190 / 372
本編
三巳の力と木の変化
しおりを挟む
森の中にポツンと広がる空間に、木が一本真っ直ぐお日様に向かって伸びています。
根本を見ても立派な太い幹と根が見えますが、この木が以前倒れてしまった跡は殆どわかりません。言われなければ気付かなかった事でしょう。
「成る程ー。確かにここん所が幹別れしてるね。でも確かに同じ木だ」
植物と共に育っただいやんが言うのだから過去に倒れた木と、今目の前に立つ木は同じ木です。
『三巳様のお力の残滓が見えますね』
「うぬ。三巳が倒しちゃったからな。早く元気になる様にゴメンねって気持ち込めて力を注いだんだよ」
『それでですね。この木は神気を内包しています』
「だねー。この子ってば半ば世界樹になりかけてる」
「そっかー。三巳の所為で世界樹に……。世界樹?」
だいやんのなんて事ない風な物言いに流しそうになった三巳です。けれど何かおかしい気がしてキョトンと首を傾げました。
やっぱり意味が分かってないネルビーもキョトンとシンクロしていて可愛らしいです。
『世界樹ってリリが良く読んでた絵本に出てたやつか?』
ネルビーがお座りして鼻を高く上げて思い出そうと必死になります。
「世界樹って世界を支える一本の木?」
三巳が地球の神話を思い出して反対に首を傾げます。
その1人と1匹の姿にだいやんはサラちゃんと顔を見合わせます。
「ネルビーの絵本は知らないよー。おいらこの山から出た事ないしね。
三巳の世界樹の認識って何処の誤情報さー。いやある意味支えてるのかもしれないけど世界樹って数は少ないけどそこそこ生えてるってもんだよ」
『ですね。私の知る限りでは現在世界に4本ありますね』
妖精種と精霊種共に良く知り得ていそうな物言いに、三巳は
(まー地球の世界樹は空想上のものだしなー)
と遠い目をして世界感の違いを感じました。
「それじゃあ世界樹って何なのか教えて欲しいんだよ」
「マナを生み出し世界に満たす循環機関で属性的には精霊族に近いかな?」
『世界樹はその同身体となる精霊が生まれて初めて世界樹となるのです』
「そそ。有名な所だとユグドラシルとかかなー」
『最古の世界樹と言われていますからね』
『マナって何だ?』
難しいお話にネルビーはポカンと口を開けて目を回しています。
三巳は苦笑してネルビーの頭をワシワシと撫でました。
「それ位は三巳でも知ってる。何物にも属さない、何物にもなれる純然たる見えざる力そのもの。で合ってるよな?」
知ってはいましたが世界樹の例があった為に念の為に確認します。
「あってるあってる~♪」
軽い調子で親指上げて答えてくれただいやんに、三巳はニコッとして頷きました。
「そっかー。この子ももしかしたらもしかするんだなー」
『三巳様のお膝元ですからね。ほぼ確定でしょう』
「うにゅ?三巳がいると何が違うんだ?」
「三巳って言うよりか神族って言った方が良いかな」
『良くも悪くも神々はそれ以外の種に影響を及ぼすのですよ』
だいやんとサラちゃんの言葉に三巳はそういうものかと思い、しかも今は母獣もいるからそうかもしれないとも思いました。そして改めて木を見上げます。
「あの時はごめんなさいなんだよ。元気に育ってくれてありがとうなんだよ」
もふりと尻尾を揺らして言うと、世界樹になりかけている木が「サワワ。サワサワワ」と揺れました。
「んへ。ありがとうなー」
『??何言われたんだ?』
木の揺れに合わせてお礼を言った三巳に、ネルビーが首を傾げて聞きます。
「んとなー、『私達は踏まれても、葉っぱが枯れても何度でも根っこからもっと強く大きくなれるから気にしないで』って言ってくれたんだよ」
「そーそ。植物は繊細なよーで案外強いのさ」
『無理矢理枯らそうとしない限りは何度でも甦る生命力を持っている』
『そうか!よくわかんないけど強いんだな!』
ネルビーが元気よく吠えると、木も合わせてサワサワ揺れるのでした。
「ところで三巳は良い企画考え付いたんだよ」
そしてポツリと漏らしたニヤリ顔三巳がいるのでした。
根本を見ても立派な太い幹と根が見えますが、この木が以前倒れてしまった跡は殆どわかりません。言われなければ気付かなかった事でしょう。
「成る程ー。確かにここん所が幹別れしてるね。でも確かに同じ木だ」
植物と共に育っただいやんが言うのだから過去に倒れた木と、今目の前に立つ木は同じ木です。
『三巳様のお力の残滓が見えますね』
「うぬ。三巳が倒しちゃったからな。早く元気になる様にゴメンねって気持ち込めて力を注いだんだよ」
『それでですね。この木は神気を内包しています』
「だねー。この子ってば半ば世界樹になりかけてる」
「そっかー。三巳の所為で世界樹に……。世界樹?」
