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求愛行為
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物干し竿とラックを軽トラの荷台に乗せる。灼熱の駐車場で荷物を携え行軍したため、汗が止まない。
モールへ引き返えそうとしたところで鳴り出したスマホのメロディ。
音の正体は"RINE"だ。友達なんていないから、見慣れない画面を凝視する。
『戻って来るの大変だと思うのでそのまま待ってて貰えますか?』
『おk』
夢花からのメッセージ。軽快な返事とは裏腹に、俺の不安は湧き上がる。
これ、帰ってこないパターンじゃね?
いくら家の中に彼女の私物があるとはいえ、その人質の価値は、借金よりも遥かに軽い。
車内に入り冷房を最大にした。冷静になれ。そうと決まった訳じゃない。
『暑いから車内、冷やしておくよ』
1分、2分と待っても返事は来ない。さらに数分して、画面が点灯した。
『ありがとねー』
どういう意味だ。これまでのお礼か?借金のお礼か?
それでも、俺は夢花のことを信じることにした。思考停止して、信じるだけだった。
******
時計のコロンはゆっくりと点滅する。
再度、RINEを送ろうと思うのだが、言葉が思いつかない。入力しては、消しての繰り返し。
音信不通で帰ってくるのが怖かったのだ。10分、20分と過ぎるのが、とんでもなく長い。
暗くなったバリバリの画面に映る自分の顔。これまでに起きた事すべてが一瞬にして灰になる恐怖。
愛もなく、金もとられたのなら、生きる意味はない。フロントガラスから見える、真夏の空に手を伸ばした。その指先の向こうに…
夢花がいた!
手提げの袋には、庶民向けアパレルで見慣れたロゴマーク。もう片方には、見慣れない小袋。
「お待たせしました…」
「お、おかえり!」
「これどうぞ」
渡された小袋には、新品のスマホ。
「!!」
「色はごめんなさい。それしかなくて…」
あの…夢花ちゃん?
俺スマホの本体は正規ショップじゃ高いから電気街の中古を買おうと思ってたんだけど…あとオレンジって……
「抱きしめてもいい?」
「え…?」
「夢花のこと抱きしめてもいい?」
「ここじゃ恥ずかしいです」
「じゃウチに帰ったら抱きしめていい?」
「あの、えっと、はい…」
「ありがとう夢花!」
******
帰宅後。
「ちょっと来てくれる?」
「…?」
袋を置いた夢花がリビングからやってきた。俺は目前まで呼び寄せると、無言で抱きしめた。ぎゅっとしたくて、したくて、しょうがなかった。
「……」
「…!」
強く抱きしめていた。胸と棒。互いの突起は密着し、熱を帯びるのが分かった。遅れてやってくる夢花の体温を全身で受け止める。
「俺は夢花のことが大好きだ」
「……」
「ずっと、ずっと、大切にしたい」
返事を聞くのは怖かった。それでも俺は、夢花の両肩に手をかけ、上半身を離した。俯き加減の夢花の顔が真正面に映る。
ゆっくりと開く瞼。まるで幻想の中にいるようなスローモーション。なぜか瞬時に、走馬灯というワードが脳内に浮かぶ。
目があった。その黒い瞳の内に宿る何かを知りたくて、見つめ続けた。
「夢花…」
夢花の口が僅かに動いた。何かを言おうとして、そしてそれより先に、彼女の顔が俺の肩に飛び込んでいた。
「私なんかで…いいんですか…?」
それ以上、何も言う必要はなかった。両手で夢花の顔を優しく包むと、唇を重ねていた。
甘い、甘い蜜の園。その無抵抗な咥内に初めて分け入る舌先は夢花のそれと交わる。
塞ぎ合った唇の中で、濡れた互いの柔肉が交差する。液を絡め、熱を交換した。
「お風呂いこう」
「うん…」
俺の棒はすでにフル充電。はち切れんばかりの硬度を保ったまま、今にもガマン汁に湿った下着を貫通しようとしていた。
視線の先には、スカートを軽く畳む夢花の後ろ姿。見覚えのある黒色下着に手を掛けようとした所で、俺は後ろから抱き着いていた。
「こんな雰囲気で言うのもあれなんだけどさ」
「?」
「俺、少し恥ずかしくて…このまま入らない?」
夢花はわざわざ俺のほうへ振り返って頷いてくれた。醜い棒を、夢花の背尻に押し付けたままゆっくりと歩む。
浴槽の前に来ると、夢花が手から離れて向き直った。俺はあまりの眩しい光景に見惚れながら、夢花の言葉を待つ。
「私、どういうことしたらいいのか、その、分からなくて…」
「大丈夫、俺も分からないから」
「あの、最後は…」
「ん?」
「最後は私のここに、弥人の…弥人のソレを挿れることは知ってて」
恥じらいながら閉じられた太ももに手を添える夢花。俺は上から下まで、全身の夢花を見渡して、そして抱きしめた。
「流れに身を任せよう。嫌なことあったら言って?すぐやめるから」
「お願いします」
モールへ引き返えそうとしたところで鳴り出したスマホのメロディ。
音の正体は"RINE"だ。友達なんていないから、見慣れない画面を凝視する。
『戻って来るの大変だと思うのでそのまま待ってて貰えますか?』
『おk』
夢花からのメッセージ。軽快な返事とは裏腹に、俺の不安は湧き上がる。
これ、帰ってこないパターンじゃね?
