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一章
同期のお二人
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自分の後ろ、正確には頭の上から響く重低音のような声に、男の腕の中にいるロゼはびくりとその身を震わせた。
「――寄越せ?寄越せだと?」
「………っえ、あいやべべ別にそういうんじゃないって!まったく冗談の通じんやつだなあははははは、は…………」
先程まで陽気な様子だったモリは酔いが冷めたのか、しゃくりもいつの間にか止まり、今はゼルドから漂う負のオーラに冷や汗をダラダラ流しながら何に対してのものなのか分からない弁解を試みている。
こちらに向かってきた時の勢いを無くし焦りながら弁解を始めたモリを見ても、ゼルドが溜飲を下げる様子はない。ロゼを抱いている腕の力は強まり、次第にロゼの小さな腹は圧迫されてゆく。先程食べたサンドイッチが逆流しそうな程の締め付けに、ロゼは思わず渋面になった。
三人の間で流れる異様な雰囲気に、立食しながら談笑を楽しんでいた隊員たちが徐々に違和感を抱き始め、そして目線が一点に集中してゆく。その隊員たちの目線の先には、どう見ても、どう捉えても説明がつかないような状態の二人がいた。
そう、凶悪面でモリを睨む巨体と、その膝の上でちょこんとお座りしている顔色の悪い少女が。
この隊におけるゼルドのイメージは、外部からの印象と比べてかなり柔らかいものであると言える。三年近く同じ隊に所属している隊員達は、ゼルドが意味もなく人を傷つけたり、理不尽なことを言ったりするような人ではないと理解しているからだ。
だがしかし、恐いものは恐い。
常に大きな体から放たれている威圧感、その戦闘能力、冷徹さを欠かない判断力、そしてその恐い顔。二十歳とは到底思えないその存在は、基本的に無口・無表情を極めていることもあってあまり積極的に親しまれているような存在ではなかった。……まあシュデルやモリのような例外は多数存在するのだが。
そんな男が、小動物的可愛さを体現したような少女を取られまいとするかのようにきつく抱き締めているのである。
…………隊員達の脳裏に犯罪の二文字が過ぎ去ったとしても、誰も責めることは出来ないだろう。
しかし気にはなるものの、誰も首を突っ込む勇気もなく…………そしてこのような時に限ってシュデルは無くなった食材を食堂に取りに行っており、不在なのであった。
皆が注目する中、眼光鋭くモリを睨めつけているゼルドが口を開いた時だった。
「そこの貴方、そうあなたよ」
ソファの横から掛けられた声に、ロゼは何とかゼルドの腕の中から身を乗り出して声の主へと顔を向ける。
そこには、ロゼの同期となるアリア=ヒルデンがツンと顎を上向けて仁王立ちしていた。
「貴方、部屋は私の隣よね?私の部屋に見覚えのない荷物が届けられていたのだけれど、確認してくれないかしら」
「荷物、ですか」
ロゼは新人隊の部屋からこの棟に与えられた隊員の部屋に引っ越しした際、必要な荷物は全て移動したはずだった。必要のないと判断したものは新人隊の棟のゴミ処理場に廃棄してきたし、部屋に残したものもなかったはずだ。
運ぶ段階で何か取り落とし、それを誰かが間違えて隣の部屋へ届けてしまったのだろうか。
「わ、分かりました。今行きま……………ロードさん」
「何だ」
アリアのほうに歩み寄ろうとしたロゼは上半身に絡まる太い腕に阻まれ、その元凶となる男へと顔を向ける。自身を拘束する腕を解くように言外に伝えたつもりだったが、どうやらここまで来てもゼルドにロゼを離す気はないらしい。その頑固さに、先程まで考えていたゼルドに対する烏滸がましさなども忘れたまま、ロゼは気丈にもゼルドを睨みつける。
…………顔の位置的に上目遣いになってしまうので、どうにも格好はつかないが。
