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本編【表】
第57話-思わぬ客人
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「バル~フッ!!!」
ファルカシオン家に戻る道すがらで
セリア達を乗せた馬車は急停止した。
道が…もう一方の馬車によって塞がれているのだ。
事故か…もしくは…
道を塞ぐ馬車から人が出て来た。
男だ…。
全身を覆うローブを着て顔をフードで隠す一人の男が現れたのだ。
『御者…セリアを頼む。もしもの事あらばエプソンの街まで逃げろ…決して戻らないでくれ』
『ライアン…!』
心配そうにライアンの腕を掴むセリアの頬をライアンは撫でながら。
『安心しておいで。身の危険を感じればすぐ逃げる。事故ならば手助けが必要だ。』
そう言ってセリアの手を握ると
セリアも心配は拭いきれぬがライアンを送り出した。
『何事か。』
ライアンは馬車を降り、フードを被った男に問う。
男は問いに答えず近付いて来る。
『貴様…何者だ?』
明らかに不審な男…まさか王太子が刺客を寄越したか?と身構えるライアン。
しかし男はライアンとの間合い3歩程近付くと被っていたフードを脱ぎ顔を見せた。
-老人…?
-ちがう…この男は…このお方は…
『陛下…?』
『この晴れの日に不躾な足止めをして申し訳ない。ファルカシオン令息。』
現れたのはクランツ王だった。
『陛下…何故この様な場所に…』
『一言…貴君に詫びたかった。』
ライアンはクランツ王の言葉を聞き驚いた。
臣下の子息に直々に詫びる王等聞いた事が無い。
如何に王太子に非があろうが、世継ぎを潰され恨みこそあれど、非を認め詫びる等、王の誇りが許さない筈だ。
愚王ならば逆恨みから仕返しを図るだろう。
しかしクランツ王は一人で…変装までしてライアンに詫びに来た。
"権威や身分に関わらず筋道を通す"
その筋道に従うなら…自分の息子が仕出かした不祥事を詫びずには要られないと言うのがクランツ王の信念だ。
これが、彼が賢王として民からの支持を集める由縁だ。
『儂は王である以前に人であり人の親だ。息子の所業は儂の罪でもある。此度は…申し訳なかった。』
王は地面に膝を付きライアンに詫びた。
『陛下…私は陛下に恨みの節を持った事はございません…正しき采配を下して下さった事に感謝しております。』
ライアンも膝を付き、王と同じ目線になる。
"正しき采配"とは王太子の廃嫡の件だ。
ソルガデス王政は彼の退位を持って終焉する。
アルテア始まって以来続いた王位を捨てるのは並々ならない覚悟だ。
ライアンはシェーヌやフェレネス伯が王に心酔する理由がよく理解出来た。
クランツ王やエミリア王女は気高くも人に寄り添える王族だ。
人間らしい王族だ。
だから人に共感出来るし慕われる。
つくづく…何故この二人と言う手本の元で育った王子達が人の道を踏み外したのか疑問に思う。
『これは王としてでは無く…一人の父としての言葉として受け取って欲しい。息子は貴君らに対し殺されても仕方ない所業を行った。』
『そんな息子でも…貴君が決闘の作法に則らず…情けを掛けた事に深く感謝する。…』
『情けではありません。陛下が正しい道を選んで下さると信じていたが故の行いです。』
『貴君のしてくれた行動を仇で返したりはしない。息子には今後一切の権威も配下も与えない事を誓おう。息子の影に貴君らを煩わせる事がない事は王の名に賭けて保証する。』
『感謝致します。』
『感謝しているのは儂の方だ…許されるならば…儂が退位した後にはなるが…息子達と向き合って普通の家族として平穏に暮らしたい物だ。』
『儂を賢王と称える者もいるが…そんな大層な者ではない。息子一人導けない愚かな父だった。貴君は息子達と再び向き合うチャンスを儂にくれた…ありがとう。』
王は最後に深く礼をすると馬車を操り去って行った。
これで全ての脅威は去った…。
ファルカシオン家に戻る道すがらで
セリア達を乗せた馬車は急停止した。
道が…もう一方の馬車によって塞がれているのだ。
事故か…もしくは…
道を塞ぐ馬車から人が出て来た。
男だ…。
全身を覆うローブを着て顔をフードで隠す一人の男が現れたのだ。
『御者…セリアを頼む。もしもの事あらばエプソンの街まで逃げろ…決して戻らないでくれ』
『ライアン…!』
心配そうにライアンの腕を掴むセリアの頬をライアンは撫でながら。
『安心しておいで。身の危険を感じればすぐ逃げる。事故ならば手助けが必要だ。』
そう言ってセリアの手を握ると
セリアも心配は拭いきれぬがライアンを送り出した。
『何事か。』
ライアンは馬車を降り、フードを被った男に問う。
男は問いに答えず近付いて来る。
『貴様…何者だ?』
明らかに不審な男…まさか王太子が刺客を寄越したか?と身構えるライアン。
しかし男はライアンとの間合い3歩程近付くと被っていたフードを脱ぎ顔を見せた。
-老人…?
