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 「やったか……?」
「どうやら、上手くいったみたいだね……」
「はい!なんとかなりましたね……」
「それにしても、凄まじい威力だったね……。今の一撃で、この辺り一帯の壁が崩れてるよ……」
「そうですね……。かなり力を込めましたから……」
「やっぱり君は強いな……。ボクも負けないようにしないとね……」
「そんなことないですよ……。シラ-ジさんの方がずっと強かったです……」
「ありがとう……。そう言って貰えると嬉しいよ……」
「さあ、行きましょうか……!」
シンヤ達は階段を下って、地下にある1階のフロアへと戻ってきた。
「ふう……。とりあえず、これで終わりですね……」
「そうだね……。ボクも少し疲れたかな……」
「そういえば、そろそろお昼時ですけど、どこかで食事でもします?」
「いいね……。じゃあ、せっかくだから美味しい物を食べに行こうか……」
「はい!楽しみですね……」
二人は、近くにある飲食店へと向かうことにした。店に入ると、若い女性店員に案内されて席に着いた。メニューを見ると、色々な料理の名前が書かれていた。
「色々と種類があるんですね……。どれにするか迷ってしまいますね……」
「そうだね……。どれも美味しそうに見えるね……」
「そうですね……。あっ……!このオムライスって、とても美味しそうです……!」
「じゃあ、ボクはこのハンバーグ定食っていうのにするよ……」
「じゃあ、俺はこの日替わりランチにしましょうかね……」
注文を終えると、しばらくして料理が運ばれてきた。シンヤ達が食べ始めると、女性店員が声をかけてきた。
「ごゆっくり、おくつろぎ下さい……」
「ありがとうございます……。あの、聞きたいことがあるんですが、いいですか……?」
「はい。なんでしょうか……?」
「このダンジョンについてなんですけど、モンスターの強さが普通とは違う気がするんですよ……。何か特別な理由があるんでしょうか……?」
「えっと……。それはですね……。このダンジョンは、ある人物が作り出したものでして……。その方が生み出した特殊なモンスターが徘徊しているんです……」
「えっ……?その人が作ったダンジョンなんですか……?」
「はい……。その方は、この世界の支配者になろうとしているみたいなんです……。私は、その方に逆らうことができないのです……。申し訳ありません……」
「謝る必要なんて無いですよ……。別にあなたが悪いわけじゃないんでしょう?」
「そう言っていただけると助かります……。私にも戦う力はありますので、もしよろしかったら一緒に戦わせて頂けないでしょうか?」
「それは大丈夫だけど……。どうしてそこまでしてくれるんだ?」
「それは……。貴方達を応援したいと思ったからです……。頑張って、世界を救ってほしいと思っていますから……」
「そうなのか……。分かったよ……。俺たちは絶対に魔王を倒してみせるから……」
「ありがとうございます……。どうかお願いいたします……」
女性は深々と頭を下げた。その様子を見たシンヤ達は、食事を済ませると、そのままダンジョンを出ていった。
◆ シンヤ達はダンジョンを出ると、近くの街に来ていた。この街には、様々な種類の武器屋や防具屋などが建ち並んでいる。
「ここが、この街で一番大きな商店街らしいな……」
「そうだね……。武器とか買い替えようと思うんだけど、シンヤはどんな武器が欲しいかい?」
「俺は剣があれば十分だと思いますけど……。シラ-ジさんが使う武器は何になるんですか?」
「ボクの武器か……。ボクの場合は、短剣を使うことが多いかな……。それと弓なんかも得意だよ……」
「そうなんですか……。じゃあ、武器は俺と同じで剣にしておきましょうか」
「それで構わないよ……。それじゃあ、早速買おうか……」
二人は店内に入ると、すぐに店主に声をかけられた。
「いらっしゃいませ……。どのような物をお探しでしょう……?」
「俺とシラ-ジさんの新しい武器が欲しくて……。オススメはありますか……?」
「かしこまりました……。では、こちらへどうぞ……」
シンヤ達は男性に連れられて、店の奥の方へと移動した。そこには、沢山の剣が並べられていた。
「こちらは、当店の中でも最高級の品となっております……。どうぞ、手に取ってみて下さい……」
シンヤ達は順番に剣を手に取っていくが、あまりしっくりくるものがなかった。そんな中、シンヤはある剣に目を奪われた。
「この剣……。凄く綺麗な剣だな……」
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