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第73話 宴
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あれから魔女と従士の活躍によって、街に押し寄せてくるアヤカシ共は撃退された。
だが街の興奮は収まってはいない。
見聞きした活劇を肴に、親しい者と歓談に耽っていた。
そしてそのなかに三人の姿もあった。
「ああ、これも美味しいわね」
卓に並べられた品の数々を頬張り、舌鼓を打つノエル。
その傍らには既に皿が積み重ねられていた。
「良く食うなあ、お前」
「当然よ。出された物はきちんと頂かないと。それが報酬なら尚更だわ」
ノエルはクレイの悪態を聞き流し、口論ももどかしく次の品を口に入れる。
卓の上には働いてくれた御礼とばかりに食事が置かれているが、食べきれないという失礼は無さそうだった。
あれからのち、三人はこうやって晩餐に招かれている。
勿論、他の魔女や従士たちもだ。
今晩に限って料理は食べ放題である。
「ハンナも遠慮しないで食べなさいよ」
そう良いながらハンナの皿へと取り分ける。
別段遠慮はしていない。ノエルが二人より速く食べているのでそう見えるだけだ。
ありがとうとハンナは言うが、クレイには分かる。あれは絶対に食べきれない量だ。
仕方ない。あとで残った分は自分が処理しよう。
クレイはひとまずフォークを置き、飲み物を口にする。
「何にせよ、無事に終わって良かった」
目の前の食事ではなく、クレイへと二人の視線が移った。
頷くハンナ。微笑むノエル。
「あら、私たちだったら当然の結果じゃない?」
「戦いてのは何が起こるか分からないんだよ」
「でも結局は何も起こらなかったわよ」
「まあ、そうなんだけど……」
困った。どう説明すれば良いのか。
クレイの語りではノエルに勝てそうに無い。
さてどうしたものかとしばし沈黙が生まれたが、それを破ろうとハンナが助け船を出す。
「そうね、何が起こるかわからなかったわ。何も起こらなかったのは私たち、ノエルのおかげね」
「あら、そう言ってくれると嬉しいわね」
おだてを素直に受け取り、ノエルは気を良くする。
「でも何が起こるかわからないわ。私はここに滞在するつもりよ」
「なるほど、それも一理あるわね」
「ええ、私たちが去ったあと、アヤカシが来ることがあれば不名誉だわ」
「ハンナは心配性ね。それだったら私たちというより、参加した全員の責任じゃない?」
まあ、と言ってノエルは肉を頬張った。
「ハンナがそう言うならつき合うわ。旅は道連れって言うしね」
「ありがとう」
どういたしまして、とノエルが返す。
それにクレイが疑問を投げかけた。
「おい」
「なによ」
「ひょっとして、街を出てもついてくるつもりか?」
「うん? 当たり前でしょ。仲間なんだから」
「はああああああああ!?」
クレイは大声をあげてしまう。それに驚いたのか、周りの人もこちらをチラチラと見てくる。
彼らが見たのは信じられないといったクレイの表情であった。
「今回だけじゃなかったのか?」
ノエルと組んだのは依頼でやむなく、といったはずである。
記憶が確かならこれからもずっとという訳ではなかったはずだ。
自分の記憶を辿っているクレイに対し、ノエルはええそうねと同意を示した。
「そう思ってたわよ。でもね、アタシ達何だか良いパーティーだと思わない?」
「そうか?」
「だから、あなた達と一緒に旅をすることに決めたのよ」
「勝手に決めんなよ!」
今回限りということで我慢してきたが、頭痛の種がこれからもずっとつきまとうとなれば話が違う。
何とか別れさせようと考えるが、ノエルを突き放す言葉が思い浮かばない。
どうしようとハンナの方をみれば、彼女もまた困った顔をしていた。
