48 / 111
第3章
歪み 04※※
しおりを挟む
《perspective:沙雪》
放心状態の亜矢の服に手をかける。そして、ひとつひとつ静かにボタンを外しながら、熱くなった耳朶を喰んだ。
ふと、以前の亜矢の香りと違うことに気付く。抱くたびに、いつも首筋から薫っていたレモンのような甘い香り。
今は、そんな造り物じゃない、石鹸のような清潔感のある香りを、まるで全身から放たれたように纏っていた。
――まさか、“匂い”までも独占していた?
あいつなら遣りかねない、とそんなことを考えてゾッとすると同時に、これからする行為がさらに愉しみになった。
「あいつ相当お前を信じてるんだな。自分以外に感じている亜矢を見たら……どうするかな……」
喉の奥から笑いが溢れる。
「一体、何をっ……」
亜矢は涙を溜めた目で俺を睨んだ。
「何を……する気ですか……」
唇が震えている。完全に怯えきっている。
そこにはもはや、俺の知る泰然とした亜矢の姿はない。
露わになった絹のように滑らかな肌に触れると、びくりと全身を震わせた。
「っああ……っふ……」
亜矢は自分が発するその声に驚いたのか、バッと口を塞ぐ。
「っく……ぅん……ん」
薬のせいで相当敏感になっているのか、面白いくらいに反応する。亜矢は口を手で覆ったまま、愛撫にひたすら耐えていた。
声を我慢するところも酷く扇情的だが……。
「抑えるなよ……お前の声が、聞きたいんだから」
そう言って、亜矢の両腕を脱がしたシャツで縛る。
「い、やだっ……!解いてくださいっ……」
暴れる手足も、胸の突起に舌を這わすとふっと大人しくなった。
「嫌っ……やぁ……ぅ……んんっ」
亜矢はギュッと目を瞑り、血が滲むほど唇を噛み締めていた。
「そんなことをするな。傷つくだろ?」
ペロリと鉄の味がする唇を舐め、逃げ惑う舌を貪りながら、指先で胸の小さな芽を弄ぶ。
「嫌ぁ……っふ……はぁっ……」
苦しそうに、なおも拒否し続ける言葉が響く。それでも、その声は次第に甘く艶のあるものに変わっていった。
首筋に唇を寄せながら、先走りで濡れた亜矢自身に手を伸ばす。すると、脚で蹴るように暴れて、それを拒んだ。
「こんなにダラダラ、液を垂らして大きくさせて……触って欲しいんだろ?」
「い、や……」
庇うように組まれた細い両足を半ば強引に開いて、濡れた中心を直接掴んだ。
「っひ……ぃ……!っあ……ア」
「お前のココ、こんなになってるところ初めて見た。いつもは色素薄いのに、勃つと先の方、赤くなるんだな」
亜矢の目を覗き込むように見つめて「可愛い」と言うと、顔をぐしゃぐしゃに歪ませた。
すばやく手を動かすと、足の爪先まで力を入れて、苦しそうに浅く呼吸をする。
頬は紅潮し息が荒い。理性を飛ばすのも時間の問題だろう。
「っく……ふぁ……あぅ……」
側面を手で擦ったまま、先端を舌で舐めあげると、もはや拒絶の言葉も出ず、半開きの口からひっきりなしに矯声が漏れた。
「お前の達くところ、見せて」
「っや……!」
なけなしの理性で戦っているのか、まるで子供が駄々をこねるように左右に大きく首を振る。それもそうだ。これまで一度も俺に見せたことはない。――屈辱を受けたあの日を除いて。
“その時”の顔を見逃さないように、視線は亜矢に向けたまま吸う力を強めて絶頂に追い込んだ。
「やだっ、や……ぁ……!」
「達けよ」
「だめ、あっ……アッ……!!」
高い声が聞こえ、咥え込んだモノがどくんと脈打ったかと思うと、口の中に大量の精液を吐き出した。
初めて口にするそれを、愛おしむようにゆっくりと嚥下する。
「こんなにたくさん……。最近あいつに抱かれていないだろ。ああ、出張中だったか」
口から漏れた白濁の液を親指で拭い、亜矢に見せ付けるように舐めた。
驚いたように見開かれた目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。そして恥ずかしいのか、悔しいのか、顔を赤らめパッと視線を外した。
「……自分ですら慰めないなんて、本当に健気だな」
顔を逸らし息を整えている姿を見て、ぽつりと呟いた。
こんなにも、頑なにあいつを待っているなんて……。
亜矢の健気さには心底感心するが、今の俺に同情なんて心は存在しない。
――壊し概がある。幸せいっぱいな亜矢を、この手で辱めてやる。
放心状態の亜矢の服に手をかける。そして、ひとつひとつ静かにボタンを外しながら、熱くなった耳朶を喰んだ。
ふと、以前の亜矢の香りと違うことに気付く。抱くたびに、いつも首筋から薫っていたレモンのような甘い香り。
今は、そんな造り物じゃない、石鹸のような清潔感のある香りを、まるで全身から放たれたように纏っていた。
――まさか、“匂い”までも独占していた?
あいつなら遣りかねない、とそんなことを考えてゾッとすると同時に、これからする行為がさらに愉しみになった。
「あいつ相当お前を信じてるんだな。自分以外に感じている亜矢を見たら……どうするかな……」
喉の奥から笑いが溢れる。
「一体、何をっ……」
亜矢は涙を溜めた目で俺を睨んだ。
「何を……する気ですか……」
唇が震えている。完全に怯えきっている。
そこにはもはや、俺の知る泰然とした亜矢の姿はない。
露わになった絹のように滑らかな肌に触れると、びくりと全身を震わせた。
「っああ……っふ……」
亜矢は自分が発するその声に驚いたのか、バッと口を塞ぐ。
「っく……ぅん……ん」
薬のせいで相当敏感になっているのか、面白いくらいに反応する。亜矢は口を手で覆ったまま、愛撫にひたすら耐えていた。
声を我慢するところも酷く扇情的だが……。
「抑えるなよ……お前の声が、聞きたいんだから」
そう言って、亜矢の両腕を脱がしたシャツで縛る。
「い、やだっ……!解いてくださいっ……」
暴れる手足も、胸の突起に舌を這わすとふっと大人しくなった。
「嫌っ……やぁ……ぅ……んんっ」
亜矢はギュッと目を瞑り、血が滲むほど唇を噛み締めていた。
「そんなことをするな。傷つくだろ?」
ペロリと鉄の味がする唇を舐め、逃げ惑う舌を貪りながら、指先で胸の小さな芽を弄ぶ。
「嫌ぁ……っふ……はぁっ……」
苦しそうに、なおも拒否し続ける言葉が響く。それでも、その声は次第に甘く艶のあるものに変わっていった。
首筋に唇を寄せながら、先走りで濡れた亜矢自身に手を伸ばす。すると、脚で蹴るように暴れて、それを拒んだ。
「こんなにダラダラ、液を垂らして大きくさせて……触って欲しいんだろ?」
「い、や……」
庇うように組まれた細い両足を半ば強引に開いて、濡れた中心を直接掴んだ。
「っひ……ぃ……!っあ……ア」
「お前のココ、こんなになってるところ初めて見た。いつもは色素薄いのに、勃つと先の方、赤くなるんだな」
亜矢の目を覗き込むように見つめて「可愛い」と言うと、顔をぐしゃぐしゃに歪ませた。
すばやく手を動かすと、足の爪先まで力を入れて、苦しそうに浅く呼吸をする。
頬は紅潮し息が荒い。理性を飛ばすのも時間の問題だろう。
「っく……ふぁ……あぅ……」
側面を手で擦ったまま、先端を舌で舐めあげると、もはや拒絶の言葉も出ず、半開きの口からひっきりなしに矯声が漏れた。
「お前の達くところ、見せて」
「っや……!」
なけなしの理性で戦っているのか、まるで子供が駄々をこねるように左右に大きく首を振る。それもそうだ。これまで一度も俺に見せたことはない。――屈辱を受けたあの日を除いて。
“その時”の顔を見逃さないように、視線は亜矢に向けたまま吸う力を強めて絶頂に追い込んだ。
「やだっ、や……ぁ……!」
「達けよ」
「だめ、あっ……アッ……!!」
高い声が聞こえ、咥え込んだモノがどくんと脈打ったかと思うと、口の中に大量の精液を吐き出した。
初めて口にするそれを、愛おしむようにゆっくりと嚥下する。
「こんなにたくさん……。最近あいつに抱かれていないだろ。ああ、出張中だったか」
口から漏れた白濁の液を親指で拭い、亜矢に見せ付けるように舐めた。
驚いたように見開かれた目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。そして恥ずかしいのか、悔しいのか、顔を赤らめパッと視線を外した。
「……自分ですら慰めないなんて、本当に健気だな」
顔を逸らし息を整えている姿を見て、ぽつりと呟いた。
こんなにも、頑なにあいつを待っているなんて……。
亜矢の健気さには心底感心するが、今の俺に同情なんて心は存在しない。
――壊し概がある。幸せいっぱいな亜矢を、この手で辱めてやる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
メビウスの輪を超えて 【カフェのマスター・アルファ×全てを失った少年・オメガ。 君の心を、私は温めてあげられるんだろうか】
大波小波
BL
梅ヶ谷 早紀(うめがや さき)は、18歳のオメガ少年だ。
愛らしい抜群のルックスに加え、素直で朗らか。
大人に背伸びしたがる、ちょっぴり生意気な一面も持っている。
裕福な家庭に生まれ、なに不自由なく育った彼は、学園の人気者だった。
ある日、早紀は友人たちと気まぐれに入った『カフェ・メビウス』で、マスターの弓月 衛(ゆづき まもる)と出会う。
32歳と、早紀より一回り以上も年上の衛は、落ち着いた雰囲気を持つ大人のアルファ男性だ。
どこかミステリアスな彼をもっと知りたい早紀は、それから毎日のようにメビウスに通うようになった。
ところが早紀の父・紀明(のりあき)が、重役たちの背信により取締役の座から降ろされてしまう。
高額の借金まで背負わされた父は、借金取りの手から早紀を隠すため、彼を衛に託した。
『私は、早紀を信頼のおける人間に、預けたいのです。隠しておきたいのです』
『再びお会いした時には、早紀くんの淹れたコーヒーが出せるようにしておきます』
あの笑顔を、失くしたくない。
伸びやかなあの心を、壊したくない。
衛は、その一心で覚悟を決めたのだ。
ひとつ屋根の下に住むことになった、アルファの衛とオメガの早紀。
波乱含みの同棲生活が、有無を言わさず始まった……!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる