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聖夜〜聖なる穢れた夜
しおりを挟む染谷を亡き者にする計画は亜也人が思うよりずっと綿密に練られていたようだった。
亜也人はただ、自分の陰茎に何かを注射した後、10分も経たないうちに胸を押さえて倒れる染谷を呆然と見ていた。
その後、いきなり部屋の扉が開き、松岡と、部屋の外で控えていた染谷の子分が雪崩れ込み、染谷が死んでいると騒ぎ立てた。
子分の一人が、「てめぇ!」と叫びベッドの隅で尻餅をついている亜也人に手を伸ばす。その手が追いつく寸前、松岡の腕が背後から伸びてきて亜也人を床の上に引きずり下ろした。
「貴様!」
松岡からは、「何もしなくていい」と言われていた。「俺が全部やるから、お前はただ俺を怖がるふりをしてればいい」
しかし、松岡の怒鳴り声は亜也人を本気で怖がらせるほどの迫力だった。
松岡は乱暴に見えるようわざと大袈裟な動きで亜也人の腕を後ろ手に締め上げ、ポケットに常備している結束バンドで両手首を縛って部屋の隅に寝転がした。
シーツを掛けたのは亜也人への気遣いだろう。 「汚いモノを見せるな」と言いながら、松岡はそのシーツを亜也人の裸体が隠れるように身体に巻き付け、「逃げられないよう閉じ込めておけ」と紀伊田によく似た男に別の部屋へ閉じ込めておくよう指示をした。訳も解らず連れ出されるのは恐ろしかったが、部屋にいた者の中には騒ぎに乗じて亜也人に襲い掛かろうとしていた輩もいたらしく、後で聞かされた亜也人はゾッとするとともに松岡の気遣いに感謝した。
計画の詳細を知らされていなかったお陰で、亜也人は染谷が仕切る一徳会の幹部からの尋問も素の状態で答えるしかなく、その嘘偽りない態度に、幹部は怪訝そうな顔をしながも亜也人への疑いを解いた。
現場が内藤がビデオ撮影用に使用している会員制ホテルだった事も味方した。
染谷は勃起障害の視姦マニアである。染谷が行為の一部始終を個人観賞用にビデオ撮影していた事を知らない者はいない。
染谷の子分がそのビデオを真っ先に確認した事は言うまでもなかった。天井に仕込まれたカメラが録画した映像には、怯える亜也人に陰茎注射の説明をする染谷の声と染谷が自分の手で注射しているであろう仕草がはっきりと映っていた。
この状況を見れば、染谷が自身を勃起させるために規定量以上の陰茎注射を打ち、心臓麻痺を起こしたことは誰の目にも明らかだった。
持病の合併症で心臓の弱った染谷がどうしてそんな禁忌を犯したのか周りは不審がっていたが、性接待以降、染谷が亜也人を愛人にしたいと周囲に漏らしていたこともあり、最終的には、何が何でも亜也人と性交したかったのだろうという話で収まった。
もっともそれは表向きの話で、松岡が陰で色々と工作していた事は言うまでも無い。
内藤の管理するカメラ、染谷の人物像、亜也人の知らぬが故の自然な反応、それに目には見えない各々の利害関係が絶妙に絡み合い、染谷の死因を事故死へと終着させた。
「素人がスケベ心を出して大量に打つからだ」
「あんたがそう教えたんだろ?」
「まさか。奴が勝手に量を間違えたのさ…」
例えそれが仕組まれた罠だったとしても、皆がそれに乗じて口を噤んだという事は、染谷がそれだけ疎まれていたという事だ。
言わば、染谷は足元をすくわれ闇業界から淘汰された。たまたま松岡が引き金を引いただけで、そうでなくても早かれ遅かれ同じような事は起こっていたという事だ。
「よく平気な顔していられんな…」
内藤からの報酬の着金をパソコン画面で確認する松岡を、亜也人は、すぐ隣でテーブルに顔を横向きに伏せながらぼんやりと眺めていた。
染谷の苦しみ悶える顔がまだ亜也人の目に焼き付いていた。目の前で人が死ぬのを見たのはもちろん初めてだ。そうでなくとも、気憶力の良い亜也人は、特にインパクトの強い記憶は自分でも呆れるほど良く覚えていた。染谷の死は、これまで経験したどれよりも強く頭にこびり付き、あれから一週間経った今もなお、至る場面で亜也人の脳裏に浮かび上がっては亜也人を苦しめた。
「考えなきゃいい…。考えるから思い出すんだ…」
「勝手に出てくるんだよ。てか、どうすりゃ頭から消えんだよ」
「笑うんだよ」
「は?」
「もしくはセックス。とびきり甘いのな」
「他人事だと思っていい加減なこと言うな」
「いい加減じゃない。痛いのはダメだぞ?愛のこもった甘いやつだ。
愛する人と愛情たっぷりのセックスをして抱き合って眠りゃ、余計なもんなんかどっかへ吹っ飛ぶさ。何なら今すぐ試してやろうか」
「別に、愛してねーし…」
プイ、と視線を逸らした先で、リビングに置かれたテレビがクリスマスケーキのCMを流していた。
12月に入ると直ぐに街中が一斉にクリスマスカラーになり、至る所でジングルベルの音色を聴いた。
この、賑やかな情景が亜也人は何となく苦手だった。
クリスマスのイルミネーションを見ているとわけもなく寂しい気持ちになる。
でも…。
ふと、松岡とテーマパークに行った時のことを思い出した。
そう言えば、あの時のイルミネーションは寂しく無かった。
松岡といたからか。
いや。14歳の頃から一緒に過ごした良二ですら寂しさは消えなかったのだ。知り合って半年にも満たない松岡と見たイルミネーションが寂しく無かった筈は無い。
そっぽを向いた顔を元に戻し、松岡の少し疲れて見える渋味のある目元を見上げた。
視線を落とすと、ノートパソコンのタッチパットに丸めて置かれた松岡の節くれだった手が目に入った。
何気に、その手を掴み、自分の頭の上に乗せてみた。
本当に深い意味も無く何の気なしに取った行動だったが、松岡は、全て解っているとでも言いたげに亜也人の頭を優しくポンポンと撫でた。
「ツリーでも見に行くか?」
「え…」
「気晴らしにさ。そんで、帰りにケーキ予約してこようぜ」
どうしてだろう、と亜也人は思った。
ちょうど、松岡と過ごすクリスマスはどうなのだろう、と考えていたところだった。
良二とですら寂しく感じたクリスマスの景色をもしも松岡と見たら。そう思っていた矢先の松岡の提案に、亜也人は狐につままれたような、それでいて胸のすくような不思議な感動を覚えていた。
思いが通じる、とはこういう事なのか。何も言葉にしていないのに、解ってもらえた事が嬉しい。
泣きたいような甘酸っぱいような気持ちが込み上げて、亜也人は、自分の頭から離れて行こうとする松岡の手を掴み、再び自分の頭の上に戻した。
「なんだ、まだ、撫でて欲しいのか?甘えん坊だな」
確かに、甘えているのかも知れないと、思った。
見上げる亜也人に軽く微笑むと、松岡は、今度は、頭の上に置かれた手のひらをゆっくりと下降させ、亜也人の顔の側面を何度も丁寧に撫で上げた。
また。
何も言っていないのに、また解ってもらえた。
甘える、というものがどんなものかは解らないが、亜也人は、ただ、そうして欲しいと思ったことを汲み取り、理解してもらえたことが嬉しかった。
寂しさからでも恐ろしさからでもない、嫌われたくないからでも、気に入られたいからでも無い、ただ、その時自分がそうして欲しいと思った事を受け入れてもらえた事が嬉しかった。
この嬉しさをこれで終わりにしたくない。
やはり自分は甘えているのだと思った。
松岡に。
だから寂しくなかったのだ。
「どうした。行くのか、行かないのか?」
亜也人は、松岡の手のぬくもりを感じながら、「行く」と答えた。
「なら、支度をしろ」とせっつかれ、自分の部屋に戻ってクローゼットから上着を取り出した。机に置かれたスマホをズボンのポケットにねじ込み部屋を出ようとすると、ふいにポケットの中のスマホがブルブルと振動した。
良二からだった。