-ちがう…この男は…このお方は…
『陛下…?』
『この晴れの日に不躾な足止めをして申し訳ない。ファルカシオン令息。』
現れたのはクランツ王だった。
『陛下…何故この様な場所に…』
『一言…貴君に詫びたかった。』
ライアンはクランツ王の言葉を聞き驚いた。
臣下の子息に直々に詫びる王等聞いた事が無い。
如何に王太子に非があろうが、世継ぎを潰され恨みこそあれど、非を認め詫びる等、王の誇りが許さない筈だ。
愚王ならば逆恨みから仕返しを図るだろう。
しかしクランツ王は一人で…変装までしてライアンに詫びに来た。
"権威や身分に関わらず筋道を通す"
その筋道に従うなら…自分の息子が仕出かした不祥事を詫びずには要られないと言うのがクランツ王の信念だ。
これが、彼が賢王として民からの支持を集める由縁だ。
『儂は王である以前に人であり人の親だ。息子の所業は儂の罪でもある。此度は…申し訳なかった。』
王は地面に膝を付きライアンに詫びた。
『陛下…私は陛下に恨みの節を持った事はございません…正しき采配を下して下さった事に感謝しております。』
ライアンも膝を付き、王と同じ目線になる。
"正しき采配"とは王太子の廃嫡の件だ。
ソルガデス王政は彼の退位を持って終焉する。
アルテア始まって以来続いた王位を捨てるのは並々ならない覚悟だ。
ライアンはシェーヌやフェレネス伯が王に心酔する理由がよく理解出来た。
クランツ王やエミリア王女は気高くも人に寄り添える王族だ。
人間らしい王族だ。
だから人に共感出来るし慕われる。
つくづく…何故この二人と言う手本の元で育った王子達が人の道を踏み外したのか疑問に思う。
『これは王としてでは無く…一人の父としての言葉として受け取って欲しい。息子は貴君らに対し殺されても仕方ない所業を行った。』
『そんな息子でも…貴君が決闘の作法に則らず…情けを掛けた事に深く感謝する。…』
『情けではありません。陛下が正しい道を選んで下さると信じていたが故の行いです。』
『貴君のしてくれた行動を仇で返したりはしない。息子には今後一切の権威も配下も与えない事を誓おう。息子の影に貴君らを煩わせる事がない事は王の名に賭けて保証する。』
『感謝致します。』
『感謝しているのは儂の方だ…許されるならば…儂が退位した後にはなるが…息子達と向き合って普通の家族として平穏に暮らしたい物だ。』
『儂を賢王と称える者もいるが…そんな大層な者ではない。息子一人導けない愚かな父だった。貴君は息子達と再び向き合うチャンスを儂にくれた…ありがとう。』
王は最後に深く礼をすると馬車を操り去って行った。
これで全ての脅威は去った…。
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