いくら家の中に彼女の私物があるとはいえ、その人質の価値は、借金よりも遥かに軽い。
車内に入り冷房を最大にした。冷静になれ。そうと決まった訳じゃない。
『暑いから車内、冷やしておくよ』
1分、2分と待っても返事は来ない。さらに数分して、画面が点灯した。
『ありがとねー』
どういう意味だ。これまでのお礼か?借金のお礼か?
それでも、俺は夢花のことを信じることにした。思考停止して、信じるだけだった。
******
時計のコロンはゆっくりと点滅する。
再度、RINEを送ろうと思うのだが、言葉が思いつかない。入力しては、消しての繰り返し。
音信不通で帰ってくるのが怖かったのだ。10分、20分と過ぎるのが、とんでもなく長い。
暗くなったバリバリの画面に映る自分の顔。これまでに起きた事すべてが一瞬にして灰になる恐怖。
愛もなく、金もとられたのなら、生きる意味はない。フロントガラスから見える、真夏の空に手を伸ばした。その指先の向こうに…
夢花がいた!
手提げの袋には、庶民向けアパレルで見慣れたロゴマーク。もう片方には、見慣れない小袋。
「お待たせしました…」
「お、おかえり!」
「これどうぞ」
渡された小袋には、新品のスマホ。
「!!」
「色はごめんなさい。それしかなくて…」
あの…夢花ちゃん?
俺スマホの本体は正規ショップじゃ高いから電気街の中古を買おうと思ってたんだけど…あとオレンジって……
「抱きしめてもいい?」
「え…?」
「夢花のこと抱きしめてもいい?」
「ここじゃ恥ずかしいです」
「じゃウチに帰ったら抱きしめていい?」
「あの、えっと、はい…」
「ありがとう夢花!」
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帰宅後。
「ちょっと来てくれる?」
「…?」
袋を置いた夢花がリビングからやってきた。俺は目前まで呼び寄せると、無言で抱きしめた。ぎゅっとしたくて、したくて、しょうがなかった。
「……」
「…!」
強く抱きしめていた。胸と棒。互いの突起は密着し、熱を帯びるのが分かった。遅れてやってくる夢花の体温を全身で受け止める。
「俺は夢花のことが大好きだ」
「……」
「ずっと、ずっと、大切にしたい」
返事を聞くのは怖かった。それでも俺は、夢花の両肩に手をかけ、上半身を離した。俯き加減の夢花の顔が真正面に映る。
ゆっくりと開く瞼。まるで幻想の中にいるようなスローモーション。なぜか瞬時に、走馬灯というワードが脳内に浮かぶ。
目があった。その黒い瞳の内に宿る何かを知りたくて、見つめ続けた。
「夢花…」
夢花の口が僅かに動いた。何かを言おうとして、そしてそれより先に、彼女の顔が俺の肩に飛び込んでいた。
「私なんかで…いいんですか…?」
それ以上、何も言う必要はなかった。両手で夢花の顔を優しく包むと、唇を重ねていた。
甘い、甘い蜜の園。その無抵抗な咥内に初めて分け入る舌先は夢花のそれと交わる。
塞ぎ合った唇の中で、濡れた互いの柔肉が交差する。液を絡め、熱を交換した。
「お風呂いこう」
「うん…」
俺の棒はすでにフル充電。はち切れんばかりの硬度を保ったまま、今にもガマン汁に湿った下着を貫通しようとしていた。
視線の先には、スカートを軽く畳む夢花の後ろ姿。見覚えのある黒色下着に手を掛けようとした所で、俺は後ろから抱き着いていた。
「こんな雰囲気で言うのもあれなんだけどさ」
「?」
「俺、少し恥ずかしくて…このまま入らない?」
夢花はわざわざ俺のほうへ振り返って頷いてくれた。醜い棒を、夢花の背尻に押し付けたままゆっくりと歩む。
浴槽の前に来ると、夢花が手から離れて向き直った。俺はあまりの眩しい光景に見惚れながら、夢花の言葉を待つ。
「私、どういうことしたらいいのか、その、分からなくて…」
「大丈夫、俺も分からないから」
「あの、最後は…」
「ん?」
「最後は私のここに、弥人の…弥人のソレを挿れることは知ってて」
恥じらいながら閉じられた太ももに手を添える夢花。俺は上から下まで、全身の夢花を見渡して、そして抱きしめた。
「流れに身を任せよう。嫌なことあったら言って?すぐやめるから」
「お願いします」
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