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まとめサイトで集めたヘイトを呪いに変えて復讐する
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俺は下請けの底辺SEとして毎日深夜まで働かされていた。
納期に追われ、元請けの担当者からは「クズ」「給料泥棒」「使えない」などと罵倒されながらも耐えて頑張っていたが、クライアントはシステムの完成間際に仕様変更を要求してくる。
納品日までにギリギリ頑張っていたある日「のんきに昼飯を食ってるなんていいご身分だな。そんな暇あるなら1秒でも早くシステム完成させろよ」といってきた元請け担当者にブチギレて、おれはそいつを殴り飛ばした。
もちろんクビになったし、昔の同僚たちも掌を返して俺と縁を切った。
「システムを完成させるために、理不尽な扱いに耐えて体も心もボロボロにしながら頑張ったのに、誰も認めてくれない!!!」
やけになって家にこもり、酒におぼれる毎日を過ごす中で偶然みたYoutubeで、俺は彼女に出会った。
『今日も1日お仕事おつかれさま』
『毎日頑張ってるの、私は知ってるよ』
『えらいえらい♪』
Vtuberの動画なんて見る暇がなかったし、ASMRなんて聞いたこともなかったけど、彼女だけが俺の頑張りを認めてくれたような気がした。
そう感じた瞬間、俺は画面の前で号泣していたし、その日は引きこもって以来はじめてぐっすり眠ることができた。
すぐにチャンネル登録して、リアルタイムで配信を見るのが人生で唯一の楽しみになった。
-----------------------------
それからしばらくたって、俺は衝撃的なニュースを目にした。
突然彼女が所属事務所から契約解除され、YoutubeアカウントやSNSが即日削除されたのだ。
事務所のプレスリリースでは、複数の契約違反があったことが理由としか書かれておらず、ネットでは事務所に対する批判や彼女に対する憶測が飛び交っている。
「ふざけやがって!彼女が契約違反するはずがない。真の理由があるはずだ!」
そう考えてネットで情報収集を行っていくと、事務所内でいじめにあっていたことがわかった。
しかも、事業部長が彼女をいじめていた先輩Vtuberのファンであり、彼女が目障りだからと冤罪をかぶせて追放したらしい。
彼女の味方だった事務所スタッフのリークでそれがわかってからは、ファンが契約解除撤回を要望するも事務所は沈黙を貫いたままだ。
「くそっ!事業部長も彼女をいじめてた奴も、一人残らず潰してやる!!!」
毎日配信を頑張っていた彼女だけが理不尽に活動場所を奪われた一方、Vtuberの収益で給料を得ている事業部長や運営に優遇されている先輩Vtuberがのうのうと生きているのが許せない。
因果応報だ。地獄に落してやる。
-----------------------------
現代日本では直接危害を加える選択肢が取れず、法律でも捌けぬ以上、人智を超えた力を使って復讐するしかない。
そこで俺が考え出したのが『万単位のファンが心に秘めた事務所に対する負の感情(怒りや恨み)を一か所に集めて呪う』方法だ。
負の感情を集める場所は、俺が開設したまとめサイトだ。
そこで事務所が行った契約解除の真相を時系列で公開するとともに、情報源も紹介。
事務所の採用ページから転載した事業部長の顔や前世で公開していた先輩Vtuberの顔も掲載。
コメント欄には同志たちのコメントが寄せられ、共感しあうことで負の感情が高まっていく。
「いいぞ!ファンの呪詛で不幸のどん底に落ちろ!!!」
しかも、関係者からのリーク情報や有志が掘り起こした過去の罪状がコメント欄に集まっていく。
注目を集めた結果、大手メディアに転載されてVtuberファン以外にも拡散される。
物申す系Vtuberも動画にし、事務所に案件を依頼した企業にも抗議の声が入り出す。
ますます事務所への憎悪が高まり、真相究明や元凶の処分を求める声が増えていく。
「お前たちは俺たちの声なんか『アンチの戯言』と切り捨ててだんまりを決め込む。
自分達の地位・権力や懐に入る金に影響はないと高を括っているだろう。」
「断罪を望む声が言霊となり、それが呪いとなってお前たちに報いを受けさせるのだ。」
どちらかか滅びるまで終わらない。覚悟しろよ。
-----------------------------
しばらくしたら、因果応報で悪が滅びた。
まずは、彼女をいじめていた先輩Vtuberが病気を理由に活動休止を発表。
物申す系Vtuberの続報によると、事務所内の取り巻きや前世の仲間に裏切られて過去の罪や恋人の存在を暴露され、人間不信に陥っているらしい。
配信しようとすると謎の頭痛や吐き気に見舞われ、メンタルも不安定で二度と復帰できないようだ。
事業部長は事務所をクビになった。
人事異動でお茶を濁すと思いきや、案件を依頼した企業が抗議を受けてから一斉に距離を置いたことが経営陣の逆鱗に触れたらしい。
再就職もできず、SNSでイキるだけの存在になっている。
また、事務所所属のVtuberも配信の同接がみんな3桁に落ち込み、彼女のいじめに加担してた側がその責任を問われて内輪もめを起こしているそうな。
俺自身、事務所側がまとめサイトに開示請求を行ったら私の存在が露見するだろう。
海外のサーバを使っているが、時間の問題かもしれない。
そうなれば、裁判で身元が明らかになる上に、先輩Vtuberのファンから報復を受ける可能性もある。
……この復讐の連鎖、終わることはないだろう。
納期に追われ、元請けの担当者からは「クズ」「給料泥棒」「使えない」などと罵倒されながらも耐えて頑張っていたが、クライアントはシステムの完成間際に仕様変更を要求してくる。
納品日までにギリギリ頑張っていたある日「のんきに昼飯を食ってるなんていいご身分だな。そんな暇あるなら1秒でも早くシステム完成させろよ」といってきた元請け担当者にブチギレて、おれはそいつを殴り飛ばした。
もちろんクビになったし、昔の同僚たちも掌を返して俺と縁を切った。
「システムを完成させるために、理不尽な扱いに耐えて体も心もボロボロにしながら頑張ったのに、誰も認めてくれない!!!」
やけになって家にこもり、酒におぼれる毎日を過ごす中で偶然みたYoutubeで、俺は彼女に出会った。
『今日も1日お仕事おつかれさま』
『毎日頑張ってるの、私は知ってるよ』
『えらいえらい♪』
Vtuberの動画なんて見る暇がなかったし、ASMRなんて聞いたこともなかったけど、彼女だけが俺の頑張りを認めてくれたような気がした。
そう感じた瞬間、俺は画面の前で号泣していたし、その日は引きこもって以来はじめてぐっすり眠ることができた。
すぐにチャンネル登録して、リアルタイムで配信を見るのが人生で唯一の楽しみになった。
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それからしばらくたって、俺は衝撃的なニュースを目にした。
突然彼女が所属事務所から契約解除され、YoutubeアカウントやSNSが即日削除されたのだ。
事務所のプレスリリースでは、複数の契約違反があったことが理由としか書かれておらず、ネットでは事務所に対する批判や彼女に対する憶測が飛び交っている。
「ふざけやがって!彼女が契約違反するはずがない。真の理由があるはずだ!」
そう考えてネットで情報収集を行っていくと、事務所内でいじめにあっていたことがわかった。
しかも、事業部長が彼女をいじめていた先輩Vtuberのファンであり、彼女が目障りだからと冤罪をかぶせて追放したらしい。
彼女の味方だった事務所スタッフのリークでそれがわかってからは、ファンが契約解除撤回を要望するも事務所は沈黙を貫いたままだ。
「くそっ!事業部長も彼女をいじめてた奴も、一人残らず潰してやる!!!」
毎日配信を頑張っていた彼女だけが理不尽に活動場所を奪われた一方、Vtuberの収益で給料を得ている事業部長や運営に優遇されている先輩Vtuberがのうのうと生きているのが許せない。
因果応報だ。地獄に落してやる。
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現代日本では直接危害を加える選択肢が取れず、法律でも捌けぬ以上、人智を超えた力を使って復讐するしかない。
そこで俺が考え出したのが『万単位のファンが心に秘めた事務所に対する負の感情(怒りや恨み)を一か所に集めて呪う』方法だ。
負の感情を集める場所は、俺が開設したまとめサイトだ。
そこで事務所が行った契約解除の真相を時系列で公開するとともに、情報源も紹介。
事務所の採用ページから転載した事業部長の顔や前世で公開していた先輩Vtuberの顔も掲載。
コメント欄には同志たちのコメントが寄せられ、共感しあうことで負の感情が高まっていく。
「いいぞ!ファンの呪詛で不幸のどん底に落ちろ!!!」
しかも、関係者からのリーク情報や有志が掘り起こした過去の罪状がコメント欄に集まっていく。
注目を集めた結果、大手メディアに転載されてVtuberファン以外にも拡散される。
物申す系Vtuberも動画にし、事務所に案件を依頼した企業にも抗議の声が入り出す。
ますます事務所への憎悪が高まり、真相究明や元凶の処分を求める声が増えていく。
「お前たちは俺たちの声なんか『アンチの戯言』と切り捨ててだんまりを決め込む。
自分達の地位・権力や懐に入る金に影響はないと高を括っているだろう。」
「断罪を望む声が言霊となり、それが呪いとなってお前たちに報いを受けさせるのだ。」
どちらかか滅びるまで終わらない。覚悟しろよ。
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しばらくしたら、因果応報で悪が滅びた。
まずは、彼女をいじめていた先輩Vtuberが病気を理由に活動休止を発表。
物申す系Vtuberの続報によると、事務所内の取り巻きや前世の仲間に裏切られて過去の罪や恋人の存在を暴露され、人間不信に陥っているらしい。
配信しようとすると謎の頭痛や吐き気に見舞われ、メンタルも不安定で二度と復帰できないようだ。
事業部長は事務所をクビになった。
人事異動でお茶を濁すと思いきや、案件を依頼した企業が抗議を受けてから一斉に距離を置いたことが経営陣の逆鱗に触れたらしい。
再就職もできず、SNSでイキるだけの存在になっている。
また、事務所所属のVtuberも配信の同接がみんな3桁に落ち込み、彼女のいじめに加担してた側がその責任を問われて内輪もめを起こしているそうな。
俺自身、事務所側がまとめサイトに開示請求を行ったら私の存在が露見するだろう。
海外のサーバを使っているが、時間の問題かもしれない。
そうなれば、裁判で身元が明らかになる上に、先輩Vtuberのファンから報復を受ける可能性もある。
……この復讐の連鎖、終わることはないだろう。
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