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✯第一章 西の国〜前編〜✯
17話✯どぉーーーしよぉーーー‼︎✯
しおりを挟む数日が経ち、シャルルは治癒の星を組み立ていた。
(シャルルさんまだー?)
(まだよ、って組み立て始めたばかりじゃない?
頑張るから明後日まで静かにしててね。)
(はーい)
セリアが魔力を込めてシャルルが組み立てるので、二人とも声をだして話せないのだ。
そんな状況で何者かが来る。
「?誰かしら」
セリエがシャルルの結界を叩く魔力のノックを感じると……
(ウィンじゃないね)
シャルルが魔力を判断する。
セリエが窓からノックを感じた方を見る。
姿は無い、でも敵意は感じられ無い特別な魔力も感じないが、姿は無く誰も居ない。
「誰かしら、また来るかな?」
(ほっといたら?また来るよきっと)
「うーん」
セリエは少し考え、片付けを始める。
そしてまたノックを感じる。
「はーい、どちら様ですか?」
セリエが反応して、外に出るがまた誰も居なかった。
セリエはまた戻り片付けを始め、ノックを感じ急いで外に出る。
いない……
戻る、ノック、居ない、戻る、ノック、居ない……暫く繰り返した。
バンッ‼︎
(お姉ちゃんどうしたの?)
セリアは不機嫌なセリエが珍しく気になったが……その表情から苛立ちが目に見えて解る。
セリアは話せないので、本を読みながら魔法を頭でイメージして練習していたので、気付いて無かった。
そこにまたノックが来た。
素早くセリエは扉を開ける、それは居たがどうせ居ないと思って扉を閉め気付いて扉を開けたが、居なくなっていた。
「…………」
セリエが無言でセリアに訴える。
(今度は私が出るよ)
セリアが言うと。
「ううん、セリア喋るの心配だから私が出るわ」
セリエの目が座っている、セリアですら初めてセリエがムキになるのを見た。
セリアは汗をかきながら一歩後退りをする。
コンコンッ
バンッ!
居ない
コンコンッ
バン!
居ない
コンコンッ
バン‼︎
居ない!
コンコンッ
バンッ‼︎
居ない!
コンコンッ
バンッ‼︎
居ない‼︎
(こっこわい……)
セリアが怯える、セリエの頬の傷が迫力を増している……その道の人に見える。
コンコンッ
バンッ‼︎
居ない‼︎
コンコンッ
バキッ‼︎
居ない‼︎
「……」
(…………)
セリエがとうとう扉を壊した、セリアは失禁しそうになる。
コンコンッ
来た。
扉が壊れ姿が見える。
セリエが飛び出す!
「きぃっさっまぁぁぁぁぁぁ‼︎」
怒りに溢れた叫び声を上げ、黒い闇の翼を広げ剣を抜いて襲い掛かった。
セリアは一歩も動けず声も出せずに失禁しながら膝をつき涙を流している。
シャルルは完全なる無視を通し治癒の星を組み立てている。
凄まじい殺意と怒りは風の魔女ウィンが、以前放ったそれに別の意味で匹敵し、セリアはそのまま涙を流したまま気を失う。
黒い流星のようなセリエに襲われたノックをし続けた犯人は、セリエの放った斬撃を横に躱した。
いや気絶して倒れたのだ。
その者は泡を吹いて失禁している。
セリエはハッと思いとどまり汗を流した。
背は小柄、明るく茶色い髪をしてるローブと言うより、短いスカートの様な魔道士の衣服を着ている少女だった。
だが魔力からして魔女である。
セリエはとりあえず、その子を引っ張って連れて来て、小屋に戻りセリアの気絶している姿を見る、シャルルは黙々と治癒の星を組み立ている。
「なっ……ははっやっちゃった……」
小さく呟くと、その少女が目を覚ました。
「キャーーーーーーー‼︎」
余程恐ろしかったのか悲鳴を上げる。
「すみませんすみません!
悪魔のお宅とは思いませんでした‼︎」
「いや、その……」
セリエが困る、少女の魔女は完全に怯え、涙を流し後退りしている。
セリアがその声で目を覚まし、泣きながらその少女の魔女に抱きつき二人は怯えている。
「あ、あんたまで……」
(うるさい……)
シャルルが怒り始めた、重みのある魔女時代の冷たい声が、まだ名も名乗ってない何者かも解らない、少女の魔女の心に響き、少女の魔女は机に向かい苛立ってアーティファクトを組み立てる、シャルルの姿を悪魔そのものに見えてしまう。
「じゃ邪神のおうちだったの……
私魔女になっていきなり消されちゃうんだ……」
少女の魔女は絶望した。
(ひっくひっく)
隣ではセリアが心で泣いている。
(この子は守ってあげないと……)
少女の魔女は果てし無く勘違いをする。
(心で泣いているの?)
