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第一話:伯爵家令嬢の展望
結婚、そして…♡
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リーンゴーンッ、リーンゴーンッ──…
リーンゴーンッ、リーンゴーンッ──…
リーンゴーンッ、リーンゴーンッ──…
……。
ものの一週間で“結婚式”は行われた。
エフィロンの街の教会で式を、地下都市『イーシス』の教会でも結婚式を挙げた。
この後、ファントムペイン辺境領でも結婚式を挙げる予定だと言われたイリアの顔は真っ赤に染まるのだ。
…二度三度も“結婚式”を挙げたのは後にも先にもイリアが初めてである。
それは“ファントムペイン辺境伯”としても。
「…だ、旦那様…っ♡」
「…イリア。名を…名を呼んでくれないか?」
「…あ、アル、ネ、スト…様…ぁ♡」
恋してる相手との性愛は性癖とは違って心を甘く蕩けさせる。
…男娼達(彼等)との熱く燃え滾る一時とは違う。
“ただ一人”の男に求められ、愛でられ愛し愛する暖かな関係──どちらも比べられないほどイリアには欠け換えのないもの。
誰かを恋慕うこと…それは久しく忘れていた感情。
私、私は…………。
──────
────
───
──
─
…。
画面の中にいる“私”は非常に合理主義な子供だった。
納得出来なければ出来るまで大人に訊いて困らせてた。
ちょっとでも“納得”出来るまで大人(人)に訊いて…それでも解決出来ない事は自分で調べて回る…そんな意識高い系女子であった。
『…ねぇ、*ってばまた難しい事考えてるの?』
『うん、私気になって仕方ないから』
『ふぅん』
…そんな会話を男友達とも良くしていたーーような。
今となっては曖昧なものであやふやだけれど。
男友達はいつか“彼氏”となった、けどーー卒業と同時に自然消滅。別に何かがあった訳でもないけど…なんかそうなっていた。
中学、高校…と多感な時期に付き合っていた男子は2人。大学に上がる頃にはフリーで…それから──
『…卒業後結婚を前提に付き合ってくれないか』
…ああ、酷く懐かしい過去の残滓 。
…確かにそんな記憶が朧気に視界いっぱい現れた。
『……本気?ごめん、私…卒業後は就職するつもりなの。****とは結婚を前提に付き合えない』
『……そうか、*は…いや、何でもない。悪い…けど友人としては付き合ってくれるよな?*……。』
『……そのくらいなら。私は主婦になる気はないの、****ごめんね』
『…謝るなよ、まるで俺が悪いみたいじゃないか…。』
『…うん、ごめん……ぁ』
『言った側から……はぁ、ったく*はしょうがないヤツだな!』
茶髪の笑顔の眩しい青年が困ったように笑う。
…“振った”私に幼馴染みの****はそう笑って鼻を掻いた。
中学、高校…と私が他の男子と付き合っていた時も****は───…。
……。
「…ッ、はっ!?……ぇ、ぁ……夢……?」
目の端に涙の跡…指の平でなぞった。
ずきり、と鈍く夢の残滓が刺さる。
上体を起こした隣では愛しい夫……アルネストの姿を捉えた。
ひどく悲しい夢を見た。
…残念ながら夢の内容はイリアの意識がはっきりとした時には砕けて消えたが。
「…アルネスト様…かわいい。私の愛しい人……んっ♡」
ぐっすりと眠る夫の唇に自身の唇を重ね触れるだけのキスをした。
……。
(…起きない。これは悪戯のチャンスかも♪)
リーンゴーンッ、リーンゴーンッ──…
リーンゴーンッ、リーンゴーンッ──…
……。
ものの一週間で“結婚式”は行われた。
エフィロンの街の教会で式を、地下都市『イーシス』の教会でも結婚式を挙げた。
この後、ファントムペイン辺境領でも結婚式を挙げる予定だと言われたイリアの顔は真っ赤に染まるのだ。
…二度三度も“結婚式”を挙げたのは後にも先にもイリアが初めてである。
それは“ファントムペイン辺境伯”としても。
「…だ、旦那様…っ♡」
「…イリア。名を…名を呼んでくれないか?」
「…あ、アル、ネ、スト…様…ぁ♡」
恋してる相手との性愛は性癖とは違って心を甘く蕩けさせる。
…男娼達(彼等)との熱く燃え滾る一時とは違う。
“ただ一人”の男に求められ、愛でられ愛し愛する暖かな関係──どちらも比べられないほどイリアには欠け換えのないもの。
誰かを恋慕うこと…それは久しく忘れていた感情。
私、私は…………。
──────
────
───
──
─
…。
画面の中にいる“私”は非常に合理主義な子供だった。
納得出来なければ出来るまで大人に訊いて困らせてた。
ちょっとでも“納得”出来るまで大人(人)に訊いて…それでも解決出来ない事は自分で調べて回る…そんな意識高い系女子であった。
『…ねぇ、*ってばまた難しい事考えてるの?』
『うん、私気になって仕方ないから』
『ふぅん』
…そんな会話を男友達とも良くしていたーーような。
今となっては曖昧なものであやふやだけれど。
男友達はいつか“彼氏”となった、けどーー卒業と同時に自然消滅。別に何かがあった訳でもないけど…なんかそうなっていた。
中学、高校…と多感な時期に付き合っていた男子は2人。大学に上がる頃にはフリーで…それから──
『…卒業後結婚を前提に付き合ってくれないか』
…ああ、酷く懐かしい過去の残滓 。
…確かにそんな記憶が朧気に視界いっぱい現れた。
『……本気?ごめん、私…卒業後は就職するつもりなの。****とは結婚を前提に付き合えない』
『……そうか、*は…いや、何でもない。悪い…けど友人としては付き合ってくれるよな?*……。』
『……そのくらいなら。私は主婦になる気はないの、****ごめんね』
『…謝るなよ、まるで俺が悪いみたいじゃないか…。』
『…うん、ごめん……ぁ』
『言った側から……はぁ、ったく*はしょうがないヤツだな!』
茶髪の笑顔の眩しい青年が困ったように笑う。
…“振った”私に幼馴染みの****はそう笑って鼻を掻いた。
中学、高校…と私が他の男子と付き合っていた時も****は───…。
……。
「…ッ、はっ!?……ぇ、ぁ……夢……?」
目の端に涙の跡…指の平でなぞった。
ずきり、と鈍く夢の残滓が刺さる。
上体を起こした隣では愛しい夫……アルネストの姿を捉えた。
ひどく悲しい夢を見た。
…残念ながら夢の内容はイリアの意識がはっきりとした時には砕けて消えたが。
「…アルネスト様…かわいい。私の愛しい人……んっ♡」
ぐっすりと眠る夫の唇に自身の唇を重ね触れるだけのキスをした。
……。
(…起きない。これは悪戯のチャンスかも♪)
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