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74話
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今まで身内の溜まり場になっていた客室へハリスさんを招き入れ、ニエが準備してくれていたお茶を机に並べると俺の隣に座る。
「さて、ハリスさん。試験の結果なんですが合格です」
せっかくの合格発表なので含みを持たせようと思ったが、色々考えた結果面倒になったので普通に言うことにした。
ハリスさんほどのベテランなら今更だろうしな。
「ありがとうございます。このハリス、身を粉にして仕えさせて頂きます」
ハリスさんは丁寧にお辞儀をする。
「それで、黙ってたんですがこの屋敷の主って実は俺なんですよ」
「やはりそうでしたか。あなたのようなお方が誰かに仕えるわけはないと思っておりました」
「色々ありまして……こんな立派な屋敷をもらったんですが、俺とニエじゃ管理できないし一応仲間も住んではいるんですが、こういうことはからっきしの連中で」
「そういうことであればお任せください」
「俺はリッツ、彼女がニエでこいつはアンジェロです。ほかの人たちも戻ってきたら説明するんで、これからよろしくお願いします」
「はい、それではさっそくリッツ様にいくつかお決めして頂きたいことがあるのですが、その前に仕える身である私への敬語は不要です。使用人への敬語は使用人たちを驕らせてしまう原因にもなりかねません」
「なるほど、それじゃもし俺が間違ってることがあれば遠慮なく言ってくれ。といっても立派な貴族になりたいわけじゃないから、ある程度は見逃してもらえるとありがたい」
「リッツ様は地位や名誉がお嫌いですかな?」
「そんなものがあっても面倒なだけだよ。俺は草の上に寝そべってゆっくりしたいだけさ」
「ほっほっほ、レブラント家の嫡男を殴り飛ばしたとは思えぬ者の発言ですな」
「ははは、あれこそ成り行きってもんだろ! エレナさんも帰るとき笑ってたからね!」
ハリスさんもどことなくだが笑いを堪えているようにみえる。少し話が脱線した俺たちはお茶に手を付けると一区切りつけた。
「それではまず私がリッツ様をお呼びする際ですが、屋敷の主ということを表して旦那様とお呼びすることもできます。その際はお隣にいるニエ様は奥様となるでしょう。いかがなさいますか?」
「ハリスさん! 是非そちらのほうでお願いしま――んぐぐっ」
俺は身を乗り出したニエの口を塞いだ。
そんなことされたらまじで夫婦扱いされるじゃないか。却下だ却下!
「ニエとは別になんでもないんだ。彼女が勝手について来てるだけで、害があるわけじゃないし――ないのか?」
というか、これでも一応命を助けてもらってんだよな……。
「私は迷惑だなどと微塵も思っておりませんから、お気になさらないでください」
「なんでお前が言うんだよ」
ハリスさんは俺とニエをみて何か考えると頷く。
「それではリッツ様のご友人や深い知人の前であれば、そのままでお呼び致しまして最低限の顔見知りや探ろうとする者、面識がない者の前では旦那様とお呼びしてよろしいですかな? あまり知られたくないと仰られてましたので、最低限の情報しか出さずに済むと思われます」
「確かに、それならすぐに俺たちのことだとは思われないな……よし、それで頼むよ」
「かしこまりました。最後にこちらはお返し致します」
ハリスさんは俺が渡していた金貨一枚を取り出した。
「それは困ったときに必要だろうし持っててもらっていいよ」
「そうもいきません! リッツ様はわからずにお渡ししたと思いますが、試験時に硬貨をお渡しするというのは、その者に対し常にそれ以上の成果を求めるということなのです。そして私たちの間ではそれを一切使わずに返すことが最大の美徳としており、己のプライドでもあるのです」
そんな意味があったの……全然知らなかったわ。
「じゃあこれは返してもらおう。ちょっと待って」
俺は金貨を鞄に入れると別の金貨を取り出した。
「これは最高の仕事をしてもらいたいからハリス自身のために使ってくれ。雇われの身だとしてもあなたは俺たちとなんら変わらない一人の人間なんだ。休みもちゃんと取ってもらうし、ある程度の要求はしてもらっていいからな」
