体で払ってくれませんか?

メンタルは大事に

文字の大きさ
20 / 43
5

学内での巡り合わせ

しおりを挟む
休日のコンビニは、レジに並ばずに済んで都合がいい。

俺は昼食の焼きそばパンを受け取り、お金を払った。

最近のマイブームは、大学図書館でビジネス書を読み漁ること。

夢花と外に出掛けない日、家の中で夢花が勉強する日はお互いに一人の時間を取るようにしてみた。

別に仲が悪くなったという訳ではない。どこかで見かけた記事”夫婦円満のコツ”を試したまでだ。

同じ部屋で過ごし、同じ部屋で寝て、学校とバイト以外はいつも一緒だった。窮屈な思いをさせていないだろうか。

俺は雑誌立てにあった賃貸情報誌を手に取ろうとしてやめた。邪心の内で、脱毛と家賃が天秤にかかり脱毛が勝利する。

「あれ?彼氏さんじゃないですかぁ?」
「あっ」

コンビニを出ようとしたところで、希海と鉢合わせた。

「お久しぶりですね~」
「お、久しぶりです」
「見ましたよ、西方祭のライブ」
「おう…」

希海は、段差下にあった屋外チェアに座った。催促されて、迷いながらも隣に座る。

夢花に対する罪悪感が、湧いて出そうだった。後で事実だけは伝えておこう。

「名前ってヤヒトであってます?」
「ん?あぁ、そうだよ」
「ほら、夢花からのRineにあったので」

すると希海はスマホ画面を見せてきた。

日付は、3ヵ月前。借りてたお金を返すといった内容だ。これまでの経緯から謝罪まで、夢花の長文が並ぶ。

そして、希海からの返信はなかった。なぜ今頃、を見せて来たのだろう。

「私、弥人先輩のこと見直しちゃいました」
「それは…ありがとう」
「もっと嬉しそうな反応してくださいよぉ!」
「またまた冗談なんだろうなぁ…と思っちゃってさ」
「冗談じゃないですよ」

希海は体を寄せながら膨れっ面で見上げてきた。涼しげな風が吹き抜けると、伝わる微熱。なんだかどこかで似たようなやり取りを…。

「あ、もしかして籐矢狙い?」
「え?」
「いや俺、会えば話はするけど連絡先は知らないよ」

ライブを見ていたなら、俺が籐矢と居たのは知ってるはずで。

それ以外に接近してきた理由が、よく分からなかった。

「違いますよぉ、弥人先輩のことが気になっただけですぅ」
「そうなの?」
「弥人先輩って、私と夢花が仲直りして欲しいんですよね?」
「ま、まぁ」
「いいですよ。その代わりなんですけどぉ」

コンビニから笑い声と共に学生が出てきた。ドキッとした俺は後ずさるが、希海は全く意にせず続ける。

「夢花と別れて、私と付き合ってくれます?」
「……え?」
「だぁかぁらぁ、夢花じゃなくて私と付き合ってください。そしてら夢花と仲直りしてもいいですよ?」

挑発的な口調を無垢な笑みで――。

矛盾を抱えたような希海の言葉が俺の脳天に突き刺さる。

「俺は…夢花が好きだから…」
「私こう見えてEですよ?」
「えっと…」
「夢花なんてせいぜいAでしょ?」

希海の視線移動に合わせて、不覚にも希海の胸を見てしまった。

こういう感じでEなのか…。

ロングコートの上からで、そこまで大きく見え…じゃねーよ、おい。

「いや、俺は夢花のが好きなんで」
「私なら先輩の事、一杯満足させてあげられますけど?」
「……」
「夢花ってそういうの全然ですよね?」

いや全然やってるよ!

この前フツーに、コスプレイしちゃいましたけどォ!

なんてことは言えなかった。言えるはずもない、言う必要がない。

「希海ちゃん…」
「なんですか?」
「俺は本気で夢花と仲直りして欲しいと思ってる。けど、それ以上に本気で夢花のことを愛してるんだ。だから…」
「そうですか」

希海は俺の言葉を遮った。

迫って来た時とはまるで別人のように、冷徹なトーンで。

「……」
「でも私、諦めるつもりないんで」
「お、おう」
「それじゃ、さよなら」

希海は立ち上がると、何事もなかったように去っていった。

俺は風が肌寒く感じたのと同時に、腹部を見下ろして一息ついていたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

パパのお嫁さん

詩織
恋愛
幼い時に両親は離婚し、新しいお父さんは私の13歳上。 決して嫌いではないが、父として思えなくって。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...