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覚醒〜身体が崩れるような絶頂感
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薄い切れ長の険のある目が、棘のように亜也人の瞳を突き刺していた。
一言で言うなら、奇妙。
恐ろしくて膝が崩れ落ちそうなのに、何故か懐かしい感じがする。
ずっと前から知っているような気妙な感覚だった。そんな事などある筈が無いのに、脳がひとりでに記憶を探り始め、内藤から目を逸らすことが出来なかった。
「何をじろじろ見てるんだ」
自分の状態に戸惑っていると、ふいに内藤の無遠慮な視線が亜也人を真っ直ぐに捉えた。
「お前はいつもそうやって人の顔をじっと見て誘うのか? え?」
「ち、ちがいます…」
「だったらもうちょっとマシな顔をしろ」
「マシな顔って…」
「その、中途半端な薄目でぼんやり見上げるのを止めろ。あと、口。物欲しそうに開いてねぇでちゃんと閉じやがれ」
この、唇の先に視線を落として顎を掴む仕草も、恐ろしいがしかし身体が覚えているような気がするのは何故だろう。
内藤に会うのはこれで二度目だが、何故かずっと前から知っているような親近感を覚える。
普通ではない状況下で脳が強烈に記憶を焼き付けてしまったのだろうか。
染谷に弄ばれている間、喘ぎ狂う男たちを尻目に表情一つ変えず亜也人の枕元に立っていた内藤の顔を亜也人は今でもはっきりと覚えている。
欲望を剥き出しにしたギラギラとした顔に犯され続けていたあの時、内藤だけが何も起こっていないかのように平然とした顔で亜也人の傍に佇んでいた。
内藤の顔を見ていると、亜也人は、身体が受けている衝撃は全部気のせいで、本当は何も起こっていないような気持ちになった。
内藤の冷静沈着な表情は、男たちの欲望のはけ口の只中にいる亜也人に、ある種、麻薬のような鎮痛効果をもたらした。
言われた通り、目を見開き、口を結んで内藤を見上げた。内藤は、フン、と鼻息を吐いて亜也人の顎を摘んだ指をわざと乱暴に弾くように離した。
「今日お前を呼び出したのは、お前にやってもらいたい事があるからだ」
内藤が自分に会いたがっているという事は、松岡から聞いて知っていた。
昨日の朝、起きるとすぐに松岡が、「話がある」と、亜也人をダイニングテーブルにつくよう促し、そこで、内藤が会いたがっている事と、明日、内藤のいる石破組の事務所に行かなければならない事を亜也人を伝えた。
内藤から申し出があったのは昨日で、本当は昨日のうちにと言われたが、亜也人の精神状態を考えて一日猶予を貰ったとの事、これは決定事項で断る選択肢は無いという事も聞かされた。
こうして亜也人は、山下の死を知ってから三日と経たない平日の真昼間、石破組の事務所で内藤と会うことになった。
内藤は亜也人と二人きりで会うことを要求したが、松岡はそれを許さず、隣の部屋で待機して、何かあったらすぐにドアを破って入って行くという条件付きで了承した。
石破組の事務所まで車で送る道中、松岡は、自分が隣にいるから何も怖がることは無いと繰り返し亜也人に伝えた。亜也人は、まるで自分の事のように必死になる松岡を可笑しく思った。
内藤は、「やってもらいたいことがある」と伝えると、亜也人を窓際に呼び寄せて窓に背中を貼り付けて立たせ、ブラインドを開けて向かいのビルを見るよう指示を出した。
「あそこの屋上の端に人が見えるだろう?あれはお前を狙う殺し屋だ。俺が指示を出せばすぐにお前を撃ち抜くことになっている」
「………」
「驚かないのか」
言われて初めて驚いた方が良い事に気が付いた。慌てて取り繕ったが、内藤の目は誤魔化せなかった。
「お前、俺をおちょくってるのか?」
「そんなことは…」
「なら、その、舐め腐った態度はなんだ。俺がただの脅しで言ってるとでも思ってるのか? それとも死んでも構わないとでも言いたいか?」
返答に迷っていると、内藤にいきなり髪を掴まれ、鼻先ギリギリまで顔を近付けられた。
「またこの目。こうやって見つめれば俺が許すとでも思ってるのか?」
今度は、頬を掴まれ強引に顔を上げさせられる。内藤の、頭の奥まで入り込んでくるような暗い視線がじわじわと亜也人に襲い掛かった。
「答えろよ。この目で一体何人の男をたぶらかしてきた。悪いが俺は積川や山下のようには行かないぜ?
