【一章完結】王太子殿下は一人の伯爵令嬢を求め国を滅ぼす

山田山田

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第19話-旧友

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『ライアン戻られていたのですか…お帰りなさい』

『…………』

セリアの言葉に対してライアンは返事は返さない。


そんなライアンの態度よりも今朝遠征に出掛けたライアンが半日で帰って来た事に驚くセリア。

ライアンの防具に付く血を見るに賊と戦闘になった事は彼の口から聞くまでもない事だが…そもそもセリアはライアンが血塗れで帰って来る事に慣れている。
これもまた日常茶飯事なのだ。

セリアは一瞬で返り血であると理解するが、手の平に傷がある事を見逃さなかった。


『ライアン…手に傷が』

セリアは自身のハンカチでライアンの傷の手当てをしようと手を取るが。


『触るな…汚いだろ』


ライアンはセリアの手を乱暴に振り払う。
セリアは勢い余って積もった雪の山に放り込まれる。


『おいおい…相変わらず愛想の欠片もねぇなあ~ ライアン』

『シェーヌ、余計な事をするな。』

『余計な事って…俺は可愛い妹と親友の為に一肌脱いでやろうとだなぁ』

『いらん世話だ。お前が関わるとろくな事にならん。』

『なんだ?まだ剣技比べの件を根に持っているのか?』

『黙れ…』



シェーヌはライアンより3つ歳上だが、同じ道門で剣技を学び、共に賊の討伐にも繰り出した戦友だ。

しかし、王を御前で剣の腕を見せる剣技比べにおいて、"こんなチャンバラは茶番だからお互い手を抜こう"と密約しお互いが了承したにも関わらずシェーヌに出し抜かれ完膚無きまで叩きのめされた過去があり、それからライアンはシェーヌに対してよそよそしくなった。


