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序章:出会って数秒で帰る二人
花見の続き?の二人
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「たっだいま♪」
「おぅ、お帰り」
杏樹の言葉に弘輝が適当に返事を返す。
「またか?はあ、俺の大事な家族に何してくれてんだ!?あいつら!」
「まったくよ!…折角のお花見の雰囲気が台無しじゃない」
「父さん、母さん…うん、そうだね!」
両親が苦々しく吐いた言葉に杏樹がぱっと表情を明るくして席に着いた。
この結界の中に杏樹達は戻って来た。
傍らには赤褐色色のハニワがコロン、と転がる。
「──ん?それ、なんだ?」
父が杏樹の膝の上から落ちたハニワに目を向ける。
「ふふんっ♪久美の手作りよ☆いいでしょ~」
「…杏樹姉…それ、この前私が試作で作ったやつ」
「そそ♪折角だから有効活用しようと思ってね♪」
「…?どう言うこと?」
久美が首を傾げる。
「──そこに、魔王の魂が入っている。杏樹が自力で自分の中にいた魔王を追い出してそこなハニワに入れたんだよ」
答えたのは錬夜だった。
「…杏樹姉の錬成はバズってるわね」
チラッとスマホの時計を確認する錬夜に杏樹はふふんと誇らしく胸を張る。
「…この光景に何一つ疑問を抱かなくなったら終わりだと思っていたのだがな…」
「そうね…何て言うか…錬夜らしくて良いと思うわ」
「色々と豊城兄妹は可笑しいからな」
うんうん、と頷く筋骨隆々な体育体型な男らしい顔立ちの男子─は錬夜の同級生で友人の朔夜だ。
始めに声がしたのが秋人、二人目の女子が真白、最後が朔夜だ。
この三人が今日都合が着いた錬夜の友人である。
「…見たところ魔力ゼロみたいだけど?」
「地球─と言うか、日本には魔力はないでしょ?」
「うん」
と杏樹が久美に事情を話していた。
「あら、そうなの?」
「少なくとも今現在はないな」
母の問いに錬夜が答える。
神妙に答えるのは、久美だ。
「…そんなの居たら今頃大騒ぎよ、お母さん」
『魔法使い』や『魔力』なんてない方がいい。
中世ヨーロッパであったような魔女狩りに遭いでもしたら目も当てられない。
「一概に全部『嘘』とは言わないわ。…ただ、そんなものは空想の世界で充分」
と久美は言う。
伏し目がちに儚く呟いた久美に久美の友人達は首を傾げていた。
「んー?なんのはなし~??」
「わかんない」
「わたしもーまほうあったらたのしいよ~?」
そんな邪気の無い言葉に笑顔に久美はくすっと微笑って顔をあげた。
「…そうね。魔法は本来『夢』と『希望』が詰まっているものだわ」
「久美…気にしなくていいわよ!あなたは私の宝物だもの」
「…お母さん」
ぎゅっと抱き締められて、久美は微かに瞳を潤ませたように見えた。
グゼアでの日々を思い出したのだろう…その乏しい表情筋はあまり仕事をしないが久美は人が言うほど無感情ではない。
「もう、どこにも行かなくて良いからね。久美」
「ん…。」
微かに目元が緩んで頬が吊り上げる。とても柔らかく笑うのだ、久美は。
「それで、その魔王はどんな状態なの?…全然動かないけど」
舞に問われ杏樹はこほん、と軽く咳払いを一つ。
「つまり─日本では魔力がないから、封印待機中…ってこと♪」
「えらく簡潔ね」
「私が魔力を注がない限り浮くことも話すことも出来ないわよ?
