獣神娘と山の民

蒼穹月

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本編

リファラの民との再会②

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 リリとリファラの民達は一旦腰を落ち着ける為に移動してきました。
 やって来たのは噴水広場です。復興途中の街にも噴水広場が残っていました。中央には大きなお花型の噴水が水を噴き出し虹を作り出しています。

 「それで何があったの?前はお話し出来なかった筈よね」

 淵に腰を掛けたリリが、同じく両隣に腰を掛けたリファラの民に尋ねます。
 リファラの民はリリが元気なのが嬉しいのか、終始ニコニコ笑顔が止みません。

 「この国の窮地を他国の兵士さん達とモンスター達が助けてくれた話は聞いたんだよね?」
 「ええ。絵本も読ませて貰ったわ。とっても感動した」
 「うん。私も捕まって強制就役をさせられていたんだけどね、解放戦線の最中に盾にされてしまったんだ」
 「まあ!大丈夫なの!?怪我は!?」
 「ははは。全然。擦り傷も無いさ。
 って言うのも私はそこの獅子型のモンスターのレオ君に助けられてね。寧ろ私を盾にした人の方が大変そうだったんだよ」
 『折角助けたのにその人間を助けようとした時には度肝を抜かれたぞ』
 「あら。だって誰だって痛いのも苦しいのも嫌じゃないさ」
 聞けば聞く程信じられない出来事の連発だった様子に、リリも心配するより呆気に取られてしまいました。
 流石に悪い人を助けようとした例は少ないものでしたが、それでもチラホラいたのにはビックリです。
 三巳もその強く優しい心に終始感動の涙が止まりません。

 「それじゃあその人も助かったのね」

 リリまで悪い人の心配をしだしました。
 思えばとても辛い目に遭ったのに、怯えはしても一度も元婚約者達への恨み言を聞いた事がありませんでした。
 恨み辛みは連鎖をします。途中で断ち切るのは並みの勇気と努力では出来ない事でしょう。
 三巳は改めてリリに尊敬の眼差しを向けました。
 その感動も人垣を縫って現れた第三者によって又しても驚愕に彩られます。

 「本当にその節は何とも申し訳なく。一生頭が上がらない思いです」

 何と。助けられた元悪い人は今ではリファラの優しやに心酔し、改心の気持ちを込めてリファラの復興に力を尽くしていたのです。

 「何言ってんのさ。あんたの元の国は強い者が正義だったんだろ?それなのに弱い私達の為に一番辛い仕事を請け負ってくれてるじゃないさ。こっちこそ感謝してるよ」

 豪快に笑う女性に吊られて噴水広場は明るい笑い声で溢れました。
 三巳はそれをとてもとても眩しそうに目を細めます。

 「それで助けられる民が増えて行くと次第にモンスターの声が聞こえる人達が出始めてね。
 初めは何処そこにいるって、誰かの声がして、行ってみればモンスターに抱えられた人がいたんだ。でもその人以外いなくて、じゃあさっきの声は誰だったんだ?と思った矢先にそのモンスターからこの人をよろしくって聞こえて、やっとモンスターの声だったんだって気付いたんだよ。
 当時は助け出すのに夢中で驚く暇もなかったけど、そういえば普通は聞こえないもんだよねぇ」

 しみじみ話すリファラの民達が其々の思い出秘話を語り合います。そのどれもが似たり寄ったりで、混乱の最中に気付いたら言葉が通じる様になっていたというものでした。
 けれどそのお陰でリファラの民の被害は最小限に抑えられたらしく、リリは改めてモンスターのみんなに深くお礼を言いました。

 日も暮れて空に星々が見え始めた頃までお互いの近況報告は続きます。そして「さあ今日は暗い。帰ろうか」とした所で誰かがポツリと言いました。

 「折角姫様も戻られたし、今夜は宴をしたいものだな」

 小さい声だった筈のその願望は、瞬く間に同意を経て広がりを見せていきます。

 「そうだよ!今夜は記念日だ!街中に報せよう!」

 そしてあっという間に宴を開く事は決定事項になったのです。

 「うーにゅ。ここの国民性。山の民達に通じるものがあるんだよ」
 「ははっ、本当だね。別の国でみんな知らない人達なのに、なんだかとっても落ち着くや」
 「それな」

 三巳とロダはすっかり気の抜けた顔で空の星々を見上げます。
 遠い地で、山の民達も同じ空を見ているのだろうか。と思いをはせて。
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