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第四話
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「えぇー、今日は皆さん、オスカー氏の晩餐会に招待されて来られた、ということで間違いないですね?」
気だるげな口調で確認する警官に、応接室に集められた招待客は不安げに互いの顔を見合わせながら頷く。
オスカーさんが倒れてから約一時間。
駆けつけた医師によってオスカーさんの死亡が確認された後、警官が呼び出された。
やる気の無さそうな警官は頭を掻きながら状況を整理する。
「食事が終わって、女性陣はこの応接室で、男性陣は食堂に残って歓談していたところ、突如オスカー氏が苦しんで床に倒れた。そうですね?」
「ええ! 驚きましたとも!」
警官の言葉に、大仰に身振り手振りを混じえながらフランクさんが応じる。
「突如として胸を抑えてですね、苦しみ出したと思えばバタンと! 何が起こったのかさっぱりでしたが、こりゃとにかく医者を呼ばなきゃならんと!」
「オスカー氏は持病があったんですかね?」
「そのような話は何も」
警官に話を振られ、メイドが首を横に振る。
先程応接室に案内してくれたメイドだ。
屋敷にいる人間が全員応接室に呼ばれたため、当然使用人たちもこの応接室に揃っている。
メイドが一人、執事が一人、下働きの少年が一人、料理人が五人。
それがこの屋敷で働く使用人の全容らしい。
「食事後に突如、となると、料理に毒物が含まれていた可能性も否定できませんな」
「それはありえません」
警官の言葉に、料理人の中で最も恰幅の良い年嵩の男性が声を上げた。
恐らく料理長なのであろう男性は、他の四人を背に守るように一歩前に歩み出る。
「この屋敷の厨房は全て私が取り仕切っています。調理工程は隅々まで確認していますし、サーブする前には必ず味見を行います。それに料理に毒が盛られていたならば、ここにいる全員が毒を口にしているはずです」
料理長の言葉に、そうだそうだと後ろの料理人たちが力強く頷いた。
「ではサーブの際に毒を盛ったとか?」
「それも有り得ません」
今度はメイドが口を開く。
「料理は厨房でディナーワゴンに載せ、その際にクローシュを被せます。ワゴンはかなり重いので、私と下働きの者と二人で運びます。食堂に着いて皆様の前に料理を出すまでクローシュは被せたままですので、毒を盛るタイミングはありません」
メイドの言葉に、下働きの少年が頷く。
「それに旦那様は本日のディナーをほとんど召し上がっておりません」
「そうなんですか? それはまたなんで?」
続くメイドの言葉に、警官が意外そうに眉をあげた。
「ええ、本日のディナー、オスカー氏はほとんど手をつけていないように見えました。気分が乗らない時にはどのような美食も美食足りえない、と」
今度は招待客の一人が口を開く。
気難しい顔をした男性は不満げに鼻を鳴らした。
「まあ、いつものことです。彼は美食家と名乗って人にご馳走を振舞っておきながら、自分は何かと理由をつけて、いつも食べようとはしないのです」
招待客の男性の言葉からは、どこか剣呑な雰囲気が漂っている。
「持病はありませんでしたが」
再びメイドが口を開く。
「旦那様はここ最近、執務と晩餐会の準備に忙しく、かなりお疲れのようでした」
「なるほど。過労が祟って体調をおかしくした、という可能性も考えられますな」
そう言って、警官は話を締めるようにパン、と手を打った。
「とりあえず形式的に皆様の身元だけ確認させていただきまして、この場はこれでお開きにしましょう。また何かあればご連絡するかもしれませんので、その際はどうぞよろしく」
✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼
あとがき
『霧の都の追放貴族とワケアリ少女探偵の事件簿』
をお読み頂きありがとうございます。
今日は5話まで投稿いたしますので、「お気に入り登録」をしてくれると嬉しいです。
毎日投稿予定です。コメントなど頂けると執筆の励みになります♪
気だるげな口調で確認する警官に、応接室に集められた招待客は不安げに互いの顔を見合わせながら頷く。
オスカーさんが倒れてから約一時間。
駆けつけた医師によってオスカーさんの死亡が確認された後、警官が呼び出された。
やる気の無さそうな警官は頭を掻きながら状況を整理する。
「食事が終わって、女性陣はこの応接室で、男性陣は食堂に残って歓談していたところ、突如オスカー氏が苦しんで床に倒れた。そうですね?」
「ええ! 驚きましたとも!」
警官の言葉に、大仰に身振り手振りを混じえながらフランクさんが応じる。
「突如として胸を抑えてですね、苦しみ出したと思えばバタンと! 何が起こったのかさっぱりでしたが、こりゃとにかく医者を呼ばなきゃならんと!」
「オスカー氏は持病があったんですかね?」
「そのような話は何も」
警官に話を振られ、メイドが首を横に振る。
先程応接室に案内してくれたメイドだ。
屋敷にいる人間が全員応接室に呼ばれたため、当然使用人たちもこの応接室に揃っている。
メイドが一人、執事が一人、下働きの少年が一人、料理人が五人。
それがこの屋敷で働く使用人の全容らしい。
「食事後に突如、となると、料理に毒物が含まれていた可能性も否定できませんな」
「それはありえません」
警官の言葉に、料理人の中で最も恰幅の良い年嵩の男性が声を上げた。
恐らく料理長なのであろう男性は、他の四人を背に守るように一歩前に歩み出る。
「この屋敷の厨房は全て私が取り仕切っています。調理工程は隅々まで確認していますし、サーブする前には必ず味見を行います。それに料理に毒が盛られていたならば、ここにいる全員が毒を口にしているはずです」
料理長の言葉に、そうだそうだと後ろの料理人たちが力強く頷いた。
「ではサーブの際に毒を盛ったとか?」
「それも有り得ません」
今度はメイドが口を開く。
「料理は厨房でディナーワゴンに載せ、その際にクローシュを被せます。ワゴンはかなり重いので、私と下働きの者と二人で運びます。食堂に着いて皆様の前に料理を出すまでクローシュは被せたままですので、毒を盛るタイミングはありません」
メイドの言葉に、下働きの少年が頷く。
「それに旦那様は本日のディナーをほとんど召し上がっておりません」
「そうなんですか? それはまたなんで?」
続くメイドの言葉に、警官が意外そうに眉をあげた。
「ええ、本日のディナー、オスカー氏はほとんど手をつけていないように見えました。気分が乗らない時にはどのような美食も美食足りえない、と」
今度は招待客の一人が口を開く。
気難しい顔をした男性は不満げに鼻を鳴らした。
「まあ、いつものことです。彼は美食家と名乗って人にご馳走を振舞っておきながら、自分は何かと理由をつけて、いつも食べようとはしないのです」
招待客の男性の言葉からは、どこか剣呑な雰囲気が漂っている。
「持病はありませんでしたが」
再びメイドが口を開く。
「旦那様はここ最近、執務と晩餐会の準備に忙しく、かなりお疲れのようでした」
「なるほど。過労が祟って体調をおかしくした、という可能性も考えられますな」
そう言って、警官は話を締めるようにパン、と手を打った。
「とりあえず形式的に皆様の身元だけ確認させていただきまして、この場はこれでお開きにしましょう。また何かあればご連絡するかもしれませんので、その際はどうぞよろしく」
✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼
あとがき
『霧の都の追放貴族とワケアリ少女探偵の事件簿』
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