「あなた大丈夫?心で泣いて声を奪われちゃったの?」
少女の魔女はそうセリアに聞き。
(声をだせないの……喋れないってこんなに辛いんだ……)
セリアは泣きながら心で答え誤解を深める。
少女の魔女はシャルルとセリエには勝てないと正確に推察したが勇気を振り絞って言った。
「こんな幼い子をさらって、声を奪うなんて‼︎」
「え?」
セリエは戸惑う。
「この花の魔女アイリが許しません‼︎」
そう言い、手のひらから花を出して上に投げると花が散り凄まじい数の、花びらが舞い、セリアとアイリを包み込んだ。
その花びらは部屋一杯に舞い散りシャルルの邪魔にもなる。
(いい加減にしなさい‼︎)
シャルルが心で叫び睨むと。
アイリとセリアは居なかった、セリアが誤解され拐われた。
「シャルルさん……
セリアがさら、わ、れ、た……」
セリエが茫然としながら言う。
(大丈夫よ、あの花の魔女?悪そうじゃ無いし。
さらった方が苦労するから……
それより、私も手伝うから片付けましょ)
「そっそうですね」
セリエもそう言われ、確かにと思い部屋の惨状を見る。
(ところでこれ、何があったの?)
シャルルが聞いた。
少ししてアイリはシャーゼンに向かう道を、泣きながら歩くセリアを連れていた。
(どうしようどうしよう、おうちあんなんになって拐われちゃったよ。
でもこの魔女さん、そんなに悪くないし、お姉ちゃんの方が怖いし……
どぉーーーしよぉーーー‼︎)
セリアは困り果てて泣いていた。
「大丈夫だよ、シャーゼンに有名な魔女さんがいるの花の精霊さんに聞いたから、行って話を聞いて貰おうね、名前はなんて言うの?」
アイリはそう聞いて来た。
(セリアです……)
セリアはどうやって帰っていいのか解らなくて頭がいっぱいで、話が耳に入らない。
暫くして二人はシャーゼンに着く、街は賑わい、魔女が住んでる気配はない。
二人は路地裏に入り、幾つかまがり一件の家に着いた。
ロアの家だった。
花の魔女アイリが家をノックした瞬間、アイリは居ないと思い離れようとしてセリアは気付いた。
(待たないの?)
「え?だってノックして出ないじゃん。」
(……)
セリアはアイリが待たない事に気付いた。
そこに、ロアがドアを開けた。
「あれセリアどうしたの?」
(ロアさーーーーん)
セリアは涙を流してロアに飛びついた。
(ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!ロアさん!)
セリアは泣きじゃくりながらロアの名を連呼する。
既にセリアにはロアが女神にしか見えなかった。
「セリアさん、知り合いだったのですか?」
花の魔女アイリが聞く。
「セリアどうしたのよ、ところであなたは?」
ロアが聞いた。
「私は花の魔女アイリ、あの魔鏡の魔女様ですか?」
「うん、とりあえず中にどう?
その方が話しやすいし」
二人は椅子に座り、花の魔女が経緯を説明しロアは汗をかきながら頭で想像し……
(悪魔がセリエで、邪神がシャルルね……なかなか面白いこと言うわねこの子)
と思いながら、鼻でふっと笑った。
セリアは泣きながら心でロアだけに話した。
セリアの話は小屋の中からの説明で……
(コンコンッコンコンッってノックが来て……お姉ちゃんがドア開けても居なくて居なくて、ずっとずっと続いて……
ドア開けていなくていなくて……
お姉ちゃんの顔が怖くなって……て……
ドア壊しちゃって……
いやぁぁぁぁ‼︎)
ロアはその先が知りたかったが、セリアが発狂し気絶した。
「とりあえず解ったわ」
そうロアが言い、二人に着替えを持って来た。
「その服だとあれだから、これに着替えて洗濯してあげるから」
「え?」
「二人とも怖くてお漏らししちゃったんでしょ?
いいから着替えなさい」
「はっはい……」
そう二人ともセリエの恐ろしさに気絶して失禁して気絶したのを花の魔女は思い出した。
花の魔女は顔を赤くして、服を受け取る。
「私はこっちに行ってるから、着替え終わったら呼んでね。」
「あ、ありがとうございます。」
ロアは気絶しているセリアの姿をみて、クスクス笑いながら隣の部屋に行き水晶の玉に手をかざして念じる。
(ちょっとシャルル?
今こっちに花の魔女とセリアが来てるんだけど、そっちに連れてく?迎えに来る?)
(ロアありがとう、でもちょっとこっち忙しいの、ドアも壊れてて部屋の片付けもしてるし、治癒の星も作ってるから……
セリアは喋って無いよね?)
(セリアは今気絶してるよー)
楽しそうにロアが伝える。
(え?大丈夫なの?)
シャルルが聞く。
(うんセリエを思い出したら、心で悲鳴を上げて気絶しちゃったよ)
ロアの話し方から簡単に楽しんでるのが解る。
シャルルは色々と理解し、床を綺麗にしてるセリエを生暖かい目で見つめる。
(ちょっと二日くらい二人を預かっててくれる?
治癒の星出来るまでお願い出来るかな?)
(う……ん、解ったわ、そっちも片付け頑張ってね)
(ありがとうロア、じゃあまた連絡するね)
(はーい)
「着替え終わりましたよ。」
「はーい」
ロアが戻って来て気絶したままのセリアを見て、絵に残しておきたいと思い、魔鏡を取り出してセリアを映した。
「何をしてるんですか?」
花の魔女は白いローブを可愛くあしらった、ワンピースに着替え終わっていた。
「ううん、この子のこんな姿滅多に見られないからね。
ほら、アイリ見てみて。」
ロアはにこにこしながらその魔鏡をアイリに見せる。
そこには気絶した無様なセリアの姿が映し出されていた。
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