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本編【表】
第3話-脅迫
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『先程見た通りだ。元婚約者ラグライア公爵令嬢とは縁を切った これで何のしがらみもない…そうだな?』
『.......』
なんと返せばいいだろう。
彼は王太子…何れはアルテアの王となる男だ。
無下な断り方をしてはセリアだけでなくフェレネス家に迷惑が掛かる。
-こんな事ならば同席を提案した兄上を頼れば…
いや、兄上がいた所で結果は同じだったでしょう。
-この方は例え神の御前であろうと傲慢な態度を改めない。
-それほどに確固たる自信を持つ人間だ。
『無言は…yesと取っていいな?俺が持つお前を娶りたいと言う気持ちに偽りはない。その証拠に王太子として恥ずべき元婚約者との諍いも隠すこと無くお前に見せたのだ。』
-まずい…黙っていては彼のペースに飲まれる。
先程のハイネ様への非情な振る舞いも"お前の為にやったんだぞ"と罪悪感を与え、尚断れない雰囲気に持ち込もうとしている。
-このまま黙っていたら負けだ。
出したくは無かったが彼の存在を出すしかない。
『殿下。私如きに王太子妃への任命 身に余る光栄でございます。』
王太子は口角をあげた
遂にセリアが承諾すると思ったのだろう。
しかしセリアは続けて口を開く
『しかし私には生まれた時からの家同士が定めた許婚がおります故…殿下のご期待に沿う事は致しかねます。ご了承くださいますようお願い申し上げます。』
セリアは短時間で頭の中で最良の断り文句を考え口にする。
まずは、生まれた時から定められた許婚がいる事。
貴族同士の政略結婚はアルテアでもよくある話だが政略結婚に領地問題や交易交渉を用いる貴族も沢山いる。
これを反故にすれば貴族間での諍いに繋がり王家としても困る事になる。
即ち、セリアは王家に迷惑を掛けない為に仕方なく断ると言う形を作り、謙った最上級の丁寧語でまずは求婚と言う名の王太子妃への任命に感謝の意を述べる。
ここで求婚と言うワードを直接用いず王太子妃への任命と言う言葉に変えたのも賢い
求婚を断られる事は普通の人間であっても屈辱的だ。
この気位の高い王太子に"求婚はお断り致します"と言おうモノなら顔を真っ赤にしてムキになり余計に執着させてしまうだろう。
実際には求婚を断る訳だが、あえて王太子妃への任命と言う言葉を使う事で与えられた役職を家同士が決めた都合によりやむ無く辞退すると言う体が装える。
最後に"ご期待に添えず申し訳御座いません"と謝罪するのではなく"ご了承くださいますようお願い申し上げます"と返したのも良い。
謝罪をすれば、なんだか"プロポーズを断ってしまってごめんなさいね?"と上からものを言う様に聞こえてしまい男性を惨めな思いにさせる。
これも王太子の自尊心を刺激する事になるだろう。
この断り文句に謝罪を用いない話術は
王太子とのやり取りだけでなく、全ての男女間の掛け合いで言える事だが、男性は女性に謝られると窘められた気分になり惨めな気持ちになる。
女性が男性から何かを頼まれ事をされた時、それを断りたいならば謝罪ではなく理解を求める様な言い方をした方が男性側も頭の中で"こう言う事情ならば仕方がない"と気持ちの整理が出来て受けるダメージも少なくて済む。
セリアの言葉を簡単にすると
"王太子妃への任命はとてもありがたく嬉しいのですが、家同士の決め事と言う自分ではどうしようもない不可抗力によりお受け出来ません。理解の程よろしくお願いします"
だ…これを恙無く最上級の丁寧語で王太子に申し付けた。
断り文句としては相手を立てた上でキッパリと断りの意を表明でき申し分ないだろう。
『.......』
王太子の顔が曇る。
元婚約者を袖にすると言うパフォーマンスさえ披露したと言うのにセリアが未だに首を縦に振らないことが気に食わないのだろう。
セリアは王太子の表情から勝利を確信した。
王太子とハイネ嬢のやり取りを見てセリアは理解した。
彼は感情論を嫌い話に合理性を求める。
"頑張ったから認めて"と言う感情論で話を進めたハイネ嬢に対して
