9 / 56
前とは違う、新しい人生
誰の声?
しおりを挟む
『アイ…ナ、あなたは…の力を…に知られてはいけません…があなたを消しに…でしょう」
…はっ!誰!?
私は勢いよく起き上がって周りを見回してみるけれど、ここは私の部屋で、誰もいなかった。
…夢?でも、聞き覚えのある声だった…
えーっと、確か…って、あああああ!何で忘れてたんだろう!?
前世で私がまだ幼い頃、よくこの声が夢に出てきていた。私はあまり夢を見ないから印象に残っていたのだけど…
そういえば、佐藤さんが亡くなった後に食堂に押しかけたのって、この声に言われたからだったわ…
まあそれもあるけれど、図書館が近いっていうほうが私にとって魅力的だったのは認めなくもない。
あれ?もしかしてあの自己紹介の時に私が皆に呆れられたのって、私が本が好きだからというだけで押しかけたと思われていたからじゃ…?
うっ、あまり否定できないから悔しい。
いや、この話は置いておいて、あの声の正体は一体誰なの?
もしかしてあの手紙を書いた人と同一人物?
ああでも、問題はそこじゃない。あの声の言うことは、確実に現実になる。
私が誘拐される前日の夜もこの声がして、知らない人について行くなとその声に言われたのだけど、私がちょーっとばかり思い違いをして誘拐されたのよね。
じゃあ、今回の声は?この声は、私に力を隠せと言っていた。
というかこの声って、神の声なんじゃないだろうか?あの声は、地球に存在するものじゃない。地球上のすべての言語を把握している私が言うのだから、間違いない。
なのに不思議と、私はその言葉が最初から理解できた。それにあの声を聞くと、なんだか落ち着くような感じがするのよね。
私って一度聞いただけで初めての言語でもわかる天才だった…?それが力?
…神の力で理解できたって考えるのが妥当だったわ。だって私は平凡な女の子だもの!
それなら力って?魔力、神聖力、属性、腕力(?)、前世の記憶、魅力、権力…この中のどれかかな?
まあとりあえず、力を隠せってことだよね!
ふふっ、神もどき様!見ててくださいね!ちゃーんと隠し通してみせますよ!
そう心のなかで、どこかで見ているかもしれない声の主に宣言したのだけど、なぜだか大きなため息が聞こえた気がした。…きっと気のせいだわ。
コンコン
「お嬢様、お目覚めでしょうか。朝食のお時間でございます」
そうノックをして声をかけてきたのは、メイドのエリーだった。
「うん、いまおきたわ。はいってきて」
「失礼します」
そう言ってエリーは私の部屋の中に入ると、すぐさまこちらへ来て私の身支度を始める。
最初はお世話されることに慣れなかったけど、今ではすっかり馴染んでいた。
私は身動きが楽なドレスを着て、家族のいる食堂へ向かった。
そういえば今日は、王太子殿下に会うために王城へ行くのだった。
あぁ、またあの窮屈なドレスを着なきゃいけないの…? 別にいいじゃない、着なくたって。
どうせ誰も気にしないわ。
けどそのことで家のことを悪く言われるのは嫌だから、大人しくしていることにする。
正直に言って、私は既に家族大好きっ子になっているのだ。
そりゃあ、あんなに毎日可愛がられてしまっては、ならない可能性のほうが少ないと思う。
家族といえばお父様の母親、つまり私のお祖母様は前国王の妹。だから王太子殿下と私ははとこで、今日会う理由は王太子殿下と私との縁談の話がでているのだろう。そうでなくても、私との親交があって損はないと考えたのだろうけど。
父親は国王の従兄弟で王国唯一の公爵、母親は隣国のアルテス帝国の王女、そして公爵家は以前よりも力を持ちはじめている。
縁談の話がでないほうがおかしい。
でも、私はこの縁談を今すぐにでも断ってしまいたい。王妃になるなんて、絶対に大変だ。
けれどここで公爵家が縁談の話を断ってしまうと体裁が悪い。家族には迷惑をかけたくない。
まあ、あのお父様なら簡単には私を手放そうとしないんじゃないかしら。
そのことが嬉しくて、少し頬が緩んでしまった。
この話を嬉しく思えるなんて、私は本当に家族に心酔してしまったわね。
それも悪くないと思えるのは、私が心酔しているという確実な証拠なのではないだろうか。
…はっ!誰!?
