アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家

文字の大きさ
22 / 121

レッスン21「薪 (6/6)」

しおりを挟む
「貴様の方から、面会を申し出てきたというのに……時間に遅れるとは、いい度胸だな」

「も、ももも申し訳ございませんッ!!」

 俺は平伏して、頭を床にこすりつける。
 床には一面にふかふかの絨毯が敷き詰められていて、痛くはなかった。

「まったく、これだからゴロツキは……まぁよい。それで、何の用だ? 詰まらぬ内容だったら処刑してやるぞ」

「へへへ、それはもう」

 揉み手で顔を上げる。
 ソファにはでっぷりと太ったお貴族様が据わっている。
 この方は俺の雇い主。
 全国の独自ネットワークを持ち、領地貴族におもねろうとしない冒険者ギルドに代わって、冒険者界隈の情報を集めては、こうやって上奏して小遣いを得ているってわけだ。

「閣下は300本以上もの治癒ヒール・一角兎ホーンラビットが冒険者ギルドに納品された話をご存じでしょうか?」

「知らぬが、それが?」

「ギルド職員の話によれば、300本と言えば、数年分の納品量に匹敵するとのこと。それだけの量が市場に出回れば、回復ポーションの価格暴落は必死です」

「なっ――そんなものが隣領に流出すれば我が領が悪風を被る! 急ぎ関税を掛けねば! いや、それどころでは済まんかも知れん――…」

 お貴族様が顔色を悪くする。

「私は、300本ものツノを納品し、閣下の領地を窮地に陥れようとしている者の名前を知っております」

「誰だ、それは!?」


   ■ ◆ ■ ◆


 手の中には小銀貨が1枚。
 これだけ有用な情報だ。もっともらえるものと期待していたのに……やはり、遅刻したのが心証を悪くしちまったらしい。

 クソっ、クソクソクソっ、何もかもクリスの所為せいだ!

 結局あの後、俺が持っていたマジックバッグだけじゃあの野郎が出した薪は入りきらなくって、残りの薪は置いて行こうかとも思ったんだが、自警団の奴らに呼び止められちまって。
 クリスの所為だっつったんだが、連中も『無能な冒険者』クリスのことはよくよく知っていたから、『あのクリスにこんな上質な薪が作れるもんか』、『いいから馬車が来る前にさっさとどけろ』の一点張り。
 ならお前らのマジックバッグを貸せって言ったら、三割寄越せときたもんだ。
 おまけに断ったら罰金だと。

 自警団なんて名ばかりの、チンピラどもが!

 そんなごたごたの所為で、お貴族様を訪問する時間に遅れちまったってわけだ。


   ■ ◆ ■ ◆


「……ねぇオーギュス。クリス、元気だった……?」

猫々マオマオてい』で遅めの昼飯を食っていると、同じ孤児院仲間で幼馴染のシャーロッテが話しかけてきた。
 客は俺しかおらず、暇らしい。
 長い銀髪を結い上げているのが、給仕服によく似合ってる。

「知らねぇよ」

「でも……その、今日、会ったんでしょう?」

「会ってねぇよ」

「ウソ。さっき、お客さんが言ってたもん。クリスとオーギュスが通りで話してるのを見たって」

「ちっ――」

 シャーロッテの口からクリスの名前が出てくるたびに、俺は自分でもはっきり分かるほど不機嫌になる。

「お前だって、あいつのことは見限ったんだろ? だったらもう、あいつのことは無視しろよ」

「た、確かにあたしはこの前、クリスを追い返した……で、でもそれはっ、て、店長に、もうクリスには食わせるなって言われたから――」

 ……そう。
 そして、お人好しなここの店長に、クリスについてあることないこと吹き込んだのはこの俺だ。
 まぁもっとも? あいつがツケを払える見込みもないのに毎日毎日ここに来てたのは事実だし、クリスが冒険者ギルドですこぶる評判が悪かったのも事実だ。

「クリスのことなんて忘れちまえ」

「でも――…」

 シャーロッテもシャーロッテだ。
 クリスはガタイだって腕っぷしだって、魔法でだって俺より弱っちい。
 いっつもなよなよしてイジメられてて、そのたびにシャーロッテに守られていた。

「クリス、大変そうで、可哀想で……」

 こいつだって、きっと内心分かってるはずだ。
 その感情が、犬猫に対する感情と同じものだって。
 あいつがもっともっとみっともない姿を見せれば、きっと冷めるはずだ。

 ……つぶしてやるぞ、クリス。
 もとより、他人の悪いウワサを流すのは得意技なのだから。



***********************
 横道はここまで!

 次回、【首狩り収納アイテム空間・ボックス】無双!!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

処理中です...