…そもそも元がハニワだし、話せたとしても魔法は一切使えないし」
「それは、また…」
弘輝が微妙な表情をする。
ハニワ(魔王)に憐れみの眼差しを向ける。
「勝手にしゃべったり動かれたら面倒よ」
「じゃ──今って魔王は呪いの人形みたいになってるの?」
「何一つ呪えないけどね、あはっ♪」
小夜の問いにけろっと言う杏樹はちょっと怖いと思った弘輝だった。
「…怖ぇー、怖っ!!」
ぶるぶると両腕を抱き締めて震える弘輝を見て杏樹は
「あははっ」
と、笑うだけだった。
「体育祭の事なんだけど─」
と、小夜が話題を替えて杏樹も止まっていた手を動かして焼き鳥の残りの肉にかぶり付く。
はらはらと桜色の花びらが舞い落ちる。
この公園には様々な種類の桜が植えられている。
八重桜、ソメイヨシノ、垂れ桜、千本桜、紅桜─等々沢山の種類が咲き誇っている。
この公園を管理しているのは市役所だが、剪定や掃除は民間業者とボランティアで賄われている。
長くこの公園はここにあって訪れる人々の憩いの場所。
あちこちで人々の笑い声やアスレチックや遊具で遊ぶ子ども達の笑い声、バカな大学生のどんちゃん騒ぎ、家族連れの楽しそうな声…
そのどれもが、この『公園』を魅力的な場所にしている。
さらさらと風に揺れる葉の音に目を細め人々は『お花見』を続けるのだった。
・・・・。
「また、明日♪」
「ああ」
「明日は部活来るの~?」
「うん、行くよ♪」
小夜の問いに杏樹は頷いた。
「そっか、みんな待ってるよ~♪」
にこやかに笑って小夜は豊城家の玄関先で別れた。
時刻はまだ四時半過ぎ。
久美達幼児組が寝てしまった為に一旦家に帰る者が詩音さんの運転で豊城家に送り届けられた。
今はもう四人とも夢の中である。
「じゃ、私は戻るよ?」
「詩音さん、待って…はい、これ」
四人を小夜、弘輝、舞、詩音で手分けして杏樹が鍵を開けた豊城家の久美の部屋のベッドに下ろして玄関から出ようとした所で杏樹がぱたぱたとキッチンの隣にある食料庫へ消えた。
数分後。
手には焼酎の一升瓶が握られていた。
「?これは…“神風”か」
「はい、皆さんで飲んでください…くれぐれも車の運転する人は飲まないで下さい─絶対ですよ?」
「わ、分かってる…よ?」
「詩音さん」
「うっ…代替え頼むから」
「はい、それで良いですよ」
にっこり微笑んで杏樹はその漢字で“神風”と銘打たれた焼酎の一升瓶を渡した。
「母さんがさっきラインで酒の追加を寄越したので…これも」
そう言って詩音のもう片方空いている手に酎ハイの缶を渡した。
「母さんに『お酒はほどほどに』と伝えて下さい」
「わ、分かった…」
杏樹の剣幕に若干引き気味に玄関を出て行った。
弘輝も小夜、舞も豊城家を後にして部屋には杏樹と錬夜だけ。
「良かったの?友達置いてきて…」
「良い。お前と二人っきりになりたかったからな」
「はぅ…っ」
背中から回された手が杏樹を包む。
「お、お兄ちゃん…」
「杏樹、部屋行こう?」
耳元で囁かれる欲を滲んだ低い声にくらくらとする。
「うん…」
「いい子だ」
