルはメモを見て一体誰がと疑問に思った。
テンプ石の作り方は相当な腕を持つ者でも知ってる者は少ないのだ。
「これ……誰が教えてくれたの?」
「魔鏡の魔女さんだよ!」
セリアがそのまま言った。
「えっ‼︎」
シャルルは驚いた、まさかこんなに近くに居るとは思わなかった。
「ねぇ……魔鏡の魔女と知り合いなの?」
「うん!三年前に知り合ったよ。」
「名前はなんて聞いたの?」
シャルルが更に聞いて来た。
「え?クルムって言ってましたけどシャルルさん、知り合いじゃないんですか?」
セリエが不思議な顔でシャルルに聞いた。
「クルム……そっか……
その名前教えてくれたんだね」
「どゆこと?」
「クルムは私のあだ名なの、彼女はロアって言うの、つまり貴方達の事を私として見てくれたの……
つまりね、簡単に言うと貴方達を任せるってことかな……
セリアちゃんどこかロアに体を触られなかった?」
「え?うーん……」
セリアは少し、名前のことを面倒臭いことするなぁと考えながら思い出した。
「あ!頭撫でてくれたよ‼︎」
「そう、こんな感じかな?」
シャルルはロアが撫でてくれた様にセリアの頭を撫でた。
(シャルル、セリエちゃんは大丈夫だけど、このセリアちゃんに常識?って言うのかな?落ち着きのある子になる様に教育お願いね。
多分私には無理だから、頑張ってね!)
そう……ロアの声がシャルルの頭に響いて来た。
「私だって無理よ……」
「うん?」
シャルルが呟き、セリアは何が?と言う不思議そうな顔をした。
「あ、シャルルさん帰ってくる時に、西の国の国王様の兵達とセリアが揉めてしまったんですけど……」
「それでどうしたの?」
セリエは丁寧に経緯を説明する。
「それなら大丈夫。
魔鏡の魔女にそう言われたら、北の魔道士の国ですら、縮こまっちゃうから西の国なんて何も出来ないよ。」
そう言いながらシャルルはテンプ石を持つと……
(久しぶりね、元気そうで嬉しいわ……
私を手伝ってくれてる見たいだけど、シャルルはもう魔女じゃ無いんだから、無理はしないでね。
あなたは、まだ不死に近いかも知れない……
でも、不死じゃ無い事を忘れないでね。
あなたが元に戻ったことを、魔女の罪から抜けてエルフに戻った事を知ってる魔女も沢山居るから……
気をつけてね……)
魔鏡の魔女ロアは、ちゃんとシャルルへの想いを伝えてくれていた。
わざわざ難易度の高い魔法を使いシャルルだけが解る様にテンプ石にも想いを載せてくれていたのだ。
シャルルはそれを聞いて、嬉しそうな微笑みを浮かべながら、テンプ石をしまって満面の笑みで言った。
「さて、二人とも合格!
ちゃんとテンプ石を持って来てくれたね。
私もどうかなぁ?って思ったんだけど、まさかロアに出会うなんてね。
本当に……凄いよ貴方達二人は……」
「わーい!合格したんだ‼︎
って何に合格したの⁈」
「セリア、ロアさんが言ってたの忘れたの?
テンプ石を持ってくるのは、マエストロの修行の一つだって言ってたじゃない。
それくらい覚えていなさい」
セリエが少し強めに言う。
「ほよ……」
セリアが少ししゅんっとするが、シャルルがクスクス笑いながら言う。
「さぁ、製作は明日にして、ご飯作りましょう。
二人とも手伝ってね。」
「は~い!」
そしてまた賑やかな夜が自然とやって来た。
シャルルの生活も少しづつ変わり始めていた。
以前は一人で優雅に住み、森の美しさを楽しみながら、アーティファクトを作り、微笑むことはあっても笑う事はそんなに無かった。
ロアと魔女として過ごした時は笑った事もあったが、また別の笑いであった……そう、罪に気付く前は災いを振り撒き楽しんでいた。
だがある事をきっかけにそれに気付き、元のエルフに戻る事を望んだのだ。
そしてシャルルはロアに救われ、エルフに戻る事が出来た……
それから千年が経ち、セリア達と出会い、魔女になる前の様にやっと自然と人らしく楽しく笑える様になって来たのだ。
(セリア……セリエ……
本当にありがとう……)
シャルルはメーンスの魔法を使わずに心からそう、心に刻み込んだ……
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