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【SS1】ハイネの譚
第11話-マチルダの謀略
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-マチルダ視点-
ハイネが気に食わない…
ラグライアの者は一人残らず気に食わない…
私の先祖はラグライアの一族に扱き使われて来た
お爺様の代で漸くラグライアの零落が目に見えて来たと言うのに…ハイネは殿下に擦り寄り王太子妃になる事で傾いたラグライア家を建て直そうとしている…
私はそれを許さない…
私が…絶対にハイネを王太子妃にはさせない
ラグライア家が没落し…ハイネが乞食か娼婦になるまで追い詰めてやる…
ハイネ…あんたはお父様の妾がお似合いよ
ラグライア家が廃家になったら…親子揃って私の下僕にして差し上げるわ…
サイン家は必要とあらば仕えた主も背中から刺す
サイン家に諂う下僕も捨て駒に使う
配下の家も喜んで滅ぼすサイン家が…敵をどう扱うか…見ていなさい…
必ずお前を生き地獄に送ってやるわ…
死んだ方がマシって位…惨めな目に必ず遭わせてやるから
私の娯楽は奴隷の調教…。
サイン家は異国の賊を奴隷として保有している。
アルテア領に侵入し兵士に捕縛された賊は…労役を課せられ奴隷となる。
しかし奴等も動物である以上、霞を食って生きている訳では無い…奴隷を保有するにも奴等に食わせる食糧が必要となる…。
サイン家は他家が持て余す労働奴隷を安価で引き取り
サイン家の農地を耕す労働力として保有している。
私は時折、奴隷小屋に兵士を引き連れ調教に勤しんだ…人を支配し…私の一声で生殺与奪を握るこの快感はこの世の何より甘美な愉悦。
私はこの奴隷達から学んだ。
人を支配するのに必要な物とは"恐怖"であると
9割の鞭で恐怖を植え付ければ…1割の飴の為に人とは何でも差し出すと学んだ。
その学びを私はこの学園で存分に活かした。
「マチルダ様…他の上級生ならいざ知らず…後の国母となるハイネ様を敵に回されるのは後が怖いです…」
『ふぅ~ん…私に逆らうんだ?』
貧乏貴族の小娘が私の命令に盾突いた。
私が配下達にハイネに嫌がらせをされた口外して回れと命じた程度で
私は紙巻タバコにマッチで火を付け煙を燻しながら毒煙を生意気な女生徒に吐きかけた。
タバコは殿下のお供として留学に付き添ったお父様のデラガド土産で、私のお気に入りの嗜好品だ。このタバコは苛立ちを解消するにも役立たずを折檻するにも使える…。
『手…』
「え…」
『聞こえない?タバコを消すのよ……手ッ!!』
私が怒鳴れば…火傷させられると分かって居ても手を差し出すしかない。
恐る恐る手を差し出す女生徒の手に私はタバコを押し付けた。
「~~~~~ッッ!!?」
肉が焼ける音と共に女生徒は叫びにならない悲鳴をあげた…。気持ちいい…人を従え…意のままに操れる…痛みすら意に返さず従わせる事が出来た時…私は何者より優位に立てていると実感する。
私の配下の者達は殆どが飢饉の時代に祖父や父から借りを受けた家の連中だ。
私の告げ口一つでこいつらの家の財産を差し押さえる事が出来る…だからこいつらは絶対に私に逆らえない奴隷だ
だけどたまにこのバカみたいに自分の立場が分かっていない者が現れる。
私は私の思い通りに動かない奴を許さない…
私より偉い女がアルテアに居てたまるか…
私は焼かれた手を抑え啜り泣く奴隷を見て一つ名案を思い付いた。
『いつまで泣いてるの?早く立ちなさい…医務室に行くのよ』
「は、はい…」
『その火傷はどうしたと聞かれたらなんて言うのか分かってるわね?』
「はい…自分で火傷したと…」
私はまだ分かっていない奴隷を引っぱたいた。
「きゃっ!?」
『"ラグライア令嬢に折檻を受けました"…言ってごらん?』
「え…」
『"ラグライア令嬢に折檻を受けました"』
「それって…」
『もう片方も焼いとく?』
「いえ!!…ラグライア令嬢に…折檻を受けました…」
『それでいいのよ。すぐバラすんじゃなくてたっぷり勿体付けてから言うのよ?しつこく聞かれたから仕方なく白状するってのが一番いいわ』
『あんたはハイネからの仕返しを恐れて、本当は言いたくなかったけど問い詰められたからチクる……いい?しくじったら私直々に演技のレッスンをしてやるからそのつもりでね?』
「はい…」
もうハイネの貫目を潰すなんて生温いやり方はおしまい。これからは…誰もがハイネを憎み王太子妃の座から引き摺り降ろしたくなる様な醜聞をバラまく事にするわ…
幸い、ハイネは下位貴族を快く思っては居ない
私に水をぶっかけたあの事件も上手い事利用出来るわね♪
ハイネ…覚悟なさい!
