2 / 2
“社交界の華”
そう言えばもう一つの「噂」が残っていたな?あれはどういう意味だ?
しおりを挟む
「そう言えばもう一つの「噂」が残っていたな?」
あれはどういう意味だ、と問うマクシミリアンの瞳にマルグリットはくすりと笑う。
ガセボにはマクシミリアン、マルグリット…対面に双子の妹マルガレッタとその夫の第二王子のクリストファー殿下が。
…その背後に幼馴染みの護衛騎士が複雑な表情で仲良く寄り添う騎士団長とマルグリットを見詰めている…
騎士団長がマルグリットに婚約の打診をしたのが昨日、まだ1日しか経っていないのだ…エドゥアルドの心情、取り分け恋心は悲鳴を上げている。
エドゥアルド、お前がしっかり口説かなかったから──いや、誰もあんな秒で麗しの騎士団長に掻っ拐われるとは思わない。はは、運の悪い男だ。
「ああ、確か──“社交界の華”、だったか。マルグリット」
「はい、殿下。…そう、ですね…。私は団長を生涯唯一無二として愛そうと…そう思っていたのですよ。…そしてーー寂しい心を他の男の体温だけで紛らわせようと…そう行動した結果侮蔑と軽蔑の証として“社交界の華”と嘲笑されたのです。…まあ、気にした事はないのですが。」
「ふむ…それは聞いた。」
蒼の国、ブルーメイス王国の第二王子は言外に“そんな表向きの言葉じゃない”と告げる。
「…マルガレッタ、お前」
──話したのか、と双子の姉…社交界の華は目で問えば。
にこり、と向日葵のような満開の笑顔を浮かべる。
「ふふ、だって…お姉様…最近あまり構ってくれないではないですか。」
“寂しかったのですよ?”
そう、目で言われても…。
…双子の妹は己に似て腹黒と言うか、計算高い所がある。その癖楽天家で楽しい事が大好き、加えて甘えん坊の寂しん坊。マイペースで天然な所があるマルガレッタ…マルグリットを“陰”とするならば、マルガレッタは“陽”。
太陽のように底抜けに明るい少女のような性格は23歳の今現在も輝きを失っていない。寧ろ、4人の子を第二王子──今はラルクハイム公爵だ──との間に設け淑女として公爵夫人として愛された者特有の幸せオーラと朗らかさ。それが滲み出ている。
「…ふむ?つまり──自作自演、か。」
「!はい…団長…、マクシミリアン様以外を愛する事はないと…団長と添い遂げないなら──いっそ縁談が来ないよう策謀を巡らしました。」
「マルグリット…それは、その…、悪かった」
「いえ…謝って頂くような事では御座いません。
──私は不器用ですので…団長に…、自分の恋心に報いるには……それしかない、と思っていましたから。」
思慮深く愛したら一途なマルグリット…その根底にあるのは“唯一人”を決めたらならば。
「マクシミリアン様に操を立てる──なんて言葉を綺麗に飾っても…実際は遅まきながらの反抗期、かもしれませんね。」
苦笑混じりに自嘲混じりに微笑って。
「…貴方以外に抱かれても何も感じませんから。性欲だけ解消する──そんな自傷行為は…“ああ、私はまだ団長を愛しているんだ”と…忘れない為、両親の持ってくる「縁談」等、絶対受けない!そう言う無言の抗議でもありました。だから、私はーー自分から噂を流しました。誰とも添い遂げないつもりで」
…事実、様々な男性と夜会で肌を重ねたマルグリット。
彼等が閨に囁く愛の言葉を一蹴して。
お互いがお互い、気持ちが良ければいい…そう割り切った関係。そんな男ばかりではなかったが──まあ、幼馴染み然り、本気になる男の縁談は…断った。半ば諦めきれずストーカーとなった男は全員打ち据え、牢に打ち込んだのも一人や二人じゃない。
「カシウス様…姉は不器用なのですわ。結婚出来ないのなら、一生結婚しないよう、結婚出来ないように悪評を流せば──自分はいつまでも“初恋”を抱えて生きていけるのでは…騎士団長様が死ぬまで──いえ、死んだ後も想い続けれるのでは?そう考えているのです…まったく我が姉ながら不器用な方」
呆れた、と言外に告げ溜め息を吐いたマルガレッタ。
「それは…、何とも──マルグリットらしい、な」
切な気に、愛しげに…複雑怪奇極まる顔を誤魔化しもせず、護衛に徹していた幼馴染みは…ほろ苦くも諦念の笑みを張り付け吐息を漏らした。
「エドゥアルド…悪いな、私はお前の気持ちに答えるつもりはない。」
「…ッ、だろうな。…だが、私──いや、俺は諦めないよ。
マルグリットに出来て俺に出来ない事はない筈だ」
「え?それって…」
放蕩息子になる、ってこと……?
「違う!!…ったく。どうしてそんな発想になるんだ!?」
…違ったらしい。そんなに変だろうか?普通だと思うけれど…。
マルグリットは小首を傾げた。
その顔にはありありと“解せぬ”と書かれていた…いや、無自覚であんなに噂になるほど悪評を流したのか?……マルグリット、極端。
しかも、噂だけでなく実際に複数の男と取っ替え引っ替え交わってまで──そうまでして自身の貴族令嬢としての評判も地位も貶めた…たった一人の愛に殉ずる為に。
「…はぁ、これだからお姉様は」
「うむ、極端過ぎる奴だな」
「ああ、マルグリット…そんなにも私の事を…ッ!?愛している…!もうそんな辛い想いはさせないから。だから──ずっと私の側に居てくれ…!」
「はい、マクシミリアン…様…っ!♡」
……。
──何、この茶番?
「…何、この茶番?」
護衛騎士、それも誰もが思っていること…口に出すべきではないよ。
あれはどういう意味だ、と問うマクシミリアンの瞳にマルグリットはくすりと笑う。
ガセボにはマクシミリアン、マルグリット…対面に双子の妹マルガレッタとその夫の第二王子のクリストファー殿下が。
…その背後に幼馴染みの護衛騎士が複雑な表情で仲良く寄り添う騎士団長とマルグリットを見詰めている…
騎士団長がマルグリットに婚約の打診をしたのが昨日、まだ1日しか経っていないのだ…エドゥアルドの心情、取り分け恋心は悲鳴を上げている。
エドゥアルド、お前がしっかり口説かなかったから──いや、誰もあんな秒で麗しの騎士団長に掻っ拐われるとは思わない。はは、運の悪い男だ。
「ああ、確か──“社交界の華”、だったか。マルグリット」
「はい、殿下。…そう、ですね…。私は団長を生涯唯一無二として愛そうと…そう思っていたのですよ。…そしてーー寂しい心を他の男の体温だけで紛らわせようと…そう行動した結果侮蔑と軽蔑の証として“社交界の華”と嘲笑されたのです。…まあ、気にした事はないのですが。」
「ふむ…それは聞いた。」
蒼の国、ブルーメイス王国の第二王子は言外に“そんな表向きの言葉じゃない”と告げる。
「…マルガレッタ、お前」
──話したのか、と双子の姉…社交界の華は目で問えば。
にこり、と向日葵のような満開の笑顔を浮かべる。
「ふふ、だって…お姉様…最近あまり構ってくれないではないですか。」
“寂しかったのですよ?”
そう、目で言われても…。
…双子の妹は己に似て腹黒と言うか、計算高い所がある。その癖楽天家で楽しい事が大好き、加えて甘えん坊の寂しん坊。マイペースで天然な所があるマルガレッタ…マルグリットを“陰”とするならば、マルガレッタは“陽”。
太陽のように底抜けに明るい少女のような性格は23歳の今現在も輝きを失っていない。寧ろ、4人の子を第二王子──今はラルクハイム公爵だ──との間に設け淑女として公爵夫人として愛された者特有の幸せオーラと朗らかさ。それが滲み出ている。
「…ふむ?つまり──自作自演、か。」
「!はい…団長…、マクシミリアン様以外を愛する事はないと…団長と添い遂げないなら──いっそ縁談が来ないよう策謀を巡らしました。」
「マルグリット…それは、その…、悪かった」
「いえ…謝って頂くような事では御座いません。
──私は不器用ですので…団長に…、自分の恋心に報いるには……それしかない、と思っていましたから。」
思慮深く愛したら一途なマルグリット…その根底にあるのは“唯一人”を決めたらならば。
「マクシミリアン様に操を立てる──なんて言葉を綺麗に飾っても…実際は遅まきながらの反抗期、かもしれませんね。」
苦笑混じりに自嘲混じりに微笑って。
「…貴方以外に抱かれても何も感じませんから。性欲だけ解消する──そんな自傷行為は…“ああ、私はまだ団長を愛しているんだ”と…忘れない為、両親の持ってくる「縁談」等、絶対受けない!そう言う無言の抗議でもありました。だから、私はーー自分から噂を流しました。誰とも添い遂げないつもりで」
…事実、様々な男性と夜会で肌を重ねたマルグリット。
彼等が閨に囁く愛の言葉を一蹴して。
お互いがお互い、気持ちが良ければいい…そう割り切った関係。そんな男ばかりではなかったが──まあ、幼馴染み然り、本気になる男の縁談は…断った。半ば諦めきれずストーカーとなった男は全員打ち据え、牢に打ち込んだのも一人や二人じゃない。
「カシウス様…姉は不器用なのですわ。結婚出来ないのなら、一生結婚しないよう、結婚出来ないように悪評を流せば──自分はいつまでも“初恋”を抱えて生きていけるのでは…騎士団長様が死ぬまで──いえ、死んだ後も想い続けれるのでは?そう考えているのです…まったく我が姉ながら不器用な方」
呆れた、と言外に告げ溜め息を吐いたマルガレッタ。
「それは…、何とも──マルグリットらしい、な」
切な気に、愛しげに…複雑怪奇極まる顔を誤魔化しもせず、護衛に徹していた幼馴染みは…ほろ苦くも諦念の笑みを張り付け吐息を漏らした。
「エドゥアルド…悪いな、私はお前の気持ちに答えるつもりはない。」
「…ッ、だろうな。…だが、私──いや、俺は諦めないよ。
マルグリットに出来て俺に出来ない事はない筈だ」
「え?それって…」
放蕩息子になる、ってこと……?
「違う!!…ったく。どうしてそんな発想になるんだ!?」
…違ったらしい。そんなに変だろうか?普通だと思うけれど…。
マルグリットは小首を傾げた。
その顔にはありありと“解せぬ”と書かれていた…いや、無自覚であんなに噂になるほど悪評を流したのか?……マルグリット、極端。
しかも、噂だけでなく実際に複数の男と取っ替え引っ替え交わってまで──そうまでして自身の貴族令嬢としての評判も地位も貶めた…たった一人の愛に殉ずる為に。
「…はぁ、これだからお姉様は」
「うむ、極端過ぎる奴だな」
「ああ、マルグリット…そんなにも私の事を…ッ!?愛している…!もうそんな辛い想いはさせないから。だから──ずっと私の側に居てくれ…!」
「はい、マクシミリアン…様…っ!♡」
……。
──何、この茶番?
「…何、この茶番?」
護衛騎士、それも誰もが思っていること…口に出すべきではないよ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる