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23話
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すでに夜も更けたが俺たちはギルバートさんによって食堂に集められた。
「どうぞ、落ち着きますよ」
バトラさんがみんなの前に香草茶を並べていく。
おぉ、とてもいい香りだ……何種類かブレンドしているな。
「飲みながらでいい。ティーナ嬢、君が使ったスキル――あれは『解呪』だな?」
「はい、両親にはとても珍しいものだから黙っていろと言われておりました。ですがギルバート様はご存じだったのでは?」
「いいや、私たちが聞かされていたのは利用すれば大金を産むとだけだ。どうやら君のご両親は私たちがスキルほしさに君を欲しがったと本気で思っているようだな」
「ティーちゃん、誤解しないでほしいんだけどユリウスはあなたを見て心から惚れたのよ。ほら、一度だけあなたの誕生日でお披露目会があったでしょ?」
「えぇっ……えっ? あの場にいらしたのですか?」
「あのとき、私たちはあなたの国に用事で来ていてね。他国で貴族同士の繋がりを作るのも大切だったから参加させてもらったのよ」
メリシャさんはそこまで言うとお茶を啜り一息つける。
「私がいうのもなんだが、昔からユリウスは人を見る目だけはあった。そんな息子が惚れた相手ならばと、君をお願いしたのだ」
「そうだったのですか……でもどうして私のスキルが大金になるなどと……こういうのもなんですが、両親は常日頃から役に立たないスキルだと言い漏らしておりました」
「君の家は軍事家系だから戦で結果を出せるスキルがよかったのだろう。だが問題は解呪という特性だ。呪いというものは滅多にあるものではないが、その効果は絶大で、場合によっては末代まで続くこともあると聞く。そんな呪いを唯一解けるのが君の持つ『解呪』というわけだ」
「人によっては大金を出してでも欲しいというわけか……。でも、なんでそれをティーナの両親は公表しなかったんだ? こんなこというのもあれだけど、公表すればいくらでも大金を積む貴族はいたはずだろ?」
俺の言葉で場が沈黙したがそれを破ったのはエレナさんだった。
「多分ですが……公表すればどんな手を使ってでもお嬢様を手に入れようとする者たちが現れると思ったのでしょう。そうなればレブラント家が危うくなってしまう、だから早々に手放そうと……。そう考えてもおかしくないくらい、お嬢様に対する扱いは酷いものでした」
……完全にティーナを腫れもの扱いしてたわけか。
「……やはり私がここにいては、いつまた皆さんにご迷惑をお掛けするかわかりません。早々に屋敷を出ていきますので――」
「ティーちゃん、馬鹿なことを言わないの。あなた一人で迷惑がかかるほどファーデン家は弱くありません。それに家族の問題は私たち全員の問題、共に解決策を考えましょう」
「はい……」
そして色々な案が出されたが、どれも核心をつけるような答えはでなかった。すでにアンジェロはすやすやと眠っており、みんなも疲労が見て取れる。
「――いっそのことさ、みんなは何も知らなかったってことでいいんじゃないかな?」
意図がさっぱりだと言わんばかりに全員が俺をみた。
「あの光は聖人が強力な薬を使ったため起きたもの――そんな感じで言っておけば誰もわかんないって。あとは全員が『解呪』のことを口にしなければバレることもないだろ?」
「でもそれじゃあリッツさんが……」
「今更聖人様が何をしたってみんな驚かないって。それよりもティーナが『解呪』持ちだなんてバレたら、本当に聖女扱いされるぞ? 国を救った少女が実は聖女でしたなんて言ったら俺以上に大騒ぎだ」
「ふむ、リッツ殿には負担をかけてしまうが理には適っておるな……。バトラよ、このことは誰一人口にすることは禁ずる。はっきり理解しておらぬ者にはリッツ殿が薬を使ったと広めろ」
「かしこまりました。しかし神獣様についてはいかがするおつもりで?」
「あぁそれならアンジェロは大きさを変えられるようになったって」
「こ、言葉を交わせるのですか……?」
「なんとなくだけどね。ずっと重かったものが消えたって喜んでいたから、呪いが解けたというのは本当だろう。なんで呪いなんて受けていたのかはわからないみたいだったが、とにかく、アンジェロについてもうまく誤魔化せるはずだよ」
さすがに全員も納得せざるを得ないのか俺の言葉に頷く。
「リッツ殿には申し訳ないが今はこれ以上の案は出そうにないな……。さて、皆も疲れただろう。今日はこのくらいにして休むとしよう」
こうして終始慌ただしかった一日はようやく終わりを迎えた。
「どうぞ、落ち着きますよ」
バトラさんがみんなの前に香草茶を並べていく。
おぉ、とてもいい香りだ……何種類かブレンドしているな。
「飲みながらでいい。ティーナ嬢、君が使ったスキル――あれは『解呪』だな?」
「はい、両親にはとても珍しいものだから黙っていろと言われておりました。ですがギルバート様はご存じだったのでは?」
「いいや、私たちが聞かされていたのは利用すれば大金を産むとだけだ。どうやら君のご両親は私たちがスキルほしさに君を欲しがったと本気で思っているようだな」
「ティーちゃん、誤解しないでほしいんだけどユリウスはあなたを見て心から惚れたのよ。ほら、一度だけあなたの誕生日でお披露目会があったでしょ?」
「えぇっ……えっ? あの場にいらしたのですか?」
「あのとき、私たちはあなたの国に用事で来ていてね。他国で貴族同士の繋がりを作るのも大切だったから参加させてもらったのよ」
メリシャさんはそこまで言うとお茶を啜り一息つける。
「私がいうのもなんだが、昔からユリウスは人を見る目だけはあった。そんな息子が惚れた相手ならばと、君をお願いしたのだ」
「そうだったのですか……でもどうして私のスキルが大金になるなどと……こういうのもなんですが、両親は常日頃から役に立たないスキルだと言い漏らしておりました」
「君の家は軍事家系だから戦で結果を出せるスキルがよかったのだろう。だが問題は解呪という特性だ。呪いというものは滅多にあるものではないが、その効果は絶大で、場合によっては末代まで続くこともあると聞く。そんな呪いを唯一解けるのが君の持つ『解呪』というわけだ」
「人によっては大金を出してでも欲しいというわけか……。でも、なんでそれをティーナの両親は公表しなかったんだ? こんなこというのもあれだけど、公表すればいくらでも大金を積む貴族はいたはずだろ?」
俺の言葉で場が沈黙したがそれを破ったのはエレナさんだった。
「多分ですが……公表すればどんな手を使ってでもお嬢様を手に入れようとする者たちが現れると思ったのでしょう。そうなればレブラント家が危うくなってしまう、だから早々に手放そうと……。そう考えてもおかしくないくらい、お嬢様に対する扱いは酷いものでした」
……完全にティーナを腫れもの扱いしてたわけか。
「……やはり私がここにいては、いつまた皆さんにご迷惑をお掛けするかわかりません。早々に屋敷を出ていきますので――」
「ティーちゃん、馬鹿なことを言わないの。あなた一人で迷惑がかかるほどファーデン家は弱くありません。それに家族の問題は私たち全員の問題、共に解決策を考えましょう」
「はい……」
そして色々な案が出されたが、どれも核心をつけるような答えはでなかった。すでにアンジェロはすやすやと眠っており、みんなも疲労が見て取れる。
「――いっそのことさ、みんなは何も知らなかったってことでいいんじゃないかな?」
意図がさっぱりだと言わんばかりに全員が俺をみた。
「あの光は聖人が強力な薬を使ったため起きたもの――そんな感じで言っておけば誰もわかんないって。あとは全員が『解呪』のことを口にしなければバレることもないだろ?」
「でもそれじゃあリッツさんが……」
「今更聖人様が何をしたってみんな驚かないって。それよりもティーナが『解呪』持ちだなんてバレたら、本当に聖女扱いされるぞ? 国を救った少女が実は聖女でしたなんて言ったら俺以上に大騒ぎだ」
「ふむ、リッツ殿には負担をかけてしまうが理には適っておるな……。バトラよ、このことは誰一人口にすることは禁ずる。はっきり理解しておらぬ者にはリッツ殿が薬を使ったと広めろ」
「かしこまりました。しかし神獣様についてはいかがするおつもりで?」
「あぁそれならアンジェロは大きさを変えられるようになったって」
「こ、言葉を交わせるのですか……?」
「なんとなくだけどね。ずっと重かったものが消えたって喜んでいたから、呪いが解けたというのは本当だろう。なんで呪いなんて受けていたのかはわからないみたいだったが、とにかく、アンジェロについてもうまく誤魔化せるはずだよ」
さすがに全員も納得せざるを得ないのか俺の言葉に頷く。
「リッツ殿には申し訳ないが今はこれ以上の案は出そうにないな……。さて、皆も疲れただろう。今日はこのくらいにして休むとしよう」
こうして終始慌ただしかった一日はようやく終わりを迎えた。
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