獣神娘と山の民

蒼穹月

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本編

オーウェンギルド長と話してみよう

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 オーウェンギルド長は、ハンナが慕っているらしい強い人です。
 ハンナはリリを育て上げた侍女頭だけあって、高い背筋をピンと伸ばした大人の女性です。本人には聞けませんが歳はもう小中学生位の子供がいても可笑しくはありません。
 そんな人が慕う男性。それもギルド長と言うなんだか凄そうな役職の人です。イメージは紳士なスーパーマンでした。
 リリとロダは改めて紹介されたオーウェンギルド長をマジマジと見ました。

 「確かに物凄く強い覇気を感じる」
 「でも嫌な感じではないわ」

 強そう。と言う点では間違いでは無さそうです。
 けれども二人が最終的に到達した視線の先は、ロダより少し低い所でした。
 そうです。オーウェンギルド長はとっても背が低かったのです。
 ハンナと並び立つと親子ほどの差があります。

 「ああ。こう見えても俺は38だ。先祖にドワーフがいたらしくてな、先祖返りってやつさ」
 「ドワーフ!うわー初めて会った!」
 「おいおい、俺は背だけ先祖返っただけの人族だぞ」

 ドワーフの血ならば然もありなん。ロダは目をキラキラさせてオーウェンギルド長を見ました。
 オーウェンギルド長も否定はしますが、子供に憧憬の眼差しで見られるのは満更でもなさそうです。

 「それで、俺を探したのは今朝の話しの件か?獣神の」
 「そうなんだよ。あと三巳は三巳だよ」

 話しの本題が始まった所で三巳はしょげしょげモードから素早く復帰しました。

 「おう。獣神の」
 「だから……三巳なんだよ……」
 「おう。暴走獣神の」
 「ぼ、ぼうそーじゅーしん……」

 どうにもオーウェンギルド長は三巳に対して辛辣です。それでもやっぱり面白がっている節が見えるので、三巳はもう何も言わずに話しを進める事にしました。

 「と言うわけで、三巳達はこの国を襲おうとしてる人達とちゃんと話しをしたいんだよ」

 大雑把に此処に至るまでの経緯を説明した三巳は、達成感でムフンと鼻息を漏らしました。余りの大雑把さに途中途中でリリに補足をして貰っていたのはご愛嬌です。

 「まあ、話しはわかった。つっても俺達は俺達の流儀がある。話し合いで平和に終わりゃあ良いけどよ、そうでなけりゃこっちのやり方でやらせて貰うぜ」
 「うん。そうならない様に頑張るんだよ」
 「そうね。これ以上心を痛める人が増えない様に頑張るわ」

 何とか怖い事は避けられそうで、三巳とリリはホッと胸を撫で下ろしました。
 オーウェンギルド長はそんな二人を見て苦笑いします。

 (戦争ふっかける様な国の奴と話し合いなんざ難しいと思うがね。
 まあ、珍しく獣神が人様の理に首突っ込んでるから姫さんは大丈夫たぁ思うがな。
 問題は次に暴走が起きた時の為に最高ランクの冒険者を集めとかねぇとな)

 オーウェンギルド長はギルド長に任命されるだけあって沢山の経験をしてきました。
 中でも神の名がつく者達の厄介さは身に染みて良くわかっています。しかも三巳はつい先程暴走をしてしまったばかりです。
 信用はまるでありませんでした。
 そう、オーウェンギルド長はずっと三巳を警戒していたのです。
 三巳は勿論気付いていました。けれども起こしてしまった事を思えばそれも仕方がないと理解をしています。挽回は行動で起こすしかありません。

 「よーし!そうと決まれば早速……そう言えばなんて国の人達なんだ?」

 意気込み新たに両拳を天に突き上げて気合いを入れる三巳ですが、肝心の事がまるでわかっていませんでした。
 みんな一様に気合いに乗っかる気構えだっただけに、急な間の抜けた空気にヘナヘナと脱力しました。

 「っぷは、三巳は相変わらず見切り発射だね」
 「ふふっ。そこも三巳の可愛い所よ」
 「おいおい、大丈夫かね。こんなんで……」

 慣れてる面々は兎も角。初見のオーウェンギルド長は神らしからぬ三巳に別の意味で不安が過ぎりました。

 「大丈夫です。姫様が選んだ大切なご友人ですもの」

 それをハンナは胸を張って自慢気に断言しました。

 (凄い自信だな。ふむ、まあ、うん。この侍女頭さんが言うんだ。少しは信じてみようかね)

 取り敢えず目的地がわからない三巳は、情報を集める事から始めるのでした。
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