内藤の事務所で連絡を取って以来、良二から何度も着信があったが、亜也人は出ることが出来なかった。
正確には、出ようと思えば出れたが敢えて出なかった。
良二のスマホには盗聴器が仕掛けられている。デジタル式の最新システムでどんなに離れていても有効なのだという。
もしも良二からの電話に出たなら、会話はまるまる内藤に流れてしまう。良二と話せば、また知らないうちに余計な事を話してしまう。自分のせいで良二が悪者になるのは耐えられなかった。亜也人は、これ以上、良二をトラブルに巻き込みたくは無かった。
「ごめんね良二…」
着信を知らせるバイブをやり過ごし、鳴り止んだところでスマホをポケットに戻し、亜也人は足早に部屋を出た。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
高速道路を一時間ほど飛ばし、港の商業施設に車を停めた。
夕食にはまだ早い時間帯だったが、クリスマスシーズンのレストラン街はどこも行列ができるほどの盛況ぶりで、亜也人と松岡が店に並んで席に案内され夕食を食べ終える頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。
亜也人は松岡とクリスマスマーケットで賑わう歩道をどちらかともなく手を繋ぎ、人混みを避けながら歩いた。
赤、緑、金などのイルミネーションが夜空に様々な模様を滲ませながら煌びやかに通り過ぎていく。
やはり少しも寂しくはなかった。
むしろ、胸の奥がじんわりと温かい。
行き交う人々の笑顔や笑い声の中を松岡に手を引かれて歩いていると、染谷に弄ばれたことも、目の前で死なれたことも全てが嘘のように思えてきた。
亜也人は、クリスマスのワクワクするような雰囲気を、ただ楽しんでいた。
自分が幼い子供に戻ったような気がした。
子供の頃、誰にも言えない秘密を抱え、以来、自分だけが周りとは違う世界にいるような気がしていた。
お前は汚れているから周りと同じ世界にはいられない、入ってくるなと言われているような気がした。
純粋じゃないから。こちらの世界には入ってくるな。
皆と違う自分が恨めしかった。
純粋なクラスメイトが羨ましかった。自分も皆のように純粋になりたかった。
それが今、松岡に手を引かれながら、周りの人と一つになって、周りの人と同じものを見ている。
皆のいる世界にようやく戻れたのだ、と思った。
純粋な子供には戻れないが、皆と同じ世界には戻れた。
良かった。
無意識に、繋いだ手をギュッと握り直していた。
良二とは違う手の感触が心地良い。違和感でしか無かった良二以外の手の感触を、いつの間にか受け入れ、自分から手を繋ぎに行っている自分が可笑しかった。
「なんだ、キスでもして欲しいのか?」
気付かれないように見詰めたつもりが気付かれていた。あたふたと視線を泳がすと、松岡は片方の口角だけでニヤリと笑い、背中を屈めて、隣に貼り付いて歩く亜也人の顔を覗き込んだ。
「バ、バカか!誰がそんなこと思うかよ!」
「遠慮するな」
ふざけて唇を突き出す松岡を、すれ違う女子の集団が、「わ~、見て、見て~」と言いながら通り過ぎる。声につられて目を向けると、ばっちり視線が合って、亜也人は慌てて目を伏せた。
「今の見た?」「見た、見た、あの子、めちゃ綺麗!」「ってか、あの可愛さヤバくない?」
目が合った女子が、「私、目、合っちゃった~!」と得意げにはしゃぎ、一緒にいた友達が、いいな、いいな、と、亜也人を振り返る。
嫌でも聞こえてくる声にムッとしていると、松岡が、宥めるように亜也人の頭に自分の頭をコツンとぶつけた。
「お前、モテモテじゃねーか」
「モテてねーし」
「褒めてるんだから素直に喜べよ」
「フン!」
ワゴンショップやミニイベントを見ながら進み、突き当たりに着くと、来た道とは反対側の道を折り返して戻った。