ハイネが気に食わない…
ラグライアの者は一人残らず気に食わない…
私の先祖はラグライアの一族に扱き使われて来た
お爺様の代で漸くラグライアの零落が目に見えて来たと言うのに…ハイネは殿下に擦り寄り王太子妃になる事で傾いたラグライア家を建て直そうとしている…
私はそれを許さない…
私が…絶対にハイネを王太子妃にはさせない
ラグライア家が没落し…ハイネが乞食か娼婦になるまで追い詰めてやる…
ハイネ…あんたはお父様の妾がお似合いよ
ラグライア家が廃家になったら…親子揃って私の下僕にして差し上げるわ…
サイン家は必要とあらば仕えた主も背中から刺す
サイン家に諂う下僕も捨て駒に使う
配下の家も喜んで滅ぼすサイン家が…敵をどう扱うか…見ていなさい…
必ずお前を生き地獄に送ってやるわ…
死んだ方がマシって位…惨めな目に必ず遭わせてやるから
私の娯楽は奴隷の調教…。
サイン家は異国の賊を奴隷として保有している。
アルテア領に侵入し兵士に捕縛された賊は…労役を課せられ奴隷となる。
しかし奴等も動物である以上、霞を食って生きている訳では無い…奴隷を保有するにも奴等に食わせる食糧が必要となる…。
サイン家は他家が持て余す労働奴隷を安価で引き取り
サイン家の農地を耕す労働力として保有している。
私は時折、奴隷小屋に兵士を引き連れ調教に勤しんだ…人を支配し…私の一声で生殺与奪を握るこの快感はこの世の何より甘美な愉悦。
私はこの奴隷達から学んだ。
人を支配するのに必要な物とは"恐怖"であると
9割の鞭で恐怖を植え付ければ…1割の飴の為に人とは何でも差し出すと学んだ。
その学びを私はこの学園で存分に活かした。
「マチルダ様…他の上級生ならいざ知らず…後の国母となるハイネ様を敵に回されるのは後が怖いです…」
『ふぅ~ん…私に逆らうんだ?』
貧乏貴族の小娘が私の命令に盾突いた。
私が配下達にハイネに嫌がらせをされた口外して回れと命じた程度で
私は紙巻タバコにマッチで火を付け煙を燻しながら毒煙を生意気な女生徒に吐きかけた。
タバコは殿下のお供として留学に付き添ったお父様のデラガド土産で、私のお気に入りの嗜好品だ。このタバコは苛立ちを解消するにも役立たずを折檻するにも使える…。
『手…』
「え…」
『聞こえない?タバコを消すのよ……手ッ!!』
私が怒鳴れば…火傷させられると分かって居ても手を差し出すしかない。
恐る恐る手を差し出す女生徒の手に私はタバコを押し付けた。
「~~~~~ッッ!!?」
肉が焼ける音と共に女生徒は叫びにならない悲鳴をあげた…。気持ちいい…人を従え…意のままに操れる…痛みすら意に返さず従わせる事が出来た時…私は何者より優位に立てていると実感する。
私の配下の者達は殆どが飢饉の時代に祖父や父から借りを受けた家の連中だ。
私の告げ口一つでこいつらの家の財産を差し押さえる事が出来る…だからこいつらは絶対に私に逆らえない奴隷だ
だけどたまにこのバカみたいに自分の立場が分かっていない者が現れる。
私は私の思い通りに動かない奴を許さない…
私より偉い女がアルテアに居てたまるか…
私は焼かれた手を抑え啜り泣く奴隷を見て一つ名案を思い付いた。
『いつまで泣いてるの?早く立ちなさい…医務室に行くのよ』
「は、はい…」
『その火傷はどうしたと聞かれたらなんて言うのか分かってるわね?』
「はい…自分で火傷したと…」
私はまだ分かっていない奴隷を引っぱたいた。
「きゃっ!?」
『"ラグライア令嬢に折檻を受けました"…言ってごらん?』
「え…」
『"ラグライア令嬢に折檻を受けました"』
「それって…」
『もう片方も焼いとく?』
「いえ!!…ラグライア令嬢に…折檻を受けました…」
『それでいいのよ。すぐバラすんじゃなくてたっぷり勿体付けてから言うのよ?しつこく聞かれたから仕方なく白状するってのが一番いいわ』
『あんたはハイネからの仕返しを恐れて、本当は言いたくなかったけど問い詰められたからチクる……いい?しくじったら私直々に演技のレッスンをしてやるからそのつもりでね?』
「はい…」
もうハイネの貫目を潰すなんて生温いやり方はおしまい。これからは…誰もがハイネを憎み王太子妃の座から引き摺り降ろしたくなる様な醜聞をバラまく事にするわ…
幸い、ハイネは下位貴族を快く思っては居ない
私に水をぶっかけたあの事件も上手い事利用出来るわね♪
ハイネ…覚悟なさい!
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