「下りたいので、腕を解いてください」
「……」
「いつまでもこのままという訳にはいかないでしょう。…………は、恥ずかしいので。もう、このようなことはやめてください」
「断る」
「っでは、今は下ろしてください」
「…………それなら、いいのか」
いいのか、というのはこれからも触れていいのかという意味だろう。
ロゼはその言葉に返事を返すことなく、少し緩んだ腕の中から逃げ出すようにしてソファから飛び降り、部屋のほうへと歩いてゆく。
そんなロゼのほうへとアリアが近づいてくる。
「あなた、アリア=ヒルデンだったかしら。…………大丈夫なの?あの、ゼルドとかいう男に随分強引に迫られていたようだけれど」
「っえ、ああまあ。大丈夫では、ないんですけど」
―――主に私の心臓が。
しかし他の隊員が止めに入ることもなかったあの雰囲気の中、目の前に立つ人形のような美貌の少女は声を掛けてくれたのだ。どのような理由であれ、ロゼがアリアに対して好意的な印象を抱くのには十分だった。
「あの、届いた荷というのは……」
「――ああ、あれ。私の勘違いだったようだわ。忘れて頂戴」
「っぇ」
アリアは態度を崩すことなく、つんとした様子で自分の勘違いであったと告げる。先程の言葉といい、あの収拾のつかない状況からロゼを助け出そうとしてくれたのは明らかだった。
「――ありがとうございます」
「べ、別にお礼なんていいのよ。私の勘違いだったのだから」
しかし本人に認める気はないようだ。顎を上向け、ふいっと横を向いてしまう。その分かりにくいようで分かりやすい優しさに、ロゼはくすりと笑いを零した。
「……何を笑っているのよ」
「いえ、すみません。ただ私は恵まれすぎていると思って」
「?意味が分からないわ」
「気にしないでください。……アリアさん、と呼んでも良いですか?」
「…………別に、いいわよ。……………………………………………ア、アリアでも」
「っはい!私のことも、ぜひロゼと呼んでください」
綺麗に編み込まれた銀髪に宝石のような鮮やかな瞳。少し遠いようにも感じてしまう容姿に反してどうやら優しい性格である少女は、依然としてそっぽを向いたままだ。
――そのおかげで、耳が赤くなっているのがロゼには見えていた。
「これから、よろしくお願いします」
「ええ。同じ女性隊員同士、うまくやっていきましょう」
暖色を帯びたランプの灯の下、ふたつの影が伸び縮みを繰り返す。少し肌寒い廊下で壁に寄りかかりながら2人は暫しの間談笑を楽しんでいた。
話してみてもこの少女の優しいところ、そして案外真面目なところが分かり、ロゼは次第に打ち解けて話すようになっていた。
しかしお互いの新人隊時代の話になったとき、それまで陽気に話していたアリアの顔に少しの陰りが表れる。
「……もしかして、何か困ったことがあるのですか?無理に話す必要はありませんが…………私でよかったら聞きますよ」
「……いえ、困った事という訳じゃないのよ。…………ただ、考えたくもない奴のことを考えてしまっただけで」
「考えたくもない、ですか」
「ええ。まさか同じ隊になるなんて思わなかったから、さっきまで少し気が荒れていたのよ。不愉快にさせてしまったのなら謝るわ」
「いえ、不愉快なんてそんなことは」
アリアと新人隊が同じの第二隊所属の隊員は、恐らく一人しかいない。
先程の挨拶の時、彼を睨んでいたアリアの顔を思い出す。恨みや憎しみ、軽蔑という感情よりは…………苦手、敵対心という方が近い気がした。小さい子供が意地を張って相手を認めない、そんな感じの。
「……その方のこと、嫌いなんですか?」
「嫌いよ」
彼が誰なのか分かりきってはいるが、一応遠慮して名前を挙げずに問うと、すぱっと即答される。
「そ、そんなにですか」
「嫌いよあんな奴。だってあいつ、初対面で私に何で言ったと思う?」