途中、立ち寄った雑貨屋で、小さなツリーとオーナメントを買った。
サンタクロースが描かれた赤い袋を抱えて歩く亜也人を、すれ違う人たちがにこやかな表情で見る。
全てが楽しく、非現実的。
非現実的だからこそこんなにも楽しいという事を亜也人はちゃんと理解していた。
一歩外へ出ればいつもの現実が待っている。
そして、最初の現実は、商業施設の駐車場に戻ってすぐにやって来た。
助手席に座りシートベルトを締めようと身体を捻ると、突然、ズボンのポケットに入れたスマホが激しく振動した、
良二からだという事はすぐに解った。
運転席に座る松岡が、「出なくていいのか」と聞く。
亜也人は、スマホをポケットから取り出しもせず、「出なくていい…」と答えた。
松岡は、「そうか」と言っただけで深くは詮索しなかった。
ただ、何か言いたげに亜也人を見つめ、ふいに運転席から身を乗り出し、亜也人の後頭部に手を回して自分の方へ引き寄せ、口付けた。
「んんんっ、ちょっ、くるし…んんっ…まっ、て…」
寒さに乾いた唇が、熱い舌で濡れ湿って行く。
全てを奪うような情熱的なキスに頭の芯が熱く痺れた。
「ヤバいぜ。なんか止まらなくなりそう…」
「あ、ダメ。ここじゃ嫌だよ。家に帰って…」
「無理だ。ホテル行ってもいいか?」
耳元を這い回る舌が、有無を言わさず亜也人を頷かせる。
疼いた身体を責めるように、ポケットの中のスマホがいつまでも振動した。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
言葉の響きが気分を高揚させたのか、いつも昼過ぎまで寝ている亜也人にしては珍しく、10時頃にはもう目を覚ましていた。
松岡と過ごすクリスマスイブ。
松岡は一般客から依頼された浮気調査の張り込みで朝から遠方に出掛けていた。
紀伊田がオードブルと予約したケーキを届けてくれる事になっていたが、おそらく午後になるだろうからそれまでは一人で留守番していろ、と言われていた。
早く起きたせいで、いつもは減らないお腹が空腹を伝えてギュルギュルと鳴っている。何か食べようとキッチンの棚を漁っているとインターフォンが鳴った。
宅配業者のようだ。
勝手に出るなと言われていたので、モニター越しに日を改めるよう伝えると、急ぎの荷物だと言われ、仕方なく玄関のロックを解除した。
ほどなくして部屋のインターフォンが鳴り、亜也人はドアを開けた。
すると、突然、宅配業者の男が足元に崩れ落ち、後ろから誰かが飛び出して亜也人に覆いかぶさった。
一瞬の出来事だったが、自分を呼ぶ声、匂い、抱きしめる腕の感触で亜也人はすぐにそれが良二だと気付いた。
「良二…どうして…」
「お前、ぜんぜん電話出ねぇから、俺、心配で心配で…」
亜也人の頭を自分の胸に埋めるように抱き締めて呟くと、良二は、ふいに思い出したように顔を上げた。
「そうだ!あの、松岡、って野郎はどこだ! あいつ…ぶっ殺してやるっ!」
言うが早いか、土足のままズカズカと部屋に上がり込み手当たり次第にドアを開ける。後を追いかける亜也人の目に、良二のジーンズのポケットに浮かび上がる小型ナイフのシルエットがはっきり見えた。
「どこだ! さっさと出てきやがれ!」
亜也人は慌てて良二の後を追い、良二の前に回り込んで腕を掴んで見上げた。
「良二!あの人はいない!今、出掛けてるんだ…」
瞬間、良二の目がギラリと光った。
「あの人だと?」
怒りに満ちた残忍な目だった。
「お前を酷い目に合わせてる奴にどうしてそんな言い方する必要がある!それにこれは何なんだ!」
喚き散らすように言いながら、よく見ろ、と言わんばかりに部屋の中に向かって手を広げる。
良二が指し示すのは亜也人の部屋だった。
見るからに高級そうなワードローブに、質の良いベッド。ハンガーラックにはきちんとプレスされた制服が掛けられ、亜也人の好きそうな雑誌やゲーム機などがほどよい散らかり具合で散乱している。