チュッと耳たぶに軽く口つけられ、ひょいっと横抱きにされる。
杏樹の部屋は両親の部屋の真向かいだ。一階にある。
三階建てで一階にリビング、キッチン、食料庫、風呂、トイレ、洗濯機、両親の部屋、杏樹の部屋、二階に錬夜の部屋とその端向かいに久美の部屋がある。
三階はパソコンルームとコレクションルームになっている。
「今日は杏樹の部屋で抱くから」
「うん…でも風呂は?」
杏樹の部屋は両親の影響かゲームやアニメの押しキャラポスターが壁にびっしりと張られているが、錬夜も杏樹も気にしない。
そっと薄ピンク色のウサギのデフォルトされた可愛らしいシーツが掛けられたベッドの上に下ろされた。
「必要ない」
「でも…ぁっ」
腰の下から腕がまさぐってくる。
やわやわと胸を揉まれ甘い声が洩れる。
「今すぐ愛したい」
「…ふぁ、ぁ…っ」
扉は固く閉じられ結界が張られる。
「好きだ、愛している」
「お、お兄ちゃん…ず、ずるいわ…そんな風に言われたら断れないよっ」
くすり、と柔らかく笑う錬夜の眼差しには杏樹に対する情欲をありありと伝えている。
「ここはお前の匂いに包まれているみたいで…くるな」
「?くるって何が─ぁっ」
ブラジャーのホックを外してたくし上げられた。
「綺麗だ…杏樹」
「き、昨日も見たじゃない…も、もぅ…っ!!」
恥じらいに頬を染める杏樹に錬夜の唇がその唇を塞ぐ。
「ん…ぴちゃ、くちゅ、れろっ…」
舌で抉じ開けて杏樹の舌を絡め舐めなぶり、啜る。
優しく横たえた杏樹の上に覆い被さり片手は胸、もう片手は自身の重心を支える。
「…ぷはっ、はぁはぁ…。」
「…下も触るからな」
「うん」
杏樹の服を脱がし、下着を剥いで両足を割る。
「ぁ…ぁぁっ!」
「びっくりしたか?」
「へ、平気…だから、お兄ちゃんの好きに…錬夜の好きにして」
潤んだ瞳が告げる。
「─っ、あんまり煽るな」
何かを堪えるように拳を強く握って錬夜は口を付けた。
ぴちゃ、くちゅ、れろっ…。
湿った水音が 耳朶に響く。
「ふっ、ぁ…ぁぁっ…んんっ!」
「杏樹、声を抑えるな」
「ゃ…はずかしい…っ!!」
「杏樹…聞きたい、聞かせてくれ…杏樹のよがる声を俺は聞きたい」
じゅるる~っと音を立てて吸われる。
「ふぁああっ!!?」
びくんびくんと杏樹の背が仰け反る。
「杏樹…っ!」
かばっと起き上がった錬夜は荒々しく服と下着を脱いで杏樹に覆い被さった。
ズプッ…
イッた余韻で呼吸を整えていた杏樹をお構い無しで硬くそそり勃った男根を膣に宛がう。
「おにい、ちゃ…ん…ぁぁっっ」
「好きだ…好きだっ!」
うわ言のように杏樹に好きだの愛だのを囁いて衝動のまま錬夜は腰を動かす。
「はぁ…んぁっ、ゃぁ…」
「はあはあ…っ」
ぱちゅんぱちゅんと互いの体液が掻き混ざる音が鼓膜を犯す。
「れん、やぁ…っ、はぁ…っ!」
「杏樹…杏樹っ!」
パンパンパンッと肌がぶつかる音がやけに生々しくていやらしい。
一つにまとめた髪がいつの間にか下ろされてヘアゴムがテーブルの上に置かれている。
「射精すぞ!──クゥッ!!」
「んぁぁああ!!」
ドクッ、ドクッ、ドクンッ!!
ぎゅうっと強く抱き締められ杏樹の膣内に暖かな命の種が注がれる。
「はぁ…ふぅ…っ、動くからな?」
「うん」
汗ばんだ肌、潤んだ瞳、乱れた呼吸音は酷く淫靡で熱に犯されたようで…
「はぁ…ぁあっ、いいの…気持ち良いよぉ…っ!!」
「杏樹…っ!」
必死にその背に腕を伸ばして杏樹は懇願する。
「もっと…もっとお兄ちゃんをちょうだい?」
「─ッ、ああ。いくらでもくれてやる…クッ!」
ぐちゃぐちゃと掻き混ぜられる精液が杏樹の胎を満たす。
「はぁっ、んあっ…ぁぁっ!」
「クッ…、杏樹の膣内気持ち好すぎだ…ぁぁっ!」
パンパンパンッと肌のぶつかる音がやけに生々しくて、杏樹は身悶える。
「はぁ…ゃぁ…っ、ふぅっ、くぁっ」
「杏樹…っ、」
ぱちゅんぱちゅんと子宮の奥深くに最愛の人の子種を塗り込まれる…そんな動物的で野性的な交わりに杏樹は溺れる。
「すき…すき…っ!錬夜ぁっ」
「杏樹…っ!お前はずっと俺のものだ!」
ぐいっと持ち上げられ対面座位の体勢で下から突き上げる。
「はぁ…ぁぁっ!錬夜…れんやぁっ」
「こうして…くっ、毎日毎晩俺の種を仕込んでマーキングしてやる!」
「ぁ、ぁぁっ…!」
とろとろと繋がった箇所から白く濁った愛液が伝う。
「んっ、ぴちゃ、くちゅ、れろっ…。」
杏樹の唇を貪りながら、錬夜は今も洪水を起こしている膣を男根で攻め立てる。
「はあ、はあ、はぁ…っ」
錬夜の額から玉のような汗が滴る。
忙しなく錬夜の突き上げは止まることなく時に緩やかに時に速く動いては杏樹のいい所を擦って抉って杏樹をとろかせる。
「杏樹──クゥッ!!」
「んぁああああっ!!!」
ドピュッ、ドピュッ、ドクッ、ドクン──ッ!!
二人が果てたのは同時だった。
チュッと唇が触れ合うだけの簡単なキスを交わしてそのまま暫く繋がったまま、乱れた呼吸を整えた。
「─そろそろ久美達、起きてきそうだね、お兄ちゃん♪」
「ああ…もう、そんな時間か…」
丸い枠の壁掛け時計が夕方7時を指していた。
「起こして風呂に入れないと…」
「そうだな…そのあとまたしような」
「─うん♪」
にこやかに微笑って汗まみれの互いの身体を抱き締め合って浄化の魔法を掛ける。
ヌプ…ッ
「勿体ない…“えいっ!”」
力を失った肉棒が抜かれこぽこぽと溢れる精液に杏樹の魔力が向けられる。
「んっ…ふぁ…っ、これで─よしっ!」
それらはまるで意思を持つかの如く、垂れることなく杏樹の膣内に戻り、子宮の奥深くを目指しそこで留まるのだ…卵子と結合するまで。
「…なんか、ムラッとくるわ~杏樹」
「…もっいっかい、する?」
その説明を受けた時の事を思い錬夜の男根がちょっとだけ勢いを取り戻す。
「お兄ちゃんは辛抱たまらんっ!」
「…ぁっ♪」
ピンク色のウサギ柄のシーツに押し倒される杏樹だった…。
その後、錬夜は自身に精力促進と体力回復魔法を自身と杏樹に掛けて夜遅くまで愛を貪り合うのだった…。
久美達?それなら、久美が途中で起きて自分で用意して友人を起こして入った。
杏樹の部屋が兄の結界で閉じられていることで凡その事情を察し、冷蔵庫にあった物でオムライスを四人分作って皿に乗せる。
「…ほら、ご飯作ったから食べて寝るわよ?」
「んー!」
「いいにおい~」
「たべる~♪」
─ちなみに5歳児の身長だと微妙に届かないシンクの高低差。
魔法で自分の身体を浮かせ、要所要所で手が届かない所や、場面では遠慮なく風魔法で浮かして調理する。
普段姉の杏樹に任せっきりだが、久美も料理はそこそこ出来るのだ…魔法で浮かせてだが。
「…ほら、いただきます。」
「「「いただきまーすっ!」」」
魔法で運んだオムライスの皿をソファ席のテーブルの上に置いて食前の挨拶を済ませる。
ぱくっ
「おいし~っ!」
「うま~~♪」
「おいしいよぉ~♪♪」
それ以降はもくもくとモグモグし続けた3人と久美だった…。
……。
大人組は日付が変わる前に戻ってきた。
錬夜と杏樹、久美達幼児組も寝静まった夜に帰ってきた。
「おぅ、お帰り」
杏樹の言葉に弘輝が適当に返事を返す。
「またか?はあ、俺の大事な家族に何してくれてんだ!?あいつら!」
「まったくよ!…折角のお花見の雰囲気が台無しじゃない」
「父さん、母さん…うん、そうだね!」
両親が苦々しく吐いた言葉に杏樹がぱっと表情を明るくして席に着いた。
この結界の中に杏樹達は戻って来た。
傍らには赤褐色色のハニワがコロン、と転がる。
「──ん?それ、なんだ?」
父が杏樹の膝の上から落ちたハニワに目を向ける。
「ふふんっ♪久美の手作りよ☆いいでしょ~」
「…杏樹姉…それ、この前私が試作で作ったやつ」
「そそ♪折角だから有効活用しようと思ってね♪」
「…?どう言うこと?」
久美が首を傾げる。
「──そこに、魔王の魂が入っている。杏樹が自力で自分の中にいた魔王を追い出してそこなハニワに入れたんだよ」
答えたのは錬夜だった。
「…杏樹姉の錬成はバズってるわね」
チラッとスマホの時計を確認する錬夜に杏樹はふふんと誇らしく胸を張る。
「…この光景に何一つ疑問を抱かなくなったら終わりだと思っていたのだがな…」
「そうね…何て言うか…錬夜らしくて良いと思うわ」
「色々と豊城兄妹は可笑しいからな」
うんうん、と頷く筋骨隆々な体育体型な男らしい顔立ちの男子─は錬夜の同級生で友人の朔夜だ。
始めに声がしたのが秋人、二人目の女子が真白、最後が朔夜だ。
この三人が今日都合が着いた錬夜の友人である。
「…見たところ魔力ゼロみたいだけど?」
「地球─と言うか、日本には魔力はないでしょ?」
「うん」
と杏樹が久美に事情を話していた。
「あら、そうなの?」
「少なくとも今現在はないな」
母の問いに錬夜が答える。
神妙に答えるのは、久美だ。
「…そんなの居たら今頃大騒ぎよ、お母さん」
『魔法使い』や『魔力』なんてない方がいい。
中世ヨーロッパであったような魔女狩りに遭いでもしたら目も当てられない。
「一概に全部『嘘』とは言わないわ。…ただ、そんなものは空想の世界で充分」
と久美は言う。
伏し目がちに儚く呟いた久美に久美の友人達は首を傾げていた。
「んー?なんのはなし~??」
「わかんない」
「わたしもーまほうあったらたのしいよ~?」
そんな邪気の無い言葉に笑顔に久美はくすっと微笑って顔をあげた。
「…そうね。魔法は本来『夢』と『希望』が詰まっているものだわ」
「久美…気にしなくていいわよ!あなたは私の宝物だもの」
「…お母さん」
ぎゅっと抱き締められて、久美は微かに瞳を潤ませたように見えた。
グゼアでの日々を思い出したのだろう…その乏しい表情筋はあまり仕事をしないが久美は人が言うほど無感情ではない。
「もう、どこにも行かなくて良いからね。久美」
「ん…。」
微かに目元が緩んで頬が吊り上げる。とても柔らかく笑うのだ、久美は。
「それで、その魔王はどんな状態なの?…全然動かないけど」
舞に問われ杏樹はこほん、と軽く咳払いを一つ。
「つまり─日本では魔力がないから、封印待機中…ってこと♪」
「えらく簡潔ね」
「私が魔力を注がない限り浮くことも話すことも出来ないわよ?
