フューマン

nandemoE

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同級生5

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「これからの話?」

「あの頃の話の、続きだよ」

「え……?」

「ヒロには話したぞ。昔、俺が朱莉を好きだったこと。そして、その上でヒロは何も思わないと言った。お前に好きに生きろと言った。俺達の関係に、ケリはついたろ」

「……こんな私が、孤独で寂しかったと言っても良いのかな」

「30年。罰にしちゃ苦しかったろ」

 それから朱莉はまた少し泣いた。そして落ち着いてから思い出すように語り始めた。

「辛かった。本当に辛かったの。つまらない男に引っ掛かって。息子には見限られて。あの人は連絡も取れなくて、家も既に他人の物……生活だって、それまでパートくらいしかしていなかった私には裕福な暮らしなんて望めなかった。歳を取れば尚更」

「まだフューマンがそれほど参入してくる前で良かったな」

「ゾッとしたわ。フューマンは私への当て付けかも知れないわね」

「恐ろしい世界になったよな。いや、でもそうしたのは昴流君じゃない、この国の人間だ。知ってるか? フューマンをパートナーとして求めるのはこの国の国民性らしいぞ」

「そうよね。普通なら、喧嘩したって話し合ったり歩み寄ったりして解決する。それが人間本来の姿。でも、この国の人間は本当に我慢が出来なくなってしまった。だから対話より物言わぬフューマンを選んだのよ。男女間で戦争でもしてるのかしら」

「近々、フューマンが子供を宿せるようになるらしいな」

「調子に乗った私みたいな女は用済みって訳ね。貴方も考え直した方がいいわ。こんな性格の悪いお婆さんと一緒にいたって何のメリットもないわ」

「何を今更。ただ一緒にいるだけじゃ駄目なのか」

「ありがとう熊ちゃん」
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