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本編【表】
第28話-与太話
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-シェーヌ視点-
俺は狭い密室が嫌いだ。
"自由気まま"がモットーの俺に閉鎖された空間は性にあわないし、ガキの頃はお父上殿に悪さをする度に地下牢に閉じ込められる折檻を受けたからトラウマになってるんだ。
だが…もっと嫌いな事がある。
それは…
"気まずい沈黙だ"
王宮を出て馬車でフェレネス家に帰るかれこれ1時間余り。
セリアは一言も喋らない。
ただジッと窓から移り変わる景色を眺めているだけだ。
ライアンのアンポンタンが無神経な格好付け野郎なせいでセリアが傷付いているのは間違いない。
あんな風に感情を表したセリアを見たのは俺も初めてだ。
しかしなんで喋らないんだ?
傷付いたなら傷付いたで、怒るなり…泣いてくれた方がまだマシだ。
例えば仮にレベッカが今のセリアの様な状態に陥ったら、まず怒り…自分の感情を顕にして…一頻り発散した後は急に悲しくなって泣き出すだろう。
それならば俺は兄として…怒る妹の感情を受け止めて、泣くなら泣いたで励ましてやれる。
しかし…セリアは違うんだな…
全くの無言・無感情だ。
いやいや…無感情では無い筈なんだ。
普段から何考えてんだか分からない位冷静なセリアが、あんな風に叫んだり…果ては俺を殴り付けるなんてよっぽど心に衝撃があったからに違いない。
-なのにお前はなんで喋らないんだよ…
"私はこんなに可愛いのになんでライアンはもっと必死になって私を引き止めないの!?タマなしなんじゃないかしら!!"
とライアンの悪口言うなり
泣き言でも良い…
一言発してくれれば俺は喋れるのに…
流石にあんな事があったセリアが沈黙しているのに、俺だけ一人でペラペラ喋る訳にも行かない…
シェーヌはこんな思考を頭に巡らせながらセリアとの会話の糸口を探して一人1時間右往左往して苦しんでいた。
この馬車の中は…まるで異次元の様に空気が重い。
儚げな表情でただ窓からの景色に目をやるセリア。
馬車の中と言う狭い密室と、最高に気不味く重々しい空間。
シェーヌが最も嫌うこの2つが重なる事で、普段チャランポランに振る舞うシェーヌさえも口を紡ぎ…神妙に俯くしかない…
-ライアンのクソったれ…お前のせいで俺はこんな地獄みたいな空間に悶えてるんだぞ!?
シェーヌは一人、心の中でライアンを詰る。
-しかし…ライアンの奴、まさかまだガキだったセリアが話した与太話を信じているのか?
シェーヌが言うセリアの与太話とは…
それはセリアがまだ8歳だった頃に遡る。
当時のセリアは…肺を患っており病弱だった。
雪国アルテアの冷気がセリアの肺に障り。
寒さに弱く数十分外を歩けばへたりこんで咳き込む程に。
生まれた時からファルカシオン家との政略結婚が決まっていたセリアがこの状態では、ファルカシオン家に嫁がせる事は不可能だ。
ご立派な親父殿は、セリアを様々な薬医師やまじない師に見せるべく嫌がるセリアを連れ回したが病状は一行に良くはならなかった。
長らく犬猿の仲が続いたファルカシオン家との政略結婚。
この約束を果たせなければ"フェレネス家は軟弱な娘を持ち約束事を果たせない一族"と言う醜聞が広がる。
素晴らしい父親である親父殿はそれを恐れた。
そして親父殿は最後まで手段に出た。
セリアを我らがアルテア人の神アルテルシオンが住まう神の山 霊峰ウラド山脈に一人放り出したのだ。
親父殿が出した手段は"神頼み"だった。
医者からは"セリアは成人するまで生きられない"とまで言われていた。
それほどまでにセリアの病気は深刻だった。
もはや縋れるのは神しか居ないと言う必死の親心ならまだ分かるが…親父殿はただフェレネス家の家名しか考えて居なかっただろう。
まだガキだった俺や4歳だったレベッカから親父はセリアを隔離した。
アルテアの医術は全くと言って良い程未発達だったので、セリアの病気が生まれ付きのモノなのか、それとも人に感染させるモノなのか分からなかったからだ。
俺はフェレネス家次期当主としての跡取りとして
レベッカは…セリアにもしもの時があったら、セリアの代わりにレベッカを代役にする為、仮にセリアの病気がうつるモノならば接触させる訳には行かなかったからだろうと頭では理解出来るが…
心では全く理解出来ない。
まだガキだったセリアが…一人病魔に蝕まれ、家族との接触を絶たれて孤独に過ごした8年間は…セリアにとってどれだけ心細かっただろうか…
挙句の果てに、病気の娘を一人ウラドの山に置き去りにした暴挙だ。
普段恭しく親父殿に接していた母すらも、大激怒して親父殿を責めた。
そんな母を見て子供ながらに"こいつはとんでもない事をやりやがった"と理解した。
男児で、ゆくゆくはフェレネス家を継ぐ俺に親父殿が厳しい事に関して、母は何も言わなかった。
俺自身も、親父殿にどんなに折檻を受けても堪えない性格なのを母は知っていたからだ。
しかし、病弱なセリアをウラドに放り出した事は殺したも同然の事。
普段、明るく冗談をかましながらも、親父殿を立てる事は忘れず俺の遠い記憶の中でも良妻賢母と言う言葉が最も相応しい女性だった母が、親父殿を引っぱたいて制止も聞かずにセリアを探しにフェレネス邸を飛び出して言ったのは今でも覚えている。
日を跨いだ1日後にセリアはウラド山脈の麓でフェレネス家の捜索隊によって発見された。
同じく当時まだガキだったライアンに担がれて…
俺と母はフェレネス家と交友のある貴族家の家を訪ねては捜索の助力を頼んで回ったが、その夜は酷い吹雪だった。
こんな夜に捜索隊を出せば二次被害が出かねないと何処の家も首を縦には降らなかった中、最後の頼みでファルカシオン家を訪ねた際に、その話を盗み聞きしたライアンが一人独断でウラド山脈にセリアを探しに行ったそうだ。
2人共、過度の疲労で意識が混濁する中、セリアはうわ言の様に言った。
"アルテルシオン様に出会った"と。
"しかし神は私達が思っている様なモノでは無かった"
"アルテルシオン様は私に息を吹き掛けて私の体から病魔を追い出してくれたけど"
"それは私に対する罰であると言った"
"命を救ってやった対価として不幸の中で生き続けよ さもないとお前の愛する人を不幸にする"
"お前が約束を破り幸せの絶頂に達した時、究極の対価を頂きにやって来る"
そう神に言われたと言うとセリアは意識を失い三日三晩眠り続けた。
そして目が覚めるとセリアの話を裏付けるかの様に肺の病を克服していた。
しかし目が覚めたセリアは自分が話した事を全て忘れていた。
覚えていたのは、ウラドを彷徨っていた所で探しに来たライアンと出会い助けられた事だけだった。
この事件は大々的にアルテア中に広まった。
話に尾ひれが付いてセリアを"アルテルシオンの加護を宿した聖女"と呼び持ち上げる者までいたが、誰もセリアが受けた罰の話は口にしなかった。
アルテルシオンとはアルテア人の絶対的な神だ。
自身らをアルテルシオンの子と信じるアルテア人にとってアルテルシオンとは父であり母である。
そんな神がまるで呪いの様な罰を神の子であるアルテア人のセリアに課す筈がない。
そんな盲信的な思考から人々はセリアが語ったアルテルシオンの罰の話は忘却し
不治の病を抱えたセリアを神が癒したと言う所だけが人々の記憶に残った。
しかしシェーヌはセリアのそんな与太話を信じてはいなかった。
シェーヌは表向きは国教であるアルテルシオン教の教えを尊重する姿勢を見せるが、神の言う事ならなんでも従うと言うアルテア人達の姿勢には疑問を感じていたからだ。
例を挙げるなら
"男は戦えなくなったら 女は愛する者以外に純潔を奪われたら"
これらの者を"不要の者"として自決する事が尊ばれ、おめおめ生き残る事を恥とまで言う教えだ。
シェーヌは思った。
"神の教えには習うべき事もあるが、それに命を張るのはバカだ"
"信仰って言うのは命を賭けてまでやる事ではなく単なる心得だ"と
だからシェーヌはセリアの言葉を信じなかった。
過度の疲労で幻覚でも見たに違いないと捉え、当のセリアも忘れているのだからと、この話を持ち出すことはしなかった。
シェーヌの信念は
"信仰に命を張る必要は無い。命を張るならばそれは信念と愛する者の為"
と口にして父親とはよく激論になったものだ。
だからシェーヌはセリアの与太話を認めなかった。
"不幸に生きろと神が言うならば、そいつを神と俺は認めない。お前は幸せになって良いんだぞ"
シェーヌはセリアにこう伝え今日に至るまでこの話を持ち出した事は無かった。
しかし…この話を未だに引きずっている男がいる。
ライアンだ。
ウラドからセリアを連れ帰り、例のうわ言を言い怯えていたセリアを笑い飛ばしたシェーヌにライアンは言った。
"俺も見た"と
ライアンは…セリアと神の会話を見て聞いたと言ったのだ。
俺は狭い密室が嫌いだ。
"自由気まま"がモットーの俺に閉鎖された空間は性にあわないし、ガキの頃はお父上殿に悪さをする度に地下牢に閉じ込められる折檻を受けたからトラウマになってるんだ。
だが…もっと嫌いな事がある。
それは…
"気まずい沈黙だ"
王宮を出て馬車でフェレネス家に帰るかれこれ1時間余り。
セリアは一言も喋らない。
ただジッと窓から移り変わる景色を眺めているだけだ。
ライアンのアンポンタンが無神経な格好付け野郎なせいでセリアが傷付いているのは間違いない。
あんな風に感情を表したセリアを見たのは俺も初めてだ。
しかしなんで喋らないんだ?
