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残りの人生をかけて復讐を果たした引きこもりの末路
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「絶対に許さない。一人残らず消してやる!」
俺はスマホの画面を見ながら怒りに震えていた。
推しのVTuberが事務所から契約解除を告げられたという記事をネットニュースで見かけたからだ。
事務所は彼女の冤罪を並べ立て、契約解除されて当然だというプレスリリースを出している。
熱心に応援していたファンたちも、手のひらを返して彼女の悪口をネットに書き込んでいた。
「どいつもこいつも好き勝手言いやがって!!!」
去年までの俺はブラック企業で朝から晩まで働かされ、上司からは罵倒される日々を送っていた。
体と心を壊して退職してからは生きる気力もなく引きこもっていたが、暇を持て余してネットサーフィンしていたら偶然見つけたのが彼女の配信だった。
ゲーム配信での下手くそなプレイには腹を抱えて笑ったし、楽しそうに雑談する姿はとてもかわいかった。
歌手になるのが夢で、将来は武道館でソロライブがしたいという目標に向かって一生懸命ボイトレしたり歌配信をする姿は応援せずにいられなかった。
やっと人気が出てきて、その夢がもうすぐ叶いそうだったのに……。
理不尽に夢を絶たれた彼女の境遇と、ブラック企業に人生を潰された自分の人生が重なり、復讐心が燃え上がる。
「元凶を始末し終えたら、俺の人生にも価値があったと感じられるかもしれない」
問題はどうやって元凶を始末するかだ。
殺し屋? 現代日本では雇えない。
ハッキング? そんなスキルは引きこもりの俺にはない。
チートスキル? 異世界転生小説じゃあるまいし無理。
いろいろ考えてたどり着いたのが「お百度参り」だ。
昔見たオカルト系のブログに書いてあった方法で参拝を行う。
「彼女の無念を晴らしてください」
お百度参りは神様に他人の幸せを願うもの。
他人の不幸を願うのは言語道断で絶対にしてはいけない。
だから、参拝するのは夜。
行先は管理されなくなった山奥の廃れた神社で、
お願いする相手はこの世の存在ではない悪いモノだ。
-----------------------------
「次のニュースです。今日21:00ころ、東京都××区にある〇〇〇ビルが突如倒壊しました。警察の発表によりますと現時点で判明している死者は△△△名、重軽傷者は□□□名にのぼり……」
病室のベットでテレビをつけると、彼女を追放した事務所が入居しているビルが倒壊したニュースが流れる。
今日の21:00は事務所内のスタジオで公式チャンネルの3D生配信が行われており、社長や事業部長、運営スタッフ、所属VTuberの主要メンバーが出演者として勢ぞろいしていたころだ。
願いが叶った。彼女の追放に関わった奴らが丸ごと消えた。
・彼女に冤罪をかぶせて追放した社長。
・彼女にだけ頑なに企業案件を紹介しなかった事業部長。
・突然深夜に彼女を呼び出して3時間も説教したマネージャー。
・コラボで彼女を執拗にこきおろしていた古参メンバー。
・キャラが被っていると裏アカで彼女を非難していたメンバー。
・彼女の追放後「やっと邪魔者がいなくなった」と発言した後輩メンバー。
胸糞な奴らがビルに体を押しつぶされ、全員苦しみぬいて死んでいった。
彼女は自分が事務所を追放されたことを無念だと思っていたのかはわからないし、復讐したかったのかもわからない。
だからこの復讐劇は俺がスカッとするための自己満足でしかない。
彼女の境遇に自分の人生を重ね合わせ、彼女の気持ちを理解したつもりになってやったことだ。
……復讐の代償なのか、重い病気にかかった体もそろそろ限界が近づいてきたようだ。
体が動くうちにお礼参りを済ませておいてよかった。
「神様に彼女の幸せを願うべきだったのかもしれない」
最後にそう思いながら、俺は意識を手放した。
======================
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俺はスマホの画面を見ながら怒りに震えていた。
推しのVTuberが事務所から契約解除を告げられたという記事をネットニュースで見かけたからだ。
事務所は彼女の冤罪を並べ立て、契約解除されて当然だというプレスリリースを出している。
熱心に応援していたファンたちも、手のひらを返して彼女の悪口をネットに書き込んでいた。
「どいつもこいつも好き勝手言いやがって!!!」
去年までの俺はブラック企業で朝から晩まで働かされ、上司からは罵倒される日々を送っていた。
体と心を壊して退職してからは生きる気力もなく引きこもっていたが、暇を持て余してネットサーフィンしていたら偶然見つけたのが彼女の配信だった。
ゲーム配信での下手くそなプレイには腹を抱えて笑ったし、楽しそうに雑談する姿はとてもかわいかった。
歌手になるのが夢で、将来は武道館でソロライブがしたいという目標に向かって一生懸命ボイトレしたり歌配信をする姿は応援せずにいられなかった。
やっと人気が出てきて、その夢がもうすぐ叶いそうだったのに……。
理不尽に夢を絶たれた彼女の境遇と、ブラック企業に人生を潰された自分の人生が重なり、復讐心が燃え上がる。
「元凶を始末し終えたら、俺の人生にも価値があったと感じられるかもしれない」
問題はどうやって元凶を始末するかだ。
殺し屋? 現代日本では雇えない。
ハッキング? そんなスキルは引きこもりの俺にはない。
チートスキル? 異世界転生小説じゃあるまいし無理。
いろいろ考えてたどり着いたのが「お百度参り」だ。
昔見たオカルト系のブログに書いてあった方法で参拝を行う。
「彼女の無念を晴らしてください」
お百度参りは神様に他人の幸せを願うもの。
他人の不幸を願うのは言語道断で絶対にしてはいけない。
だから、参拝するのは夜。
行先は管理されなくなった山奥の廃れた神社で、
お願いする相手はこの世の存在ではない悪いモノだ。
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「次のニュースです。今日21:00ころ、東京都××区にある〇〇〇ビルが突如倒壊しました。警察の発表によりますと現時点で判明している死者は△△△名、重軽傷者は□□□名にのぼり……」
病室のベットでテレビをつけると、彼女を追放した事務所が入居しているビルが倒壊したニュースが流れる。
今日の21:00は事務所内のスタジオで公式チャンネルの3D生配信が行われており、社長や事業部長、運営スタッフ、所属VTuberの主要メンバーが出演者として勢ぞろいしていたころだ。
願いが叶った。彼女の追放に関わった奴らが丸ごと消えた。
・彼女に冤罪をかぶせて追放した社長。
・彼女にだけ頑なに企業案件を紹介しなかった事業部長。
・突然深夜に彼女を呼び出して3時間も説教したマネージャー。
・コラボで彼女を執拗にこきおろしていた古参メンバー。
・キャラが被っていると裏アカで彼女を非難していたメンバー。
・彼女の追放後「やっと邪魔者がいなくなった」と発言した後輩メンバー。
胸糞な奴らがビルに体を押しつぶされ、全員苦しみぬいて死んでいった。
彼女は自分が事務所を追放されたことを無念だと思っていたのかはわからないし、復讐したかったのかもわからない。
だからこの復讐劇は俺がスカッとするための自己満足でしかない。
彼女の境遇に自分の人生を重ね合わせ、彼女の気持ちを理解したつもりになってやったことだ。
……復讐の代償なのか、重い病気にかかった体もそろそろ限界が近づいてきたようだ。
体が動くうちにお礼参りを済ませておいてよかった。
「神様に彼女の幸せを願うべきだったのかもしれない」
最後にそう思いながら、俺は意識を手放した。
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