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初夏の幻影
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《初夏の幻影》
「アイスクリーム 食べる?」
「いらなぁーい…」
微かに聞こえる 小さな声で 呟きながら
メリーゴーランドが 斜め右に見える 赤いベンチに キミ は座った。
初夏の日差しの下 朝から なんとなく 不機嫌 だった。
無理もない この時間 キミ は いつも 寝てるのだから。
煌びやかな ネオンの下 ミラーボールが 照らす 舞台の上
優しい微笑み 柔らかな肌 色っぽい瞳 年上の女性への憧れ
それら全てに ボク の ココロ は奪われ
何度となく お店に通い 今日 やっと デート にこぎ着けたのだ。
「まずい…マズイ…このままでは…いかん」
お店の中では あんなに ざっくばらん 気楽に 話せているのに
まるで 顔面が 金縛りになったように 唇から コトバ が出て来ない。
小さい背中に ポツンと咲いた 黄色い日傘が
メリーゴーランドを眺めながら クルクル 廻っている
緩やかな音楽とともに 木馬 が廻り 小さな花と 同調する
キミ は 日傘を 右へ左へ 回転させる 暇をもて遊ぶ 子供のように
「キョウコさん の国でも 遊園地 あるの?」
とっさに 出た コトバ は この上なく 失礼な 質問だった。
『しまった!』
「ごめ…」
言い掛けた途中で キミが 口を開いた。
「ゆーえんち あるぅ ウフフ」
予想外に 笑った。それは 2人の空気感 緊張感 ボクの 焦燥感 …
諸々の全てを 一掃し 何もかもを 包む 母性のように 微笑んだ。
その 潤いのある瞳に 吸い込まれ しばらく ボク は動けなかった。
初夏の日差しに 淡い褐色の肩にかかった髪の毛が
潮風に 吹かれ その度 甘い匂いに 周囲が包まれる。
時に 少女のように悪戯っぽく
時に 妖艶な 小悪魔のように
今までも いろんな キョウコさん を 見て来たが
今は こんなに キレイな キョウコさん に ただただ 見惚れている。
赤いベンチから 立ち上がり 黄色い日傘を 畳んだ
髪を かきあげながら キミ が次に 口にした コトバ
「ワタシ ねむい … やすむ とこ いく」
動けなかった ボク の 全細胞は フル回転 で 活動しだした。
そして 同時に 理性 が 止まった。
赤いベットの 上で 黄色いシーツ に包まれている ふたり。
天井を見上げる ふたり が映っている。
右にも左にも…ゆっくり と 回る ボク と カノジョ
それは まるで メリーゴーランド のように
右の肩紐を そっと おろし
両手を カノジョ の 背中 にまわす
緊張 で 手が震えて 思うように 外れない
そもそも どんな機能で 装着 されているのか 知らない だって 見た事さえ 無いのだから
「わかるぅ?」
しばらく 右往左往 している ボクの手に
カノジョ の 手が サポート され
花柄模様が入った ピンク の カップ がボクの 両手に 収まった。
同時に カノジョは 両手で 胸を 押さえた。
「はずかしいぃ…もっと くらく くらくぅ」
部屋の 電気 を 落とし 密閉された 窓から 僅かに 昼下がりの 木漏れ日 が 射し込んでいる 以外 は ほとんど 真っ暗 になった。
カノジョの 息づかい が 近づいてくる。
「め を とじて…」
両手で ボクの 頬は 包まれた。
次の瞬間 …
カノジョの…
やわらかな 唇が …
サラサラした髪の毛が…
そして 素肌が…
優しく ゆっくり と 触れた
「うっ…。」
ドキドキ! ドキドキ!
心臓の 音 が はじめて 自分の 鼓膜に 届いた。
「はじめて?」
「うっ…うん」
「うふふっ じゃぁ よこに なって…」
カノジョの 腕は ボクの 腰を引き寄せ
もう片方の手は シーツを 手繰り寄せた。
暗闇の中でも だんだん 目が慣れてきた。
子供の頃 新体操 を していた話を 聞いた事がある。
均整のとれた プロポーション
着衣では 想像し得なかった 胸の膨らみ
引き締まった腰まわり 白雪のような 肌
憧れだった カノジョ
カノジョの カラダ
ボクの カラダ … つながっている
ふたりの 息づかい 鼓動 が
ひとつ に つながっている。
夢のようだ …
夢 みたい …
「はっ!」
赤い文字盤に 蛍光色の 黄色い 長針と短針が
決まって『2:44』を 示している。
そう…
あれは … 初夏の昼下がり
カノジョ と ボク が 通り抜けた
青春の幻影
「アイスクリーム 食べる?」
「いらなぁーい…」
微かに聞こえる 小さな声で 呟きながら
メリーゴーランドが 斜め右に見える 赤いベンチに キミ は座った。
初夏の日差しの下 朝から なんとなく 不機嫌 だった。
無理もない この時間 キミ は いつも 寝てるのだから。
煌びやかな ネオンの下 ミラーボールが 照らす 舞台の上
優しい微笑み 柔らかな肌 色っぽい瞳 年上の女性への憧れ
それら全てに ボク の ココロ は奪われ
何度となく お店に通い 今日 やっと デート にこぎ着けたのだ。
「まずい…マズイ…このままでは…いかん」
お店の中では あんなに ざっくばらん 気楽に 話せているのに
まるで 顔面が 金縛りになったように 唇から コトバ が出て来ない。
小さい背中に ポツンと咲いた 黄色い日傘が
メリーゴーランドを眺めながら クルクル 廻っている
緩やかな音楽とともに 木馬 が廻り 小さな花と 同調する
キミ は 日傘を 右へ左へ 回転させる 暇をもて遊ぶ 子供のように
「キョウコさん の国でも 遊園地 あるの?」
とっさに 出た コトバ は この上なく 失礼な 質問だった。
『しまった!』
「ごめ…」
言い掛けた途中で キミが 口を開いた。
「ゆーえんち あるぅ ウフフ」
予想外に 笑った。それは 2人の空気感 緊張感 ボクの 焦燥感 …
諸々の全てを 一掃し 何もかもを 包む 母性のように 微笑んだ。
その 潤いのある瞳に 吸い込まれ しばらく ボク は動けなかった。
初夏の日差しに 淡い褐色の肩にかかった髪の毛が
潮風に 吹かれ その度 甘い匂いに 周囲が包まれる。
時に 少女のように悪戯っぽく
時に 妖艶な 小悪魔のように
今までも いろんな キョウコさん を 見て来たが
今は こんなに キレイな キョウコさん に ただただ 見惚れている。
赤いベンチから 立ち上がり 黄色い日傘を 畳んだ
髪を かきあげながら キミ が次に 口にした コトバ
「ワタシ ねむい … やすむ とこ いく」
動けなかった ボク の 全細胞は フル回転 で 活動しだした。
そして 同時に 理性 が 止まった。
赤いベットの 上で 黄色いシーツ に包まれている ふたり。
天井を見上げる ふたり が映っている。
右にも左にも…ゆっくり と 回る ボク と カノジョ
それは まるで メリーゴーランド のように
右の肩紐を そっと おろし
両手を カノジョ の 背中 にまわす
緊張 で 手が震えて 思うように 外れない
そもそも どんな機能で 装着 されているのか 知らない だって 見た事さえ 無いのだから
「わかるぅ?」
しばらく 右往左往 している ボクの手に
カノジョ の 手が サポート され
花柄模様が入った ピンク の カップ がボクの 両手に 収まった。
同時に カノジョは 両手で 胸を 押さえた。
「はずかしいぃ…もっと くらく くらくぅ」
部屋の 電気 を 落とし 密閉された 窓から 僅かに 昼下がりの 木漏れ日 が 射し込んでいる 以外 は ほとんど 真っ暗 になった。
カノジョの 息づかい が 近づいてくる。
「め を とじて…」
両手で ボクの 頬は 包まれた。
次の瞬間 …
カノジョの…
やわらかな 唇が …
サラサラした髪の毛が…
そして 素肌が…
優しく ゆっくり と 触れた
「うっ…。」
ドキドキ! ドキドキ!
心臓の 音 が はじめて 自分の 鼓膜に 届いた。
「はじめて?」
「うっ…うん」
「うふふっ じゃぁ よこに なって…」
カノジョの 腕は ボクの 腰を引き寄せ
もう片方の手は シーツを 手繰り寄せた。
暗闇の中でも だんだん 目が慣れてきた。
子供の頃 新体操 を していた話を 聞いた事がある。
均整のとれた プロポーション
着衣では 想像し得なかった 胸の膨らみ
引き締まった腰まわり 白雪のような 肌
憧れだった カノジョ
カノジョの カラダ
ボクの カラダ … つながっている
ふたりの 息づかい 鼓動 が
ひとつ に つながっている。
夢のようだ …
夢 みたい …
「はっ!」
赤い文字盤に 蛍光色の 黄色い 長針と短針が
決まって『2:44』を 示している。
そう…
あれは … 初夏の昼下がり
カノジョ と ボク が 通り抜けた
青春の幻影
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