「っえ!うぅー……?何でしょう、分かりません」
「『顔が猫だな』って!そう言ったのよ!!」
どうやら本人は猫顔なのを相当気にしているらしい。気高い猫のような整った顔なのに、とロゼは思ったが、流石に今は言うべきではないだろうと口を噤んだ。
人によって言われて嫌なこと、感じることは異なる。自分にとって些細なことでも、他人にとってそうとは限らないのだ。
「私が猫だったらあの無駄に整った顔を爪で血だらけにしてやるところよ!」
―――整ってるところは認めるんですね。………ううーん何か、思っていたよりも単純な話で良いのか悪いのか……。
「話せば、仲直りできるのでは?」
「仲直りも何も、私があいつを嫌いなだけよ。仲良くなろうとも思わないわ」
ふんっと鼻息荒くそう告げるアリア。
まあ本人がそう言うのであれば、第三者がとやかく言うことでは無いだろう。
ロゼは苦笑を零しながら顔を上げる。その時
ふとこちらに向けられる目線に気付く。
目線を辿ると、ロビーの中央、複数のテーブルが設置されている所に立っている男に辿り着く。他の隊員と話しながらも此方に向けている顔は、挨拶の時と同じ、真顔。
丁度話に出ていた男――レイ=ノーヴァがじっとロゼを見ていた。
いや、ロゼをというのは語弊がある。彼が見ているのは、彼のいる方向から見てロゼと重なって見えるアリアだ。しかしアリアはその視線に気づいた様子もなく、壁にもたれ掛かりながら今はもう別の話題に花を咲かせている。
ロゼが気付いてから此方を見ていた時間は二、三秒程だったと思う。隣の男からの問い掛けに答える際、さり気なく瞳が逸らされる。
此方からレイ=ノーヴァまでの距離はかなりあるため、二人の会話が聞こえたという訳では無いはずだ。ということはレイはただ単にアリアを見ていたという事になる。……恐らく、ロゼが気付く前からずっと。
「…………ロゼ?どうかしたの?」
何やら色々拗れているのかもしれないと思いながらも、ロゼはその話題に触れることなく、なんでもないと言いながらアリアとの会話を再開した。
「――寄越せ?寄越せだと?」
「………っえ、あいやべべ別にそういうんじゃないって!まったく冗談の通じんやつだなあははははは、は…………」
先程まで陽気な様子だったモリは酔いが冷めたのか、しゃくりもいつの間にか止まり、今はゼルドから漂う負のオーラに冷や汗をダラダラ流しながら何に対してのものなのか分からない弁解を試みている。
こちらに向かってきた時の勢いを無くし焦りながら弁解を始めたモリを見ても、ゼルドが溜飲を下げる様子はない。ロゼを抱いている腕の力は強まり、次第にロゼの小さな腹は圧迫されてゆく。先程食べたサンドイッチが逆流しそうな程の締め付けに、ロゼは思わず渋面になった。
三人の間で流れる異様な雰囲気に、立食しながら談笑を楽しんでいた隊員たちが徐々に違和感を抱き始め、そして目線が一点に集中してゆく。その隊員たちの目線の先には、どう見ても、どう捉えても説明がつかないような状態の二人がいた。
そう、凶悪面でモリを睨む巨体と、その膝の上でちょこんとお座りしている顔色の悪い少女が。
この隊におけるゼルドのイメージは、外部からの印象と比べてかなり柔らかいものであると言える。三年近く同じ隊に所属している隊員達は、ゼルドが意味もなく人を傷つけたり、理不尽なことを言ったりするような人ではないと理解しているからだ。
だがしかし、恐いものは恐い。
常に大きな体から放たれている威圧感、その戦闘能力、冷徹さを欠かない判断力、そしてその恐い顔。二十歳とは到底思えないその存在は、基本的に無口・無表情を極めていることもあってあまり積極的に親しまれているような存在ではなかった。……まあシュデルやモリのような例外は多数存在するのだが。
そんな男が、小動物的可愛さを体現したような少女を取られまいとするかのようにきつく抱き締めているのである。