「どうしよう、ハンナ」
クレイがハンナに声をかける。
彼女も同じように困っているのなら、拒絶の言葉が出るはず。
少なくとも、自分よりはうまく断れるだろう。
そう思って声をかけたのだったが、ハンナの口から出た言葉は、クレイの望むものでは無かった。
「……私は一緒に行っても良いと思う」
勝ち誇るノエル。落胆するクレイ。
クレイが叫ばなかったのは、少し成長したからなのか。
どうして、とクレイが問う前に、ハンナは二人を見ながら答えた。
「三人でぎくしゃくしていたというのなら、ここで別れて正解だと思うけど、そうじゃなかったわ。不足ではなく余裕が出るのなら一緒に旅しても問題無いはず。それに、魔女二人だと新しい経験も積めるし」
知識と経験。それは魔女の旅に不可欠なものだ。
ハンナがそう感じているのなら、批判する理由はない。
だが、不安を述べるのも従士の役目であろう。
「魔女と従士、二人でひとつ。これが基本てのはハンナも分かってるよな」
「……うん」
「その基本を掴んだとは言えない俺たちが、他を望むのは少々高望みだと思うけど?」
「でも」
「経験を積んでからでも遅くはないんじゃない?」
あえて普段よりきつい言い方をする。ハンナはうなだれる。
そんな顔は見たくはないのだが、言わねばならぬ時もある。
旅と言うのは不確定要素の連続だ。楽しいこともあれば辛いこともある。
それを学ぶために自分たちは旅をするのだ。
しかしながら、懐中に火種を抱えまま旅をするのは、やはり無謀だと思うのである。
また別の機会に会えるよ。
そう持っていこうとしたのだが、ノエルの横槍が入ってきた。
「別に高い望みでもないんじゃない?」
ふてぶてしい態度。やはりコイツはどうも苦手だ。
さてどうやって言い負かしてやろうかとクレイが身構えていると、ノエルはあっけらかんといった。
「二人でひとつ、良いわねえ。別にアタシはあんたたちの仲に割り込む気はないわよ」
「どどどどどどどういうつもり?」
クレイが口を開く前にハンナが、とても慌てた様子で口を開いた。
こんなに混乱するハンナは見たことが無かった。
「どうしたんだハンナ」
「ど、どうもしてないわ」
どうもしてないと言うが、明らかにどうかしている。
何かあったのかと尋ねようとするが、それをノエルが遮った。
「どうもしてないわよ。きっと食べ物が喉につかえたんでしょ、そうよね?」
「え、ええ。そうよ。驚かせてごめんなさい」
そう言って水を飲むハンナ。
それを見てクレイはそれ以上尋ねるのを止めた。
押し黙るハンナの代わりにノエルが口を開く。
「ハンナじゃないけど、良い経験になると思うわ」
「自分たちがか?」
「それもあるけど、私自身にもね」
今まで一人旅をしてきたノエルであったが、今回で何か得る物があったらしい。
だからこそ、二人についていきたいのだと頼むのだった。
さてどうしたものか。
正直、ノエルは苦手である。だがハンナは反対してはいない。
自分だけの感情の問題であった。
ちらりとノエルを窺うと、気安い笑顔を返してくる。
どうも掴み所がないというか、やりにくい。
苦手意識が、クレイの中に叩き込まれていた。
見つめ合い、逡巡したあとでクレイがため息をつく。
仕方が無い。
苦言は呈したものの、ハンナが許可した時点で受け入れるしかなかったのだ。
これも修行のうち。クレイはそう自分に言い聞かせることにした。
「それでなんだけど」
「ええ、わかってるわ。ハンナがリーダーで私はその下。ただの同行者よ」
道中でハンナを立ててくれることをノエルは約束する。
彼女としても長旅でトラブルは避けたいのであろう。
「勿論、クレイを小間使いにすることもしないわ」
「なんだと」
やはり一言多い。
向かいあう二人をハンナが割って入る。
「二人とも仲良く。まずは目の前の食事を攻略しましょうよ」
その意見にクレイもノエルも頷いてくれる。
何しろ料理はまだまだあるのだ。
口論は舌鼓となり、三人は長い夕食を楽しんだのだった。
だが街の興奮は収まってはいない。
見聞きした活劇を肴に、親しい者と歓談に耽っていた。
そしてそのなかに三人の姿もあった。
「ああ、これも美味しいわね」
卓に並べられた品の数々を頬張り、舌鼓を打つノエル。
その傍らには既に皿が積み重ねられていた。
「良く食うなあ、お前」
「当然よ。出された物はきちんと頂かないと。それが報酬なら尚更だわ」
ノエルはクレイの悪態を聞き流し、口論ももどかしく次の品を口に入れる。
卓の上には働いてくれた御礼とばかりに食事が置かれているが、食べきれないという失礼は無さそうだった。
あれからのち、三人はこうやって晩餐に招かれている。
勿論、他の魔女や従士たちもだ。
今晩に限って料理は食べ放題である。
「ハンナも遠慮しないで食べなさいよ」
そう良いながらハンナの皿へと取り分ける。
別段遠慮はしていない。ノエルが二人より速く食べているのでそう見えるだけだ。
ありがとうとハンナは言うが、クレイには分かる。あれは絶対に食べきれない量だ。
仕方ない。あとで残った分は自分が処理しよう。
クレイはひとまずフォークを置き、飲み物を口にする。
「何にせよ、無事に終わって良かった」
目の前の食事ではなく、クレイへと二人の視線が移った。
頷くハンナ。微笑むノエル。
「あら、私たちだったら当然の結果じゃない?」
「戦いてのは何が起こるか分からないんだよ」
「でも結局は何も起こらなかったわよ」
「まあ、そうなんだけど……」
困った。どう説明すれば良いのか。
クレイの語りではノエルに勝てそうに無い。
さてどうしたものかとしばし沈黙が生まれたが、それを破ろうとハンナが助け船を出す。
「そうね、何が起こるかわからなかったわ。何も起こらなかったのは私たち、ノエルのおかげね」
「あら、そう言ってくれると嬉しいわね」
おだてを素直に受け取り、ノエルは気を良くする。
「でも何が起こるかわからないわ。私はここに滞在するつもりよ」
「なるほど、それも一理あるわね」
「ええ、私たちが去ったあと、アヤカシが来ることがあれば不名誉だわ」
「ハンナは心配性ね。それだったら私たちというより、参加した全員の責任じゃない?」
まあ、と言ってノエルは肉を頬張った。
「ハンナがそう言うならつき合うわ。旅は道連れって言うしね」
「ありがとう」
どういたしまして、とノエルが返す。
それにクレイが疑問を投げかけた。
「おい」
「なによ」
「ひょっとして、街を出てもついてくるつもりか?」
「うん? 当たり前でしょ。仲間なんだから」
「はああああああああ!?」
クレイは大声をあげてしまう。それに驚いたのか、周りの人もこちらをチラチラと見てくる。
彼らが見たのは信じられないといったクレイの表情であった。
「今回だけじゃなかったのか?」
ノエルと組んだのは依頼でやむなく、といったはずである。
記憶が確かならこれからもずっとという訳ではなかったはずだ。
自分の記憶を辿っているクレイに対し、ノエルはええそうねと同意を示した。
「そう思ってたわよ。でもね、アタシ達何だか良いパーティーだと思わない?」
「そうか?」
「だから、あなた達と一緒に旅をすることに決めたのよ」
「勝手に決めんなよ!」
今回限りということで我慢してきたが、頭痛の種がこれからもずっとつきまとうとなれば話が違う。
何とか別れさせようと考えるが、ノエルを突き放す言葉が思い浮かばない。
どうしようとハンナの方をみれば、彼女もまた困った顔をしていた。
「どうしよう、ハンナ」
クレイがハンナに声をかける。
彼女も同じように困っているのなら、拒絶の言葉が出るはず。
