6 / 21
肺水腫
しおりを挟む
「原因は不明ですが、現在旦那さんは肺水腫です・・・」
主治医は静かに呟いた。
肺水腫とは、肺胞内に液体成分が貯留することで、酸素と二酸化炭素のガス交換ができなくなり、全身の低酸素状態や呼吸困難を引き起こす疾患のことである。
2020年1月4日、日中。
検査の結果を、主治医が私に告げる。
肺水腫・・・。
私は項垂れながらその話を聞いていた。
現在、人工呼吸器を再びつけたカズくんは、今も危険な状態にあった。
「とりあえず、抗菌剤の投与と副腎皮質ホルモンの投与、それから透析を毎日行います・・・」
検査の結果、前回よりも肺が真っ白な状態となっており、今できる治療を全てやっているのが現状だった。
「とにかく、治療の効果が出るのを待ちましょう。」
私は、
「分かりました、先生にお任せします。よろしくお願いします。」
そう言って話を終わらせた。
しかし、頭の中は真っ白であった。
何がどうなっているのか、肺の病気は何もなかったのに、どうしてそうなったのか・・・。
なんで、今、生死の境目に立たされているのか・・・
医師からの話し合いを終え、途方に暮れながらも、カズくんのいるリカバリールームへとやってきた。
カズくんは、人工呼吸器をつけるために再び薬で眠らされていた。
人工呼吸器の反対側のベッドサイドでは、昼間の時間、人工透析の機械が置かれ、透析をゆっくりと行なっている。
心臓に負担をかけないための治療だ。
しかし、それが、前よりもまして身体中に管が巻き付き、体に触ることができないくらいだった。
どうしたらいいか・・・
途方に暮れていると、
「奥さん、こちらにどうぞ」
透析の機械を見ている看護師さんが、そう声をかけてくれて、椅子を用意してくれた。
なんとかベッドの横に座ったものの、私はどう声をかけたらいいのか分からなかった。
ただ、よくなって欲しい・・・
そのことしか、頭には無かった。
知らず知らず、目には涙が溢れて、今にも泣き出しそうになった。
しかし、それをグッと我慢すると、なんとかカズくんの指先に触れた。
手の甲から指にかけて・・・パンパンに浮腫んでおり、まるで別人の様である。
ただ、依然と同様に暖かかった。
私は、その指先を優しく撫でる。
「カズくん、約束だよ。私とまたデートしてくれるって」
そう、自分にも言い聞かせながら、私はカズくんに話しかけた。
主治医は静かに呟いた。
肺水腫とは、肺胞内に液体成分が貯留することで、酸素と二酸化炭素のガス交換ができなくなり、全身の低酸素状態や呼吸困難を引き起こす疾患のことである。
2020年1月4日、日中。
検査の結果を、主治医が私に告げる。
肺水腫・・・。
私は項垂れながらその話を聞いていた。
現在、人工呼吸器を再びつけたカズくんは、今も危険な状態にあった。
「とりあえず、抗菌剤の投与と副腎皮質ホルモンの投与、それから透析を毎日行います・・・」
検査の結果、前回よりも肺が真っ白な状態となっており、今できる治療を全てやっているのが現状だった。
「とにかく、治療の効果が出るのを待ちましょう。」
私は、
「分かりました、先生にお任せします。よろしくお願いします。」
そう言って話を終わらせた。
しかし、頭の中は真っ白であった。
何がどうなっているのか、肺の病気は何もなかったのに、どうしてそうなったのか・・・。
なんで、今、生死の境目に立たされているのか・・・
医師からの話し合いを終え、途方に暮れながらも、カズくんのいるリカバリールームへとやってきた。
カズくんは、人工呼吸器をつけるために再び薬で眠らされていた。
人工呼吸器の反対側のベッドサイドでは、昼間の時間、人工透析の機械が置かれ、透析をゆっくりと行なっている。
心臓に負担をかけないための治療だ。
しかし、それが、前よりもまして身体中に管が巻き付き、体に触ることができないくらいだった。
どうしたらいいか・・・
途方に暮れていると、
「奥さん、こちらにどうぞ」
透析の機械を見ている看護師さんが、そう声をかけてくれて、椅子を用意してくれた。
なんとかベッドの横に座ったものの、私はどう声をかけたらいいのか分からなかった。
ただ、よくなって欲しい・・・
そのことしか、頭には無かった。
知らず知らず、目には涙が溢れて、今にも泣き出しそうになった。
しかし、それをグッと我慢すると、なんとかカズくんの指先に触れた。
手の甲から指にかけて・・・パンパンに浮腫んでおり、まるで別人の様である。
ただ、依然と同様に暖かかった。
私は、その指先を優しく撫でる。
「カズくん、約束だよ。私とまたデートしてくれるって」
そう、自分にも言い聞かせながら、私はカズくんに話しかけた。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる