獣神娘と山の民

蒼穹月

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本編

三巳、帰宅する

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 そんなこんなで殆ど背が伸びなかった三巳は山に帰ってきました。
 結界を超えた瞬間、一陣の風が三巳達を優しく出迎えます。

 「ただいまなんだよ」

 風と共に現れた純白の毛並みに、三巳はダイブしてしがみ付きました。

 『おかえり三巳』

 三巳の頭を胸のモフ毛に埋めたまま、母獣はワサワサ揺れる三巳の尻尾の毛並みをグルーミングしました。

 「おかえり僕の三巳。また随分と可愛らしさに磨きがかかったね」

 一緒に連れてきてもらったクロが横から抱きしめて言いました。

 「父ちゃんただいま」

 三巳も抱き締め返してクロのお腹に顔を埋めます。

 『ぬ。まだ小さいな』

 その頭上から見下ろした母獣がヒスヒス匂いを嗅ぎながら言いました。

 「うぐぅ。やっぱり全然大人になれてないのか……?
 何が足りないんだ?三巳はもう無意味に怖がるの止めたし、ぷんぷんムキーってなるのも頑張って我慢してるのに……」

 項垂れた三巳は、耳も尻尾もぺターンと垂れ下げ涙目です。
 そのほっぺをペロリと舐めた母獣は、『ふぅむ』と唸り声を上げました。

 『いや、成る程面白い。
 見た目は変わらぬのに確かに成長をしておる様だな。それ、そこなリリと同じだけは成長しておる。なのに見た目は変わらぬとはの』

 クツクツと犬歯を剥き出しにして笑われて、2回も同じ事を言われた三巳は胡乱な目で母獣を見上げました。

 「結局どういう事なんだよ?三巳はもう社会勉強終わりで良いのか?」
 『因みに最後に本性に戻ったのはいつだ?』

 含みを持った言われ様に、三巳は片眉と片耳をピコンと上げます。

 「うにゅ……、最後……最後……リファラに行った時だな」

 三巳にとっては最近の事の筈なのに、もう遠い過去の様に感じます。

 『では今なってみよ』

 母獣に言われ、目をパシパシ瞬かせた三巳は、安全マージンをしっかり取ってブルリと一震えしました。

 『うにゃ!?にゃわわっ!』

 そして久し振りとなった姿故か、それとも知っている視界の高さと違う故か、本性を表した途端三巳は狼狽えてたたらを踏みました。

 「凄いわ!三巳!凄モフ!」

 いの一番に感激の声を上げたのはリリです。

 「何だ。ちゃんと成犬(?)になってたんだ」

 安堵して言ったのはロダです。

 『オレはちゃんとわかってたぞ!』

 本当にわかってたかどうか怪しいけど、ネルビーはドヤ顔です。

 「まあ!宜しかったですわ。三巳様はとっても頑張っておいででしたものね」

 満面の笑みで褒めてくれるのはハンナです。

 「おや。新しいお友達かい?
 やあ今日は、僕は三巳の父親でクロと言う。これからもうちの子と仲良くしてあげて欲しい」
 『おお。知らぬ匂いがあるとは思ったが、ふむ。結界にも拒まれぬ良い御仁の様だな。我が子と良しなに頼むぞ』

 三巳が呆けている間に足元では両親が新しい友達に挨拶です。
 内心では大人なつもりの三巳としては恥ずかしい一幕の筈ですが、今の三巳には自分の身に起きた変化を受け入れるのにそれどころでは無いのでした。

 そりゃ、知らない間に家位の大きさから大きな楠木位成長していれば、ビックリもするでしょうね。
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