ダンタリオンと勇者

小栗とま

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オズワルド王国の章

66 伯爵会議(パブロの視点)

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 王宮の一角にある円形の講堂。
 ――伯爵会議の議場で、俺は手錠をされて立っていた。

(初めての伯爵会議が被告席とはな……)

 うな垂れる俺の後ろには、ダンタリオンとクロム、ちびサタンも控えさせられている。頑丈な檻に入れられて、大柄のダンタリオンには少し狭そうだ。

「パブロ・フルーム――王国騎士団員たる君が、悪魔契約を結んだ罪について論じたい」

 議長を務めるニコ・マクスーンが踏ん反ってそう言った。

 マクスーン団長の他にも伯爵たちがずらりと座り、数段低い場所に立つ俺を見下ろしていた。
 伯爵たちの側近や警護がそれぞれ付き添っていて、ジロジロと俺に視線を向けている。

(父さんがいれば……)

 俺はフルーム伯爵家の空席を見て、そう思わざるを得なかった。
 それから――オーサー辺境伯家の席も、当然空席だった。

 一番高い場所に座すカイザー国王陛下は、形だけの参加で発言は許されていないらしい。あくまでこの会議は、伯爵たちに主導権がある。

「なぜ悪魔と契約を結んだのか。答えてもらおう」

 伯爵の1人がそう言った。

「それは……魔界から生還するためです」

 俺は素直に答えた。

「ラピスラズリの魔洞窟が閉じられた状況では、悪魔と契約する他、人間界に戻る術がありませんでした。だけど……悪魔なら何でもよかったわけじゃない」

 それから、俺はダンタリオンたちの方を振り返る。

「ダンタリオンは俺を回復させ、クロムは魔界でも骸骨の戦士を倒した。
 だから、彼らとなら力を合わせたいと思ったんです」

 次に、真っすぐと伯爵たちを見上げる。

「彼らは王国に恩恵をもたらす存在だと、先の戦いでも証明したつもりです」

 これが俺の思いの全てだ。
 だけど伯爵たちに響いている様子はない。 

「穢らわしい。悪魔に魂を売るくらいなら、魔界で死ねばよかったのだ」

 嫌みったらしくそう言ったのは、やっぱりマクスーン伯爵だ。

「それは……」

 言葉に詰まった俺の代わりに、凛とした声が響いた。

「マクスーン伯爵。
 罵声ともとれる発言は、この場に相応しくないのではないでしょうか」

 そう話すのはリズ・ホップウェル伯爵、
 ――勇者の仲間だったロミオの母上だった。

「彼は理不尽な環境で生き抜こうとした。
 それを真に責める権利がある人間など、この世に存在しないのでは」

(ホップウェル伯爵……!)

 俺は女神を見るような心境で、彼女を見上げた。

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