"頑張っても一番になれなかったお前はいらない"と返した王太子。
彼の理論で言うならば"途中経過はどうあれ成果があればそれが全て"と言う考えの人間だ。
つまり会話の節々に合理性と筋が通っているかを重んじる人間、超合理主義の人間だ。
こう言った人間は自分が納得するまでとことん相手を追求するが…相手が理を通して言葉を返すと言葉を返せなくなる。
自分が理を追求したのに、相手の理を感情論でひっくり返す事は自分の主義の放棄に繋がる。
プライドの高い人間程、理を通した発言に対しては飲み込みざるを得ない。
セリアは王太子の求婚を断る事に対して非の打ち所のない言葉で返した。
これでもう王太子も流石に諦めざるを得ないだろう。
-こんなにも呆気ないなら最初から許婚の事を話に出せば良かった…
-そうすれば、ハイネ様は婚約破棄される事も…
-いいえ…これで良かったのかも知れません。
-服と王太子妃を混同して例えに出す様な王太子殿下
つまり、王太子妃を服と同じ装飾品位にしか考えていない様な人と結ばれても幸せになれる筈がありません。
-愛なき政略結婚が当たり前なのは貴族家に生まれた令嬢にとって宿命であるけれど殿下は人を人とも思わない冷たい人 。人の都合を鑑みない度を越した合理主義者。
-無事結婚出来たとしても白い結婚は目に見えている。
多感なハイネ様では耐えられないでしょう。
-ハイネ様の悲痛な姿には同情しますが
これでよかったのです。
-殿下。どうか貴方は貴方が最も愛するご自身とご結婚なさって下さいね。
セリアは心中 王太子に向けて皮肉を毒づいた。
理不尽な敵意を向けてきたハイネ嬢に良い感情を持ち合わせてはいなかったが同じ女性が虐げられている姿には思う所があった。
『お前の婚約者は…確か辺境伯家の者だったな』
王太子が口を開いた。
セリアは心の中で呆れていた。
自分の婚約者を袖にするだけでなく、相手に許婚がいる事を承知で求婚して来たのかと…
『はい…ライアン・ファルカシオン…私の婚約者です。』
もう食い下がる事はないだろうと思い婚約者の名前を口にした。
ファルカシオン家は隣国サラバドとの国境を守る武家の重鎮だ。
クランツ王との関係も深い。
実質的にはアルテア御三家と引けを取らない有力な家柄だ。
これで彼も諦めがつくだろう。
『では聞くが……次期王位継承者である王太子の俺と一貴族に過ぎない辺境伯家…どちらがこの国において力を持つ?』
『!?』
セリアは言葉を失った。
この男はまさか…王太子の権力で辺境伯から婚約者を奪おうと言うのか?
『賢いお前なら…俺の言いたい事が分かるな?』
王太子は椅子から腰をあげセリアの後ろに回る。
『分かりかねます…』
セリアは偽りで返す
本当は分かっている。
その気になれば婚約者であるライアンから王太子の権限でセリアを奪う。
そう言っているのだ。
セリアが中々 許婚の話をしなかった理由はこれだ。
王太子が権力を使いライアンに危害を加える事を恐れたからだ。
いや…王太子であれど、流石にそんな身勝手な理由で危害を加える事は出来ずとも王家の力で嫌がらせをしてファルカシオン家に迷惑を掛ける事は出来る。
彼の領地だけ税金を上げたり
ファルカシオン家に他家が嫌がる様な仕事を命じたり
しかし彼の口ぶりは嫌がらせでは済まない事をしてやるぞと言わんばかりだ。
『セリア…お前は俺のモノだ…婚約者を大事に思うなら尚俺のモノとなるべきだ』
王太子はセリアの両肩を掴んだ。
-まずい…ここまで非常識な人間とは流石に思わなかった。
セリアは婚約者の名前を出した事を後悔した。
『それは…脅しでしょうか…?』
『捉え方は人それぞれだ…』
王太子の返しは当たり障りのない物だ。
もし仮にセリアがこの事を騒ぎ立てても容易に釈明出来る様にと考えてだろう。
王太子はセリアの方を掴む手に力が入る。
逃がさないと言う意を無言で訴えている。
『御手を離して下さい…』
セリアは自分の肩を握る手に不快感を覚えた。
『お前は俺のモノだ…』
王太子は更にセリアの肩を握る手に力を込めた
痛みを感じる程だ。
『殿下…御手を…』
乱暴に肩を握る王太子に対して苦悶の表情をするセリア
まずい…ここまでの男とは考えていなかった。
セリアはどうした物かと思考を巡らせていると
---きゃああああああああ!!!---
王宮に女性の叫び声が響いた。
『.......』
なんと返せばいいだろう。
彼は王太子…何れはアルテアの王となる男だ。
無下な断り方をしてはセリアだけでなくフェレネス家に迷惑が掛かる。
-こんな事ならば同席を提案した兄上を頼れば…
いや、兄上がいた所で結果は同じだったでしょう。
-この方は例え神の御前であろうと傲慢な態度を改めない。
-それほどに確固たる自信を持つ人間だ。
『無言は…yesと取っていいな?俺が持つお前を娶りたいと言う気持ちに偽りはない。その証拠に王太子として恥ずべき元婚約者との諍いも隠すこと無くお前に見せたのだ。』
-まずい…黙っていては彼のペースに飲まれる。
先程のハイネ様への非情な振る舞いも"お前の為にやったんだぞ"と罪悪感を与え、尚断れない雰囲気に持ち込もうとしている。
-このまま黙っていたら負けだ。
出したくは無かったが彼の存在を出すしかない。
『殿下。私如きに王太子妃への任命 身に余る光栄でございます。』
王太子は口角をあげた
遂にセリアが承諾すると思ったのだろう。
しかしセリアは続けて口を開く
『しかし私には生まれた時からの家同士が定めた許婚がおります故…殿下のご期待に沿う事は致しかねます。ご了承くださいますようお願い申し上げます。』
セリアは短時間で頭の中で最良の断り文句を考え口にする。
まずは、生まれた時から定められた許婚がいる事。
貴族同士の政略結婚はアルテアでもよくある話だが政略結婚に領地問題や交易交渉を用いる貴族も沢山いる。
これを反故にすれば貴族間での諍いに繋がり王家としても困る事になる。
即ち、セリアは王家に迷惑を掛けない為に仕方なく断ると言う形を作り、謙った最上級の丁寧語でまずは求婚と言う名の王太子妃への任命に感謝の意を述べる。
ここで求婚と言うワードを直接用いず王太子妃への任命と言う言葉に変えたのも賢い
求婚を断られる事は普通の人間であっても屈辱的だ。
この気位の高い王太子に"求婚はお断り致します"と言おうモノなら顔を真っ赤にしてムキになり余計に執着させてしまうだろう。
実際には求婚を断る訳だが、あえて王太子妃への任命と言う言葉を使う事で与えられた役職を家同士が決めた都合によりやむ無く辞退すると言う体が装える。
最後に"ご期待に添えず申し訳御座いません"と謝罪するのではなく"ご了承くださいますようお願い申し上げます"と返したのも良い。
謝罪をすれば、なんだか"プロポーズを断ってしまってごめんなさいね?"と上からものを言う様に聞こえてしまい男性を惨めな思いにさせる。
これも王太子の自尊心を刺激する事になるだろう。
この断り文句に謝罪を用いない話術は
王太子とのやり取りだけでなく、全ての男女間の掛け合いで言える事だが、男性は女性に謝られると窘められた気分になり惨めな気持ちになる。
女性が男性から何かを頼まれ事をされた時、それを断りたいならば謝罪ではなく理解を求める様な言い方をした方が男性側も頭の中で"こう言う事情ならば仕方がない"と気持ちの整理が出来て受けるダメージも少なくて済む。
セリアの言葉を簡単にすると
"王太子妃への任命はとてもありがたく嬉しいのですが、家同士の決め事と言う自分ではどうしようもない不可抗力によりお受け出来ません。理解の程よろしくお願いします"
だ…これを恙無く最上級の丁寧語で王太子に申し付けた。
断り文句としては相手を立てた上でキッパリと断りの意を表明でき申し分ないだろう。
『.......』
王太子の顔が曇る。
元婚約者を袖にすると言うパフォーマンスさえ披露したと言うのにセリアが未だに首を縦に振らないことが気に食わないのだろう。
セリアは王太子の表情から勝利を確信した。
王太子とハイネ嬢のやり取りを見てセリアは理解した。
彼は感情論を嫌い話に合理性を求める。
"頑張ったから認めて"と言う感情論で話を進めたハイネ嬢に対して
"頑張っても一番になれなかったお前はいらない"と返した王太子。
彼の理論で言うならば"途中経過はどうあれ成果があればそれが全て"と言う考えの人間だ。
つまり会話の節々に合理性と筋が通っているかを重んじる人間、超合理主義の人間だ。
