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✯第一章 西の国〜前編〜✯
22話✯しゃっすが!別格な元魔女ーー‼︎✯
しおりを挟む「ただいまー!」
元気にセリアとセリエはロアの家に帰って来た。
気は晴れたのかセリアはにこにこしていた。
「お帰りなさい、シャルルから聞いたけど大変だったわね二人とも」
ロアが帰って来ていて、シャルルとロア、ウィンがテーブルを囲んでいる。
「あれアイリちゃんは?」
セリアが言う。
「おかえりなさー……」
アイリが紅茶をポットに入れ、運んで来てセリエを見て固まる、まだ怖い様だ……
ロアが微笑みながらアイリに近づき、ポットとカップの乗ったトレーを変わりに持った瞬間。
アイリは倒れた。
「やっぱり……」
ロアが呟いた、ロアはアイリが気絶したのを気付いて落として壊す前に受け取ったのだ。
「ははっ……」
セリエは笑うしかない。
「全く、あなた達は色んな意味で怖いよねぇ……
魔女の私の方がまともに思えてくるわ」
ウィンが言う。
どうやら二人の話でこのテーブルは盛り上がっていた様だった。
少ししてアイリが起きた。
「アイリちゃんごめんね。
話は聞いたよ、私そんなに怖かった?」
セリエが聞くと、アイリはうんうんとうなずく。
「本当に……死んじゃうって思いました……」
アイリは思い出したく無い様で、セリアの方が思い出し、頭を押さえて白目で涙を流す。
「セリア?思い出さなくていいわよ」
セリエが言うと、セリアはそのまま外に出て精霊達を呼び遊び始める。
現実逃避にしか見えない、アイリも急いで外に出てセリアと遊び始める。
「ところでロア、私からアイリちゃんにプレゼントを用意したいんだけど、迷いの鏡をこの位の大きさで作れる?」
シャルルがロアにお願いした。
「迷いの鏡?何作るの?」
ロアが聞く。
「夜光草の花畑を守る結界用のアーティファクトよ。
あの子の性格だと、無害で強い結界がいいかな?って思ったの、作れる?」
そう言いながらシャルルは、紙に大きさを書いてロアに渡した。
「小さいね……丁度の方がいいのよね?」
ロアはその小ささに難易度を覚える。
「少しくらい違っても大丈夫よ、セリアが考えた方法で作るから出来るはずよ」
シャルルが紅茶を飲みながら言い、少し驚く。
「これ、美味しい……これはハーブなの?」
シャルルが聞く。
「メイの花よ、アイリが庭に植えてすぐに咲かせてくれたの」
ロアが言う。
アイリは弟子にしてもらった細やかなお礼として、貴重な花を使い紅茶を入れてくれたのだ。
「いい子ね、それに比べたらうちの弟子は……」
シャルルはチラッと外で遊ぶセリアを見る、セリエは静かに紅茶を頂いている。
「いいんじゃない?
シャルルは二人から大切なものをもらってるんだから、可愛がってあげればいいのよ」
ロアが言う。
「……」
シャルルは静かに優しく微笑んでいた。
「帰ってやる事あるから、そろそろ帰りましょう。」
シャルルはそう言いながら席を立つと。
「え?もう直ぐ夜になるわよ、泊まって行けば?」
ロアが言うと、ウィンが言う。
「私も帰ろうかな?
明日は宝石屋さんに行きたいし。
帰ってゆっくりします。」
「そう……アイリ?
みんな帰るってよー」
ロアがアイリを呼んだ。
「あっ!はーい、ちょっと待ってください」
アイリは急いで家に入って来て台所に向かう。
アイリに精霊も懐いている様でまだ遊びたいのか風や火、水といった小さな小さな精霊がついて来て、アイリがキラキラと綺麗に見える。
「これ……私からのお礼とお詫びです。」
「?」
シャルルはアイリがそう言って渡してくれた袋を見ると、中にはメイの花と葉、そして夜光草の花びらが入っていた。
「これ……いいの?」
シャルルは驚いて聞く、夜光草の花びらはアーティファクトの材料にもなる、中々手に入らない貴重な材料だ……
「はい……その……すみません!