傷付いたなら傷付いたで、怒るなり…泣いてくれた方がまだマシだ。
例えば仮にレベッカが今のセリアの様な状態に陥ったら、まず怒り…自分の感情を顕にして…一頻り発散した後は急に悲しくなって泣き出すだろう。
それならば俺は兄として…怒る妹の感情を受け止めて、泣くなら泣いたで励ましてやれる。
しかし…セリアは違うんだな…
全くの無言・無感情だ。
いやいや…無感情では無い筈なんだ。
普段から何考えてんだか分からない位冷静なセリアが、あんな風に叫んだり…果ては俺を殴り付けるなんてよっぽど心に衝撃があったからに違いない。
-なのにお前はなんで喋らないんだよ…
"私はこんなに可愛いのになんでライアンはもっと必死になって私を引き止めないの!?タマなしなんじゃないかしら!!"
とライアンの悪口言うなり
泣き言でも良い…
一言発してくれれば俺は喋れるのに…
流石にあんな事があったセリアが沈黙しているのに、俺だけ一人でペラペラ喋る訳にも行かない…
シェーヌはこんな思考を頭に巡らせながらセリアとの会話の糸口を探して一人1時間右往左往して苦しんでいた。
この馬車の中は…まるで異次元の様に空気が重い。
儚げな表情でただ窓からの景色に目をやるセリア。
馬車の中と言う狭い密室と、最高に気不味く重々しい空間。
シェーヌが最も嫌うこの2つが重なる事で、普段チャランポランに振る舞うシェーヌさえも口を紡ぎ…神妙に俯くしかない…
-ライアンのクソったれ…お前のせいで俺はこんな地獄みたいな空間に悶えてるんだぞ!?
シェーヌは一人、心の中でライアンを詰る。
-しかし…ライアンの奴、まさかまだガキだったセリアが話した与太話を信じているのか?
シェーヌが言うセリアの与太話とは…
それはセリアがまだ8歳だった頃に遡る。
当時のセリアは…肺を患っており病弱だった。
雪国アルテアの冷気がセリアの肺に障り。
寒さに弱く数十分外を歩けばへたりこんで咳き込む程に。
生まれた時からファルカシオン家との政略結婚が決まっていたセリアがこの状態では、ファルカシオン家に嫁がせる事は不可能だ。
ご立派な親父殿は、セリアを様々な薬医師やまじない師に見せるべく嫌がるセリアを連れ回したが病状は一行に良くはならなかった。
長らく犬猿の仲が続いたファルカシオン家との政略結婚。
この約束を果たせなければ"フェレネス家は軟弱な娘を持ち約束事を果たせない一族"と言う醜聞が広がる。
素晴らしい父親である親父殿はそれを恐れた。
そして親父殿は最後まで手段に出た。
セリアを我らがアルテア人の神アルテルシオンが住まう神の山 霊峰ウラド山脈に一人放り出したのだ。
親父殿が出した手段は"神頼み"だった。
医者からは"セリアは成人するまで生きられない"とまで言われていた。
それほどまでにセリアの病気は深刻だった。
もはや縋れるのは神しか居ないと言う必死の親心ならまだ分かるが…親父殿はただフェレネス家の家名しか考えて居なかっただろう。
まだガキだった俺や4歳だったレベッカから親父はセリアを隔離した。
アルテアの医術は全くと言って良い程未発達だったので、セリアの病気が生まれ付きのモノなのか、それとも人に感染させるモノなのか分からなかったからだ。
俺はフェレネス家次期当主としての跡取りとして
レベッカは…セリアにもしもの時があったら、セリアの代わりにレベッカを代役にする為、仮にセリアの病気がうつるモノならば接触させる訳には行かなかったからだろうと頭では理解出来るが…
心では全く理解出来ない。
まだガキだったセリアが…一人病魔に蝕まれ、家族との接触を絶たれて孤独に過ごした8年間は…セリアにとってどれだけ心細かっただろうか…
挙句の果てに、病気の娘を一人ウラドの山に置き去りにした暴挙だ。
普段恭しく親父殿に接していた母すらも、大激怒して親父殿を責めた。
そんな母を見て子供ながらに"こいつはとんでもない事をやりやがった"と理解した。
男児で、ゆくゆくはフェレネス家を継ぐ俺に親父殿が厳しい事に関して、母は何も言わなかった。
俺自身も、親父殿にどんなに折檻を受けても堪えない性格なのを母は知っていたからだ。
しかし、病弱なセリアをウラドに放り出した事は殺したも同然の事。
普段、明るく冗談をかましながらも、親父殿を立てる事は忘れず俺の遠い記憶の中でも良妻賢母と言う言葉が最も相応しい女性だった母が、親父殿を引っぱたいて制止も聞かずにセリアを探しにフェレネス邸を飛び出して言ったのは今でも覚えている。
日を跨いだ1日後にセリアはウラド山脈の麓でフェレネス家の捜索隊によって発見された。
同じく当時まだガキだったライアンに担がれて…
俺と母はフェレネス家と交友のある貴族家の家を訪ねては捜索の助力を頼んで回ったが、その夜は酷い吹雪だった。
こんな夜に捜索隊を出せば二次被害が出かねないと何処の家も首を縦には降らなかった中、最後の頼みでファルカシオン家を訪ねた際に、その話を盗み聞きしたライアンが一人独断でウラド山脈にセリアを探しに行ったそうだ。
2人共、過度の疲労で意識が混濁する中、セリアはうわ言の様に言った。
"アルテルシオン様に出会った"と。
"しかし神は私達が思っている様なモノでは無かった"
"アルテルシオン様は私に息を吹き掛けて私の体から病魔を追い出してくれたけど"
"それは私に対する罰であると言った"
"命を救ってやった対価として不幸の中で生き続けよ さもないとお前の愛する人を不幸にする"
"お前が約束を破り幸せの絶頂に達した時、究極の対価を頂きにやって来る"
そう神に言われたと言うとセリアは意識を失い三日三晩眠り続けた。
そして目が覚めるとセリアの話を裏付けるかの様に肺の病を克服していた。
しかし目が覚めたセリアは自分が話した事を全て忘れていた。
覚えていたのは、ウラドを彷徨っていた所で探しに来たライアンと出会い助けられた事だけだった。
この事件は大々的にアルテア中に広まった。
話に尾ひれが付いてセリアを"アルテルシオンの加護を宿した聖女"と呼び持ち上げる者までいたが、誰もセリアが受けた罰の話は口にしなかった。
アルテルシオンとはアルテア人の絶対的な神だ。
自身らをアルテルシオンの子と信じるアルテア人にとってアルテルシオンとは父であり母である。
そんな神がまるで呪いの様な罰を神の子であるアルテア人のセリアに課す筈がない。
そんな盲信的な思考から人々はセリアが語ったアルテルシオンの罰の話は忘却し
不治の病を抱えたセリアを神が癒したと言う所だけが人々の記憶に残った。
しかしシェーヌはセリアのそんな与太話を信じてはいなかった。
シェーヌは表向きは国教であるアルテルシオン教の教えを尊重する姿勢を見せるが、神の言う事ならなんでも従うと言うアルテア人達の姿勢には疑問を感じていたからだ。
例を挙げるなら
"男は戦えなくなったら 女は愛する者以外に純潔を奪われたら"
これらの者を"不要の者"として自決する事が尊ばれ、おめおめ生き残る事を恥とまで言う教えだ。
シェーヌは思った。
"神の教えには習うべき事もあるが、それに命を張るのはバカだ"
"信仰って言うのは命を賭けてまでやる事ではなく単なる心得だ"と
だからシェーヌはセリアの言葉を信じなかった。
過度の疲労で幻覚でも見たに違いないと捉え、当のセリアも忘れているのだからと、この話を持ち出すことはしなかった。
シェーヌの信念は
"信仰に命を張る必要は無い。命を張るならばそれは信念と愛する者の為"
と口にして父親とはよく激論になったものだ。
だからシェーヌはセリアの与太話を認めなかった。
"不幸に生きろと神が言うならば、そいつを神と俺は認めない。お前は幸せになって良いんだぞ"
シェーヌはセリアにこう伝え今日に至るまでこの話を持ち出した事は無かった。
しかし…この話を未だに引きずっている男がいる。
ライアンだ。
ウラドからセリアを連れ帰り、例のうわ言を言い怯えていたセリアを笑い飛ばしたシェーヌにライアンは言った。
"俺も見た"と
ライアンは…セリアと神の会話を見て聞いたと言ったのだ。
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