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本編
街の散策
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建設工事もひと段落して、後は本業の大工さんでないと出来ない事だけになりました。
簡単な建築や補修をしていた人達も、今はもう其々本来の仕事に戻っていきました。
モンスター達も興味のある場所に職場体験を始めています。復興に手を貸していただけかと思いきや、本格的にリファラの民と共存を始めるのだとか。
『俺達モンスターは基本肉食だ。本来なら人族は食の対象なんだがな』
三巳の山でもやっとこタウろんと橙が移り住んだ所です。それがどれ程難しい事か三巳にはわかっていました。
「それでもリファラの民には手を出さないんだな」
『ああ。ここはあの子の故郷だから。俺達にとっても特別なんだよ』
「……それは、意思を通わせられるからか?」
三巳はリリを見てずっと思っていました。
森の動物達に好かれ、意思を通わせるなんて、まるで白雪姫やシンデレラの様です。違うのは意地悪だったのが継母では無く、王子様だった事でしょうか。
『それも有る。だが、あの子の特異性はそれだけでは無い。あの子の手は我々に癒しをもたらしてくれるのだ』
「うん。それは、三巳もわかる」
リリの撫で撫では極楽浄土です。三巳の本性も獣です。良く撫で撫でして貰っていたので身に染みて理解出来ました。
「ここを守る事がリリにとっての救いになるからか」
『そういう事だ』
そんな訳で今はお手伝い出来る仕事が無い三巳は、理の変動を具に見ようと散策を始めました。
ロダが手伝っている大型建設現場は、危ない為に関係者以外立ち入り禁止です。三巳は商店街予定地である中心付近をグルリと回る形で歩きます。
予定地周辺にはポツポツと露天が有り、様々な物が売っています。
「にゃんと。モンスターのお姉さんが店番してるんだよ」
そして露天の殆どが様々な種族のモンスターで構成されていました。
三巳はその内の野菜屋さんの前に行きます。そこではリザード型のモンスターのお姉さんが店番をしていました。
『あら獣神様じゃないかい。何か買ってくかい?』
「やあ。教えて欲しいんだけど、旅人やロダが来たら言葉が通じないんじゃないのか?」
『それなら大丈夫。あたし達は言葉がわかるし、文字を習得したから筆談で何とでもなるのさ』
「にゃる程ー」
その前に他所から知らずに来た人達は怖くて近寄りませんが、三巳にとってはみんな気の良い友達なのでそこまでは思い至りませんでした。
「それじゃー何か買おうかな。……山のとはまた違った野菜ばかりなんだよ……」
早速お客さんになろうと覗き込みましたが、並べられたのはどれも見た事のない物ばかりでした。
カラフルな食材は目に見て楽しいですが、料理法を知りません。三巳はショモリと耳を垂らしました。
「考えたらお国柄で違う食材は地球でも当たり前だったんだよ」
ふと海外旅行をした時に堪能した露天市場を思い出しました。あの時は面白半分でお土産にいくつか買いましたが、この世界では食材は貴重です。無駄には出来ないぞと腕を組んで考え込みました。
『レシピが分からないならハンナに聞けば教えてくれるんじゃないかい?』
「むむ?そうだな。その通りだな。三巳はお勉強中の身だからな。知識を増やすのは良い事なんだよ」
三巳は名案だと尻尾をバシバシ叩こうとしましたが、食べ物の前だと気付いて我慢しました。代わりに尻尾の先がフワリフワリと揺れています。
「それじゃー端から端まで適量ください!」
『っぷ、あはは!適量って!良いんだけどね。何人分だい?』
「んっとー。三巳とーリリとーロダとーネルビーとーハンナだからー……5人分!」
指を一本づつ上げて数えた三巳は、パーの形でリザードっぽいお姉さんに見せて伝えます。
『はいよ。5人分だね』
リザードっぽいお姉さんは慣れた手付きで幾つかの袋にわけて入れてくれます。
三巳は袋を受け取ると、「ありがとう」と二パリと笑ってお礼を言いました。
大きな荷物を持った三巳は、そのままハンナを探して歩きます。ハンナはいつでもリリと一緒なのでリリに会いに行けばきっと会えます。
