真珠の涙は艶麗に煌めく

枳 雨那

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本当の名前を呼んで

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「やっぱり、持っているものなんですね」
「……まあ、有事に備えて。定期的に新しくしているから、心配しなくていい」
「ふふ。今はその有事ってことですね」
「当たり前だろう。俺だってこんなことになるとは思っていなかった」

 真珠が楽しそうに笑うのが気に食わないらしく、銀は真珠を布団の上に押し倒した。ただ、それもやんわりと。真珠が頭をぶつけないように、配慮してくれていた。

(好き……大好き……)

 言葉にしても足りないほどの想いが、真珠の心を満たす。じっと待っていると、両脚を開かされ、蜜口に銀のそれがあてがわれた。銀は何度も指で入口を確かめ、狙いを定めて腰を動かしていく。

「あっ、銀さんっ」
「は……真珠っ」

 潜ってくる熱の塊を、一時も離すまいと真珠の中が吸い付いていく。奥に到達したところで、銀は真珠に覆いかぶさって、口を吸った。初めての刺激に、彼も精一杯のようだ。真珠はその愛しい頭を抱きしめ、さらさらの銀髪に触れた。

「銀さんの名前……本当の名前、教えてくれませんか?」
「え?」
「ご両親が付けてくれた名前、知りたいです」

 真珠の言葉に、銀がじっと視線を合わせる。そして、真珠の手を取り、指を絡ませた。

琥珀こはく、という」
「琥珀、さん……瞳の色と同じ……」
「ああ。俺が将来、志士を目指しても目指さなくても、宝石のような輝きを持っていてほしいと、名付けたらしい」
「素敵です。とっても似合う」
「……ありがとう」

 腰をくっつけたまま、二人は微笑み合った。真珠は、彼に黙っていたことを話す決心がついた。

 銀にだけは、本当の名前を呼んでほしい、と。

「琥珀さん。私、ずっと嘘をついていたことがあります」
「……今、ここで言うのか?」
「はい。私の名前は『しんじゅ』じゃなくて、本当は『まみ』なんです」
「えっ」
「漢字で書くと真珠と同じだけど、『まみ』って読むんです」

 初めて名乗る時、本名を言えず咄嗟に嘘をついたのだと、真珠は謝った。銀は、数瞬固まっていたが、やがて口元を緩ませ、これまでで一番温もりのある表情になった。

真珠まみ
「はい、琥珀さん」

 本当の名前を呼び合うと、また愛しさが増した。真珠は銀――琥珀を抱きしめ、彼もまた真珠を抱きしめて腰の動きを再開させた。

「ああっ、あっ、あっ、や、んっ……」
「色香なんてなくても、真珠まみはこうして男を狂わせる」
「えっ? あっ……奥っ!」
「いつか、俺の手の届かないところに、行ってしまうんだろうと思っていた……それが、現実になろうとしている」
「ああっ、だめっ、激しいっ」

 琥珀は奥を穿ちながら、想いの丈を真珠にぶつけた。抱きしめる腕に力を込め、真珠が逃げられないようにする。

「どこにも行かないでくれ……ずっと、ここに……いてほしい」
「っ……! 琥珀さんっ」

 真珠は、切なさで胸が引きちぎられそうだった。やっと見つけた大切な人を、また失う絶望感。琥珀はそれを耐えきれないと言う。

「わ、私だって、琥珀さんがいいっ……ずっと一緒にいたいっ」
真珠まみっ」
「あっ、やっ、奥っ……きちゃうっ!」
「俺を、刻みつけたい……俺にはお前だけだ」
「ひぁっ! ああぁっ……あぁぁぁっ!」

 琥珀の言葉が、真珠の心をとらえて離さない。強く中を擦られて、快感が大波となって真珠を襲った。真珠は喉元を見せて仰け反り、同時に銀のものを強く締めつけた。

「うっ……あっ」
「琥珀さん……」

 琥珀が果てるのを見つめ、真珠は再びその身体を抱きしめた。

 互いの吐息を交わらせながら、額をぶつけ合う。琥珀は自身のものを引き抜いて、真珠に見えないように処理を始めた。初めてとは思えない手早さに、真珠は少しだけ驚きながら、静かに待っていた。その間も蜜口がひくひくと動いて、とろりと液を零していく。