だいやんのなんて事ない風な物言いに流しそうになった三巳です。けれど何かおかしい気がしてキョトンと首を傾げました。
やっぱり意味が分かってないネルビーもキョトンとシンクロしていて可愛らしいです。
『世界樹ってリリが良く読んでた絵本に出てたやつか?』
ネルビーがお座りして鼻を高く上げて思い出そうと必死になります。
「世界樹って世界を支える一本の木?」
三巳が地球の神話を思い出して反対に首を傾げます。
その1人と1匹の姿にだいやんはサラちゃんと顔を見合わせます。
「ネルビーの絵本は知らないよー。おいらこの山から出た事ないしね。
三巳の世界樹の認識って何処の誤情報さー。いやある意味支えてるのかもしれないけど世界樹って数は少ないけどそこそこ生えてるってもんだよ」
『ですね。私の知る限りでは現在世界に4本ありますね』
妖精種と精霊種共に良く知り得ていそうな物言いに、三巳は
(まー地球の世界樹は空想上のものだしなー)
と遠い目をして世界感の違いを感じました。
「それじゃあ世界樹って何なのか教えて欲しいんだよ」
「マナを生み出し世界に満たす循環機関で属性的には精霊族に近いかな?」
『世界樹はその同身体となる精霊が生まれて初めて世界樹となるのです』
「そそ。有名な所だとユグドラシルとかかなー」
『最古の世界樹と言われていますからね』
『マナって何だ?』
難しいお話にネルビーはポカンと口を開けて目を回しています。
三巳は苦笑してネルビーの頭をワシワシと撫でました。
「それ位は三巳でも知ってる。何物にも属さない、何物にもなれる純然たる見えざる力そのもの。で合ってるよな?」
知ってはいましたが世界樹の例があった為に念の為に確認します。
「あってるあってる~♪」
軽い調子で親指上げて答えてくれただいやんに、三巳はニコッとして頷きました。
「そっかー。この子ももしかしたらもしかするんだなー」
『三巳様のお膝元ですからね。ほぼ確定でしょう』
「うにゅ?三巳がいると何が違うんだ?」
「三巳って言うよりか神族って言った方が良いかな」
『良くも悪くも神々はそれ以外の種に影響を及ぼすのですよ』
だいやんとサラちゃんの言葉に三巳はそういうものかと思い、しかも今は母獣もいるからそうかもしれないとも思いました。そして改めて木を見上げます。
「あの時はごめんなさいなんだよ。元気に育ってくれてありがとうなんだよ」
もふりと尻尾を揺らして言うと、世界樹になりかけている木が「サワワ。サワサワワ」と揺れました。
「んへ。ありがとうなー」
『??何言われたんだ?』
木の揺れに合わせてお礼を言った三巳に、ネルビーが首を傾げて聞きます。
「んとなー、『私達は踏まれても、葉っぱが枯れても何度でも根っこからもっと強く大きくなれるから気にしないで』って言ってくれたんだよ」
「そーそ。植物は繊細なよーで案外強いのさ」
『無理矢理枯らそうとしない限りは何度でも甦る生命力を持っている』
『そうか!よくわかんないけど強いんだな!』
ネルビーが元気よく吠えると、木も合わせてサワサワ揺れるのでした。
「ところで三巳は良い企画考え付いたんだよ」
そしてポツリと漏らしたニヤリ顔三巳がいるのでした。
11
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
追放悪役令嬢、辺境の荒れ地を楽園に!元夫の求婚?ざまぁ、今更遅いです!
黒崎隼人
ファンタジー
皇太子カイルから「政治的理由」で離婚を宣告され、辺境へ追放された悪役令嬢レイナ。しかし彼女は、前世の農業知識と、偶然出会った神獣フェンリルの力を得て、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。
そんな彼女の元に現れたのは、離婚したはずの元夫。「離婚は君を守るためだった」と告白し、復縁を迫るカイルだが、レイナの答えは「ノー」。
「離婚したからこそ、本当の幸せが見つかった」
これは、悪女のレッテルを貼られた令嬢が、自らの手で未来を切り拓き、元夫と「夫婦ではない」最高のパートナーシップを築く、成り上がりと新しい絆の物語。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
幸福なる侯爵夫人のお話
重田いの
ファンタジー
とある侯爵家に嫁いだ伯爵令嬢。
初夜の場で、夫は「きみを愛することはない」というけれど。
最終的にすべてを手にした侯爵夫人のお話。
あるいは、負い目のある伯爵令嬢をお飾りの妻にして愛人とイチャイチャ過ごそうと思ったらとんでもないハズレくじを引いちゃった侯爵のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる