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第七話 遣われた大英雄
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「くっそ、地域調査、めんどくせぇなぁ……なんで俺が……」
ブツブツ文句を言いながらも足を休めることのない男、ザイモール。 脳裏を過ぎるのはニッコリと笑うリダズの顔。しかも、グッと握り拳に親指を立てている。
(恨むぞ、あの筋肉オヤジめ……)
人手の足りない協会の都合もありながら未開の地、何があるかわからない謎の多いディグル地方。魔物も普通に存在し、幾多の魔種族も存在している。
危険度のレベルも決して低いわけでなく、調査地域の開拓も兼ねている。その様な読めない状況に置ける試みになれば大英雄であろうが、実力のあるものが優先されて派遣されるのは当然であった。
それに、二人の大英雄の出身との事もあり、問題もなさそうだった為に地域調査から外されていた。本来であればリダズ出生の地方であるからリダズ本人が調査へと赴くべきではあるのだが、冒険者協会本部で長を仰せつかっているとなると身の振りも思うようにいかなくなってしまった。
それ故に代理としてザイモールがこのディグル地方へと派遣されたのだが、この地方は世界でも珍しく平和が保たれていた。
(気持ち悪いくらいに魔物の気配がしないんだよねぇ)
保ち過ぎているのか、不自然に魔物の数が少ない。そう、不審がるザイモールはこの地の様々な情報を仕入れる事にした。
グッと頭に念を込め、自身のアンテナを薄く広く伸ばすように数キロに渡って放つ。すると、魔物の生命反応も大したことが無さすぎる上に魔法を行使した後も無ければ魔力の痕跡もない。だが、禍々しさを感じることも無い。地方を挙げての魔物の掃討の直後か? と思うザイモール。
それにしては大分人が少ない。恐らく、ここにはこの一帯を統べる者が存在するのだとザイモールは悟った。
近年二人の大英雄がここから出てきたと言うのもわからなくもない。この辺りの者は魔法を使うまでも無く魔物に対抗が出来るくらいにレベルが高いのかと推測できる。
適当な部族や人間によって、独自に統治がしっかりと行われている事自体がこの時代、特に地方に於いては基本的に有り得ない。何処も彼処も、何かしらの問題を抱えている。
特に、ディグルの村周辺は動植物の生態バランスも問題なく見受けられる。木々のうっそうと生い茂る緑の森に全く荒れた様子もない目いっぱいに広がる豊穣な土地。それは、特殊と言っていい事が起こっているということ。その様々な事象の究明をすることが自分の責だとザイモールは感じた。
ドウウゥウゥゥゥ……ドオォン……!!
離れた場所から何か爆発的な力を発し、破壊されたような音が地鳴りと共に周囲に響き渡る。 その時、一際大きな力を感知した。大きなオードの力が行使され、ザイモールの張り巡らせたオード感知能力へ干渉する。
それは研ぎ澄まされる事により、場所までの特定も容易であった。洗練されたオードにより、魔力オードの行使も多種多様化されている。ザイモールの強みはそこにあった。オードの使い方がずば抜けて天才的で、発想力、それに携え行使力が抜きん出ている。大英雄の中でも現在、魔力の使い方でザイモールの右に出るものは居ないだろう。実力を隠していても尚、大英雄へと名を連ねる若い才能。
(なんだ? こんな僻地でこれほどのオードが・・・?)
強いオードの力を感じ、急ぐザイモール。どんな風に魔法を行使したか見当はついていた。恐らく、上位魔導の使い手だろうと。
一旦疑問は置き、瞬時に移動を開始する。ザイモール程にもなれば移動のみに力を入れてしまえば隠密での高速移動となる。まるで、影闇と同化するように溶け込む移動術は生半可な上位魔導師なら、全く感知出来ないほど完璧に。
ザイモールは現場へ急行すると、目の前には大部分が崩壊する洞穴が目に入った。恐らく魔物の巣窟であったものが瓦礫の山と化していた。その壊れ方から推測するに、バカげた力の持ち主だということは安易に推測できる。
そしてザイモールは 少し離れた場所から状況を把握する。
(一体これは誰の、何の為による仕業だ……?)
そして、目の前の瓦礫の山の外れでは少年が中型と思えるキマイラの喉元に剣を突き刺していた。体長三メートル以上あると思われるキマイラの喉元を完全に貫いている。そのキマイラの四肢はすべて千切れ、自慢の回復力も追いつけずにいるようだ。
(こんな所でもキマイラか……物騒になったもんだ。それより何だあのガキは?)
ザイモールは少年に目をつけた。キマイラは小型でも討伐隊を組む事のある厄介な魔物である。
多大な攻撃や魔法を打ち込んだ所で驚異的な回復力の早さで実質無効化してしまう。出来るだけ短時間に叩き込まないとキマイラの討伐は不可能とされ、それ故に中型ともなると複数人で討伐する事が必要とされている。それに、驚異的なのはスタミナだけでなくその圧倒的な暴力。獰猛かつ狡猾であるキマイラは弱者から食らうという。ザイモールには全く縁のない話だが。
だからこそ、単純に力が有ろうが子供がやれるような相手では無いとザイモールは認識していた。
喉元を貫いた剣を少年は引き抜き、項垂れるように倒れ込むキマイラ。
倒したキマイラの前で立ち尽くす少年。何か周囲の違和感を察知しているようだった。
「どうしたの? ディン?」
少女が心配している。刹那、少年がピクリと動きキマイラに向けたものよりも強い殺意の目をザイモールへ向けた。
(おいおい、物騒な目つきしてんな。ガキのしていい目つきじゃねぇぞ)
異質な感覚をザイモールは感じる。なにか見透かされるような。恐らく少年も相手の力を感知出来るのだろうと思い、ザイモールは瞬時に自身のオードの力を抑え込み、偽装する。もし自分の底知れない圧倒的な力を見られでもしたら相手は怯えて気が気でなくなってしまうだろうから。
ブツブツ文句を言いながらも足を休めることのない男、ザイモール。 脳裏を過ぎるのはニッコリと笑うリダズの顔。しかも、グッと握り拳に親指を立てている。
(恨むぞ、あの筋肉オヤジめ……)
人手の足りない協会の都合もありながら未開の地、何があるかわからない謎の多いディグル地方。魔物も普通に存在し、幾多の魔種族も存在している。
危険度のレベルも決して低いわけでなく、調査地域の開拓も兼ねている。その様な読めない状況に置ける試みになれば大英雄であろうが、実力のあるものが優先されて派遣されるのは当然であった。
それに、二人の大英雄の出身との事もあり、問題もなさそうだった為に地域調査から外されていた。本来であればリダズ出生の地方であるからリダズ本人が調査へと赴くべきではあるのだが、冒険者協会本部で長を仰せつかっているとなると身の振りも思うようにいかなくなってしまった。
それ故に代理としてザイモールがこのディグル地方へと派遣されたのだが、この地方は世界でも珍しく平和が保たれていた。
(気持ち悪いくらいに魔物の気配がしないんだよねぇ)
保ち過ぎているのか、不自然に魔物の数が少ない。そう、不審がるザイモールはこの地の様々な情報を仕入れる事にした。
グッと頭に念を込め、自身のアンテナを薄く広く伸ばすように数キロに渡って放つ。すると、魔物の生命反応も大したことが無さすぎる上に魔法を行使した後も無ければ魔力の痕跡もない。だが、禍々しさを感じることも無い。地方を挙げての魔物の掃討の直後か? と思うザイモール。
それにしては大分人が少ない。恐らく、ここにはこの一帯を統べる者が存在するのだとザイモールは悟った。
近年二人の大英雄がここから出てきたと言うのもわからなくもない。この辺りの者は魔法を使うまでも無く魔物に対抗が出来るくらいにレベルが高いのかと推測できる。
適当な部族や人間によって、独自に統治がしっかりと行われている事自体がこの時代、特に地方に於いては基本的に有り得ない。何処も彼処も、何かしらの問題を抱えている。
特に、ディグルの村周辺は動植物の生態バランスも問題なく見受けられる。木々のうっそうと生い茂る緑の森に全く荒れた様子もない目いっぱいに広がる豊穣な土地。それは、特殊と言っていい事が起こっているということ。その様々な事象の究明をすることが自分の責だとザイモールは感じた。
ドウウゥウゥゥゥ……ドオォン……!!
離れた場所から何か爆発的な力を発し、破壊されたような音が地鳴りと共に周囲に響き渡る。 その時、一際大きな力を感知した。大きなオードの力が行使され、ザイモールの張り巡らせたオード感知能力へ干渉する。
それは研ぎ澄まされる事により、場所までの特定も容易であった。洗練されたオードにより、魔力オードの行使も多種多様化されている。ザイモールの強みはそこにあった。オードの使い方がずば抜けて天才的で、発想力、それに携え行使力が抜きん出ている。大英雄の中でも現在、魔力の使い方でザイモールの右に出るものは居ないだろう。実力を隠していても尚、大英雄へと名を連ねる若い才能。
(なんだ? こんな僻地でこれほどのオードが・・・?)
強いオードの力を感じ、急ぐザイモール。どんな風に魔法を行使したか見当はついていた。恐らく、上位魔導の使い手だろうと。
一旦疑問は置き、瞬時に移動を開始する。ザイモール程にもなれば移動のみに力を入れてしまえば隠密での高速移動となる。まるで、影闇と同化するように溶け込む移動術は生半可な上位魔導師なら、全く感知出来ないほど完璧に。
ザイモールは現場へ急行すると、目の前には大部分が崩壊する洞穴が目に入った。恐らく魔物の巣窟であったものが瓦礫の山と化していた。その壊れ方から推測するに、バカげた力の持ち主だということは安易に推測できる。
そしてザイモールは 少し離れた場所から状況を把握する。
(一体これは誰の、何の為による仕業だ……?)
そして、目の前の瓦礫の山の外れでは少年が中型と思えるキマイラの喉元に剣を突き刺していた。体長三メートル以上あると思われるキマイラの喉元を完全に貫いている。そのキマイラの四肢はすべて千切れ、自慢の回復力も追いつけずにいるようだ。
(こんな所でもキマイラか……物騒になったもんだ。それより何だあのガキは?)
ザイモールは少年に目をつけた。キマイラは小型でも討伐隊を組む事のある厄介な魔物である。
多大な攻撃や魔法を打ち込んだ所で驚異的な回復力の早さで実質無効化してしまう。出来るだけ短時間に叩き込まないとキマイラの討伐は不可能とされ、それ故に中型ともなると複数人で討伐する事が必要とされている。それに、驚異的なのはスタミナだけでなくその圧倒的な暴力。獰猛かつ狡猾であるキマイラは弱者から食らうという。ザイモールには全く縁のない話だが。
だからこそ、単純に力が有ろうが子供がやれるような相手では無いとザイモールは認識していた。
喉元を貫いた剣を少年は引き抜き、項垂れるように倒れ込むキマイラ。
倒したキマイラの前で立ち尽くす少年。何か周囲の違和感を察知しているようだった。
「どうしたの? ディン?」
少女が心配している。刹那、少年がピクリと動きキマイラに向けたものよりも強い殺意の目をザイモールへ向けた。
(おいおい、物騒な目つきしてんな。ガキのしていい目つきじゃねぇぞ)
異質な感覚をザイモールは感じる。なにか見透かされるような。恐らく少年も相手の力を感知出来るのだろうと思い、ザイモールは瞬時に自身のオードの力を抑え込み、偽装する。もし自分の底知れない圧倒的な力を見られでもしたら相手は怯えて気が気でなくなってしまうだろうから。
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