少なくとも、自分よりはうまく断れるだろう。
そう思って声をかけたのだったが、ハンナの口から出た言葉は、クレイの望むものでは無かった。
「……私は一緒に行っても良いと思う」
勝ち誇るノエル。落胆するクレイ。
クレイが叫ばなかったのは、少し成長したからなのか。
どうして、とクレイが問う前に、ハンナは二人を見ながら答えた。
「三人でぎくしゃくしていたというのなら、ここで別れて正解だと思うけど、そうじゃなかったわ。不足ではなく余裕が出るのなら一緒に旅しても問題無いはず。それに、魔女二人だと新しい経験も積めるし」
知識と経験。それは魔女の旅に不可欠なものだ。
ハンナがそう感じているのなら、批判する理由はない。
だが、不安を述べるのも従士の役目であろう。
「魔女と従士、二人でひとつ。これが基本てのはハンナも分かってるよな」
「……うん」
「その基本を掴んだとは言えない俺たちが、他を望むのは少々高望みだと思うけど?」
「でも」
「経験を積んでからでも遅くはないんじゃない?」
あえて普段よりきつい言い方をする。ハンナはうなだれる。
そんな顔は見たくはないのだが、言わねばならぬ時もある。
旅と言うのは不確定要素の連続だ。楽しいこともあれば辛いこともある。
それを学ぶために自分たちは旅をするのだ。
しかしながら、懐中に火種を抱えまま旅をするのは、やはり無謀だと思うのである。
また別の機会に会えるよ。
そう持っていこうとしたのだが、ノエルの横槍が入ってきた。
「別に高い望みでもないんじゃない?」
ふてぶてしい態度。やはりコイツはどうも苦手だ。
さてどうやって言い負かしてやろうかとクレイが身構えていると、ノエルはあっけらかんといった。
「二人でひとつ、良いわねえ。別にアタシはあんたたちの仲に割り込む気はないわよ」
「どどどどどどどういうつもり?」
クレイが口を開く前にハンナが、とても慌てた様子で口を開いた。
こんなに混乱するハンナは見たことが無かった。
「どうしたんだハンナ」
「ど、どうもしてないわ」
どうもしてないと言うが、明らかにどうかしている。
何かあったのかと尋ねようとするが、それをノエルが遮った。
「どうもしてないわよ。きっと食べ物が喉につかえたんでしょ、そうよね?」
「え、ええ。そうよ。驚かせてごめんなさい」
そう言って水を飲むハンナ。
それを見てクレイはそれ以上尋ねるのを止めた。
押し黙るハンナの代わりにノエルが口を開く。
「ハンナじゃないけど、良い経験になると思うわ」
「自分たちがか?」
「それもあるけど、私自身にもね」
今まで一人旅をしてきたノエルであったが、今回で何か得る物があったらしい。
だからこそ、二人についていきたいのだと頼むのだった。
さてどうしたものか。
正直、ノエルは苦手である。だがハンナは反対してはいない。
自分だけの感情の問題であった。
ちらりとノエルを窺うと、気安い笑顔を返してくる。
どうも掴み所がないというか、やりにくい。
苦手意識が、クレイの中に叩き込まれていた。
見つめ合い、逡巡したあとでクレイがため息をつく。
仕方が無い。
苦言は呈したものの、ハンナが許可した時点で受け入れるしかなかったのだ。
これも修行のうち。クレイはそう自分に言い聞かせることにした。
「それでなんだけど」
「ええ、わかってるわ。ハンナがリーダーで私はその下。ただの同行者よ」
道中でハンナを立ててくれることをノエルは約束する。
彼女としても長旅でトラブルは避けたいのであろう。
「勿論、クレイを小間使いにすることもしないわ」
「なんだと」
やはり一言多い。
向かいあう二人をハンナが割って入る。
「二人とも仲良く。まずは目の前の食事を攻略しましょうよ」
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