「真珠」
「はいっ」
「……もう一度、いいだろうか」
「えっ」

 琥珀が真珠を抱き起こし、真珠はふと視線を落とした。一度欲を吐き出したはずのそれは、再び大きく反り返っている。言われた意味を理解して、真珠は顔を赤くしながら頷いた。

「……琥珀さんも、これ、脱いで」
「あ、ああ。分かった」

 肌で直に触れ合いたい。真珠がそう思って琥珀の着物を引っ張ると、彼は焦れたように帯を解いた。暗闇の中でも分かる、細く引き締まった身体。真珠が琥珀の胸に触れると、硬い筋肉の下で高鳴っている鼓動を感じ取れた。

「すごくドキドキしてる……」
「好きな女に触られたら、普通そうなるだろ……」

 琥珀はまた一つ包みを破り、自身に着けていく。好きだと言われて舞い上がりきった真珠は、琥珀の膝の上に、自ら跨った。

「私も、もう一回欲しいです」
「……うん」

 琥珀が固定するものを、真珠は腰を動かして飲み込んでいく。太く逞しい首に腕を回し、気を抜けば達してしまいそうになるのを、必死に耐えた。

「ああっ、琥珀さんっ! 好きっ!」
「俺も、好きだ……」
「んっ……耳っ、だめっ」
「耳が弱いのか?」

 低く擦れた、吐息たっぷりの声で囁かれ、真珠の背中を電流が走った。琥珀は新たな発見をしたかのように軽く笑い、何度も耳元で「好きだ」と呟く。真珠の肌が粟立ち、下腹部をきゅんとさせた。

「だ、だめっ! それっ……へ、変になるっ」
「お前が乱れるところを見たいんだ」
「やぁっ、んっ!」

 琥珀は真珠の身体を抱え、腰を動かし、奥を突きながら揺すった。結合部からは、ぬちゅっぬちゅっという卑猥な音が断続的に響き、二人が触れ合ったところは燃えるように熱くなっていく。真珠も琥珀を誘うかのように、高みを目指して腰を振った。

「あんっ、あっ……私も、好きっ!」
「真珠っ」
「んっ……ふっ……」

 唇を塞がれた真珠は、涙を滲ませながら琥珀の頭を掻き抱いた。これ以上ないほどに密着し、乳房は琥珀の胸板に押しつぶされ、充血した先端がこりこりと擦れて気持ちがいい。真珠の頭の中が真っ白になっていき、奥を突かれた瞬間、全身を硬直させた。

「んんっ……んうーっ!」

 真珠の悲鳴は、琥珀に吸い込まれた。彼もまた、真珠の中で二回目の限界を迎え、脈打ちながら欲を吐き出した。

「あぁっ……はぁっ……」
「真珠、もし……」

 息も絶え絶えの真珠の目を覗き込み、琥珀は意を決したように、真剣な瞳で射抜いた。

「帝のところに行かなくて済んだら、俺と結婚してほしい。俺が、必ずお前を幸せにする」
「……はいっ」
「愛してる」
「私も、愛してます……」

 口下手な彼が必死に訴える。こんなにも心を燃えさせるような求愛は、この先もうないだろう。真珠はそう確信して、喜びに涙しながら返事をした。琥珀は真珠の髪を撫でて、口元を緩ませる。

「元の世界にも帰れなくなるが、いいのか?」
「未練は、あります。両親にも会いたい。でも今は、帰れるかどうかも分からないし……この村にずっといられるなら、もうそれだけで充分です」
「ああ、分かった。そうなるように、俺も全力を尽くそう」

 二人は指を絡ませ、誓いのように深いキスをした。新月の夜は、甘く切なく更けていった。
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