『悪かったって…陛下が観覧されるなんて知らなくてよぉ…手を抜く訳には行かなかったんだ。』

『あれは模擬戦だ…真剣勝負とは違う。』

『あぁ!勿論だ!真剣勝負なら俺は死んでたよ!』



プライド等ない様なシェーヌの物言いにライアンは益々腹を立てる。

まるで子供を宥めるかの様な態度が気に入らないのだ。


『ぷはっ!ライアン ちゃんと傷の手当てをしないとバイ菌が入りますよ。』

雪の山から出て来たセリアは尚もライアンを気遣うが…

『こんな物傷とは言わない。』


ライアンは無愛想な態度を貫いた。


その態度に流石に腹を立てたシェーヌが口を挟む。


『やっぱりセリア。殿下の求婚を受けたらどうだ?こいつ寄りかはマシな扱いをして貰えるんじゃないか?』


ライアンを挑発する様な事を言うシェーヌ。


『何度も言ったが…俺はその方が良いと言っている。』


『お前なぁ…』


シェーヌはライアンに言葉を掛けようとするがセリアに静止される。


ライアンはシェーヌとセリアを無視して邸宅内に入って行く。


まるで眼中に無いと言う態度だ。


『っんの野郎…本当にふてぶてしい奴だな!セリア!!本当に殿下の求婚を承諾したらどうだ!?』

『いやです。』


ライアンの態度にムキになるシェーヌに対してセリアは慣れっ子と言わんばかりに冷静に返答した。


『お前も変わってるよなァ…家が決めた事とは言え、普通あんな扱いされたら他所に行きたくなるだろう』

『私には他に行くところもありませんので。』

『そんな事あるか!!俺様程じゃないが器量もいいし顔も美形だ!!』

『はいはい…』


セリアはシェーヌに適当に返すが、シェーヌはセリアの肩を掴み。


『お前は良い女だよ!だからもっと自信を持って生きてもいいんだぞ!』


セリアに激励の言葉を掛けた。
ガサツで…不器用なシェーヌが照れ隠しに冗談を交えながら絞り出した言葉だが

これはシェーヌの紛れもない家族に対する真心であり
セリアを想っての言葉だった。


セリアにはそれがとても暖かかった。


気が付けばセリアの頬には一筋の涙が伝っていた。


この涙がなんの涙なのかは、セリア自身にも分からない。


兄の妹を思うぬくもりに絆されての涙か

不安と孤独に苛まれての涙か


普段 感情を押し殺して生き
冷戦沈着なアルテアの華と称されるセリアも人の子なのだ。


感情がない人間なんていない。
人は感情の器を持ち、その器は個人によって異なる。


器の小さい者や過去の経験から歪になってしまった者はすぐ感情が零れてしまう。

セリアとて普通の人より感情を溜め込む器が大きいだけで…器から感情が零れ落ちる事もあるのだ。


シェーヌは涙を流すセリアを見ると力強く抱擁した。


『明日は一緒に王宮に行くぞ!俺には理解出来ないが…お前はあの無口で無愛想なライアンの妻になりたいんだろ?』


『はい…』


『声が小さいぞ!そんなんじゃ王太子に舐められたまんまだぞ!』


『はい!』


『お前は何様だと王太子に詰られたらなんて言う!』


『私はセリア・フェレネス…!ライアン・ファルカシオンの婚約者です…!』


『その意気だ!!王太子の度肝を抜いてやれ!!』



『ちょっと…庭先で何を騒いでいるの?』


邸内からアレクシアが姿を表した。


『あら、シェーヌじゃない。来たなら一言位挨拶するのがマナーじゃありませんこと?』


『久しぶりだなアレクシア!相変わらず美人だ!』


『相変わらず口が達者ですね!うふふ。もう日も暮れているし吹雪になりそうだから今日は泊まって行ったら如何?』


『おっ、そうさせて貰おうかな!』


シェーヌとアレクシアは親しげに話す。
シェーヌはアークレイとは違ったタイプのムードメーカーだ。

ひょうきんでお調子者な彼は大抵の人間とは仲良くなれる。

アレクシアとは幼なじみの関係だが、セリアは2人がお互いを意識している事を女の勘で察知していた。


アレクシアはシェーヌと話す時、普段より僅かに声が高くなる。

シェーヌは普段通り軽口を叩く癖にアレクシアの目を見れていない。


-お互い成人して婚約者もいない身なのだから、さっさと自分の心に正直になれば良いのに


セリアは自分の事を棚に挙げてそんな事を考えていた。

しかしフェレネス家の嫡男とファルカシオン家の長女である2人が未婚と言うのもおかしな所だ…

本来なら、家を結ぶ政略結婚は爵位や財産を引き継ぐ長男長女によって結ばれるもの。


つまりシェーヌとアレクシアが許嫁となる事が普通だ。


-刺し詰め…犬猿の仲が何代も続いたファルカシオン家との縁談に疑いを持った父が、途中で婚約解消となってもダメージが少ない爵位を継がない私やレベッカをファルカシオン家に嫁がせる事にしたのだろう。


セリアは自身の中で納得のいく理由を付けた。



セリア達は少し早めの夕餉を共にした。
食堂ではアレクシアとシェーヌ セリアに当然ライアンも同じ食卓に付く。

因みにライアン達の父でありこの領地の当主であるファルカシオン辺境伯の姿は無い。

ここ数日、体調を崩しており自室で養生しているのだ。

アレクシアとシェーヌが色々とライアンに話しかけるが、ライアンは終始上の空だった。


ライアンが兵装を血に染めて帰って来た。
賊と遭遇し戦闘になった事は明白なので話を聞きたいセリアだったが、ライアンの表情を見るに今は誰とも口を利きたくないと言った表情だ、

質問しても返事は返らないと分かっているのだ。


それでも話を振るのを辞めない2人に業を煮やしたのか、ライアンは立ち上がり


『考え事がある。今日は自室で休みます。』


そう言い残して食堂を去って行った。
ライアンは出された食事に殆ど手を付けていなかった。


その後の時間はあっと言う間に過ぎた。
シェーヌとアレクシアは食後に酒を交えながら談笑していたが、そこにセリアの姿はなかった。

-------------------

『セリアさん、毎日すまないね。』

『とんでもございません。』


セリアはファルカシオン辺境伯の部屋にいた。
名はボルドー・ファルカシオン。元服してから家督を継ぎ数十年。人生の殆どをアルテアの守護に費やした人物だ。

彼はかなりの高齢で、数日前乗馬中に落馬し腰を痛めて寝込んでいたのだ。

屈強なアルテア人でも、老いには勝てない。
どんなに聡き者でも猛き戦士でも老いには敵わないのだ。

しかし彼は国境守護の最高責任者であるファルカシオン辺境伯だ。

絶対安静を医者に強く薦められても、弱った姿を従者達に見せる訳には行かないと、看護を拒否していた彼だったが、ファルカシオン家の家族であるアレクシアとセリアが交代で面倒を見る事にする変わり、安静にする事を約束させているのだ。


『お加減は如何です?』

『二人の看護のお加減で大分よくなったわい!この分なら明日からまた鍛錬を始められそうじゃ!…あいたたた…』


セリアの問いに体を起こして威勢のいい事を言う辺境伯だが…まだまだ療養が必要そうだ。


『ほらほら…お義父様…体を動かさない様にお医者様に言われているでしょう?無理をしては治る物も治りませんよ。』

『面目ない…まさか儂が落馬するとは…歳はとりたくないのぉ……』

『ゆっくり養生なさって下さいね。家の事はライアンと私にお任せ下さい。また勝手にベッドを抜け出したりしたら縄で縛り上げますからね?』

『ほぉ!美女に縛り上げられるのなら本望じゃわい!日が昇ったら散歩にでも出掛けようかのぉ?』

『今から縄を用意しておきます。』

『かかか!セリアさんは鬼嫁じゃのぉ!ライアンの奴にセリアさんの手綱が握れるかいのぉ!』


二人は冗談を交えて笑い合う。
ファルシオン辺境伯は公務に関しては実直な人間だが、プライベートではフランクな性格の人物だ。


ファルシオン家に来たばかりの当時のセリアは、守のファルシオン家と評される家の当主がどんなに恐ろしい人物かと警戒していたが、一月もしない内に打ち解け、今では冗談を言い合える仲にまでなった。

ファルシオン辺境伯も、セリアの真面目な性格と仕事ぶりを高く評価して気に入ってくれている。

義父と義娘の関係としてはとても良好な関係だ。
実の父との関係より、余程父娘らしく見える。


『ときに…先程ライアンの奴が儂の様子を見に来たのじゃが…なんだか様子がおかしくてのぉ、何かを儂に隠している様なのじゃ』

『ライアンは人に心の内を見せない方ですので…』


セリアは言葉を濁した。
セリアから見ても最近のライアンの態度は特におかしい。

遠征から帰ってからは特に浮かない顔をしている。
親方とライアンの会話や、返り血を浴びた出で立ちでの帰還から賊と戦闘になったのは明白。

しかし賊との戦闘は別に今日が初めてではなく、何度も経験している事だ。
それ故にセリアもライアンの不穏な雰囲気に違和感を感じてはいたが、それを辺境伯に直接伝える事は避けた。

ライアンは父の容態を案じて黙って出陣した。
彼の気遣いを自分が明かしてしまっては元も子も無いと判断したからだ。


『ライアンの奴は1人でなんでも抱え込む性格だ。セリアさんには苦労を掛けて申し訳ないが…息子がああなってしまったのは儂のせいなのじゃ、家督を継ぐ長男故に厳しく躾過ぎてしまった事を悔いておる。どうか許してやっとくれ。あれでも根は悪くないのだが…どうにも不器用でな』

『心得ております。例え頼られなくても、私が影で彼を支えます。』


セリアは真っ直ぐな瞳で辺境伯に宣言した。
これは彼女が物心付く頃から父に言われ続けた教えの一つだ。


"男は国を守る為に命を賭けて戦う"

"女は家を守る為に人生を賭けて人事を尽くせ"と


男の仕事が国を守る為に戦う事ならば
女の仕事は家を守る為に全てを尽くせと言う教えだ。


その為ならば、私情も感情も押し殺せ。
時には泥を舐めても家を守れ。

男が国に捧げるモノが命ならば
女は家に命以外の全てを捧げろ


セリアの父、フェレネス伯は幼少のセリアそう徹底して教育を叩きこんだ。

その教育の結果が今のセリアの人格に現れている。
セリアの頼もしい言葉を聞くと


『ライアンは果報者じゃ…』


そう言うと辺境伯は眠りに付いた。
鎮痛剤の代わりに飲んだ酒が回って来たのだろう。


アルテアの医術は全くと言って良い程発展していない。痛みを和らげる物は薬草か酒しかない程にだ。


彼の怪我は、この大陸で最も医術が発展した国の医療ならば2日もすれば完治するレベルだが…アルテアにそんな技術はない。


セリアは辺境伯が握っていた酒瓶をテーブルに戻して彼に毛布を掛けて退室し自室に向かう。

自室に向かう途中、ライアンの部屋を通りかかる。
扉の隙間から明かりが漏れている。

まだ起きているのだろうか?
セリアはソッと扉を開けて隙間からライアンの様子を伺う。


ライアンは扉に背を向けて椅子に座り壁とにらめっこしながら何かを深く考えている様子だ。


-少なくとも私の事を考えている訳では無さそうだ


セリアは、そう判断すると静かに扉を閉めた。
セリアは財政管理や交易等 数字が絡む公務に関しては非常に優秀だが、ファルカシオン家の最も主とする役目である領地防衛に付いては全くの素人でライアンもその件には一切セリアを関わらせて来なかった。

言わば"女の出る幕では無い"と言う物だ。
現にセリアも以下に優秀な女性であれど、アルテア領を侵す他国の賊の対処法等は考え付かない。


セリアは戦士ではないのだ。
そんなセリアが下手に口を出す事はしない。


主な守護防衛や兵の管理はライアンに任せ、セリアはファルカシオン領の財政に気を配るのが役割であり、この事に関してはセリアも納得していた。


しかし…ライアンが抱えていた悩みは
セリアが思っている以上に深刻な問題であった。
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