奇術様とは知らずに本当にすみませんでした。」
「ううん、気持ちは解ったから気にしないで、これからも頑張ってね。
じゃこれは有り難く頂くわ。
ロアがあなたに何かしたら私にいいなさい、話は聞いてあげるからね。」
シャルルは笑顔でそう言った、ロアも微笑んでいる。
そして、シャルルとセリエ、ウィンはロアの家を出る。
「セリア帰るよー」
セリエが言い、セリアは遊ぶのをやめる。
ロアとアイリも見送ってくれた、街の外まで歩いて行く時にウィンが話しだした。
「セリアさん?まだアイリの件は終わってないですから、また知らせに行きますね。」
「え?変な魔女ってアイリちゃんだよね?」
セリアが聞く。
「そう!悪意も無く、呑気に罪を重ねていたけど、悪意がなさすぎる子……
沢山の呪いを撒いて来て、痕跡も消さずに旅して来たから、その呪いを辿って災を振り撒く魔女が近づいてくるのよ……
その後始末、あの子に出来ると思う?」
ウィンが言う。
シャルルもセリアもセリエもうつむきながら歩く、何故ならアイリが戦う魔法を知ってるかは皆無であった。
でもセリアは何かに気づいた。
「それって……片っ端から浄化すれば天使になる近道⁈」
セリエもそれを聞いてハッとしてウィンを見る。
「そうよ、花の魔女アイリが花の蜜の様に悪い魔女を引き寄せるのよ。
はそれを全てセリアちゃんとセリエさんで狩りなさい、そうすれば早く天使になれるはずよ。」
ウィンは自信を持って言う。
「そうね、アイリちゃんはロアが守ってくれるから心配無いし……
私も二人が悪い魔女を退治してくれるなら、その間にアーティファクトを作れるわね」
シャルルも賛成する様に言う。
「そう、セリアちゃんとセリエさん、『白金』って名が通ってるし私が気づかなくても、情報は別からも入るでしょ?精霊さんともお友達だし」
ウィンがうんうんと頷きながら話すとセリアが言った。
「ほよ~じゃあ西の国の西の海から強い魔女が来てるの知ってる?
さっき水の精霊さんが教えてくれたけど、その精霊さんがご主人様って言ってたんだけど……」
セリアは考えながら言った。
「ご主人様?水の精霊がそう言ったの?……」
ウィンが聞いた。
「言ってたよ」
セリアが答える……
「アクア……」
ウィンが呟く。
「アクアって……最古の魔女の一人、水の魔女アクア?」
シャルルが聞く。
「うん……水の精霊がご主人様と言うのは彼女しか居ない……海の国で暮らしてるアクアがなんで来たんだろう。
私と一緒にハリケーンでも起こす相談かな?それとも気に入らない島でも沈めたいのかしら。」
ウィンがそう言う……
(凄い相談するのね……最古の魔女って)
シャルルはそう思い。
(嵐が酷い時はウィンさんを呼べばいいのね、なるほど)
セリエはそう思った。
「……」
ウィンがアクアの魔力を探る、風の魔女ウィンは僅かな空気の動きも探れれば、気温の違いも直ぐにわかる。
「あ……いた……ちょっと行ってくるね、念のためにこれを持ってて」
ウィンはそう言いながら、金のペンダントをシャルルに渡した。
「これは?」
シャルルが聞く。
「相手は私と同じ最古の魔女、友達だけど私に何も言わずに、西の国に来るなんて初めてだから……」
そうウィンが言う、セリアさえ一撃で吹き飛ばすウィンが警戒する魔女、セリエは少し汗をかくが……
「解ったわ、何かあったら私を呼んで、私とロアがまたアクアを泣かせに行くから」
シャルルは笑顔で言った。
「泣かせた?水の魔女アクアを泣かせた?」
ウィンが驚いて聞いた。
「えぇ、むかし邪神の居場所を言わないから虐め抜いて吐かせたの……
懐かしいなぁ、あそこまで折れない魔女は今までにアクアしか居なかったわね……」
シャルルは沈みゆく太陽を見つめながら、思い出す様に言っていた。
ウィンはその姿を見て嘘をついてないことを知り後退りをした。
(しゃっすが!別格な元魔女ーー‼︎)
セリアは心でそう叫び、目をキラキラさせてシャルルを見ていた。
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