5 / 57
一章
対面です
しおりを挟む
――――そう、意気込んだのはいい。
しかし、待ち合わせの場所に来たロゼは今、少し後悔していた。
もう少し相手の事を聞いてから提案にのるべきだったと。
――わ、私の2倍はあるのではないですか!?身長だけで!!その上、体の厚さと横幅まで考えたら………………。ま、魔物ではない、んですよね……?
これ、殺されないよねと身も蓋もないことを考え始めるロゼ。落ち着け。あと失礼。
内心叫び出したくなっているロゼの前に立つ男が、薄い大きな唇を開く。
「……………………………子供が何故ここにいる」
ロゼはピシッと音を立てて固まった。
――――こ、子ども??子どもって私のこと!?いや、確かに私は140センチでちょっと小柄くらいですけど……。この人に比べたらみんな子供なんじゃ……。
「あ、あの、私は子どもでは無いです。新人隊所属の、ロゼ=シュワルツェと申します。ほ、ほら、隊服を着ているでしょう?」
目を回しながら、なんとかロゼは答える。相手の腹を見ながら(顔はムリ!!)。
「…………どこかから盗んだ服ではないよな?」
――――…………っそ、そんなに似合わないんですか!!?なんかショック……
「す、すみません」
「なぜ謝る」
「いや、あ、アハ」
「………」
部屋に帰りたい。今猛烈に部屋に帰りたい。
しばらく沈黙が続いた後、男が口を開いた。
「……ゼルド=ロード」
「え?」
「名前」
「…………っあ、はい!ロードさんですね」
これは恐らく先程ロゼが名乗った返事、ということだろう。なんというか…………コミュニケーションどこいった、な男である。
「……リデナス隊長の隊所属、の火使いの方でお間違い無いですか?」
「ああ、そうだ。お前の訓練に付き合うよう、言われた」
リデナス曰く、これから週二でお互いの訓練と討伐の仕事の合間に練習に付き合ってくれる、ということだ。
「よ、よろしくお願いします」
「ああ」
「……」
「……何故顔を見ない?」
ロゼはあからさまに肩を震わせた。
――――こ、怖いからって、言ってもいいのでしょうか。いえ、普通に考えて失礼ですよね。えと、えと……
「――く、首が痛くて!そう!首が痛くて今上を見れないんです」
「――――……ああ、すまない」
男は2人の身長差に今気づいたように謝った。そして。
「これでいいか?」
あろうことか、しゃがんでロゼに目線を合わせたのである。しかししゃがんだとしてもまだこの男、ゼルド=ロードの方が頭が高い。なんという身長差!!
そして、当のロゼは。
硬直していた。
そう、顔が、目が、バッチリ至近距離で合ってしまったのだ。
やばい、泡吹いて倒れちゃうかも、とよく訳の分からないことを考えていたロゼの目に、ふとゼルドのヘーゼル色の瞳が映りこんだ。
――顔は、物凄い、そうものすっっごい怖いですけど。……案外、優しそうかもしれない。
焦げ茶色の短髪にヘーゼル色の瞳。目はつり気味の三白眼で、色素が薄いため瞳孔が開いているように見える。眉はキリッと太く、堀は深い。高い鼻に薄くて大きい唇、そして日焼けした褐色の肌。
何より、ヘーゼルの瞳の奥には、優しさと知性がある、気がした。
よく見れば整っている。だがしかし、よく見る前に顔を背けて見たこと自体を無かったことにしたくなるくらいには顔が怖い。不思議なものである。
「………お前は、俺が怖くないのか?」
「ぇっ」
不思議そうにゼルドが尋ねる。怖くないわけがない。怖くないわけがないのだが……
「屈んで、くれたので。多分優しい方なのかな、と、思いました」
「……そうか」
なんとなく男の雰囲気が和らいだ、気がした。
しかし、待ち合わせの場所に来たロゼは今、少し後悔していた。
もう少し相手の事を聞いてから提案にのるべきだったと。
――わ、私の2倍はあるのではないですか!?身長だけで!!その上、体の厚さと横幅まで考えたら………………。ま、魔物ではない、んですよね……?