俺はお前にいくら見つめられようが何とも思わない。むしろお前のような人間が大嫌いだ」
まるで仇でも見るように睨み付けると、内藤は、亜也人の頬を更に強く掴み上げ、喉がピンと張り詰めるほど上を向かせた。
キスをされるのかと思った。
しかし、唇が触れそうになったまさにその時、ふいに内藤が我に返ったようにハッと目を見開き、亜也人を力任せに突き飛ばした。
反動で、亜也人は窓ガラスに後頭部をぶつけ、ずるずると尻餅をついた。
頭を触られた気がして顔を上げると、内藤か驚いているような戸惑っているような何とも言えない顔をして亜也人の頭の上に置いた手を慌てて引っ込めた。
「これしきのことで大袈裟な顔をするな」
どんな顔をしているかなんて亜也人本人にも解らなかった。大袈裟に取ってるのはあんたの方じゃないのか。思いながらも亜也人は何も言えなかった。
内藤は、再び親しみのない冷たい顔で亜也人を見下ろすと、胸ポケットから紙切れを出し、床にうずくまる亜也人の鼻先に突き付けた。
「良二の新しい携帯番号だ。お前のスマホから電話をかけろ。スマホ、持ってるだろ?良二にかけて、染谷んとこの秘書の死体をどこへ隠したか聞き出すんだ」
「死体?!」
「何をそんなにおどろくことがある。良二が殺った死体だよ」
「どうして良二が…」
「どうして? こりゃまたずいぶん笑わせることを聞くんだな。全部お前のせいじゃないか」
「俺の…」
「山下がどうして死んだかぐらいお前も解ってるだろう。良二はあの時お前を犯った人間を皆殺しにするつもりだ。
山下の野郎、ご丁寧にも良二にお前を手篭めにしたと報告したらしい。しかも、あの場にいた他の奴のことまでバラしやがった。あの人数じゃ流石に警察の目も誤魔化せない。
このままだとあいつは大量殺人鬼だ」
「大量…殺人鬼…」
「可哀想に。サツに捕まったらもう二度とショバへは出れねぇだろうな。良二はお前のせいで人を殺して一生塀の中で暮らすんだ」
「俺の…せいで?」
「そうだ。お前が自分の事も自分で出来ねぇ人間だから良二がああなる。お前が不幸を撒き散らしてるんだよ。この疫病神が!」
頭が崩れ落ちそうになるのを亜也人は感じた。
「俺はどうしたら…」
グラグラとした視界の中で内藤の残忍な目が揺らめいた。
「だから、一刻も早く死体の場所を聞き出すんだよ…」
お前のせいでこうなった。お前が落とし前をつけろ。
内藤の言い方にはそういう含みがあった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
久しぶりに聞く良二の声は、少し疲れているように感じた。
「お前、本当に亜也人なのか!? どうして番号が解った? マジで嘘みてぇだ!」
聞き出すまでは帰さない、と言われていたが、良二は亜也人が留守番電話にメッセージを残すと、1時間も経たないうちに折り返し電話を掛けてきた。
「亜也人! お前無事か? 身体は何ともないか? 」
「大丈夫だよ」
「俺…ごめんな…側にいられなくて。でも心配すんな。俺が皆んな片付けてやるから。皆んないなくなりゃ、お前、辛くないだろ?」
「良二…」
「俺に任せとけば心配ないから。ここ、結構監視がキツくて大変なんだけど、俺、ぜってぇ抜け出してみせるから、そしたら残りの奴らも全部片付けるから…」
「良二!」
隣で内藤がイライラと足踏みし、圧をかけていた。早くしろと目で指図され良二の言葉を遮ると、良二が一瞬黙り込む。その隙を見逃さず亜也人は切り出した。
「良二、教えて欲しいことがあるんだ…」
秘書の死体の場所を聞くと、良二は、恐ろしく低い声で、「誰かいるのか」と聞いた。
「言えよ。誰がいる。警察か?」
「違うよ」
「じゃあ、あの、松岡、って野郎か」
「良二…」
「考えてみたらお前がこの番号知ってるのもおかしいよな。
どういう事だ。答えないと酷い目に合わされるのか?」
亜也人は何も言わず、ただ、死体の場所を繰り返し聞いた。
良二はしばらく躊躇っていたが、答えないと亜也人に危害が及ぶと察したのか、やがてしぶしぶ白状した。
一通り聞き、復唱して確認すると、ちょうど終わるタイミングで内藤が亜也人のスマホを取り上げ一方的に電話を切った。
「死体の場所は録音してるから大丈夫だ」
「え…」
「良二の電話には盗聴器が仕掛けてある。お前たちの会話は録音済みだ」
盗聴器。