こう言った人間は自分が納得するまでとことん相手を追求するが…相手が理を通して言葉を返すと言葉を返せなくなる。
自分が理を追求したのに、相手の理を感情論でひっくり返す事は自分の主義の放棄に繋がる。
プライドの高い人間程、理を通した発言に対しては飲み込みざるを得ない。
セリアは王太子の求婚を断る事に対して非の打ち所のない言葉で返した。
これでもう王太子も流石に諦めざるを得ないだろう。
-こんなにも呆気ないなら最初から許婚の事を話に出せば良かった…
-そうすれば、ハイネ様は婚約破棄される事も…
-いいえ…これで良かったのかも知れません。
-服と王太子妃を混同して例えに出す様な王太子殿下
つまり、王太子妃を服と同じ装飾品位にしか考えていない様な人と結ばれても幸せになれる筈がありません。
-愛なき政略結婚が当たり前なのは貴族家に生まれた令嬢にとって宿命であるけれど殿下は人を人とも思わない冷たい人 。人の都合を鑑みない度を越した合理主義者。
-無事結婚出来たとしても白い結婚は目に見えている。
多感なハイネ様では耐えられないでしょう。
-ハイネ様の悲痛な姿には同情しますが
これでよかったのです。
-殿下。どうか貴方は貴方が最も愛するご自身とご結婚なさって下さいね。
セリアは心中 王太子に向けて皮肉を毒づいた。
理不尽な敵意を向けてきたハイネ嬢に良い感情を持ち合わせてはいなかったが同じ女性が虐げられている姿には思う所があった。
『お前の婚約者は…確か辺境伯家の者だったな』
王太子が口を開いた。
セリアは心の中で呆れていた。
自分の婚約者を袖にするだけでなく、相手に許婚がいる事を承知で求婚して来たのかと…
『はい…ライアン・ファルカシオン…私の婚約者です。』
もう食い下がる事はないだろうと思い婚約者の名前を口にした。
ファルカシオン家は隣国サラバドとの国境を守る武家の重鎮だ。
クランツ王との関係も深い。
実質的にはアルテア御三家と引けを取らない有力な家柄だ。
これで彼も諦めがつくだろう。
『では聞くが……次期王位継承者である王太子の俺と一貴族に過ぎない辺境伯家…どちらがこの国において力を持つ?』
『!?』
セリアは言葉を失った。
この男はまさか…王太子の権力で辺境伯から婚約者を奪おうと言うのか?
『賢いお前なら…俺の言いたい事が分かるな?』
王太子は椅子から腰をあげセリアの後ろに回る。
『分かりかねます…』
セリアは偽りで返す
本当は分かっている。
その気になれば婚約者であるライアンから王太子の権限でセリアを奪う。
そう言っているのだ。
セリアが中々 許婚の話をしなかった理由はこれだ。
王太子が権力を使いライアンに危害を加える事を恐れたからだ。
いや…王太子であれど、流石にそんな身勝手な理由で危害を加える事は出来ずとも王家の力で嫌がらせをしてファルカシオン家に迷惑を掛ける事は出来る。
彼の領地だけ税金を上げたり
ファルカシオン家に他家が嫌がる様な仕事を命じたり
しかし彼の口ぶりは嫌がらせでは済まない事をしてやるぞと言わんばかりだ。
『セリア…お前は俺のモノだ…婚約者を大事に思うなら尚俺のモノとなるべきだ』
王太子はセリアの両肩を掴んだ。
-まずい…ここまで非常識な人間とは流石に思わなかった。
セリアは婚約者の名前を出した事を後悔した。
『それは…脅しでしょうか…?』
『捉え方は人それぞれだ…』
王太子の返しは当たり障りのない物だ。
もし仮にセリアがこの事を騒ぎ立てても容易に釈明出来る様にと考えてだろう。
王太子はセリアの方を掴む手に力が入る。
逃がさないと言う意を無言で訴えている。
『御手を離して下さい…』
セリアは自分の肩を握る手に不快感を覚えた。
『お前は俺のモノだ…』
王太子は更にセリアの肩を握る手に力を込めた
痛みを感じる程だ。
『殿下…御手を…』
乱暴に肩を握る王太子に対して苦悶の表情をするセリア
まずい…ここまでの男とは考えていなかった。
セリアはどうした物かと思考を巡らせていると
---きゃああああああああ!!!---
王宮に女性の叫び声が響いた。
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