獣神娘と山の民

蒼穹月

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本編

復興のお手伝い?

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 三巳は今、リリともロダとも別れて建築現場に来ています。

 「うーにゅ。三巳は建築関係は手をつけた事ないから指示が欲しいんだよ」
 「指示ってもなー。俺達も建築関係は門外漢だから取り敢えず住める家さえ出来りゃ良いんだがよ」
 「大工は手が足りてないのか」
 「そういうこってい。なにせこの有り様よ。開放されてからコツコツやっててもまだ半分も出来ちゃいねぇ」
 「家ばっか作ってる訳にもいかないしな」

 指示できる人達はみんな大きな建物に携わっていて三巳にまで手がまわりません。
 仕方がないから三巳は持ち前の身体能力を使って木材の運搬と加工のお手伝いを始めました。
 初めて日曜大工的な工程をする三巳は、それがとても新鮮で、DIYを趣味とする人達の気持ちがとても良くわかりました。

 「丸太~の皮~を剥いて~♪むきっむきっむきっ♪
 剥い~た丸太~の表面~をならすよ~♪しゃっしゃっしゃっ♪」

 テンション上げ上げになった三巳はいつもの調子っ外れな歌を歌いながら作業に没頭しています。
 切り倒して干されていた大きな丸太をヒョイと持ち上げて、広い作業場でソッと下ろしてまずは皮剥きします。皮が無くなったらデコボコしている表面を風刃魔法で平にしたら次の工程は別の人にバトンタッチです。
 軽快な足取りで次々と成形された丸太を作り出す三巳に、周りの漢達もビビビっと触発されました。
 野太い声で豪快な歌を響かせて、まるでミュージカルの様に流れ作業をこなしていきます。それはもう、ウッカリ三巳の歌声が掻き消えてしまう位の大音量になりました。

 「にゃはー。なんだかとっても生きてるー!って感じだ♪」

 その生命力溢れる輝く命達に、三巳の神力は研ぎ澄まされて、ドンドンと元気が溢れ出してきます。
 ウズウズ。ウズウズ。三巳の耳と尻尾が落ち着きなく揺れています。
 ウズウズ。ウズウズ。けれども今はお手伝い中です。三巳は一生懸命我慢している顔をしています。
 ウズウズ。ウズウズ。けれども三巳の我慢は保ちません。

 「ふな―――!!」

 到頭我慢がはち切れた三巳はその場で大きく踊り出してしまいました。
 耳をピーン!と立たせ、尻尾はクルクルリと踊りに合わせて縦横無尽に動き回ります。

 「「「あははは!」」」

 作業をほっぽり出して急に踊り出した三巳に、けれどもみんなは怒るどころか大口開けて楽しく大笑いしました。

 『こりゃいいや!やる気が満ちてくらぁ!』
 「だな!やあ三巳ちゃんよ、そのまま踊って場を盛り上げてくれ!」

 そして囃し立てる人やモンスター達に、三巳はニコーっと満面の笑顔を咲き誇らせます。

 「にゃはははははっ!」

 嬉しくって楽しくって、みんなの歌に合わせてピョンピョコひらりと飛び跳ね踊ります。そして気付かないうちに三巳からは燐光が漏れ出てしまいました。
 折角隠していた神力ですが、夢中になって踊る三巳は気付きません。

 「にゃはっ!ひふふー♪」

 けれどもみんなはそうもいきません。
 ザワリ。ザワザワリとさざなみは広がり歌も作業の手もピタリと止まってしまいました。

 「うにゅ?」

 流石に歌が止んでは三巳も気付きました。
 キョトリと首を傾げてキョロキョロ辺りを見回します。
 視線が自分に集中しているのにビクリと毛を逆立てると、どうしたものかと自分の体を確認しました。

 「ふにゃ―――!?」

 そうしてやっとこ漏れ出た神力に気付いた三巳は、ピョーンと高く高く飛び上がって屋根の上に隠れてしまいました。

 「どどどどどーしよー!?」

 暫く狼狽え右往左往していた三巳ですが、起こってしまった事は取り返せません。
 一度遠い目で気を遠くにやって、ふと自嘲の笑みを漏らした三巳は、

 「まーいっか」

 開き直りました。

 「リリの国の人達だし。モンスターとも仲良しだし。大丈夫だろ。多分!」

 屋根の上からチラリと広場を覗くと、下ではみんなが隠れてしまった三巳を呼び戻そうと色々やっていました。
 ある人は魚を焼いて匂いを送っていたり、ある人は漫画肉を焼いて匂いを送っていたり、ある人は三巳の姿が見えた途端「ちっちっちっ」と猫を呼び寄せる動作をしていたり。あまりに神様相手にしている風でないリファラの民達に、三巳は可笑しくってケラケラ笑ってしまいます。

 「好きだなー。リファラ!」

 三巳はもう一切を気にしませんでした。
 ピョーンと飛び降りた三巳は、一目散に「ちっち」とやっていた人の懐にタックルしました。
 「ちっち」としていた人は「う゛」と呻きましたが、スリスリ頭を擦り付ける三巳にほにゃんと相合を崩します。

 「はははっ、甘えん坊だな。三巳ちゃんは」
 「ふひひー♪」

 撫でろ撫でろと言わんばかりに耳をピクピクさせて擦り寄られ、「ちっち」としていた人だけでなく、近くにいた人達も一緒に頭の毛並みを撫で撫でしてくれました。
 他所の国二つ目にして二日目で、三巳はもうすっかり神力を隠すのを止めるのでした。
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