茫然とする亜也人を尻目に、内藤は用済みとばかり亜也人を部屋の外へ追い出し、代わりに松岡を呼び寄せた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
染谷の秘書の死体は、良二の言う通り、良二の通っていた高校近くの廃倉庫のドラム缶からおが屑に埋められた状態で見つかった。
死体は松岡が回収し、火葬場勤務の兼松に金を握らせて身元不明の死体と一緒に焼き払った。
これでもう良二が警察に捕まる事は無い。少なくとも亜也人はそう思っていた。
しかし事態はそれほど単純ではなかった。
内藤から仕事の依頼があったと松岡から聞かされた亜也人は、今までに感じたことのない恐ろしさを感じた。
依頼内容は、染谷の息の根を止めること。
良二が染谷を殺す前にこちらが染谷を殺す。つまり、良二の代わりに染谷を殺せ。口にこそ出さないものの内藤の目ははっきりとそう物語っていた。
たかが新米若衆のために組織の幹部メンバーを殺す。そのリスクの高さに、松岡は内藤の依頼を、馬鹿げている、と批判したが、亜也人のモデル事務所解約合意の契約上、松岡に断るという選択肢は無かった。
救いだったのは、報酬額の高さと、染谷を亡き者にする方法は問わない、という条件だった。
つまり最終的に染谷が死ぬのであればその方法は何でも良いという事だ。
「お前に人殺しはさせないから安心しろ」
額に貼り付いた前髪を唇で掻き分け、松岡が、空いたおでこに軽く口付ける。嵐の前の静けさのような不気味なほど穏やかな空気が亜也人を包み込んでいた。
久しぶりに横たわる松岡の広いベッドは、シングルサイズの亜也人のベッドと違い、正常位で身体を重ねてもヘッドボードに頭をぶつけることは無い。それでもいつもの習慣で身体を小さく丸める亜也人の腕を、松岡が二の腕を押えてバンザイをするように上に向けて押さえつけ、脇の窪みに吸い付いていた。
「俺が殺さなくてもあんたが殺すんでしょ…? 結局俺らのせいで死ぬんじゃん…」
「それを言うなら、元はと言えば積川良二のせいだ」
「でも良二は俺のために殺したんだ…」
絶頂の後の甘い痺れが身体を包み込む。身体の中にはまだ松岡の熱を持った男根が深く埋め込まれている。情事のすぐ後、しかもまだ余韻も冷めやらないうちに聞くには似つかわしくない物騒な話題と、それとは真逆な甘い気怠さが亜也人の恐怖心を半減させていた。
こんな重要な話をこんな状態でする松岡の人間性を疑わないわけでは無かったが、今の落ち着きを考えると、もしかしたらこれは松岡なりの亜也人への気遣いなのかも知れないとも思った。
重苦しい雰囲気で話されていたら、亜也人はおそらくまともではいられなかった。
自分のせいで誰かが死ぬと思うと胸が張り裂けそうに痛む。
不幸を撒き散らしている、と内藤に言われた。
その通りだと自分でも思う。その事実が亜也人を見えない痛みで雁字搦めにした。
松岡の気遣いは、亜也人の見えない痛みを取り除きはしなかったが、軽減はさせてくれた。
「お前はそうやって何でも自分に逆流させるが、お前が自分のせいだと思ってることの殆どはお前の優しさによるこじつけだ」
「こじつけ?」
「世の中はもっとシンプルなんだ。誰のためとか誰のせいとか関係ない。結局、やっちまった本人が一番悪いのさ。
だから、お前が染谷をおびき出したとしても俺が殺せば悪いのは俺だ」
「でもあんたは頼まれただけじゃないか」
「それでも引き受けたのは俺の罪だ」
「でも、元は俺が良二を怒らせたから…」
言いかけたところを、「いい加減にしろ」と唇を塞がれた。半開きだった唇を唇で大きく開かれ熱い舌を奥までねじ込まれる。
唾液が滴るほどの激しいディープキスだった。
息苦しさに顔を逸らすもすぐに戻され、何度も繰り返し貪られる。喉を反らせて喘ぐ亜也人に構いもせず、松岡は、奪い尽くすように舌を絡ませ、堪能したところでようやく唇を離した。
「お前の、『でも』は全部俺が吸い尽くした。次に言ったら今度はもっと激しく吸ってやる」
優しい、それでいて切ないような、甘く柔らかい瞳が亜也人を見詰めていた。
「もう、自分に呪いを掛けるのはやめろ…」
「呪い…」
「何でも自分が悪いと思うのはお前が自分で自分に掛けた呪いだ。
呪いは掛けた奴にしか解くことは出来ない
。軽くすることや誤魔化すことは出来ても、俺には解くことは出来ない。もちろん積川にもだ」
亜也人の不安に気付いたのか、そこまで言うと松岡は、普段は鋭く尖った目を三日月型に柔らかく曲げ、亜也人を見詰めながら言葉を続けた。
「だが心配するな。お前にしか解けないからと言って全部お前にぶん投げはしねぇ。俺に出来ることは何でもするから安心して甘えてくれ」
甘える、と心の中で反芻した瞬間、亜也人は、見えない痛みが少し軽くなるのを感じた。
「なら、もっと軽くしてよ…」
亜也人の声は吐息に近かった。
松岡の首に両手を巻きつけてキスをねだると、身体の中心を貫いた松岡の男根が再び熱を持って硬く盛り上がるのが解った。
「いくらでも軽くしてやる」
息をつく間も無く、松岡の舌が亜也人の唇を割り、口の中の熱い粘膜を舐め溶かすように這い回る。お互いの舌を食べ合うように絡ませ合い、唇から顎、耳、うなじへと唇を這わせ荒々しく吸い付き合った。
汗の引いた肌が再び火照り始める。
乱暴に触れるたびに、心の中の見えない痛みが少しだけ薄れる。
でもまだ足りない。
痛みを紛らすにはまだまだ足りない。
じれったさに身悶えながら、亜也人は一心不乱に松岡の身体に縋り付いた。
「ちょっ…亜也人、ちょっと待て」
松岡は、背中に巻き付く亜也人の腕をそっと振り解き、宙に浮き上がった亜也人の頭を優しく枕の上に乗せた。
「止まらなくからあんま煽るなよ」
「止めなくていい」
それが合図のように、松岡が背中を丸めて亜也人の乳首を唇に舐め含む。既に敏感になっている亜也人の乳首は松岡の舌先にひと舐めされただけでキュッと硬く盛り上がる。
松岡の男根もまた、亜也人の中で更に硬く猛り、亜也人の身体を押し広げていた。
「このままイキそうな勢いだ…」
「あ…すごっ…」
身体の真ん中をギチギチに張り詰めていく松岡の感触に、亜也人が身体を硬ばらせる。奥深くまで埋め込まれた松岡の男根は、先ほどとは全く違う、猛々しいイチモツへと姿を変えている。
最大限にそそり勃っていることは、受け止めている亜也人が一番良く解っていた。
「も…動いて…」
「ゴム換えずにこのまま動いていいか?」
「ん…」
亜也人が頷くのを待っていたように、松岡が亜也人から身体を離して腰を据え直し、亜也人の脚を左右に大きく開く。そのまま身体を横向きに起こして片脚を持ち上げると、更に腰を密着させ、奥深くにズシンと突き上げた。
「あっ…」
隙間なく埋められた肉壁を松岡のイチモツが削ぎ落とすようになぞり上げる。
なんだこれ。
そう思ったのは一瞬だった。
頭の先まで駈けぬける快感に、亜也人は考える力を失った。
「ああっ、あああぁっ、なにこれ、そ…な、深くしちゃダメぇ…んっ」
いつもの腰の奥がぎゅーっとくるのとは明らかに違う感覚だ。
奥の奥を容赦なく突かれ引き戻されるたびに、意識が飛びそうな快感に襲われる。
松岡のイチモツが自分を割り裂き押し入る感覚がいつも以上にハッキリと解る。予想外の衝撃に頭が付いていかない。初めての感覚に頭と身体が戸惑う。
「ちょっと待って! やだこれ、変。んぁっ、ああああ、あんっ、やっ、まって…」
戸惑い、と言うより、怖い、と言った方が正しい。
松岡のセックスは呆れるほどしつこく、亜也人をそれまで経験したことのない快楽へと誘った。しかし、この快楽はその比では無かった。
「やだやだ! 身体がおかしい…あっ、ああっ…やだっ…も、やめ…んぁん…」
「怖がらなくて大丈夫だ…」
「いやぁっ! 前、触らないでっ!お願い…あ、いやっ…あ、あっ…はっ…やぁ…」
突き上げられるのと同時にペニスを乱暴に扱き上げられる。
絶頂に達した余韻を残す身体の中心に、何かが溜まっていくのを感じる。イキそうなのにイケない。たまに松岡に根元を握られて射精コントロールされることがあったが、その辛さとも違う身悶えるな気持ち良さに襲われる。
「やだぁ! なんか出る。なんか出そう…」
イク、のではなく、出る。
「我慢しないで出せばいい」
「いやぁっ!お願いやめて! 出ちゃう! あ、出る…」
すると、思ったそばから何かが勢い良くほとばしった。
「亜也人…」
松岡が動きを止めて見守る中、激しく身体をビクつかせ、亜也人がペニスの先から透明な液体を噴出させる。
それは一度で終わりではなく、身体に溜まった快楽の蜜を一滴残らず搾り出すかのように繰り返される。噴き出すたびに身体がガクガクと崩れるような絶頂感に襲われる。
痛みにも似たその衝動は、言葉にならない叫びとともに立て続けに亜也人の腹部とシーツを濡らした。
「やだ、やだ、なにこれ…」
「大丈夫だから、何も心配いらないから…」
ハァハァと泣き出しそうに肩で息をする亜也人を松岡が身を屈めて胸の中に掻き抱く。松岡もまた今までに無いほど興奮した様子で、亜也人の耳や頬に口付けを繰り返した。
「可愛い…可愛いよ、亜也人」
松岡の声は、亜也人の耳に子守唄のように優しく響いた。
亜也人は心の痛みを忘れて眠り落ちた。
一言で言うなら、奇妙。
恐ろしくて膝が崩れ落ちそうなのに、何故か懐かしい感じがする。
ずっと前から知っているような気妙な感覚だった。そんな事などある筈が無いのに、脳がひとりでに記憶を探り始め、内藤から目を逸らすことが出来なかった。
「何をじろじろ見てるんだ」
自分の状態に戸惑っていると、ふいに内藤の無遠慮な視線が亜也人を真っ直ぐに捉えた。
「お前はいつもそうやって人の顔をじっと見て誘うのか? え?」
「ち、ちがいます…」
「だったらもうちょっとマシな顔をしろ」
「マシな顔って…」
「その、中途半端な薄目でぼんやり見上げるのを止めろ。あと、口。物欲しそうに開いてねぇでちゃんと閉じやがれ」
この、唇の先に視線を落として顎を掴む仕草も、恐ろしいがしかし身体が覚えているような気がするのは何故だろう。
内藤に会うのはこれで二度目だが、何故かずっと前から知っているような親近感を覚える。
普通ではない状況下で脳が強烈に記憶を焼き付けてしまったのだろうか。
染谷に弄ばれている間、喘ぎ狂う男たちを尻目に表情一つ変えず亜也人の枕元に立っていた内藤の顔を亜也人は今でもはっきりと覚えている。
欲望を剥き出しにしたギラギラとした顔に犯され続けていたあの時、内藤だけが何も起こっていないかのように平然とした顔で亜也人の傍に佇んでいた。
内藤の顔を見ていると、亜也人は、身体が受けている衝撃は全部気のせいで、本当は何も起こっていないような気持ちになった。
内藤の冷静沈着な表情は、男たちの欲望のはけ口の只中にいる亜也人に、ある種、麻薬のような鎮痛効果をもたらした。
言われた通り、目を見開き、口を結んで内藤を見上げた。内藤は、フン、と鼻息を吐いて亜也人の顎を摘んだ指をわざと乱暴に弾くように離した。
「今日お前を呼び出したのは、お前にやってもらいたい事があるからだ」
内藤が自分に会いたがっているという事は、松岡から聞いて知っていた。
昨日の朝、起きるとすぐに松岡が、「話がある」と、亜也人をダイニングテーブルにつくよう促し、そこで、内藤が会いたがっている事と、明日、内藤のいる石破組の事務所に行かなければならない事を亜也人を伝えた。
内藤から申し出があったのは昨日で、本当は昨日のうちにと言われたが、亜也人の精神状態を考えて一日猶予を貰ったとの事、これは決定事項で断る選択肢は無いという事も聞かされた。
こうして亜也人は、山下の死を知ってから三日と経たない平日の真昼間、石破組の事務所で内藤と会うことになった。
内藤は亜也人と二人きりで会うことを要求したが、松岡はそれを許さず、隣の部屋で待機して、何かあったらすぐにドアを破って入って行くという条件付きで了承した。
石破組の事務所まで車で送る道中、松岡は、自分が隣にいるから何も怖がることは無いと繰り返し亜也人に伝えた。亜也人は、まるで自分の事のように必死になる松岡を可笑しく思った。
内藤は、「やってもらいたいことがある」と伝えると、亜也人を窓際に呼び寄せて窓に背中を貼り付けて立たせ、ブラインドを開けて向かいのビルを見るよう指示を出した。
「あそこの屋上の端に人が見えるだろう?あれはお前を狙う殺し屋だ。俺が指示を出せばすぐにお前を撃ち抜くことになっている」
「………」
「驚かないのか」
言われて初めて驚いた方が良い事に気が付いた。慌てて取り繕ったが、内藤の目は誤魔化せなかった。
「お前、俺をおちょくってるのか?」
「そんなことは…」
「なら、その、舐め腐った態度はなんだ。俺がただの脅しで言ってるとでも思ってるのか? それとも死んでも構わないとでも言いたいか?」
返答に迷っていると、内藤にいきなり髪を掴まれ、鼻先ギリギリまで顔を近付けられた。
「またこの目。こうやって見つめれば俺が許すとでも思ってるのか?」
今度は、頬を掴まれ強引に顔を上げさせられる。内藤の、頭の奥まで入り込んでくるような暗い視線がじわじわと亜也人に襲い掛かった。
「答えろよ。この目で一体何人の男をたぶらかしてきた。悪いが俺は積川や山下のようには行かないぜ?
俺はお前にいくら見つめられようが何とも思わない。むしろお前のような人間が大嫌いだ」
まるで仇でも見るように睨み付けると、内藤は、亜也人の頬を更に強く掴み上げ、喉がピンと張り詰めるほど上を向かせた。
キスをされるのかと思った。
しかし、唇が触れそうになったまさにその時、ふいに内藤が我に返ったようにハッと目を見開き、亜也人を力任せに突き飛ばした。
反動で、亜也人は窓ガラスに後頭部をぶつけ、ずるずると尻餅をついた。
頭を触られた気がして顔を上げると、内藤か驚いているような戸惑っているような何とも言えない顔をして亜也人の頭の上に置いた手を慌てて引っ込めた。
「これしきのことで大袈裟な顔をするな」
どんな顔をしているかなんて亜也人本人にも解らなかった。大袈裟に取ってるのはあんたの方じゃないのか。思いながらも亜也人は何も言えなかった。
内藤は、再び親しみのない冷たい顔で亜也人を見下ろすと、胸ポケットから紙切れを出し、床にうずくまる亜也人の鼻先に突き付けた。
「良二の新しい携帯番号だ。お前のスマホから電話をかけろ。スマホ、持ってるだろ?良二にかけて、染谷んとこの秘書の死体をどこへ隠したか聞き出すんだ」
「死体?!」
「何をそんなにおどろくことがある。良二が殺った死体だよ」
「どうして良二が…」
「どうして? こりゃまたずいぶん笑わせることを聞くんだな。全部お前のせいじゃないか」
「俺の…」
「山下がどうして死んだかぐらいお前も解ってるだろう。良二はあの時お前を犯った人間を皆殺しにするつもりだ。
山下の野郎、ご丁寧にも良二にお前を手篭めにしたと報告したらしい。しかも、あの場にいた他の奴のことまでバラしやがった。あの人数じゃ流石に警察の目も誤魔化せない。
このままだとあいつは大量殺人鬼だ」
「大量…殺人鬼…」
「可哀想に。サツに捕まったらもう二度とショバへは出れねぇだろうな。良二はお前のせいで人を殺して一生塀の中で暮らすんだ」
「俺の…せいで?」
「そうだ。お前が自分の事も自分で出来ねぇ人間だから良二がああなる。お前が不幸を撒き散らしてるんだよ。この疫病神が!」
頭が崩れ落ちそうになるのを亜也人は感じた。
「俺はどうしたら…」
グラグラとした視界の中で内藤の残忍な目が揺らめいた。
「だから、一刻も早く死体の場所を聞き出すんだよ…」
お前のせいでこうなった。お前が落とし前をつけろ。
内藤の言い方にはそういう含みがあった。
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久しぶりに聞く良二の声は、少し疲れているように感じた。
「お前、本当に亜也人なのか!? どうして番号が解った? マジで嘘みてぇだ!」
聞き出すまでは帰さない、と言われていたが、良二は亜也人が留守番電話にメッセージを残すと、1時間も経たないうちに折り返し電話を掛けてきた。
「亜也人! お前無事か? 身体は何ともないか? 」
「大丈夫だよ」
「俺…ごめんな…側にいられなくて。でも心配すんな。俺が皆んな片付けてやるから。皆んないなくなりゃ、お前、辛くないだろ?」
「良二…」
「俺に任せとけば心配ないから。ここ、結構監視がキツくて大変なんだけど、俺、ぜってぇ抜け出してみせるから、そしたら残りの奴らも全部片付けるから…」
「良二!」
隣で内藤がイライラと足踏みし、圧をかけていた。早くしろと目で指図され良二の言葉を遮ると、良二が一瞬黙り込む。その隙を見逃さず亜也人は切り出した。
「良二、教えて欲しいことがあるんだ…」
秘書の死体の場所を聞くと、良二は、恐ろしく低い声で、「誰かいるのか」と聞いた。
「言えよ。誰がいる。警察か?」
「違うよ」
「じゃあ、あの、松岡、って野郎か」
「良二…」
「考えてみたらお前がこの番号知ってるのもおかしいよな。
どういう事だ。答えないと酷い目に合わされるのか?」
亜也人は何も言わず、ただ、死体の場所を繰り返し聞いた。
良二はしばらく躊躇っていたが、答えないと亜也人に危害が及ぶと察したのか、やがてしぶしぶ白状した。
一通り聞き、復唱して確認すると、ちょうど終わるタイミングで内藤が亜也人のスマホを取り上げ一方的に電話を切った。
「死体の場所は録音してるから大丈夫だ」
「え…」
「良二の電話には盗聴器が仕掛けてある。お前たちの会話は録音済みだ」
盗聴器。
茫然とする亜也人を尻目に、内藤は用済みとばかり亜也人を部屋の外へ追い出し、代わりに松岡を呼び寄せた。