…………隊員達の脳裏に犯罪の二文字が過ぎ去ったとしても、誰も責めることは出来ないだろう。
しかし気にはなるものの、誰も首を突っ込む勇気もなく…………そしてこのような時に限ってシュデルは無くなった食材を食堂に取りに行っており、不在なのであった。
皆が注目する中、眼光鋭くモリを睨めつけているゼルドが口を開いた時だった。
「そこの貴方、そうあなたよ」
ソファの横から掛けられた声に、ロゼは何とかゼルドの腕の中から身を乗り出して声の主へと顔を向ける。
そこには、ロゼの同期となるアリア=ヒルデンがツンと顎を上向けて仁王立ちしていた。
「貴方、部屋は私の隣よね?私の部屋に見覚えのない荷物が届けられていたのだけれど、確認してくれないかしら」
「荷物、ですか」
ロゼは新人隊の部屋からこの棟に与えられた隊員の部屋に引っ越しした際、必要な荷物は全て移動したはずだった。必要のないと判断したものは新人隊の棟のゴミ処理場に廃棄してきたし、部屋に残したものもなかったはずだ。
運ぶ段階で何か取り落とし、それを誰かが間違えて隣の部屋へ届けてしまったのだろうか。
「わ、分かりました。今行きま……………ロードさん」
「何だ」
アリアのほうに歩み寄ろうとしたロゼは上半身に絡まる太い腕に阻まれ、その元凶となる男へと顔を向ける。自身を拘束する腕を解くように言外に伝えたつもりだったが、どうやらここまで来てもゼルドにロゼを離す気はないらしい。その頑固さに、先程まで考えていたゼルドに対する烏滸がましさなども忘れたまま、ロゼは気丈にもゼルドを睨みつける。
…………顔の位置的に上目遣いになってしまうので、どうにも格好はつかないが。
「下りたいので、腕を解いてください」
「……」
「いつまでもこのままという訳にはいかないでしょう。…………は、恥ずかしいので。もう、このようなことはやめてください」
「断る」
「っでは、今は下ろしてください」
「…………それなら、いいのか」
いいのか、というのはこれからも触れていいのかという意味だろう。
ロゼはその言葉に返事を返すことなく、少し緩んだ腕の中から逃げ出すようにしてソファから飛び降り、部屋のほうへと歩いてゆく。
そんなロゼのほうへとアリアが近づいてくる。
「あなた、アリア=ヒルデンだったかしら。…………大丈夫なの?あの、ゼルドとかいう男に随分強引に迫られていたようだけれど」
「っえ、ああまあ。大丈夫では、ないんですけど」
―――主に私の心臓が。
しかし他の隊員が止めに入ることもなかったあの雰囲気の中、目の前に立つ人形のような美貌の少女は声を掛けてくれたのだ。どのような理由であれ、ロゼがアリアに対して好意的な印象を抱くのには十分だった。
「あの、届いた荷というのは……」
「――ああ、あれ。私の勘違いだったようだわ。忘れて頂戴」
「っぇ」
アリアは態度を崩すことなく、つんとした様子で自分の勘違いであったと告げる。先程の言葉といい、あの収拾のつかない状況からロゼを助け出そうとしてくれたのは明らかだった。
「――ありがとうございます」
「べ、別にお礼なんていいのよ。私の勘違いだったのだから」
しかし本人に認める気はないようだ。顎を上向け、ふいっと横を向いてしまう。その分かりにくいようで分かりやすい優しさに、ロゼはくすりと笑いを零した。
「……何を笑っているのよ」
「いえ、すみません。ただ私は恵まれすぎていると思って」
「?意味が分からないわ」
「気にしないでください。……アリアさん、と呼んでも良いですか?」
「…………別に、いいわよ。……………………………………………ア、アリアでも」
「っはい!私のことも、ぜひロゼと呼んでください」
綺麗に編み込まれた銀髪に宝石のような鮮やかな瞳。少し遠いようにも感じてしまう容姿に反してどうやら優しい性格である少女は、依然としてそっぽを向いたままだ。
――そのおかげで、耳が赤くなっているのがロゼには見えていた。
「これから、よろしくお願いします」
「ええ。同じ女性隊員同士、うまくやっていきましょう」
暖色を帯びたランプの灯の下、ふたつの影が伸び縮みを繰り返す。少し肌寒い廊下で壁に寄りかかりながら2人は暫しの間談笑を楽しんでいた。
話してみてもこの少女の優しいところ、そして案外真面目なところが分かり、ロゼは次第に打ち解けて話すようになっていた。
しかしお互いの新人隊時代の話になったとき、それまで陽気に話していたアリアの顔に少しの陰りが表れる。
「……もしかして、何か困ったことがあるのですか?無理に話す必要はありませんが…………私でよかったら聞きますよ」
「……いえ、困った事という訳じゃないのよ。…………ただ、考えたくもない奴のことを考えてしまっただけで」
「考えたくもない、ですか」
「ええ。まさか同じ隊になるなんて思わなかったから、さっきまで少し気が荒れていたのよ。不愉快にさせてしまったのなら謝るわ」
「いえ、不愉快なんてそんなことは」
アリアと新人隊が同じの第二隊所属の隊員は、恐らく一人しかいない。
先程の挨拶の時、彼を睨んでいたアリアの顔を思い出す。恨みや憎しみ、軽蔑という感情よりは…………苦手、敵対心という方が近い気がした。小さい子供が意地を張って相手を認めない、そんな感じの。
「……その方のこと、嫌いなんですか?」
「嫌いよ」
彼が誰なのか分かりきってはいるが、一応遠慮して名前を挙げずに問うと、すぱっと即答される。
「そ、そんなにですか」
「嫌いよあんな奴。だってあいつ、初対面で私に何で言ったと思う?」
「っえ!うぅー……?何でしょう、分かりません」
「『顔が猫だな』って!そう言ったのよ!!」
どうやら本人は猫顔なのを相当気にしているらしい。気高い猫のような整った顔なのに、とロゼは思ったが、流石に今は言うべきではないだろうと口を噤んだ。
人によって言われて嫌なこと、感じることは異なる。自分にとって些細なことでも、他人にとってそうとは限らないのだ。
「私が猫だったらあの無駄に整った顔を爪で血だらけにしてやるところよ!」
―――整ってるところは認めるんですね。………ううーん何か、思っていたよりも単純な話で良いのか悪いのか……。
「話せば、仲直りできるのでは?」
「仲直りも何も、私があいつを嫌いなだけよ。仲良くなろうとも思わないわ」
ふんっと鼻息荒くそう告げるアリア。
まあ本人がそう言うのであれば、第三者がとやかく言うことでは無いだろう。
ロゼは苦笑を零しながら顔を上げる。その時
ふとこちらに向けられる目線に気付く。
目線を辿ると、ロビーの中央、複数のテーブルが設置されている所に立っている男に辿り着く。他の隊員と話しながらも此方に向けている顔は、挨拶の時と同じ、真顔。
丁度話に出ていた男――レイ=ノーヴァがじっとロゼを見ていた。
いや、ロゼをというのは語弊がある。彼が見ているのは、彼のいる方向から見てロゼと重なって見えるアリアだ。しかしアリアはその視線に気づいた様子もなく、壁にもたれ掛かりながら今はもう別の話題に花を咲かせている。
ロゼが気付いてから此方を見ていた時間は二、三秒程だったと思う。隣の男からの問い掛けに答える際、さり気なく瞳が逸らされる。
此方からレイ=ノーヴァまでの距離はかなりあるため、二人の会話が聞こえたという訳では無いはずだ。ということはレイはただ単にアリアを見ていたという事になる。……恐らく、ロゼが気付く前からずっと。
「…………ロゼ?どうかしたの?」
何やら色々拗れているのかもしれないと思いながらも、ロゼはその話題に触れることなく、なんでもないと言いながらアリアとの会話を再開した。
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