私は勢いよく起き上がって周りを見回してみるけれど、ここは私の部屋で、誰もいなかった。
…夢?でも、聞き覚えのある声だった…
えーっと、確か…って、あああああ!何で忘れてたんだろう!?
前世で私がまだ幼い頃、よくこの声が夢に出てきていた。私はあまり夢を見ないから印象に残っていたのだけど…
そういえば、佐藤さんが亡くなった後に食堂に押しかけたのって、この声に言われたからだったわ…
まあそれもあるけれど、図書館が近いっていうほうが私にとって魅力的だったのは認めなくもない。
あれ?もしかしてあの自己紹介の時に私が皆に呆れられたのって、私が本が好きだからというだけで押しかけたと思われていたからじゃ…?
うっ、あまり否定できないから悔しい。
いや、この話は置いておいて、あの声の正体は一体誰なの?
もしかしてあの手紙を書いた人と同一人物?
ああでも、問題はそこじゃない。あの声の言うことは、確実に現実になる。
私が誘拐される前日の夜もこの声がして、知らない人について行くなとその声に言われたのだけど、私がちょーっとばかり思い違いをして誘拐されたのよね。
じゃあ、今回の声は?この声は、私に力を隠せと言っていた。
というかこの声って、神の声なんじゃないだろうか?あの声は、地球に存在するものじゃない。地球上のすべての言語を把握している私が言うのだから、間違いない。
なのに不思議と、私はその言葉が最初から理解できた。それにあの声を聞くと、なんだか落ち着くような感じがするのよね。
私って一度聞いただけで初めての言語でもわかる天才だった…?それが力?
…神の力で理解できたって考えるのが妥当だったわ。だって私は平凡な女の子だもの!
それなら力って?魔力、神聖力、属性、腕力(?)、前世の記憶、魅力、権力…この中のどれかかな?
まあとりあえず、力を隠せってことだよね!
ふふっ、神もどき様!見ててくださいね!ちゃーんと隠し通してみせますよ!
そう心のなかで、どこかで見ているかもしれない声の主に宣言したのだけど、なぜだか大きなため息が聞こえた気がした。…きっと気のせいだわ。
コンコン
「お嬢様、お目覚めでしょうか。朝食のお時間でございます」
そうノックをして声をかけてきたのは、メイドのエリーだった。
「うん、いまおきたわ。はいってきて」
「失礼します」
そう言ってエリーは私の部屋の中に入ると、すぐさまこちらへ来て私の身支度を始める。
最初はお世話されることに慣れなかったけど、今ではすっかり馴染んでいた。
私は身動きが楽なドレスを着て、家族のいる食堂へ向かった。
そういえば今日は、王太子殿下に会うために王城へ行くのだった。
あぁ、またあの窮屈なドレスを着なきゃいけないの…? 別にいいじゃない、着なくたって。
どうせ誰も気にしないわ。
けどそのことで家のことを悪く言われるのは嫌だから、大人しくしていることにする。
正直に言って、私は既に家族大好きっ子になっているのだ。
そりゃあ、あんなに毎日可愛がられてしまっては、ならない可能性のほうが少ないと思う。
家族といえばお父様の母親、つまり私のお祖母様は前国王の妹。だから王太子殿下と私ははとこで、今日会う理由は王太子殿下と私との縁談の話がでているのだろう。そうでなくても、私との親交があって損はないと考えたのだろうけど。
父親は国王の従兄弟で王国唯一の公爵、母親は隣国のアルテス帝国の王女、そして公爵家は以前よりも力を持ちはじめている。
縁談の話がでないほうがおかしい。
でも、私はこの縁談を今すぐにでも断ってしまいたい。王妃になるなんて、絶対に大変だ。
けれどここで公爵家が縁談の話を断ってしまうと体裁が悪い。家族には迷惑をかけたくない。
まあ、あのお父様なら簡単には私を手放そうとしないんじゃないかしら。
そのことが嬉しくて、少し頬が緩んでしまった。
この話を嬉しく思えるなんて、私は本当に家族に心酔してしまったわね。
それも悪くないと思えるのは、私が心酔しているという確実な証拠なのではないだろうか。
2
あなたにおすすめの小説
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜
naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。
しかし、誰も予想していなかった事があった。
「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」
すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。
「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」
──と、思っていた時期がありましたわ。
orz
これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。
おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる