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学内での巡り合わせ
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休日のコンビニは、レジに並ばずに済んで都合がいい。
俺は昼食の焼きそばパンを受け取り、お金を払った。
最近のマイブームは、大学図書館でビジネス書を読み漁ること。
夢花と外に出掛けない日、家の中で夢花が勉強する日はお互いに一人の時間を取るようにしてみた。
別に仲が悪くなったという訳ではない。どこかで見かけた記事”夫婦円満のコツ”を試したまでだ。
同じ部屋で過ごし、同じ部屋で寝て、学校とバイト以外はいつも一緒だった。窮屈な思いをさせていないだろうか。
俺は雑誌立てにあった賃貸情報誌を手に取ろうとしてやめた。邪心の内で、脱毛と家賃が天秤にかかり脱毛が勝利する。
「あれ?彼氏さんじゃないですかぁ?」
「あっ」
コンビニを出ようとしたところで、希海と鉢合わせた。
「お久しぶりですね~」
「お、久しぶりです」
「見ましたよ、西方祭のライブ」
「おう…」
希海は、段差下にあった屋外チェアに座った。催促されて、迷いながらも隣に座る。
夢花に対する罪悪感が、湧いて出そうだった。後で事実だけは伝えておこう。
「名前ってヤヒトであってます?」
「ん?あぁ、そうだよ」
「ほら、夢花からのRineにあったので」
すると希海はスマホ画面を見せてきた。
日付は、3ヵ月前。借りてたお金を返すといった内容だ。これまでの経緯から謝罪まで、夢花の長文が並ぶ。
そして、希海からの返信はなかった。なぜ今頃、そんなものを見せて来たのだろう。
「私、弥人先輩のこと見直しちゃいました」
「それは…ありがとう」
「もっと嬉しそうな反応してくださいよぉ!」
「またまた冗談なんだろうなぁ…と思っちゃってさ」
「冗談じゃないですよ」
希海は体を寄せながら膨れっ面で見上げてきた。涼しげな風が吹き抜けると、伝わる微熱。なんだかどこかで似たようなやり取りを…。
「あ、もしかして籐矢狙い?」
「え?」
「いや俺、会えば話はするけど連絡先は知らないよ」
ライブを見ていたなら、俺が籐矢と居たのは知ってるはずで。
それ以外に接近してきた理由が、よく分からなかった。
「違いますよぉ、弥人先輩のことが気になっただけですぅ」
「そうなの?」
「弥人先輩って、私と夢花が仲直りして欲しいんですよね?」
「ま、まぁ」
「いいですよ。その代わりなんですけどぉ」
コンビニから笑い声と共に学生が出てきた。ドキッとした俺は後ずさるが、希海は全く意にせず続ける。
「夢花と別れて、私と付き合ってくれます?」
「……え?」
「だぁかぁらぁ、夢花じゃなくて私と付き合ってください。そしてら夢花と仲直りしてもいいですよ?」
挑発的な口調を無垢な笑みで――。
矛盾を抱えたような希海の言葉が俺の脳天に突き刺さる。
「俺は…夢花が好きだから…」
「私こう見えてEですよ?」
「えっと…」
「夢花なんてせいぜいAでしょ?」
希海の視線移動に合わせて、不覚にも希海の胸を見てしまった。
こういう感じでEなのか…。
ロングコートの上からで、そこまで大きく見え…じゃねーよ、おい。
「いや、俺は夢花のが好きなんで」
「私なら先輩の事、一杯満足させてあげられますけど?」
「……」
「夢花ってそういうの全然ですよね?」
いや全然やってるよ!
この前フツーに、コスプレイしちゃいましたけどォ!
なんてことは言えなかった。言えるはずもない、言う必要がない。
「希海ちゃん…」
「なんですか?」
「俺は本気で夢花と仲直りして欲しいと思ってる。けど、それ以上に本気で夢花のことを愛してるんだ。だから…」
「そうですか」
希海は俺の言葉を遮った。
迫って来た時とはまるで別人のように、冷徹なトーンで。
「……」
「でも私、諦めるつもりないんで」
「お、おう」
「それじゃ、さよなら」
希海は立ち上がると、何事もなかったように去っていった。
俺は風が肌寒く感じたのと同時に、腹部を見下ろして一息ついていたのだった。
俺は昼食の焼きそばパンを受け取り、お金を払った。
最近のマイブームは、大学図書館でビジネス書を読み漁ること。
夢花と外に出掛けない日、家の中で夢花が勉強する日はお互いに一人の時間を取るようにしてみた。
別に仲が悪くなったという訳ではない。どこかで見かけた記事”夫婦円満のコツ”を試したまでだ。
同じ部屋で過ごし、同じ部屋で寝て、学校とバイト以外はいつも一緒だった。窮屈な思いをさせていないだろうか。
俺は雑誌立てにあった賃貸情報誌を手に取ろうとしてやめた。邪心の内で、脱毛と家賃が天秤にかかり脱毛が勝利する。
「あれ?彼氏さんじゃないですかぁ?」
「あっ」
コンビニを出ようとしたところで、希海と鉢合わせた。
「お久しぶりですね~」
「お、久しぶりです」
「見ましたよ、西方祭のライブ」
「おう…」
希海は、段差下にあった屋外チェアに座った。催促されて、迷いながらも隣に座る。
夢花に対する罪悪感が、湧いて出そうだった。後で事実だけは伝えておこう。
「名前ってヤヒトであってます?」
「ん?あぁ、そうだよ」
「ほら、夢花からのRineにあったので」
すると希海はスマホ画面を見せてきた。
日付は、3ヵ月前。借りてたお金を返すといった内容だ。これまでの経緯から謝罪まで、夢花の長文が並ぶ。
そして、希海からの返信はなかった。なぜ今頃、そんなものを見せて来たのだろう。
「私、弥人先輩のこと見直しちゃいました」
「それは…ありがとう」
「もっと嬉しそうな反応してくださいよぉ!」
「またまた冗談なんだろうなぁ…と思っちゃってさ」
「冗談じゃないですよ」
希海は体を寄せながら膨れっ面で見上げてきた。涼しげな風が吹き抜けると、伝わる微熱。なんだかどこかで似たようなやり取りを…。
「あ、もしかして籐矢狙い?」
「え?」
「いや俺、会えば話はするけど連絡先は知らないよ」
ライブを見ていたなら、俺が籐矢と居たのは知ってるはずで。
それ以外に接近してきた理由が、よく分からなかった。
「違いますよぉ、弥人先輩のことが気になっただけですぅ」
「そうなの?」
「弥人先輩って、私と夢花が仲直りして欲しいんですよね?」
「ま、まぁ」
「いいですよ。その代わりなんですけどぉ」
コンビニから笑い声と共に学生が出てきた。ドキッとした俺は後ずさるが、希海は全く意にせず続ける。
「夢花と別れて、私と付き合ってくれます?」
「……え?」
「だぁかぁらぁ、夢花じゃなくて私と付き合ってください。そしてら夢花と仲直りしてもいいですよ?」
挑発的な口調を無垢な笑みで――。
矛盾を抱えたような希海の言葉が俺の脳天に突き刺さる。
「俺は…夢花が好きだから…」
「私こう見えてEですよ?」
「えっと…」
「夢花なんてせいぜいAでしょ?」
希海の視線移動に合わせて、不覚にも希海の胸を見てしまった。
こういう感じでEなのか…。
ロングコートの上からで、そこまで大きく見え…じゃねーよ、おい。
「いや、俺は夢花のが好きなんで」
「私なら先輩の事、一杯満足させてあげられますけど?」
「……」
「夢花ってそういうの全然ですよね?」
いや全然やってるよ!
この前フツーに、コスプレイしちゃいましたけどォ!
なんてことは言えなかった。言えるはずもない、言う必要がない。
「希海ちゃん…」
「なんですか?」
「俺は本気で夢花と仲直りして欲しいと思ってる。けど、それ以上に本気で夢花のことを愛してるんだ。だから…」
「そうですか」
希海は俺の言葉を遮った。
迫って来た時とはまるで別人のように、冷徹なトーンで。
「……」
「でも私、諦めるつもりないんで」
「お、おう」
「それじゃ、さよなら」
希海は立ち上がると、何事もなかったように去っていった。
俺は風が肌寒く感じたのと同時に、腹部を見下ろして一息ついていたのだった。
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