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目覚め
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気管切開切開をしてから1週間。
私は毎日カズくんの病院に通った。
その間、ほとんど毎日同じことの繰り返しで、それが当たり前だと思っていた。
一生、このままなのかもしれないと・・・現実的ではない事を現実とすら思いたくなる毎日。
私は、カズくんのベッドサイドに来るたびに、まるで子供に話しかけるかの様に、楽しいことや、カズくんの好きそうな話をしては帰っていった。
しかし。
この日はいつもと違っていた。
私がいつものように病院に来ると、カズくんの閉じていた目が半開きになっているのだ。
私は、すぐに看護師さんを捕まえると、どう言うことかと聞いた。
すると、
「少しずつ状態が良くなってきたそうで、今日から眠らせている薬を切ったんです。もしかしたら奥さんがおられる間に覚醒されるかもしれません」
と、看護師さんは言ってきた。
私は、嬉しくって。
早くカズくんと話がしたくって、色々話しかける。しかし、ボート遠くを見る眼差しのカズくんは、少しも反応をしない。
結局、面会時間が終わる頃までいたが、状態は変わらないため、私は看護師さんによろしくお願いしますと声をかけて病院を後にした。
そして、次の日。
私がカズくんのいるリカバリールームへと入っていくと、昨日と違った看護師さんが丁度カズくんのベッドサイドにいて、
「あっ丁度よかったです。旦那さん起きてますよ」
と、私に声をかけてきた。
私は驚いて、ベッドサイドに向かうと、そこには確かに私を見つめるカズくんがいた。
「カズくん!私のこと分かる?!」
そう声をかけると、口をパクパクさせ、頷くカズくんがいた。
私は思わず泣きそうになったが、それを堪えると、いつも握るてを素早く握りながら、
「あぁ、やっと会えたねぇ」
と、笑って見せた。
カズくんは、少し不思議そうな顔をする。何かを言おうとするが、気管切開をしているので、声がでず、また、人工呼吸器と合わないのだろう、何度もブザーが鳴る。その度、カズくんは少し呼吸を整える。
看護師さんが言うには、機械と呼吸が合わないせいだから、大丈夫だと言う。
そして、透明なアイウエオ表が書かれた版を看護師さんが持ってくると、カズくんに話しかける。それで何が言いたいのかを一文字一文字拾っていく。さすが看護師さんは上手いもので、カズくんがここはどこだと言ったのもすぐにわかった。
カズくんは幸運なことに、状態が悪かった間の事を覚えていず、気がついたら白い天井が見えたとのことだった。
私や看護師さんは、よかったよかったと、喜んだ。
何しろ、ここしばらくで一番良い事だったのだから。
私は毎日カズくんの病院に通った。
その間、ほとんど毎日同じことの繰り返しで、それが当たり前だと思っていた。
一生、このままなのかもしれないと・・・現実的ではない事を現実とすら思いたくなる毎日。
私は、カズくんのベッドサイドに来るたびに、まるで子供に話しかけるかの様に、楽しいことや、カズくんの好きそうな話をしては帰っていった。
しかし。
この日はいつもと違っていた。
私がいつものように病院に来ると、カズくんの閉じていた目が半開きになっているのだ。
私は、すぐに看護師さんを捕まえると、どう言うことかと聞いた。
すると、
「少しずつ状態が良くなってきたそうで、今日から眠らせている薬を切ったんです。もしかしたら奥さんがおられる間に覚醒されるかもしれません」
と、看護師さんは言ってきた。
私は、嬉しくって。
早くカズくんと話がしたくって、色々話しかける。しかし、ボート遠くを見る眼差しのカズくんは、少しも反応をしない。
結局、面会時間が終わる頃までいたが、状態は変わらないため、私は看護師さんによろしくお願いしますと声をかけて病院を後にした。
そして、次の日。
私がカズくんのいるリカバリールームへと入っていくと、昨日と違った看護師さんが丁度カズくんのベッドサイドにいて、
「あっ丁度よかったです。旦那さん起きてますよ」
と、私に声をかけてきた。
私は驚いて、ベッドサイドに向かうと、そこには確かに私を見つめるカズくんがいた。
「カズくん!私のこと分かる?!」
そう声をかけると、口をパクパクさせ、頷くカズくんがいた。
私は思わず泣きそうになったが、それを堪えると、いつも握るてを素早く握りながら、
「あぁ、やっと会えたねぇ」
と、笑って見せた。
カズくんは、少し不思議そうな顔をする。何かを言おうとするが、気管切開をしているので、声がでず、また、人工呼吸器と合わないのだろう、何度もブザーが鳴る。その度、カズくんは少し呼吸を整える。
看護師さんが言うには、機械と呼吸が合わないせいだから、大丈夫だと言う。
そして、透明なアイウエオ表が書かれた版を看護師さんが持ってくると、カズくんに話しかける。それで何が言いたいのかを一文字一文字拾っていく。さすが看護師さんは上手いもので、カズくんがここはどこだと言ったのもすぐにわかった。
カズくんは幸運なことに、状態が悪かった間の事を覚えていず、気がついたら白い天井が見えたとのことだった。
私や看護師さんは、よかったよかったと、喜んだ。
何しろ、ここしばらくで一番良い事だったのだから。
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