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本編
三巳の巡回とあの時の木と
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朝の空気がヒンヤリ冷たくて、お布団から顔を出すのが辛くなってきました。
特に特性が猫さんのクロはピッタリと母獣に寄り添ってお布団をこんもり山にして出て来ません。お布団からは母獣の尻尾がワサワサ揺れて喜びを表しています。
『冬はクロが近い。良い季節と言うものよのう』
お布団の中ではニヤリと笑みを深める母獣が丸まるクロのお顔をペロリと舐めました。
「母ちゃんも父ちゃんも起きないのか?」
とっくに起きていた三巳はこんもりお布団の隙間からクロを探して覗きます。
「ああ三巳、おはよう。ごめんよ、私は寒いのは苦手でねぇ。もう少しお日様が高くなったら起きるよ」
「そっかー。三巳出掛けるからご飯は2人で食べてなー」
ふすんと諦めの鼻息を漏らした三巳は今日は1人で山の巡回をしようとお家を後にしました。
山に帰って月日は経ちましたが、広い領域なので全ての見回りが出来ていません。今日も散策がてら山の変化を調査開始です。
「昨日はあっち見たから今日はこっちにしよう」
指差し確認して行く方向を決めたら鼻歌を歌いながら進みます。歌の調子に合わせて動く耳と尻尾は、通りすがりに見た人の心を和ませてくれています。
「やっぱりこの山は三巳がいた方がしっくりくるってもんだな」
「んだんだ。この外れた歌を聴くと山だなーって思うだ」
ニッコリニコニコ朗らかに。朝の村に温かみがさして来ます。
そんな山の民達を知ってか知らずか、楽しくなった三巳はクルンと踊りまで始めました。
「ずん♪ずんたか♪ずんずん♪ゆこー♪」
「やあやあおはよう♪何処行くの?♪」
踊りながらも進んでいると飛んでた橙の妖精のだいやんがクルリと旋回して三巳の踊りに混ざってきました。パタパタ羽ばたく透明の翅からキラキラ光る妖精の粉が螺旋を描いて綺麗です。
「だいやん!おはようなんだよ。三巳はあっちに行くんだよ」
指差し教える三巳に、だいやんはその先を体ごと視線で追いました。両手を目の上に当てて遠くを見通します。
「あっち?あっちは最近何だか空気が澄んでる方向だね」
「およ?あれって最近なのか?てっきり母ちゃんが何かしてたのかと思った」
「いんや、あの獣神様は初めに結界を強化した以外は日常的な事しかしてないよ」
結界の強化は初めて三巳とクロとか対面したあの日にしてくれた事です。山に住む生き物達が健やかである様に力を足してくれていたのです。
「んんんー?三巳は母ちゃんが何かしてたなら大丈夫だって思って後回しにしちゃってたんだよ。これはちゃんと見に行った方が良いな」
「そう言う事ならオイラも同伴するってもんだ。これでも妖精だからね。自然界の事なら見ときたい」
「おおっ、それなら一緒するんだよ♪」
こうして三巳はだいやんを仲間に入れて更に先へと進みます。
「ずん♪ずかずか♪たったかたーのたー♪」
「木ネジ蔓バネ花ボタン♪飛べば出会う大自然♪」
調子っ外れな歌声に妖精の歌声も重なり賑やかさが増しています。
踊る三巳に妖精の粉をキラキラ光らせるだいやんは、更に山の民達の目を和ませてくれています。
『三巳!橙!おはよう!おはよう!』
そこへたったかたー!とネルビーが駆け寄って来ました。興奮高らかに三巳の周りをグルグル駆け回ります。
「おはようなんだよ」
「やあやあおはよう。今日も元気だね」
『ふふん♪おれ、強化魔法で寒くない!だから強い!』
何を以ってして強いのかは今一分かりませんが、ドヤ顔で胸を張るネルビーは大変可愛らしいです。
「もふぅ」
「もふふぅ」
思わずその胸毛に手を突っ込んでわしゃしゃしゃー!と撫で回す位に可愛らしいです。
『三巳達は何してたんだ?』
ひとしきり撫でられて満足したネルビーが聞きました。そして三巳がだいやんにしたのと同じ話を返します。
『そう言う事ならおれも行くぞ!リリの安全はおれが守る!』
こうして三巳はネルビーを仲間に入れて更に先へと進みます。村の外れの森の中、
「ずん♪ずん♪ぽーん♪てってけてーのてー♪」
「木の実蔓芋花の蜜♪美味しい自然のオヤツ界♪」
『わん♪おんおん♪わおーん♪おん♪』
調子っ外れな歌声と妖精の歌声と遠吠えまで加わり大合唱です。
踊って飛んで跳ねる一行に、通りすがる山の生き物達が遠巻きに体を揺らして楽しんでいます。
『おはようございます三巳様。とても楽しそうですね』
そこへバサー!バサー!と大きな翼を羽ばたかせたサラマンダーのサラちゃんがやってきました。大きな体では森に入れないので木の上から「こんにちは」をしています。
「おはよう!皆でお歌歌うの楽しいんだよ♪」
『それはようございました』
尻尾をバッサバッサと振りまくる三巳の姿に、サラちゃんもニッコリ目を細めて頭を垂らします。垂らしても上からなので垂らしたってわかりませんが。
『皆さんでお散歩ですか』
サラちゃんがバササー!と翼をはためかせて聞きました。そしたら大きな翼なのでとっても強い風が起きてだいやんがひゅーん!と飛ばされてしまいました。
「うわ――――!?」
「だいや――――ん!」
声を上げて遠ざかるだいやんに三巳は慌てて手を伸ばします。
「楽しい~~~~♪」
ですが流石は妖精さんです。ヒューンコロコロと飛ばされたのが面白くてキャラキャラ笑っていました。
「お、おー……無事なら良かったんだよ」
手だと間に合わなかったので尻尾で見事にキャッチした三巳が苦笑いでだいやんを頭に乗せました。
「飛ばされないよーに捕まっててなー」
「はーい♪」
だいやんは片手はしっかり三巳の毛に捕まり、もう片手を上げて元気良くお返事します。
「そんでサラちゃん体のサイズ変えらんないのか?母ちゃんみたく。出来るならちっちゃくなって降りて来てくれー」
「は、はい……」
対してサラちゃんはしょぼんと項垂れて反省しています。直ぐに炎に身を包むと徐々に炎が小さくなって、ポッと消えてしまいました。そして三巳の前にポッと小さな炎が灯り掻き消えると、そこには小さな、とはいえ三巳のお顔と同じ位の大きさの赤いドラゴンがいました。
「おおー!サラちゃん可愛い!」
『み、三巳様!?おやめくださいっっ』
ぎゅーと抱き締めるのに丁度良いサイズになったサラちゃんに、三巳は大興奮で両手で抱えます。頬擦りまでしてくる三巳にサラちゃんは、先っぽに火が灯る尻尾をアタフタ振って狼狽えています。
「にゅふー。サラちゃんあったかいしこのまま一緒に行こう」
『お好きな様にお連れください……』
ご機嫌に尻尾を振る三巳に反して、サラちゃんは尻尾をグッタリ垂らして疲れた顔をしています。
こうして三巳はサラちゃんを仲間に入れて更に先へと進みました。
「ずん♪ずんたか♪ずんずん♪歩こ♪」
「甘~い匂いに誘われて♪」
『わぅ~♪わふわふ♪ぷんすぴんすぷ~♪」
三巳が調子っ外れに歌い、だいやんが妖精の歌を歌い、ネルビーが鼻を鳴らして進みました。サラちゃんは大人なので大人しく三巳達の歌声を聴いています。よく見ると尻尾の炎がお歌に合わせて大きくなったり小さくなったりしていますが、誰も気付きません。
「はわ!?」
そうこうしている内に森の出口が近付いて、木々の隙間から見えてきたものに三巳はビックリ仰天飛び上がりました。
「これは……!」
思わず駆け出した三巳をネルビーが慌てて追い掛けます。
『どうした!?』
隣を駆けながら問い掛けるネルビーに、三巳は真っ直ぐ前を向いたまま答えます。
目に映るのは立派に育った木です。
大きさは某テーマパークのクリスマスツリー位あります。
「あの木!前に三巳が倒しちゃった筈の木なんだよ!」
そうです。辿り着いた場所は数年前に変身ブーム中の猫三巳が爪研ぎで削り倒してしまった筈の木のある所なのでした。
特に特性が猫さんのクロはピッタリと母獣に寄り添ってお布団をこんもり山にして出て来ません。お布団からは母獣の尻尾がワサワサ揺れて喜びを表しています。
『冬はクロが近い。良い季節と言うものよのう』
お布団の中ではニヤリと笑みを深める母獣が丸まるクロのお顔をペロリと舐めました。
「母ちゃんも父ちゃんも起きないのか?」
とっくに起きていた三巳はこんもりお布団の隙間からクロを探して覗きます。
「ああ三巳、おはよう。ごめんよ、私は寒いのは苦手でねぇ。もう少しお日様が高くなったら起きるよ」
「そっかー。三巳出掛けるからご飯は2人で食べてなー」
ふすんと諦めの鼻息を漏らした三巳は今日は1人で山の巡回をしようとお家を後にしました。
山に帰って月日は経ちましたが、広い領域なので全ての見回りが出来ていません。今日も散策がてら山の変化を調査開始です。
「昨日はあっち見たから今日はこっちにしよう」
指差し確認して行く方向を決めたら鼻歌を歌いながら進みます。歌の調子に合わせて動く耳と尻尾は、通りすがりに見た人の心を和ませてくれています。
「やっぱりこの山は三巳がいた方がしっくりくるってもんだな」
「んだんだ。この外れた歌を聴くと山だなーって思うだ」
ニッコリニコニコ朗らかに。朝の村に温かみがさして来ます。
そんな山の民達を知ってか知らずか、楽しくなった三巳はクルンと踊りまで始めました。
「ずん♪ずんたか♪ずんずん♪ゆこー♪」
「やあやあおはよう♪何処行くの?♪」
踊りながらも進んでいると飛んでた橙の妖精のだいやんがクルリと旋回して三巳の踊りに混ざってきました。パタパタ羽ばたく透明の翅からキラキラ光る妖精の粉が螺旋を描いて綺麗です。
「だいやん!おはようなんだよ。三巳はあっちに行くんだよ」
指差し教える三巳に、だいやんはその先を体ごと視線で追いました。両手を目の上に当てて遠くを見通します。
「あっち?あっちは最近何だか空気が澄んでる方向だね」
「およ?あれって最近なのか?てっきり母ちゃんが何かしてたのかと思った」
「いんや、あの獣神様は初めに結界を強化した以外は日常的な事しかしてないよ」
結界の強化は初めて三巳とクロとか対面したあの日にしてくれた事です。山に住む生き物達が健やかである様に力を足してくれていたのです。
「んんんー?三巳は母ちゃんが何かしてたなら大丈夫だって思って後回しにしちゃってたんだよ。これはちゃんと見に行った方が良いな」
「そう言う事ならオイラも同伴するってもんだ。これでも妖精だからね。自然界の事なら見ときたい」
「おおっ、それなら一緒するんだよ♪」
こうして三巳はだいやんを仲間に入れて更に先へと進みます。
「ずん♪ずかずか♪たったかたーのたー♪」
「木ネジ蔓バネ花ボタン♪飛べば出会う大自然♪」
調子っ外れな歌声に妖精の歌声も重なり賑やかさが増しています。
踊る三巳に妖精の粉をキラキラ光らせるだいやんは、更に山の民達の目を和ませてくれています。
『三巳!橙!おはよう!おはよう!』
そこへたったかたー!とネルビーが駆け寄って来ました。興奮高らかに三巳の周りをグルグル駆け回ります。
「おはようなんだよ」
「やあやあおはよう。今日も元気だね」
『ふふん♪おれ、強化魔法で寒くない!だから強い!』
何を以ってして強いのかは今一分かりませんが、ドヤ顔で胸を張るネルビーは大変可愛らしいです。
「もふぅ」
「もふふぅ」
思わずその胸毛に手を突っ込んでわしゃしゃしゃー!と撫で回す位に可愛らしいです。
『三巳達は何してたんだ?』
ひとしきり撫でられて満足したネルビーが聞きました。そして三巳がだいやんにしたのと同じ話を返します。
『そう言う事ならおれも行くぞ!リリの安全はおれが守る!』
こうして三巳はネルビーを仲間に入れて更に先へと進みます。村の外れの森の中、
「ずん♪ずん♪ぽーん♪てってけてーのてー♪」
「木の実蔓芋花の蜜♪美味しい自然のオヤツ界♪」
『わん♪おんおん♪わおーん♪おん♪』
調子っ外れな歌声と妖精の歌声と遠吠えまで加わり大合唱です。
踊って飛んで跳ねる一行に、通りすがる山の生き物達が遠巻きに体を揺らして楽しんでいます。
『おはようございます三巳様。とても楽しそうですね』
そこへバサー!バサー!と大きな翼を羽ばたかせたサラマンダーのサラちゃんがやってきました。大きな体では森に入れないので木の上から「こんにちは」をしています。
「おはよう!皆でお歌歌うの楽しいんだよ♪」
『それはようございました』
尻尾をバッサバッサと振りまくる三巳の姿に、サラちゃんもニッコリ目を細めて頭を垂らします。垂らしても上からなので垂らしたってわかりませんが。
『皆さんでお散歩ですか』
サラちゃんがバササー!と翼をはためかせて聞きました。そしたら大きな翼なのでとっても強い風が起きてだいやんがひゅーん!と飛ばされてしまいました。
「うわ――――!?」
「だいや――――ん!」
声を上げて遠ざかるだいやんに三巳は慌てて手を伸ばします。
「楽しい~~~~♪」
ですが流石は妖精さんです。ヒューンコロコロと飛ばされたのが面白くてキャラキャラ笑っていました。
「お、おー……無事なら良かったんだよ」
手だと間に合わなかったので尻尾で見事にキャッチした三巳が苦笑いでだいやんを頭に乗せました。
「飛ばされないよーに捕まっててなー」
「はーい♪」
だいやんは片手はしっかり三巳の毛に捕まり、もう片手を上げて元気良くお返事します。
「そんでサラちゃん体のサイズ変えらんないのか?母ちゃんみたく。出来るならちっちゃくなって降りて来てくれー」
「は、はい……」
対してサラちゃんはしょぼんと項垂れて反省しています。直ぐに炎に身を包むと徐々に炎が小さくなって、ポッと消えてしまいました。そして三巳の前にポッと小さな炎が灯り掻き消えると、そこには小さな、とはいえ三巳のお顔と同じ位の大きさの赤いドラゴンがいました。
「おおー!サラちゃん可愛い!」
『み、三巳様!?おやめくださいっっ』
ぎゅーと抱き締めるのに丁度良いサイズになったサラちゃんに、三巳は大興奮で両手で抱えます。頬擦りまでしてくる三巳にサラちゃんは、先っぽに火が灯る尻尾をアタフタ振って狼狽えています。
「にゅふー。サラちゃんあったかいしこのまま一緒に行こう」
『お好きな様にお連れください……』
ご機嫌に尻尾を振る三巳に反して、サラちゃんは尻尾をグッタリ垂らして疲れた顔をしています。
こうして三巳はサラちゃんを仲間に入れて更に先へと進みました。
「ずん♪ずんたか♪ずんずん♪歩こ♪」
「甘~い匂いに誘われて♪」
『わぅ~♪わふわふ♪ぷんすぴんすぷ~♪」
三巳が調子っ外れに歌い、だいやんが妖精の歌を歌い、ネルビーが鼻を鳴らして進みました。サラちゃんは大人なので大人しく三巳達の歌声を聴いています。よく見ると尻尾の炎がお歌に合わせて大きくなったり小さくなったりしていますが、誰も気付きません。
「はわ!?」
そうこうしている内に森の出口が近付いて、木々の隙間から見えてきたものに三巳はビックリ仰天飛び上がりました。
「これは……!」
思わず駆け出した三巳をネルビーが慌てて追い掛けます。
『どうした!?』
隣を駆けながら問い掛けるネルビーに、三巳は真っ直ぐ前を向いたまま答えます。
目に映るのは立派に育った木です。
大きさは某テーマパークのクリスマスツリー位あります。
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