【完結済み】私達はあなたを決して許しません

asami

文字の大きさ
48 / 82

48

しおりを挟む
 わたしは、かつて眩いばかりの未来を抱いていた。名門の令嬢として生まれ、王太子との婚約も決まっていた。しかし、その幸福は儚く消え去った。ある日、王太子が私の妹と密かに会っているところを目撃したのだ。その瞬間、心の奥深くに冷たい刃が突き刺さったようだった。



「私の何がいけなかったの?」と、自問自答する日々が続いた。妹は美しく、賢く、全てを手に入れる存在。私には彼女を越えられるものは何もなかった。婚約破棄の報せが届いたとき、心が崩れ落ちる音がした。







心の傷は深く、痛みが癖になると、次第に復讐の念が芽生えていった。妹や王太子に対する憎しみは、私を新たな道へと導いた。友人たちが私を見捨てていく中、孤独な夜に私は決意した。



「彼らには、私の痛みを理解させてやる。」



夜の帳が下りると、私は城の地下にある古い図書室へ向かう。月明かりに照らされたページには、黒魔術と呼ばれる禁断の知識が記されていた。恐怖を感じながらも、私はその知識を手に入れることにした。復讐のために必要な力を与えてくれるのなら、どんな代償を支払っても構わない。







数日後、儀式の日が訪れた。星が満ちた夜空の下、私は呪文を唱え、力を呼び寄せた。冷たい風が吹き抜け、周囲の温度が急激に下がった。闇の中から、何かが私にささやいた。「お前の願いを叶えてやろう。」



その声は、私を引き込むように魅了する。恐れを感じながらも、私はその言葉に従った。すると、目の前に映し出されたのは、妹と王太子の姿だった。彼らは仲良く笑い合い、私の存在を忘れたかのように見えた。



「私の痛みを知るがいい。」



その夜、私は彼らの夢に侵入することを決意した。夢の中での私の姿は、誰もが恐れる存在となり、彼らを追い詰めることができるのだ。







王太子の夢に現れた私は、黒い影のように彼を包み込んだ。彼は恐怖に顔を歪め、私の姿に驚愕した。私は彼にかつての幸せな日々を見せつける。しかし、次第にその映像は変わり、彼が私を裏切った瞬間へと切り替わった。



「私の幸せを奪ったのは誰だ?」と、私は問いかける。彼は言葉を失い、ただ恐怖に震えるだけだった。



次に妹の夢に侵入した。彼女は私を見るなり、悲鳴を上げた。私の姿は彼女の心の奥深くに潜む罪悪感を引き出し、恐怖を増幅させる。夢の中で彼女は逃げ回り、私の存在を必死に振り払おうとした。






復讐を果たすごとに、私の心の中に潜む闇も深まっていく。私はかつての自分を取り戻せなくなっていた。夜毎、王太子と妹の夢に侵入するたび、彼らの恐怖を糧にして自らを強化していく。その結果、自分自身もまた、恐怖の存在に変わり果てていった。



ある夜、予期せぬ出来事が起こる。妹と王太子が、私の夢の中に現れたのだ。彼らは手を取り合い、私を笑いながら見下していた。



「あなたはもう、私たちに勝つことはできない。」と妹が笑う。彼らの言葉は私の心を刺す刃のようで、私はその瞬間、自分の復讐が完全に裏目に出ていることを悟った。



#### 第六章: 逃れられない運命



復讐の果てに訪れたのは、孤独な終焉だった。私の心は、復讐のために失ったものの重さで押しつぶされそうになっていた。王太子と妹の姿は、私にとっての恐怖そのものであり、同時に自らの影でもあった。



「もう、何もかもが終わりだ。」と呟くと、暗闇が私を包みこむ。私は復讐のために手に入れた力に飲み込まれ、恐怖の象徴となることを選んだ。私の存在は、彼らに対する最大の復讐であり、同時に自らの破滅でもあった。



最後には、誰も私を覚えていない。ただ、冷たい風が吹き抜け、過去の影が静かに消え去るのだった。




この物語は、復讐がもたらす自己崩壊を描いたものであり、選択の結果がもたらす恐怖を通じて、我々が何を選ぶべきかを考えさせられる。恐怖の中に潜む真実を見つめる勇気が、時に最も大切なのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす

三谷朱花
恋愛
 ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。  ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。  伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。  そして、告げられた両親の死の真相。  家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。    絶望しかなかった。  涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。  雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。  そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。  ルーナは死を待つしか他になかった。  途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。  そして、ルーナがその温もりを感じた日。  ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

婚約破棄から始まる、私の愛され人生

有賀冬馬
恋愛
婚約者・エドに毎日いじめられていたマリアンヌ。結婚を望まれ、家のために耐える日々。だが、突如としてエドに婚約破棄され、絶望の淵に立たされる――。 そんな彼女の前に現れたのは、ずっと彼女を想い続けていた誠実な青年、クリス。彼はマリアンヌに優しく手を差し伸べ、彼女の心を温かく包み込む。 新しい恋人との幸せな日々が始まる中、マリアンヌは自分を愛してくれる人に出会い、真実の愛を知ることに――。 絶望の先に待っていたのは、心の傷を癒す「本当の幸せ」。

断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber
恋愛
*完結済み、ハッピーエンド 「今まで役に立ってくれてありがとう。もう貴方は要らないわ」  人生をかけて尽くしてきた優しい継母。  彼女の正体は『邪魔者は全て排除。常に自分が一番好かれていないと気が済まない』帝国史上、最も邪悪な女であった。  継母によって『魔女』に仕立てあげられ、処刑台へ連れて行かれることになったメアリー。  メアリーが居なくなれば、帝国の行く末はどうなってしまうのか……誰も知らずに。  牢の中で処刑の日を待つ彼女の前に、怪しげな男が現れる。 「俺が力を貸してやろうか?」  男は魔法を使って時間を巻き戻した。 「もう誰にも屈しないわ。私は悪逆令嬢になって、失った幸せを取り戻すの!」  家族を洗脳して手駒にする貴族。  罪なき人々を殺める魔道士。  そして、私を散々利用した挙句捨てたお義母様。  人々を苦しめる悪党は全て、どんな手を使ってでも悪逆令嬢である私が、断罪、断罪、断罪、断罪、断罪するのよ!  って、あれ?  友人からは頼りにされるし、お兄様は急に過保護。公爵様からも求婚されて……。  悪女ムーブしているのに、どうして回帰前より皆様に好かれているのかしら??? ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 〇約十一万文字になる予定です。 もし「続きが読みたい!」「スカッとした」「面白い!」と思って頂けたエピソードがありましたら、♥コメントで反応していただけると嬉しいです。 読者様から頂いた反応は、今後の執筆活動にて参考にさせていただきます。

【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇

夜桜 舞
恋愛
「私がどんなに頑張っても……やっぱり駄目だった」 その日、乙女ゲームの悪役令嬢、「レイナ・ファリアム」は絶望した。転生者である彼女は、前世の記憶を駆使して、なんとか自身の断罪を回避しようとしたが、全て無駄だった。しょせんは悪役令嬢。ゲームの絶対的勝者であるはずのヒロインに勝てるはずがない。自身が断罪する運命は変えられず、婚約者……いや、”元”婚約者である「デイファン・テリアム」に婚約破棄と国外追放を命じられる。みんな、誰一人としてレイナを庇ってはくれず、レイナに冷たい視線を向けていた。そして、国外追放のための馬車に乗り込むと、馬車の中に隠れていた何者かによって……レイナは殺害されてしまった。 「なぜ、レイナが……あの子は何も悪くないのに!!」 彼女の死に唯一嘆いたものは、家族以上にレイナを知る存在……レイナの親友であり、幼馴染でもある、侯爵令嬢、「ヴィル・テイラン」であった。ヴィルは親友のレイナにすら教えていなかったが、自身も前世の記憶を所持しており、自身がゲームのモブであるということも知っていた。 「これまでは物語のモブで、でしゃばるのはよくないと思い、見て見ぬふりをしていましたが……こればかりは見過ごせません!!」 そして、彼女は決意した。レイナの死は、見て見ぬふりをしてきた自身もにも非がある。だからこそ、彼女の代わりに、彼女への罪滅ぼしのために、彼女を虐げてきた者たちに復讐するのだ、と。これは、悪役令嬢の断罪から始まる、モブ令嬢の復讐劇である。

処理中です...