亜也人の匂いのすっかり染み付いた部屋は、無理やり閉じ込められているような雰囲気は微塵も無い、むしろ最初からここで暮らしていたかのように亜也人にしっくりと馴染んでいた。
「なんだこの部屋!お前、ここであいつと何やってんだ!」
「良二…」
良二の視線がベッドの横に無防備に置かれたローションに注がれているのが解った。
「まさかお前、あいつのこと好きになったのか? だから俺の電話、無視しやがったのか!」
「りょ…」
答える暇は与えられなかった。あっ、と思った瞬間、亜也人は、息をつく間も無く良二に唇を塞がれ、乱暴に舌を突っ込まれてかき混ぜられていた。
「チクショウ! 何なんだお前! 何なんだよ!」
唇が離れたと思ったら、凄い力で腕を引っ張られ、ベッドの上に引き倒された。
弾んだ身体も戻らないうちに、今度は、胸の上にどっかりと馬乗りに跨がられ、両手首を掴まれて頭の上で一つに束ねられる。
亜也人の手の自由を奪うと、良二は、自分のジーンズのファスナーを片手で器用に下ろし、トランクスの合わせ目から男根を引っ張り出して亜也人の唇に突き付けた。
「咥えろよ、このど淫乱!」
「良二…」
「うるせぇ!さっさと舐めろ!」
亀頭の先で唇を割われ、口の中に捻じ込まれる。まだろくに触れていないにも関わらず、良二の男根がみるみる勃ち上がっていく事に亜也人は恐ろしさを覚えていた。
「早く、舌を使って舐めろ」
言われるままに舌先を伸ばし、口の中一杯に詰め込まれた陰茎に絡ませた。舌を動かす度に、容赦なく男根を奥に突っ込まれる。息苦しさに顔を背けると、髪を掴んで引き戻され、更に奥へと突っ込まれた。
「休んでないでもっと舌使えよ!何度も同じこと言わせんな!」
良二は、腰を浮かせて亜也人の顔の上にまたがると、亜也人の後頭部を掴んで逃げられないように顔を固定し、口の中に激しく腰を打ち付けた。
そうして散々口淫をし尽くした後、いきなり「下手くそ!」と亜也人の頭を乱暴にシーツに叩きつけた。
「脱げ!」
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尖らせた舌で、乳輪を変形するほど揉みくちゃに潰され乳首を捏ね回され、反対側の乳首を指で挟まれコリコリと引っ掻かれる。逃れようとする気持ちとはうらはらに、乳首の先がジンジンと熱を持ち身体の奥が熱く痺れる自分が悲しかった。
「いいさ。ほら、俺が、いじくり回してやるからもっと胸突き出せよ」
どうしていいか解らず戸惑っていると、「こうするんだよ!」と、後ろに手を回して背中を浮かされ、無理に仰け反らされた。
同時に、良二の唇が突き出た胸に食らいつき、左右の乳首を交互に口に含んで吸い付き、舌先で転がし、表面をチロチロと舐めた。
「あっ、ああっ…あっ…」
身体中の血液が乳首に向かって流れているような気がする。身体の奥が甘く疼き、乳首が硬く尖っていくのが自分でも良く解った。
良二はそんな亜也人を責めるように亜也人の硬くなった乳首をしゃぶり倒し、ふと顔を上げ、軽蔑を含んだ眼差しを向けた。
「どうだ。俺の方がイイだろう」
「やぁっ…」
「やだじゃねーよ。ほら見てみろ。真っ赤じゃねーか!」
髪を掴まれ顔を起こされ自分の乳首を見せられた。
「ちょっと大きくなったんじゃねーの?なぁ! あのジジィに吸われて大きくなったのか?」
「なってな…っ」
「なってるよ!俺の知ってる亜也人の乳首はもっと小さくて可愛かった!それが何だ!この淫乱のスケベ野郎が! 」
瞬間、頬に衝撃が走り、口の中に生温かい鉄の味が広がった。
「言えよ!松岡って野郎に何された!ジジィのセックスがそんなに良かったか!」
「りょ…じ…」
「俺、待ってろ、って言ったよな!絶対迎えに来る、って言ったよな!なのにこれは何の真似だ!