三巳はどんな料理になるのか、想像を膨らませるだけで涎を垂らすのでした。
簡単な建築や補修をしていた人達も、今はもう其々本来の仕事に戻っていきました。
モンスター達も興味のある場所に職場体験を始めています。復興に手を貸していただけかと思いきや、本格的にリファラの民と共存を始めるのだとか。
『俺達モンスターは基本肉食だ。本来なら人族は食の対象なんだがな』
三巳の山でもやっとこタウろんと橙が移り住んだ所です。それがどれ程難しい事か三巳にはわかっていました。
「それでもリファラの民には手を出さないんだな」
『ああ。ここはあの子の故郷だから。俺達にとっても特別なんだよ』
「……それは、意思を通わせられるからか?」
三巳はリリを見てずっと思っていました。
森の動物達に好かれ、意思を通わせるなんて、まるで白雪姫やシンデレラの様です。違うのは意地悪だったのが継母では無く、王子様だった事でしょうか。
『それも有る。だが、あの子の特異性はそれだけでは無い。あの子の手は我々に癒しをもたらしてくれるのだ』
「うん。それは、三巳もわかる」
リリの撫で撫では極楽浄土です。三巳の本性も獣です。良く撫で撫でして貰っていたので身に染みて理解出来ました。
「ここを守る事がリリにとっての救いになるからか」
『そういう事だ』
そんな訳で今はお手伝い出来る仕事が無い三巳は、理の変動を具に見ようと散策を始めました。
ロダが手伝っている大型建設現場は、危ない為に関係者以外立ち入り禁止です。三巳は商店街予定地である中心付近をグルリと回る形で歩きます。
予定地周辺にはポツポツと露天が有り、様々な物が売っています。
「にゃんと。モンスターのお姉さんが店番してるんだよ」
そして露天の殆どが様々な種族のモンスターで構成されていました。
三巳はその内の野菜屋さんの前に行きます。そこではリザード型のモンスターのお姉さんが店番をしていました。
『あら獣神様じゃないかい。何か買ってくかい?』
「やあ。教えて欲しいんだけど、旅人やロダが来たら言葉が通じないんじゃないのか?」
『それなら大丈夫。あたし達は言葉がわかるし、文字を習得したから筆談で何とでもなるのさ』
「にゃる程ー」
その前に他所から知らずに来た人達は怖くて近寄りませんが、三巳にとってはみんな気の良い友達なのでそこまでは思い至りませんでした。
「それじゃー何か買おうかな。……山のとはまた違った野菜ばかりなんだよ……」
早速お客さんになろうと覗き込みましたが、並べられたのはどれも見た事のない物ばかりでした。
カラフルな食材は目に見て楽しいですが、料理法を知りません。三巳はショモリと耳を垂らしました。
「考えたらお国柄で違う食材は地球でも当たり前だったんだよ」
ふと海外旅行をした時に堪能した露天市場を思い出しました。あの時は面白半分でお土産にいくつか買いましたが、この世界では食材は貴重です。無駄には出来ないぞと腕を組んで考え込みました。
『レシピが分からないならハンナに聞けば教えてくれるんじゃないかい?』
「むむ?そうだな。その通りだな。三巳はお勉強中の身だからな。知識を増やすのは良い事なんだよ」
三巳は名案だと尻尾をバシバシ叩こうとしましたが、食べ物の前だと気付いて我慢しました。代わりに尻尾の先がフワリフワリと揺れています。
「それじゃー端から端まで適量ください!」
『っぷ、あはは!適量って!良いんだけどね。何人分だい?』
「んっとー。三巳とーリリとーロダとーネルビーとーハンナだからー……5人分!」
指を一本づつ上げて数えた三巳は、パーの形でリザードっぽいお姉さんに見せて伝えます。
『はいよ。5人分だね』
リザードっぽいお姉さんは慣れた手付きで幾つかの袋にわけて入れてくれます。
三巳は袋を受け取ると、「ありがとう」と二パリと笑ってお礼を言いました。
大きな荷物を持った三巳は、そのままハンナを探して歩きます。ハンナはいつでもリリと一緒なのでリリに会いに行けばきっと会えます。
三巳はどんな料理になるのか、想像を膨らませるだけで涎を垂らすのでした。
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