恋愛相談から始まる恋物語

菜の花

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六日の想うコト

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いつからこの気持ちは芽生えたのだろうか。

振り返っても決定的な心当たりは何も見つからなかった。

ただ、あんたの辛い顔を見るのが嫌だった。

別に、あんたの幸せを願えるほど私は大人じゃないけど、あんたの悲しい顔だけは見たくなかったの。

その気持ちだけは本物だった。

正直、あたしは七の事がすごく羨ましかった。

こんなに一途に想ってくれる人がいるなんてそうはない事だろう。

だから、それと同時にあんたを苦しめている七に怒りが湧いてきた。

でも、この怒りをぶつけた所で何も解決はしないことは分かっていた。

七も七で苦しんでいる事を知ったら、何も言えなくなってしまった。

あたしは、七の事を思っているあんたの弱っている所に付け込んだ。

人は辛い時や悲しい時には同調してくれる、共感してくれる人を求める。

側にいてくれる人を求める。

そこにあたしは付け込んだズルい女だよね。

自分でも性格が悪いって事くらい分かってるよ。

自分自身の魅力で相手を惹きつけられない、何の取り柄もないただの女子高生だから。

でも、たった一度きりの人生だもん。

少しくらいズルしても神様は見逃してくれるのよね?

あんたが七の事を想ってるのは分かってた。

でも、それでもいいからと手を差し伸べたのは他でもないあたし自身だった。

2番目でもいいから、あんたのその優しさを少しでも、ほんの少しだけあたしにも向けて欲しかった。

あたしも、あんたと七との3人で過ごす時間が大切で、楽しかったよ。

それでも、最初の頃から変わりゆく感情に、関係に戸惑っていた。


『あんたの事が好きだから』


きっとその言葉を言ってしまえば、今の関係を壊すから。

だから、壊したくなくて出る言葉は——――。


『七の為だから』









この気持ちは一時の気の迷いなんじゃないかとも、何回も思ったよ。

人の感情なんて流れやすくて変わりやすいし、女心と秋の空だ。

それに自分はまだまだ子供だ。

ソレは真実さえも歪めてしまう程に不確かなものだった。

でも、流されやすくて変わりやすい感情だったら、あんたへの感情も忘れるなんて、簡単なはずなんだよね。

それでも、その感情は色褪せる事なくあたしの胸をきつく締め付けてくる。


『感情の制御装置になるよ』


聞こえはいいかもしれないけど、要は代用品になるよって宣言だった。

あたし自身で、七には勝てないと言っている様なものだった。

でも、それでもいいからあんたの気を少しでも気を引きたかった。

慰める為に、落ち着かせる為にあんたに触れた。

力なくもしっかりと握り返してくれるその手も、触れた髪も、腕も、その全てに触れられるのはあたしだけであってほしい。

儚い願いだとわかっていても祈らずにはいられなかった。

どんなに想っても、無い頭を振り絞って紡いだ言葉でも、あんたの見上げる先にはいつも七がいた。

私とあんたの距離は、あの頃よりも進展してるかな?

もっとあたしをあんたの色に染めてほしかった。

あんたの体温を感じていたかった。

あんたと寄り添っていたかった。

あと、何センチ近づけばあんたの隣にいられるのかな。

2番目でいいと思っていた気持ちも、あんたと時間を過ごせば過ごすほどに、物足りなく感じてしまう。

やっぱり、私は1番がいいな。

わがままでごめん。

自分勝手でごめん。

やっぱり、まだまだ子どもだから自分で掲げた意思なんかをすぐに曲げてしまう。

手が届かないあんただから好きになったわけじゃなくて、一時の感情でもなく、本気で想ってるよ。

憧れと錯覚してるわけでもない。

まだまだ子どもだけど、それだけは分かってるし、変わらない自信がある。

今はまだ苦しいけど・・・頑張るしかないから。

それに、今諦めたらもっと苦しい筈だし絶対後悔すると思うから。

あんたを見るたびに、あたしの想いは高まるばかりで抑えることなんて絶対にできない。









気持ちはまっすぐ素直に伝えないと分からない伝わらない。

そんな事は分かってる。

でも、それはあたしにとっては難しい事で、素直になる事が難しく感じてしまう。

こんな性格だから、いつまで経ってもあんたに近づけないのかな?

物理的には近づいても、心の距離は近づいてくれていない。

そんなの分かるのかって?

あんたが七を見てる顔を見ればそんなの、嫌になるくらい分かるよ。

だから、あたしも動き出さなきゃと思った。

壊したくないこの関係だけど、ちょっとでもいいから近づきたい、踏み込みたい。


『あんたの事が好きだから』


壊したくない関係だけど、それでもあんたに近づきたかった。

だから、あたしは言葉を紡いだ。


『一の為だから』









あんたは今、何を思ってるんだろうか。

何をしているんだろうか。

状況を知ろうと電話をかけて話してみたら、普段と変わりない声音だった事に驚いた。

案外平気と言ってたけど、それで良いのだろうか。

あんたが七に抱いていた想いは、この程度じゃなかったはずだ。

私は真っ先にあんたの元へと向かったよ。

今はソッとしておいた方が良いのかなって思ったけど、そんな事はできなくて。

今すぐにでも会って抱きしめてあげたかった。

安心させてあげたかった。

悲しんで欲しかった。

苦しんで欲しかった。

次のステップに進む為には、必要な事だと思ったから。

でも、正直恐かった。

やっぱり、不器用なあたしはこんなやり方でしたあんたを救ってあげられない。

あんたの事をを余計に傷つける。
 
このまま嫌われてしまうかも知れない。

でも、あんたがそれで前を向けるなら、立ち直って幸せになるならそれでもいいかなって思った。

たどたどしく、ぎこちないながらも、やっとの思いで回り出した歯車を自らの手で止めてしまうのは勿体無いけど、それ以上にあんたには笑っていて欲しかったから。

こんなにイジワルでごめんね。

性格悪くてごめんね。


『あたしのこと、嫌いになっていいよ』


本当は嫌われたくなんかないよ。

もっとあたしを見てほしい。

あたしを知ってほしい。

あたしを想ってほしい。

あんたの呟く言葉が辛かった。

悲しかった。

苦しかった。

でも、それがあんたの為だから・・・。

そして、あたしの為でもあるから。

でも、やっぱり悪者にはなりきれなかったよ。

やっぱり嫌われたくないから、あたしは言うよ。

何回も迷ってごめん。

意思がブレブレでごめん。


『あたしは側にいるから』


いろいろな感情が込み上げ、あたしの頬を濡らす。

やっぱりあたしはあんたが欲しいよ・・・。

もう綺麗事なんて言わないよ。

強がったりもしない。

ズルくても性格悪くてもなんだっていい。

欲しいものは欲しいから、これがあたしだから。

この関係を壊してでも、あんたの事を手に入れたい。

だからあたしは、こう言葉を紡ぐ。





『一の事が好きだからだよ』
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