…そもそも元がハニワだし、話せたとしても魔法は一切使えないし」
「それは、また…」
弘輝が微妙な表情をする。
ハニワ(魔王)に憐れみの眼差しを向ける。
「勝手にしゃべったり動かれたら面倒よ」
「じゃ──今って魔王は呪いの人形みたいになってるの?」
「何一つ呪えないけどね、あはっ♪」
小夜の問いにけろっと言う杏樹はちょっと怖いと思った弘輝だった。
「…怖ぇー、怖っ!!」
ぶるぶると両腕を抱き締めて震える弘輝を見て杏樹は
「あははっ」
と、笑うだけだった。
「体育祭の事なんだけど─」
と、小夜が話題を替えて杏樹も止まっていた手を動かして焼き鳥の残りの肉にかぶり付く。
はらはらと桜色の花びらが舞い落ちる。
この公園には様々な種類の桜が植えられている。
八重桜、ソメイヨシノ、垂れ桜、千本桜、紅桜─等々沢山の種類が咲き誇っている。
この公園を管理しているのは市役所だが、剪定や掃除は民間業者とボランティアで賄われている。
長くこの公園はここにあって訪れる人々の憩いの場所。
あちこちで人々の笑い声やアスレチックや遊具で遊ぶ子ども達の笑い声、バカな大学生のどんちゃん騒ぎ、家族連れの楽しそうな声…
そのどれもが、この『公園』を魅力的な場所にしている。
さらさらと風に揺れる葉の音に目を細め人々は『お花見』を続けるのだった。
・・・・。
「また、明日♪」
「ああ」
「明日は部活来るの~?」
「うん、行くよ♪」
小夜の問いに杏樹は頷いた。
「そっか、みんな待ってるよ~♪」
にこやかに笑って小夜は豊城家の玄関先で別れた。
時刻はまだ四時半過ぎ。
久美達幼児組が寝てしまった為に一旦家に帰る者が詩音さんの運転で豊城家に送り届けられた。
今はもう四人とも夢の中である。
「じゃ、私は戻るよ?」
「詩音さん、待って…はい、これ」
四人を小夜、弘輝、舞、詩音で手分けして杏樹が鍵を開けた豊城家の久美の部屋のベッドに下ろして玄関から出ようとした所で杏樹がぱたぱたとキッチンの隣にある食料庫へ消えた。
数分後。
手には焼酎の一升瓶が握られていた。
「?これは…“神風”か」
「はい、皆さんで飲んでください…くれぐれも車の運転する人は飲まないで下さい─絶対ですよ?」
「わ、分かってる…よ?」
「詩音さん」
「うっ…代替え頼むから」
「はい、それで良いですよ」
にっこり微笑んで杏樹はその漢字で“神風”と銘打たれた焼酎の一升瓶を渡した。
「母さんがさっきラインで酒の追加を寄越したので…これも」
そう言って詩音のもう片方空いている手に酎ハイの缶を渡した。
「母さんに『お酒はほどほどに』と伝えて下さい」
「わ、分かった…」
杏樹の剣幕に若干引き気味に玄関を出て行った。
弘輝も小夜、舞も豊城家を後にして部屋には杏樹と錬夜だけ。
「良かったの?友達置いてきて…」
「良い。お前と二人っきりになりたかったからな」
「はぅ…っ」
背中から回された手が杏樹を包む。
「お、お兄ちゃん…」
「杏樹、部屋行こう?」
耳元で囁かれる欲を滲んだ低い声にくらくらとする。
「うん…」
「いい子だ」
チュッと耳たぶに軽く口つけられ、ひょいっと横抱きにされる。
杏樹の部屋は両親の部屋の真向かいだ。一階にある。
三階建てで一階にリビング、キッチン、食料庫、風呂、トイレ、洗濯機、両親の部屋、杏樹の部屋、二階に錬夜の部屋とその端向かいに久美の部屋がある。
三階はパソコンルームとコレクションルームになっている。
「今日は杏樹の部屋で抱くから」
「うん…でも風呂は?」
杏樹の部屋は両親の影響かゲームやアニメの押しキャラポスターが壁にびっしりと張られているが、錬夜も杏樹も気にしない。
そっと薄ピンク色のウサギのデフォルトされた可愛らしいシーツが掛けられたベッドの上に下ろされた。
「必要ない」
「でも…ぁっ」
腰の下から腕がまさぐってくる。
やわやわと胸を揉まれ甘い声が洩れる。
「今すぐ愛したい」
「…ふぁ、ぁ…っ」
扉は固く閉じられ結界が張られる。
「好きだ、愛している」
「お、お兄ちゃん…ず、ずるいわ…そんな風に言われたら断れないよっ」
くすり、と柔らかく笑う錬夜の眼差しには杏樹に対する情欲をありありと伝えている。
「ここはお前の匂いに包まれているみたいで…くるな」
「?くるって何が─ぁっ」
ブラジャーのホックを外してたくし上げられた。
「綺麗だ…杏樹」
「き、昨日も見たじゃない…も、もぅ…っ!!」
恥じらいに頬を染める杏樹に錬夜の唇がその唇を塞ぐ。
「ん…ぴちゃ、くちゅ、れろっ…」
舌で抉じ開けて杏樹の舌を絡め舐めなぶり、啜る。
優しく横たえた杏樹の上に覆い被さり片手は胸、もう片手は自身の重心を支える。
「…ぷはっ、はぁはぁ…。」
「…下も触るからな」
「うん」
杏樹の服を脱がし、下着を剥いで両足を割る。
「ぁ…ぁぁっ!」
「びっくりしたか?」
「へ、平気…だから、お兄ちゃんの好きに…錬夜の好きにして」
潤んだ瞳が告げる。
「─っ、あんまり煽るな」
何かを堪えるように拳を強く握って錬夜は口を付けた。
ぴちゃ、くちゅ、れろっ…。
湿った水音が 耳朶に響く。
「ふっ、ぁ…ぁぁっ…んんっ!」
「杏樹、声を抑えるな」
「ゃ…はずかしい…っ!!」
「杏樹…聞きたい、聞かせてくれ…杏樹のよがる声を俺は聞きたい」
じゅるる~っと音を立てて吸われる。
「ふぁああっ!!?」
びくんびくんと杏樹の背が仰け反る。
「杏樹…っ!」
かばっと起き上がった錬夜は荒々しく服と下着を脱いで杏樹に覆い被さった。
ズプッ…
イッた余韻で呼吸を整えていた杏樹をお構い無しで硬くそそり勃った男根を膣に宛がう。
「おにい、ちゃ…ん…ぁぁっっ」
「好きだ…好きだっ!」
うわ言のように杏樹に好きだの愛だのを囁いて衝動のまま錬夜は腰を動かす。
「はぁ…んぁっ、ゃぁ…」
「はあはあ…っ」
ぱちゅんぱちゅんと互いの体液が掻き混ざる音が鼓膜を犯す。
「れん、やぁ…っ、はぁ…っ!」
「杏樹…杏樹っ!」
パンパンパンッと肌がぶつかる音がやけに生々しくていやらしい。
一つにまとめた髪がいつの間にか下ろされてヘアゴムがテーブルの上に置かれている。
「射精すぞ!──クゥッ!!」
「んぁぁああ!!」
ドクッ、ドクッ、ドクンッ!!
ぎゅうっと強く抱き締められ杏樹の膣内に暖かな命の種が注がれる。
「はぁ…ふぅ…っ、動くからな?」
「うん」
汗ばんだ肌、潤んだ瞳、乱れた呼吸音は酷く淫靡で熱に犯されたようで…
「はぁ…ぁあっ、いいの…気持ち良いよぉ…っ!!」
「杏樹…っ!」
必死にその背に腕を伸ばして杏樹は懇願する。
「もっと…もっとお兄ちゃんをちょうだい?」
「─ッ、ああ。いくらでもくれてやる…クッ!」
ぐちゃぐちゃと掻き混ぜられる精液が杏樹の胎を満たす。
「はぁっ、んあっ…ぁぁっ!」
「クッ…、杏樹の膣内気持ち好すぎだ…ぁぁっ!」
パンパンパンッと肌のぶつかる音がやけに生々しくて、杏樹は身悶える。
「はぁ…ゃぁ…っ、ふぅっ、くぁっ」
「杏樹…っ、」
ぱちゅんぱちゅんと子宮の奥深くに最愛の人の子種を塗り込まれる…そんな動物的で野性的な交わりに杏樹は溺れる。
「すき…すき…っ!錬夜ぁっ」
「杏樹…っ!お前はずっと俺のものだ!」
ぐいっと持ち上げられ対面座位の体勢で下から突き上げる。
「はぁ…ぁぁっ!錬夜…れんやぁっ」
「こうして…くっ、毎日毎晩俺の種を仕込んでマーキングしてやる!」
「ぁ、ぁぁっ…!」
とろとろと繋がった箇所から白く濁った愛液が伝う。
「んっ、ぴちゃ、くちゅ、れろっ…。」
杏樹の唇を貪りながら、錬夜は今も洪水を起こしている膣を男根で攻め立てる。
「はあ、はあ、はぁ…っ」
錬夜の額から玉のような汗が滴る。
忙しなく錬夜の突き上げは止まることなく時に緩やかに時に速く動いては杏樹のいい所を擦って抉って杏樹をとろかせる。
「杏樹──クゥッ!!」
「んぁああああっ!!!」
ドピュッ、ドピュッ、ドクッ、ドクン──ッ!!
二人が果てたのは同時だった。
チュッと唇が触れ合うだけの簡単なキスを交わしてそのまま暫く繋がったまま、乱れた呼吸を整えた。
「─そろそろ久美達、起きてきそうだね、お兄ちゃん♪」
「ああ…もう、そんな時間か…」
丸い枠の壁掛け時計が夕方7時を指していた。
「起こして風呂に入れないと…」
「そうだな…そのあとまたしような」
「─うん♪」
にこやかに微笑って汗まみれの互いの身体を抱き締め合って浄化の魔法を掛ける。
ヌプ…ッ
「勿体ない…“えいっ!”」
力を失った肉棒が抜かれこぽこぽと溢れる精液に杏樹の魔力が向けられる。
「んっ…ふぁ…っ、これで─よしっ!」
それらはまるで意思を持つかの如く、垂れることなく杏樹の膣内に戻り、子宮の奥深くを目指しそこで留まるのだ…卵子と結合するまで。
「…なんか、ムラッとくるわ~杏樹」
「…もっいっかい、する?」
その説明を受けた時の事を思い錬夜の男根がちょっとだけ勢いを取り戻す。
「お兄ちゃんは辛抱たまらんっ!」
「…ぁっ♪」
ピンク色のウサギ柄のシーツに押し倒される杏樹だった…。
その後、錬夜は自身に精力促進と体力回復魔法を自身と杏樹に掛けて夜遅くまで愛を貪り合うのだった…。
久美達?それなら、久美が途中で起きて自分で用意して友人を起こして入った。
杏樹の部屋が兄の結界で閉じられていることで凡その事情を察し、冷蔵庫にあった物でオムライスを四人分作って皿に乗せる。
「…ほら、ご飯作ったから食べて寝るわよ?」
「んー!」
「いいにおい~」
「たべる~♪」
─ちなみに5歳児の身長だと微妙に届かないシンクの高低差。
魔法で自分の身体を浮かせ、要所要所で手が届かない所や、場面では遠慮なく風魔法で浮かして調理する。
普段姉の杏樹に任せっきりだが、久美も料理はそこそこ出来るのだ…魔法で浮かせてだが。
「…ほら、いただきます。」
「「「いただきまーすっ!」」」
魔法で運んだオムライスの皿をソファ席のテーブルの上に置いて食前の挨拶を済ませる。
ぱくっ
「おいし~っ!」
「うま~~♪」
「おいしいよぉ~♪♪」
それ以降はもくもくとモグモグし続けた3人と久美だった…。
……。
大人組は日付が変わる前に戻ってきた。
錬夜と杏樹、久美達幼児組も寝静まった夜に帰ってきた。
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