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15.杉村部長(UMA)のおさらい
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改めて杉村部長の、大人とは思えない奇妙奇天烈摩訶不思議な発言をまとめてみる。
まず1つ目、私にキスをした上、求婚した。
それも、子供を産ませるとか言ってた。
それはつまり、そういうことをするということであって……いや、今はやめておこう。
2つ目、部長の心拍は遅い。
めちゃくちゃ遅い。
正直象と同じくらいだと思う。(詳しくは知らないけど)
そしてそれに伴ってか、体温が低い。
何度も言うが、人は平均体温36度であり、34度を下回ると死ぬと聞いたことがある。
唇は少し冷えてる程度だが、額に触れた感覚から言えば、絶対34度無い。
キスをすると変わる金色の瞳もおかしい。
その理由はよく分からないが、おそらくエネルギーを吸われてる(イメージ的に)
更には吸血鬼であると恥じらいもなくむしろドヤ顔で牙を見せながら言う始末。
しかも今まで伝承にあった世界の謎大きモンスター達みんな、この吸血鬼だというのだ。
吸血鬼がもし、万が一、本当に実現するのだとしたら、他のサキュバスやら狼男は実在しそうだけども、彼は私をバカにしてはっきり述べたのだ。
もうこんなの、悪い夢だと思いたい。
だってあの、私にとっての天敵部長が、こんなわけの分からない相手だったなんて。
そんなの……
そこまで一瞬で頭をフル回転させて、なんとか状況整理をしたところで、考えるよりも先に、口がボソッと声を上げた。
「う、嘘だぁ~」
「ほう、俺を目の前にして、まだ信用出来ないと?」
興味深いとばかりに顎に手を添え、マジマジと私を見つめるこのイケメン・未確認生物部長は、目を細めて口角を上げ、悪い笑みを浮かべている。
「し、信用とか、言われても……じ、じゃあ、雪男は!?」
「あー、それは俺だ」
「は!?」
「一時シベリアに住んでたことがあってな。
吹雪の中裸で歩いてたら勘違いされた」
私のタメ口に対しては何も触れずに、まるで懐かしむように思い出に浸り出す部長に、おぞましさすら感じ始めた。
確かに、部長の身長は180センチありそうだし、シベリアの吹雪の中を裸で歩いている人間なんて普通いないだろうから、そんなの見られたら騒ぎになるのも不思議じゃない。
「海外は結構巡ったぞ。
それこそ1世紀ぐらいは観光してたかもな。
アフリカに行った時は動物の方が逃げて……どうした? 顔色が悪いぞ」
「っ!」
急に頬に手が触れて、ビクッと身を固めた。
怒るかと思ったが、部長はすぐに手を引いて、少しだけ、ほんの少しだけ、寂しそうに瞳を揺らした。
その表情に、胸がズキズキと痛んだ。
あ……ごめんなさい、ごめんなさい……!
言葉に出ないその声をグッと飲み込んで、部長に向き直る。
だって、色んなことがあり過ぎて……。
こんなに楽しそうに喋る部長も、こんなに悲しそうな顔をする部長も……全部、知らない。
「……ホントに、もし本当に、部長が、吸血鬼なら。
その……私の血、吸いたいんですか?
私はその……エサ、ですか?」
こうして余裕を見せて私に色んな話をするのは、ただの余興で。
この後、血を吸われて……出血多量で殺されてしまうのかもしれない。
考えないようにしていたことが、一気に溢れてきて、恐くなった。
部長は目を細めて、寂しげに、儚げに、私を見つめた。
「そうだ」
違う、全部冗談だと、言ってくれることを期待していたのに。
一度引いた手で、私の肩を抑えると、ゆっくりと顔を近づけてくる。
希望を打ち砕かれて、この怪物から逃げられないことを悟り、ギュッと目を瞑るも、少しひんやりした肌が首筋を掠めようとしているのを感じて、全身に鳥肌が立った。
「刻印の相手なだけあって、いい匂いがする。
その血は、俺たちにとって極上の味。
お前の心臓が早く鼓動を刻めば刻むほど、香りは強くなる」
「っ……あ……!」
心臓が大きく跳ねた。
彼のひんやりした唇が、首筋に吸い付いたのだ。
私の人生、ここまでなの……?
思えば短い人生だった。
まだろくにお酒も飲めてないし……いや、そもそもお酒を飲んで酔いつぶれなければ、こんなことにはならなかった。
結局は私の自業自得だ。
じゃあやっぱり、私の運が悪いだけだ。
これから、私は部長のエサになって……ん?
「え……」
チュッ……とまたリップ音がして、彼の顔が離れていく。
ハッとして首筋に手を伸ばすと、少し湿っただけで、痛みは無かった。
血を吸われた、の?
こんなに、痛くないものなの?
理解が出来ずに頭の上にハテナマークを飛ばしていると、正面にいた部長の不敵な笑みが目に入った。
「吸うけど、吸ったらもう逃げられないから、吸わないでいてやるよ」
「は……?」
思わず、またも上司に向けてとは思えない言葉を使ってしまったが、意味が分からなかった。
この時何故、部長が吸おうとしなかったのか。
分かっていたら、あんなことにはならなかったのに。
まず1つ目、私にキスをした上、求婚した。
それも、子供を産ませるとか言ってた。
それはつまり、そういうことをするということであって……いや、今はやめておこう。
2つ目、部長の心拍は遅い。
めちゃくちゃ遅い。
正直象と同じくらいだと思う。(詳しくは知らないけど)
そしてそれに伴ってか、体温が低い。
何度も言うが、人は平均体温36度であり、34度を下回ると死ぬと聞いたことがある。
唇は少し冷えてる程度だが、額に触れた感覚から言えば、絶対34度無い。
キスをすると変わる金色の瞳もおかしい。
その理由はよく分からないが、おそらくエネルギーを吸われてる(イメージ的に)
更には吸血鬼であると恥じらいもなくむしろドヤ顔で牙を見せながら言う始末。
しかも今まで伝承にあった世界の謎大きモンスター達みんな、この吸血鬼だというのだ。
吸血鬼がもし、万が一、本当に実現するのだとしたら、他のサキュバスやら狼男は実在しそうだけども、彼は私をバカにしてはっきり述べたのだ。
もうこんなの、悪い夢だと思いたい。
だってあの、私にとっての天敵部長が、こんなわけの分からない相手だったなんて。
そんなの……
そこまで一瞬で頭をフル回転させて、なんとか状況整理をしたところで、考えるよりも先に、口がボソッと声を上げた。
「う、嘘だぁ~」
「ほう、俺を目の前にして、まだ信用出来ないと?」
興味深いとばかりに顎に手を添え、マジマジと私を見つめるこのイケメン・未確認生物部長は、目を細めて口角を上げ、悪い笑みを浮かべている。
「し、信用とか、言われても……じ、じゃあ、雪男は!?」
「あー、それは俺だ」
「は!?」
「一時シベリアに住んでたことがあってな。
吹雪の中裸で歩いてたら勘違いされた」
私のタメ口に対しては何も触れずに、まるで懐かしむように思い出に浸り出す部長に、おぞましさすら感じ始めた。
確かに、部長の身長は180センチありそうだし、シベリアの吹雪の中を裸で歩いている人間なんて普通いないだろうから、そんなの見られたら騒ぎになるのも不思議じゃない。
「海外は結構巡ったぞ。
それこそ1世紀ぐらいは観光してたかもな。
アフリカに行った時は動物の方が逃げて……どうした? 顔色が悪いぞ」
「っ!」
急に頬に手が触れて、ビクッと身を固めた。
怒るかと思ったが、部長はすぐに手を引いて、少しだけ、ほんの少しだけ、寂しそうに瞳を揺らした。
その表情に、胸がズキズキと痛んだ。
あ……ごめんなさい、ごめんなさい……!
言葉に出ないその声をグッと飲み込んで、部長に向き直る。
だって、色んなことがあり過ぎて……。
こんなに楽しそうに喋る部長も、こんなに悲しそうな顔をする部長も……全部、知らない。
「……ホントに、もし本当に、部長が、吸血鬼なら。
その……私の血、吸いたいんですか?
私はその……エサ、ですか?」
こうして余裕を見せて私に色んな話をするのは、ただの余興で。
この後、血を吸われて……出血多量で殺されてしまうのかもしれない。
考えないようにしていたことが、一気に溢れてきて、恐くなった。
部長は目を細めて、寂しげに、儚げに、私を見つめた。
「そうだ」
違う、全部冗談だと、言ってくれることを期待していたのに。
一度引いた手で、私の肩を抑えると、ゆっくりと顔を近づけてくる。
希望を打ち砕かれて、この怪物から逃げられないことを悟り、ギュッと目を瞑るも、少しひんやりした肌が首筋を掠めようとしているのを感じて、全身に鳥肌が立った。
「刻印の相手なだけあって、いい匂いがする。
その血は、俺たちにとって極上の味。
お前の心臓が早く鼓動を刻めば刻むほど、香りは強くなる」
「っ……あ……!」
心臓が大きく跳ねた。
彼のひんやりした唇が、首筋に吸い付いたのだ。
私の人生、ここまでなの……?
思えば短い人生だった。
まだろくにお酒も飲めてないし……いや、そもそもお酒を飲んで酔いつぶれなければ、こんなことにはならなかった。
結局は私の自業自得だ。
じゃあやっぱり、私の運が悪いだけだ。
これから、私は部長のエサになって……ん?
「え……」
チュッ……とまたリップ音がして、彼の顔が離れていく。
ハッとして首筋に手を伸ばすと、少し湿っただけで、痛みは無かった。
血を吸われた、の?
こんなに、痛くないものなの?
理解が出来ずに頭の上にハテナマークを飛ばしていると、正面にいた部長の不敵な笑みが目に入った。
「吸うけど、吸ったらもう逃げられないから、吸わないでいてやるよ」
「は……?」
思わず、またも上司に向けてとは思えない言葉を使ってしまったが、意味が分からなかった。
この時何故、部長が吸おうとしなかったのか。
分かっていたら、あんなことにはならなかったのに。
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