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染谷の秘書の死体は、良二の言う通り、良二の通っていた高校近くの廃倉庫のドラム缶からおが屑に埋められた状態で見つかった。
死体は松岡が回収し、火葬場勤務の兼松に金を握らせて身元不明の死体と一緒に焼き払った。
これでもう良二が警察に捕まる事は無い。少なくとも亜也人はそう思っていた。
しかし事態はそれほど単純ではなかった。
内藤から仕事の依頼があったと松岡から聞かされた亜也人は、今までに感じたことのない恐ろしさを感じた。
依頼内容は、染谷の息の根を止めること。
良二が染谷を殺す前にこちらが染谷を殺す。つまり、良二の代わりに染谷を殺せ。口にこそ出さないものの内藤の目ははっきりとそう物語っていた。
たかが新米若衆のために組織の幹部メンバーを殺す。そのリスクの高さに、松岡は内藤の依頼を、馬鹿げている、と批判したが、亜也人のモデル事務所解約合意の契約上、松岡に断るという選択肢は無かった。
救いだったのは、報酬額の高さと、染谷を亡き者にする方法は問わない、という条件だった。
つまり最終的に染谷が死ぬのであればその方法は何でも良いという事だ。
「お前に人殺しはさせないから安心しろ」
額に貼り付いた前髪を唇で掻き分け、松岡が、空いたおでこに軽く口付ける。嵐の前の静けさのような不気味なほど穏やかな空気が亜也人を包み込んでいた。
久しぶりに横たわる松岡の広いベッドは、シングルサイズの亜也人のベッドと違い、正常位で身体を重ねてもヘッドボードに頭をぶつけることは無い。それでもいつもの習慣で身体を小さく丸める亜也人の腕を、松岡が二の腕を押えてバンザイをするように上に向けて押さえつけ、脇の窪みに吸い付いていた。
「俺が殺さなくてもあんたが殺すんでしょ…? 結局俺らのせいで死ぬんじゃん…」
「それを言うなら、元はと言えば積川良二のせいだ」
「でも良二は俺のために殺したんだ…」
絶頂の後の甘い痺れが身体を包み込む。身体の中にはまだ松岡の熱を持った男根が深く埋め込まれている。情事のすぐ後、しかもまだ余韻も冷めやらないうちに聞くには似つかわしくない物騒な話題と、それとは真逆な甘い気怠さが亜也人の恐怖心を半減させていた。
こんな重要な話をこんな状態でする松岡の人間性を疑わないわけでは無かったが、今の落ち着きを考えると、もしかしたらこれは松岡なりの亜也人への気遣いなのかも知れないとも思った。
重苦しい雰囲気で話されていたら、亜也人はおそらくまともではいられなかった。
自分のせいで誰かが死ぬと思うと胸が張り裂けそうに痛む。
不幸を撒き散らしている、と内藤に言われた。
その通りだと自分でも思う。その事実が亜也人を見えない痛みで雁字搦めにした。
松岡の気遣いは、亜也人の見えない痛みを取り除きはしなかったが、軽減はさせてくれた。
「お前はそうやって何でも自分に逆流させるが、お前が自分のせいだと思ってることの殆どはお前の優しさによるこじつけだ」
「こじつけ?」
「世の中はもっとシンプルなんだ。誰のためとか誰のせいとか関係ない。結局、やっちまった本人が一番悪いのさ。
だから、お前が染谷をおびき出したとしても俺が殺せば悪いのは俺だ」
「でもあんたは頼まれただけじゃないか」
「それでも引き受けたのは俺の罪だ」
「でも、元は俺が良二を怒らせたから…」
言いかけたところを、「いい加減にしろ」と唇を塞がれた。半開きだった唇を唇で大きく開かれ熱い舌を奥までねじ込まれる。
唾液が滴るほどの激しいディープキスだった。
息苦しさに顔を逸らすもすぐに戻され、何度も繰り返し貪られる。喉を反らせて喘ぐ亜也人に構いもせず、松岡は、奪い尽くすように舌を絡ませ、堪能したところでようやく唇を離した。
「お前の、『でも』は全部俺が吸い尽くした。次に言ったら今度はもっと激しく吸ってやる」
優しい、それでいて切ないような、甘く柔らかい瞳が亜也人を見詰めていた。
「もう、自分に呪いを掛けるのはやめろ…」
「呪い…」
「何でも自分が悪いと思うのはお前が自分で自分に掛けた呪いだ。
呪いは掛けた奴にしか解くことは出来ない
。軽くすることや誤魔化すことは出来ても、俺には解くことは出来ない。もちろん積川にもだ」
亜也人の不安に気付いたのか、そこまで言うと松岡は、普段は鋭く尖った目を三日月型に柔らかく曲げ、亜也人を見詰めながら言葉を続けた。
「だが心配するな。お前にしか解けないからと言って全部お前にぶん投げはしねぇ。俺に出来ることは何でもするから安心して甘えてくれ」
甘える、と心の中で反芻した瞬間、亜也人は、見えない痛みが少し軽くなるのを感じた。
「なら、もっと軽くしてよ…」
亜也人の声は吐息に近かった。
松岡の首に両手を巻きつけてキスをねだると、身体の中心を貫いた松岡の男根が再び熱を持って硬く盛り上がるのが解った。
「いくらでも軽くしてやる」
息をつく間も無く、松岡の舌が亜也人の唇を割り、口の中の熱い粘膜を舐め溶かすように這い回る。お互いの舌を食べ合うように絡ませ合い、唇から顎、耳、うなじへと唇を這わせ荒々しく吸い付き合った。
汗の引いた肌が再び火照り始める。
乱暴に触れるたびに、心の中の見えない痛みが少しだけ薄れる。
でもまだ足りない。
痛みを紛らすにはまだまだ足りない。
じれったさに身悶えながら、亜也人は一心不乱に松岡の身体に縋り付いた。
「ちょっ…亜也人、ちょっと待て」
松岡は、背中に巻き付く亜也人の腕をそっと振り解き、宙に浮き上がった亜也人の頭を優しく枕の上に乗せた。
「止まらなくからあんま煽るなよ」
「止めなくていい」
それが合図のように、松岡が背中を丸めて亜也人の乳首を唇に舐め含む。既に敏感になっている亜也人の乳首は松岡の舌先にひと舐めされただけでキュッと硬く盛り上がる。
松岡の男根もまた、亜也人の中で更に硬く猛り、亜也人の身体を押し広げていた。
「このままイキそうな勢いだ…」
「あ…すごっ…」
身体の真ん中をギチギチに張り詰めていく松岡の感触に、亜也人が身体を硬ばらせる。奥深くまで埋め込まれた松岡の男根は、先ほどとは全く違う、猛々しいイチモツへと姿を変えている。
最大限にそそり勃っていることは、受け止めている亜也人が一番良く解っていた。
「も…動いて…」
「ゴム換えずにこのまま動いていいか?」
「ん…」
亜也人が頷くのを待っていたように、松岡が亜也人から身体を離して腰を据え直し、亜也人の脚を左右に大きく開く。そのまま身体を横向きに起こして片脚を持ち上げると、更に腰を密着させ、奥深くにズシンと突き上げた。
「あっ…」
隙間なく埋められた肉壁を松岡のイチモツが削ぎ落とすようになぞり上げる。
なんだこれ。
そう思ったのは一瞬だった。
頭の先まで駈けぬける快感に、亜也人は考える力を失った。
「ああっ、あああぁっ、なにこれ、そ…な、深くしちゃダメぇ…んっ」
いつもの腰の奥がぎゅーっとくるのとは明らかに違う感覚だ。
奥の奥を容赦なく突かれ引き戻されるたびに、意識が飛びそうな快感に襲われる。
松岡のイチモツが自分を割り裂き押し入る感覚がいつも以上にハッキリと解る。予想外の衝撃に頭が付いていかない。初めての感覚に頭と身体が戸惑う。
「ちょっと待って! やだこれ、変。んぁっ、ああああ、あんっ、やっ、まって…」
戸惑い、と言うより、怖い、と言った方が正しい。
松岡のセックスは呆れるほどしつこく、亜也人をそれまで経験したことのない快楽へと誘った。しかし、この快楽はその比では無かった。
「やだやだ! 身体がおかしい…あっ、ああっ…やだっ…も、やめ…んぁん…」
「怖がらなくて大丈夫だ…」
「いやぁっ! 前、触らないでっ!お願い…あ、いやっ…あ、あっ…はっ…やぁ…」
突き上げられるのと同時にペニスを乱暴に扱き上げられる。
絶頂に達した余韻を残す身体の中心に、何かが溜まっていくのを感じる。イキそうなのにイケない。たまに松岡に根元を握られて射精コントロールされることがあったが、その辛さとも違う身悶えるな気持ち良さに襲われる。
「やだぁ! なんか出る。なんか出そう…」
イク、のではなく、出る。
「我慢しないで出せばいい」
「いやぁっ!お願いやめて! 出ちゃう! あ、出る…」
すると、思ったそばから何かが勢い良くほとばしった。
「亜也人…」
松岡が動きを止めて見守る中、激しく身体をビクつかせ、亜也人がペニスの先から透明な液体を噴出させる。
それは一度で終わりではなく、身体に溜まった快楽の蜜を一滴残らず搾り出すかのように繰り返される。噴き出すたびに身体がガクガクと崩れるような絶頂感に襲われる。
痛みにも似たその衝動は、言葉にならない叫びとともに立て続けに亜也人の腹部とシーツを濡らした。
「やだ、やだ、なにこれ…」
「大丈夫だから、何も心配いらないから…」
ハァハァと泣き出しそうに肩で息をする亜也人を松岡が身を屈めて胸の中に掻き抱く。松岡もまた今までに無いほど興奮した様子で、亜也人の耳や頬に口付けを繰り返した。
「可愛い…可愛いよ、亜也人」
松岡の声は、亜也人の耳に子守唄のように優しく響いた。
亜也人は心の痛みを忘れて眠り落ちた。
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