俺がどんな思いであんなクソみたいな毎日に耐えてると思ってんだ!」
暴力的に怒鳴られ、肩を掴んでグラグラと頭を揺さぶられる。揺さぶられるたび、血の味をした鼻水が喉の奥に流れ込む。
「俺は、お前に浮気されるために離れたんじゃねぇんだよ!それをお前は…。
俺は…ちゃんとした人間になろうと思って…俺、お前を傷付けなくても済むように…俺、お前を傷付けたくないから…。なのにお前は…」
あの時と同じだ、と思った。
『答えろよ。いつからだ!そいつにどこまでさせたんだ!』
昔、クラスメイトとの仲を疑われ、殴られた時。
良二は、あの時と同じ、噛み付くような、それでいて深い絶望の中にいるような恐ろしく冷たい目をしていた。
「後ろを向いてケツを上げろ…」
「え…」
「いいから、さっさとしろっ!」
動こうとしたところを、良二に肩を掴まれ、身体をうつ伏せにひっくり返された。問答無用に膝を立たせると、良二は、亜也人のお尻を持ち上げ、脚を左右に開いて間に座り、お尻の割れ目を指で広げて硬く窄まる後孔にイチモツの先をグリグリと押し付けた。
「このまま入れてやる」
「やっ!待って!そんなの無理…あっ、痛っ!」
「ギャーギャー騒ぐんじゃねえ!どうせ犯やれまくってガバガバなんだろ?こんぐらい平気だろ!」
「やだやだ!無理!痛いよ、良二!」
良二の硬く反り返ったイチモツが後孔の入り口をメリメリと押し入ってくる。
ぎゃああああっ、という悲鳴が溢れ出る。しかし良二は構わず奥へと割り進めた。
「痛…い…」
「くっそー、きっつ」
悲鳴すらあげられないほどの痛みだった。
亜也人は、ただ、ハッ、ハッ、ハッと短く息を吐いて痛みに耐えた。
どれくらい挿入できたのだろう、しばらくすると、良二が、「クソッ!」と吐き捨て、埋め込んだものを一気に引き抜いた。
「あぁっ!」
痛みが離れて行くのと同時に、冷たい感触がお尻の割れ目を伝い流れた。
ローションだ。思った途端、腰を掴まれ再びメリメリとイチモツを捻じ込まれる。
「まだキツ…。おい、亜也人、ちょっと力抜けよ」
まるで、モノのようだ、と思った。
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猛り狂ったものを抜き差しされる度、内臓をえぐり取られるような痛みが走る。
耐えきれず膝を崩すと、お尻を引っ叩かれてまた持ち上げられ、前よりも更に強く押し込まれた。
「いや…お願い…も…ゆるして…」
「許さねぇよ!お前は俺のもんだ!誰にもやらねぇ!」
再び膝を崩してシーツにへたり込むと、今度は、背中に覆い被さるように抱きつかれ、力任せに羽交い締めにされた。
「りょ…じ。苦し…」
良二の体重をモロに受け、身体中の骨が悲鳴を上げる。
怒りをぶつけられているのが解る。
良二を怒らせてしまった。
もう二度としないと誓ったのに、また良二を傷付け、怒らせた。
学習しない自分が腹立たしい。
責められて当然だと思った。
こんなにも求めてくれる良二を傷付ける自分が呪わしかった。
「お前は俺のもんだ!俺だけのもんだ!俺から離れることは許さない!」
「りょ…アゥッ! アッ、りょ…じ…」
奥の奥まで貫かれ、ギリギリまで引きぬかてまた一気に貫かれる。熱く反り返ったイチモツが亜也人の肉壁を隙間なく塞ぎ、暴れ狂う。
良二が腰を突き上げる度、密着した背中が大きく揺さぶられてマットに顔が食い込む。
息をしようと横を向くと、顎を掴んで首を捻られキスを強要された。
「もっと舌を出せよ」
「んんんっ」
「なんだよ。俺のキス、好きだっただろ?まさかそれも忘れちまったのか!」
「違うっ…んぁっ…」
無理に後ろを振り向かされ、不自然に曲がった首が引き攣りそうに痛む。
荒々しく吸われた舌がジンジンと痺れ、頭がぼぉっと霞む。
しかしそれも束の間、いきなり首筋に激痛が走り、亜也人はヒッと身体を顎を反らせて絶句した。
良二がうなじに歯を立てているのが解った。
力のこもった歯が、受け止め切れない情念をぶつけるように肉に食い込んでいくのが感じられる。
死ぬかもしれない、とふと思った。
それならそれで構わない。
「亜也人…。俺の亜也人…」
朦朧とする意識の中で、亜也人は、良二の地を這うような呻き声を聞いていた。
「亜也人…。俺から離れないでくれ…。俺を捨てないでくれ…」
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