16 / 19
読書嫌いとか言ったら読書好きは群がるわけですーー読書嫌いのための図書室案内
しおりを挟む読書が好きで好きでたまらない。もちろん本も漫画も雑誌もまとめて好きだ。書籍代だけ家計簿つけているが、貧乏のくせに半年で何万円も書籍に使っていたことが発覚した。本という嗜好品に、本屋というワンダーランドに惑わされて狂わされているわたしは完全なる活字中毒者だ。
わたしはゆとり世代末期なのだが、『読書離れ』という言葉をよく耳にしていた。
だが最近知ったが、親世代も小学生のころから『読書離れ』を社会問題として取り上げられていたらしい。母親曰く、
「バブルの時なんて、読書しないよ。そんな時間ないの」
時は中西圭三の『Woman』がカメリアダイアモンドのCMソングだった頃。夜勤をし、終われば弾丸で雪山に行き、スキーで滑りまくる生活してたのだからそりゃ読めんだろう。バブルの生き様がまぶしい。それより上の世代の祖父母は終戦後で生きていくのに精一杯、読書どころではなかっただろうし、やはりいつ読書と蜜月だったのか、さっぱり分からない。
確かなのは読書は万人にいつだって愛されている訳じゃないこと。でもわたしは『読書嫌い』なんていう人があながち嫌いじゃない。というか、面白い。
「だれが書いたか分かんないもの、読みたくないじゃん」
昔クラスメイトに言われて、わたしは眼が輝いた。何それ! そんなこと考えたことなかったよ! その感性で本読んだら絶対面白い感想出るって!
その無垢すぎる眼で読んだ、本の世界を覗きたいって思ってしまう。
『読書嫌いのための図書室案内』は読書嫌いな高校2年生の荒坂くんと、「本のムシ」である藤生さんはともに図書委員。図書新聞の編集を何故か頼まれてしまった荒坂くんは読書感想文を友達や先生に依頼。しかし、その読書感想文と引き換えに様々な“条件”を出されることに。
この話は「読書嫌い」の人や、出てくる作品も『舞姫』、『赤い繭』など中高の教科書で載っていた作品が多いことからティーンエイジャー向けの作品だと言える。でも、「読書嫌い」の荒坂くんの独特の感性や「本の虫」の藤生さんの新解釈などもおもしろいので、読書好きの方は止まらなくなる本だと思う。
本をどうして読むか、というのは本を読まない人に説明するのは難解だ。本読みは「楽しいから」読むだろうけど、読書嫌いからしたら「楽しくない」のだから、話は平行線になる。しかし、この本ではできるだけ読書嫌いの為にもわかりやすく本を読むことへのメリットを解説している。
ある日、読書嫌いの荒坂くんに司書の先生はこう聞いた。
「出版技術が発達して、市民に小説が流行ったら殺人事件が減ったらしい。どうしてだと思う?」
と聞いた。あなたならなんと答えるだろうか。読書によって倫理観を知ることができたから? でも答えはきっとあなたの斜め上を行くものだ。
「一般庶民はね、小説を読んで初めて、自分以外の人間にも感情があることを知ったんだよ」
その段階の話…! でも確かに自分以外の人間にもそれぞれの人生があって、感情がある、そう思えば、握りしめたナイフをひっこめることができるかもしれない。これを聞いた荒坂くんは思う。僕が思っているよりも、読書はスリリングなものであるらしい、と。
そう、読書ってスリリングなのだ。一見大人しそうなあの本の虫だって、どのくらいの悪行を重ね、どのぐらい人を殺め、どのくらい艶っぽい経験を頭の中でしているかわからないのだ。現実にはできないことができるって、すごく刺激的。だからこそ本の世界から抜け出せられず、中毒になるのだ。
それにしても。本が教育にいいなんて、わたしは信じてないけどなあ。
今回の物語:青谷真未著『読書嫌いのための図書室案内』
0
あなたにおすすめの小説
【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】
タカハシU太
エッセイ・ノンフィクション
書けえっ!! 書けっ!! 書けーっ!! 書けーっ!!
*
エッセイ? 日記? ただのボヤキかもしれません。
『【作家日記】小説とシナリオのはざまで……【三文ライターの底辺から這い上がる記録】』
カクヨムの週間ランキング1位(エッセイ・ノンフィクション部門)獲得経験あり。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる