体で払ってくれませんか?

メンタルは大事に

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ずっと愛に飢えていた

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土曜日。夢花の引っ越し日。

大量の荷物がある訳でもなかったので、軽トラックをレンタルして二人で運び出していた。

「ありがとうございました」
「ん?あ、あぁ」

滝のように流れ落ちる汗。うだる身体。それは目の前にいる夢花も一緒だった。

体にぴったりと貼り付いたTシャツ。バッチリ浮かぶ、肌色と水色のコラボレーション。

今日の色…似合ってるなぁ…

もはやそんなことしか頭に浮かばなかった。とにかく暑い。ただそれだけだ。

「外、出かける前に水浴びるけど、先入る?」

一人なら、直ぐに脱ぎ捨て浴室へ向かっていた。1週間後、1ヶ月後も続いているかどうかも分からない親切心で、この汗濁の苦境を耐える。

「あの…私、後で大丈夫です」
「気にしないでいいから」

俺の意地を察してくれたのか、夢花は立ち上がった。

******

夢花が浴室に入った音がしてから少し経った。とりあえず服を脱いでいた。汗まみれは好きじゃない。

扉の空いたままだった脱衣室から見えた洗濯機。以前よりサイズが大きくなっている。

夢花の部屋にあった家電は基本的に処分していた。ただ、洗濯機だけは交換したという訳だ。

そして、この汗だくの原因でもある。いや、むしろ感謝すべきかもしれない。蘇ってくる夢花の後ろ姿に、眼下の棒も大きくなっていた。

俺は脱いだ服を投げ入れようとしたところで止まる。一緒は嫌か先に聞いておけば良かったが、今更でもある。とりあえず近くに置こうと、周りを見渡していた、その時…

……ガラガラガラ。

「!!!」
「!?」

全裸の俺は、全裸の夢花と、鉢合わせた。視界に入った刹那、互いに体をそらす。

「ちょっ待って!言い訳を言わせて欲しい!」
「あの…」

必死な熱弁だ。見たくて忍び入ったのではない(見たいけど!)。扉が開いてて、洗濯機が見えて、汗まみれが嫌で…

「あの、私も…タオルと着替え忘れてしまって、それで」
「え?」

恐る恐る視線を戻すと、夢花もこちらを伺っていた。目が合い、先に気まずくなったのは俺のほうだった。再び視線を逸らして、問題の解決法を探る。

「タオルか、まずタオルがあればなんとかいける?」
「はい…」
「分かった持ってくるよ」
「お願いします」

タオルがどの段ボール箱にあるのか分からず焦ったが、結局ウチにあった新品を渡すことにした。

「こっちがバスタオル、中で使うのはこれで大丈夫?」
「ありがとうございます」
「じゃ、ごゆっくり」
「弥人さん…」
「さんはいいよ、さんは」
「あの、背中流しましょうか?」
「へ?」

うっかり二度見してしまった。視界に映った華奢な身体から、必死にピントを顔へ絞る。

夢花も恥ずかしかったらしい。頬を染め、伏し目がちになっているのがたまらなかった。

「い…あっ、じゃぁ、お願いしようか」

俺の知っている夢花はそんなことを言わないはず…はず?きっと勇気を振り絞って言葉にしたのだろう。したに違いない。

ここでの遠慮はダメな気がした。夢花の待つ浴室へ足を踏み入れる決意は固まった。

******

泡立てられたタオルが上から下へ、上から下へ。力加減から自信の無さが伝わってくる。

対照的に俺の棒は、彼方天空を目指す勢いで活発だ。ただ恥ずかしかった。夢花にはどう映っているか。そんなうちに、蛇口を閉める音が浴室内に響いた。

「終わりました」
「ありがとう」
「はい…」
「えっと?」
「……」

え?これだけ?

文字通り背中を流しただけで終わっていた。いや、これでも十分な訳だが、覚悟していたものとは少し違った。

「あ、あとは俺一人で大丈夫だよ」
「分かりました」
「あっ」
「…?」
「また気が向いたらやってよ」
「…はい」

振り向いた先に見えた肌色。俺は速攻で翻して、膝に視線を落とした。

そこにはギチギチに伸び上がる見慣れた醜棒が、飛び立つ時を待っていた。目指す未来はまだまだ遠い。
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