これ、殺されないよねと身も蓋もないことを考え始めるロゼ。落ち着け。あと失礼。
内心叫び出したくなっているロゼの前に立つ男が、薄い大きな唇を開く。
「……………………………子供が何故ここにいる」
ロゼはピシッと音を立てて固まった。
――――こ、子ども??子どもって私のこと!?いや、確かに私は140センチでちょっと小柄くらいですけど……。この人に比べたらみんな子供なんじゃ……。
「あ、あの、私は子どもでは無いです。新人隊所属の、ロゼ=シュワルツェと申します。ほ、ほら、隊服を着ているでしょう?」
目を回しながら、なんとかロゼは答える。相手の腹を見ながら(顔はムリ!!)。
「…………どこかから盗んだ服ではないよな?」
――――…………っそ、そんなに似合わないんですか!!?なんかショック……
「す、すみません」
「なぜ謝る」
「いや、あ、アハ」
「………」
部屋に帰りたい。今猛烈に部屋に帰りたい。
しばらく沈黙が続いた後、男が口を開いた。
「……ゼルド=ロード」
「え?」
「名前」
「…………っあ、はい!ロードさんですね」
これは恐らく先程ロゼが名乗った返事、ということだろう。なんというか…………コミュニケーションどこいった、な男である。
「……リデナス隊長の隊所属、の火使いの方でお間違い無いですか?」
「ああ、そうだ。お前の訓練に付き合うよう、言われた」
リデナス曰く、これから週二でお互いの訓練と討伐の仕事の合間に練習に付き合ってくれる、ということだ。
「よ、よろしくお願いします」
「ああ」
「……」
「……何故顔を見ない?」
ロゼはあからさまに肩を震わせた。
――――こ、怖いからって、言ってもいいのでしょうか。いえ、普通に考えて失礼ですよね。えと、えと……
「――く、首が痛くて!そう!首が痛くて今上を見れないんです」
「――――……ああ、すまない」
男は2人の身長差に今気づいたように謝った。そして。
「これでいいか?」
あろうことか、しゃがんでロゼに目線を合わせたのである。しかししゃがんだとしてもまだこの男、ゼルド=ロードの方が頭が高い。なんという身長差!!
そして、当のロゼは。
硬直していた。
そう、顔が、目が、バッチリ至近距離で合ってしまったのだ。
やばい、泡吹いて倒れちゃうかも、とよく訳の分からないことを考えていたロゼの目に、ふとゼルドのヘーゼル色の瞳が映りこんだ。
――顔は、物凄い、そうものすっっごい怖いですけど。……案外、優しそうかもしれない。
焦げ茶色の短髪にヘーゼル色の瞳。目はつり気味の三白眼で、色素が薄いため瞳孔が開いているように見える。眉はキリッと太く、堀は深い。高い鼻に薄くて大きい唇、そして日焼けした褐色の肌。
何より、ヘーゼルの瞳の奥には、優しさと知性がある、気がした。
よく見れば整っている。だがしかし、よく見る前に顔を背けて見たこと自体を無かったことにしたくなるくらいには顔が怖い。不思議なものである。
「………お前は、俺が怖くないのか?」
「ぇっ」
不思議そうにゼルドが尋ねる。怖くないわけがない。怖くないわけがないのだが……
「屈んで、くれたので。多分優しい方なのかな、と、思いました」
「……そうか」
なんとなく男の雰囲気が和らいだ、気がした。
0
あなたにおすすめの小説
人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~
雨宮 叶月
恋愛
「人の「正しさ」が崩れていく瞬間って、美しいと思いません?」
学校でも家でも理不尽な扱いを受ける少女・成瀬伊澄。
ある日、クラスメイト・担任と共に異世界のデスゲームに巻き込まれた。
召喚したのは悪魔・ディオラル。
なんだか様子がおかしいが、嬉しいので気にしない。
『死』は恐怖じゃない。だから最期までデスゲームを楽しむことにする。
彼氏がヤンデレてることに気付いたのでデッドエンド回避します
八
恋愛
ヤンデレ乙女ゲー主人公に転生した女の子が好かれたいやら殺されたくないやらでわたわたする話。基本ほのぼのしてます。食べてばっかり。
なろうに別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたものなので今と芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
一部加筆修正しています。
2025/9/9完結しました。ありがとうございました。
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】
remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。
佐倉ここ。
玩具メーカーで働く24歳のOL。
鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。
完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。
【完結】ありがとうございました‼
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる