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イレウス
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手術は成功し、後は順調にいけば・・・
しかし、世の中はそんなに甘くはなかったと、私は思い知らされる。
手術の翌日。
病院に行くと、カズくんは起きており明日からご飯が始まると、口パクで教えてくれた。
「よかったねカズくん!」
私も嬉しそうなカズくんを見て、とても嬉しく感じた。
明日が楽しみだねと、言いながら簡単に面会をして、その日は家に帰った。
翌日。
私はいつもの様にカズくんの面会に病院にやってきた。
すると、カズくんは昨日と打って変わって元気がなかった。
口パクでは、「ダメ」という言葉しかわからない。
心配になって、看護師さんに聞いてみると、
「お昼にゼリーの食事を食べたのですが、先ほどまでお腹が痛かったみたいです。夕方もゼリーが来るので、どうかという感じです」
との事だった。
その時、私の頭をよぎったのは術後イレウス・・・だった。
まさか、ね。
そう思い直して、カズくんの右手を握る。
相変わらず痩せて、冷たい手。
『せっかく手術が成功したのに、そんなはずないよね・・・』
そう、思い直してから、私はわざと明るくカズくんに今日会ったことを話して聞かせた。
カズくんも、今は痛みはないらしく笑ったりしていた。
しかし、また翌日のこと。
病院に面会に行くと、人工呼吸器は外れていたが。やや苦しそうな表情のカズくんがそこにいた。
どうしたのか聞くと、お腹に手を当てて
痛い
という仕草をしてくる。
私は昨日とは別の看護師さんに声をかけた。
看護師さんは、
「手術の日から便やガス(オナラ)が出てないんです。お腹もこの通りパンパンに張ってます」
と、言ってお腹を見せてくれだが、まるでカエルのお腹の様だった。
主治医からはちゃんと話が聞けないため、ハッキリとは分からないが。
つまり術後イレウスということだった。
〔イレウスとは,腸蠕動が一時的に停止した状態である。 腹部手術後,特に腸管に操作を加えた場合に最もよくみられる。 症状は悪心,嘔吐,および漠然とした腹部症状である。〕
結局、点滴から腸蠕動を誘発する薬が入れられて、便やガスは出たものの。
その後も何度か食事をチャレンジするも、カズくんは同様の症状を繰り返した。
食事が体の中に入って腸で吸収されなかったら、手術をした意味がない・・・
あゝ、また先に進めない!
私は心の中でそう叫んでいた。
ここまで、入院が5ヶ月を超えており、カズくんの容態が芳しくなかったから、焦ってしまっていたのだ。
しかし、一番辛いのはカズくんなのだろうに・・・カズくんは私の前では泣き言を絶対に言わなかった。
しかし、世の中はそんなに甘くはなかったと、私は思い知らされる。
手術の翌日。
病院に行くと、カズくんは起きており明日からご飯が始まると、口パクで教えてくれた。
「よかったねカズくん!」
私も嬉しそうなカズくんを見て、とても嬉しく感じた。
明日が楽しみだねと、言いながら簡単に面会をして、その日は家に帰った。
翌日。
私はいつもの様にカズくんの面会に病院にやってきた。
すると、カズくんは昨日と打って変わって元気がなかった。
口パクでは、「ダメ」という言葉しかわからない。
心配になって、看護師さんに聞いてみると、
「お昼にゼリーの食事を食べたのですが、先ほどまでお腹が痛かったみたいです。夕方もゼリーが来るので、どうかという感じです」
との事だった。
その時、私の頭をよぎったのは術後イレウス・・・だった。
まさか、ね。
そう思い直して、カズくんの右手を握る。
相変わらず痩せて、冷たい手。
『せっかく手術が成功したのに、そんなはずないよね・・・』
そう、思い直してから、私はわざと明るくカズくんに今日会ったことを話して聞かせた。
カズくんも、今は痛みはないらしく笑ったりしていた。
しかし、また翌日のこと。
病院に面会に行くと、人工呼吸器は外れていたが。やや苦しそうな表情のカズくんがそこにいた。
どうしたのか聞くと、お腹に手を当てて
痛い
という仕草をしてくる。
私は昨日とは別の看護師さんに声をかけた。
看護師さんは、
「手術の日から便やガス(オナラ)が出てないんです。お腹もこの通りパンパンに張ってます」
と、言ってお腹を見せてくれだが、まるでカエルのお腹の様だった。
主治医からはちゃんと話が聞けないため、ハッキリとは分からないが。
つまり術後イレウスということだった。
〔イレウスとは,腸蠕動が一時的に停止した状態である。 腹部手術後,特に腸管に操作を加えた場合に最もよくみられる。 症状は悪心,嘔吐,および漠然とした腹部症状である。〕
結局、点滴から腸蠕動を誘発する薬が入れられて、便やガスは出たものの。
その後も何度か食事をチャレンジするも、カズくんは同様の症状を繰り返した。
食事が体の中に入って腸で吸収されなかったら、手術をした意味がない・・・
あゝ、また先に進めない!
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ここまで、入院が5ヶ月を超えており、カズくんの容態が芳しくなかったから、焦ってしまっていたのだ。
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