体で払ってくれませんか?

メンタルは大事に

文字の大きさ
19 / 43
5

百川学海

しおりを挟む
「やっぱりコスプレだと興奮する?」

歯を磨いていると唐突に夢花が尋ねてきた。俺は、学祭でのライブを思い出した。

ステージに繰り出す漢たち。たくましい歌声に盛り上がった会場。

興奮か、まぁ、興奮はしていたな。

迫力あるバンド演奏を背に歌うのは、何物にも代えがたい感動があった。人々がバンドにハマる理由もよく分かった。

「人にも依るんじゃない?」
「弥人はどう?」
「ん?俺?」
「コスプレでエッチ…したい?」

俺は、話が少しズレていたことに気づいた。あまりにも日常的に夢花が話すので、気付かなかった。

だから、口を濯いでから夢花をそっと抱きしめた。お互いのパジャマを通して、温もりが体内へ広がる。

「したくない訳ないじゃん」
「どっち?」
「したいよ」

意味を理解しながら、悪戯に問いかけてくる夢花。いつもは控えめな感じなだけに、こういう所も本当に愛しい。

俺の棒は、元気に夢花の下腹部へ当たっていた。その確かな感触と、たぎる熱を求めてなのか、夢花はより強く抱きしめ返してきた。

「今度ウチのバーで、ハロウィンの仮装するから」
「あぁ、もうそんな季節か」
「終わったらその衣装で出来ると思うけど、希望とかある?」
「希望?」
「うん。私に着て欲しいもの…ある?」

俺の棒のテンションは、はち切れそうなまま夢花に縋る。好きなコスを夢花が着てくれて、そして…。

イメージより感情が先行していた。確実な興奮案件なのに、こういう時に限って妙案は湧かない。

「ごめん咄嗟に思いつかないけど、夢花は着たいのとかある?」
「私?うーん。どうしよう」
「んじゃ、なんか調べてみるか」
「うん」

******

「やっぱりオーソドックスに制服かな」
「制服でいいの?」
「まぁね」

小悪魔からナース、警察官にサンタクロース。色とりどりのタブレット画面から、夢花の視線が俺に移った。

「あの、高校の時のでよかったらあるけど…」
「え、あるの?」
「捨てるの勿体なくて」
「じゃぁ着てみてよ」
「本当にそんなのでいいの?」

自信なさげな夢花の口を、俺はキスで塞ぐ。そしてすぐに離れた。このままだと、止まらなくなりそうだった。

「着替えるね」

******

聖戦セックス――。

それは恋人同士が互いに裸で織り成す芸術だ。物理的に裸であるかどうかは、関係ない。

お互いの恥ずかしい体と心を、受け止め合って重ね合わせる。まさにひじりな行為であり、単なる性行為とは違う。

「ねぇ、これ気持ちい?」

仰向けの俺に跨りながら、腰をうねらせる夢花。イキリ勃った俺の棒は、スカートの内に隠れて見えない。

それでも確かに感じる数々の情報。脳内に、全身に、凄まじい勢いで刺激が流れ込んでくる。

「夢花ちょとッ…待ッ…」
「出ちゃう?」

夢花の手が握るように掴んでいた横腹から離れた。惜しみながら身体を這わせて、俺の手に重ねる。

「……ゥッ」
「弥人のあったかい」

必死に抑える俺に、夢花は優しく微笑んだ。

ピクリ、ピクリと夢花の布上で力強く求める俺の鼓動。

夢花はスカートをたくし上げた。外気に触れて露になる、赤黒い棒との黄緑の下着。ひんやりとしたその接触部は、見事に濃淡が変わっていた。

「私のと弥人の、混ぜ混ぜしていい?」

俺が頷いたのを確認した夢花が、棒を優しく掴んだ。

そして、夢花の下着パレットの上で、筆を捏ね繰り始めた。

「……ッ」

俺の全神経は、たった一つの事に必死だった。

情けなく一人で、逝かないこと。ただそれだけだ。

凸凹とした溝の感触に、擦れた摩擦の熱感。

まるで、天国で溺れているようなこの状況に俺は唸る。

「そろそろ楽になりたい?」
「…え?」
「出したいのかなぁと思って」
「それは…だけど…」
「じゃぁ1回目いこっか」

俺は机に置いてあったゴムに手を伸ばした。それを受け取った夢花が、ゆっくり慎重に被せてくれた。

一度深呼吸した俺に、再び跨る夢花。俺は夢花のブレザーへ手を伸ばしていた。

「脱いだほうがいい?」
「ん、あ、これだけ」
「分かった」
「なんかすまん」
「ううん、いいよ全然」

開かれた先に、真っ白なシャツと赤いリボン。微々たる双丘は隠れて見えないが、確かにこの手の先に。

俺は、両手を夢花の腰から撫でるように胸へ運んだ。

「くすぐったい」

乾いた感触。それは双丘を包むものであり隠すもの。

脇と胸とを、フィットする位置で包み込むと果実はなびく。

「入れるよ?」
「お願いします」
「はい」

夢花は腰を浮かすと、一度スカートをお腹まで上げた。

初めから短かった絶対防衛線が敗れて、露になる下着。

それをサイドにズラすと、俺の棒を握りながら…。

「……ッ!」
「っふw」

夢花の腰が落ちた瞬間。俺の棒が包まれた瞬間。幸せホルモンのゲージが振り切れる。

「……ゥ!」
「…ぁふっ」

瞳を開いた夢花と視線が合った。

俺の手は自然と夢花の胸から離れた。何も言わずとも、その手を受け取る夢花。

握り締めあったのを確認すると、夢花は動き出す。

重なり合った肌と肌。密着と離発を繰り返し、綺麗な乙肌に糸が引く。

ッチャッチャッチャ……

耳を澄ませば聞こえてくる、いやらしい音。

いや待て、いったい何がいやらしいというのか。

これは聖戦であり、愛の証拠だ。自らの秘所で、俺の事を包んでくれる夢花の愛なのだ。

愛らしい音と、そしてなにより、この何もかもを真っ白に塗り替えてしまうような快感。

この行為は…聖交であって性交でない。セックスとはなんだ。断じて、いかがわしいものではない。

その答えは二人だけが知っている。俺と夢花だけが知っていればいい。

夢花に握られていた手を、俺は強く握り返していた。

「…ンッ」
「いぃよ…きてっ…」
「…ッ…ゥ…クッ!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...