「……そこまで言われてしまっては受け取らねば失礼というものですな。ありがたく頂戴いたします」
こうして一人目の執事は超優秀なハリスさんを雇うことが決まった。
想像以上に面倒をかけると思うが、ヤバそうならまた人を増やそう……。
「さて、ハリスさん。試験の結果なんですが合格です」
せっかくの合格発表なので含みを持たせようと思ったが、色々考えた結果面倒になったので普通に言うことにした。
ハリスさんほどのベテランなら今更だろうしな。
「ありがとうございます。このハリス、身を粉にして仕えさせて頂きます」
ハリスさんは丁寧にお辞儀をする。
「それで、黙ってたんですがこの屋敷の主って実は俺なんですよ」
「やはりそうでしたか。あなたのようなお方が誰かに仕えるわけはないと思っておりました」
「色々ありまして……こんな立派な屋敷をもらったんですが、俺とニエじゃ管理できないし一応仲間も住んではいるんですが、こういうことはからっきしの連中で」
「そういうことであればお任せください」
「俺はリッツ、彼女がニエでこいつはアンジェロです。ほかの人たちも戻ってきたら説明するんで、これからよろしくお願いします」
「はい、それではさっそくリッツ様にいくつかお決めして頂きたいことがあるのですが、その前に仕える身である私への敬語は不要です。使用人への敬語は使用人たちを驕らせてしまう原因にもなりかねません」
「なるほど、それじゃもし俺が間違ってることがあれば遠慮なく言ってくれ。といっても立派な貴族になりたいわけじゃないから、ある程度は見逃してもらえるとありがたい」
「リッツ様は地位や名誉がお嫌いですかな?」
「そんなものがあっても面倒なだけだよ。俺は草の上に寝そべってゆっくりしたいだけさ」
「ほっほっほ、レブラント家の嫡男を殴り飛ばしたとは思えぬ者の発言ですな」
「ははは、あれこそ成り行きってもんだろ! エレナさんも帰るとき笑ってたからね!」
ハリスさんもどことなくだが笑いを堪えているようにみえる。少し話が脱線した俺たちはお茶に手を付けると一区切りつけた。
「それではまず私がリッツ様をお呼びする際ですが、屋敷の主ということを表して旦那様とお呼びすることもできます。その際はお隣にいるニエ様は奥様となるでしょう。いかがなさいますか?」
「ハリスさん! 是非そちらのほうでお願いしま――んぐぐっ」
俺は身を乗り出したニエの口を塞いだ。
そんなことされたらまじで夫婦扱いされるじゃないか。却下だ却下!
「ニエとは別になんでもないんだ。彼女が勝手について来てるだけで、害があるわけじゃないし――ないのか?」
というか、これでも一応命を助けてもらってんだよな……。
「私は迷惑だなどと微塵も思っておりませんから、お気になさらないでください」
「なんでお前が言うんだよ」
ハリスさんは俺とニエをみて何か考えると頷く。
「それではリッツ様のご友人や深い知人の前であれば、そのままでお呼び致しまして最低限の顔見知りや探ろうとする者、面識がない者の前では旦那様とお呼びしてよろしいですかな? あまり知られたくないと仰られてましたので、最低限の情報しか出さずに済むと思われます」
「確かに、それならすぐに俺たちのことだとは思われないな……よし、それで頼むよ」
「かしこまりました。最後にこちらはお返し致します」
ハリスさんは俺が渡していた金貨一枚を取り出した。
「それは困ったときに必要だろうし持っててもらっていいよ」
「そうもいきません! リッツ様はわからずにお渡ししたと思いますが、試験時に硬貨をお渡しするというのは、その者に対し常にそれ以上の成果を求めるということなのです。そして私たちの間ではそれを一切使わずに返すことが最大の美徳としており、己のプライドでもあるのです」
そんな意味があったの……全然知らなかったわ。
「じゃあこれは返してもらおう。ちょっと待って」
俺は金貨を鞄に入れると別の金貨を取り出した。
「これは最高の仕事をしてもらいたいからハリス自身のために使ってくれ。雇われの身だとしてもあなたは俺たちとなんら変わらない一人の人間なんだ。休みもちゃんと取ってもらうし、ある程度の要求はしてもらっていいからな」
「……そこまで言われてしまっては受け取らねば失礼というものですな。ありがたく頂戴いたします」
こうして一人目の執事は超優秀なハリスさんを雇うことが決まった。
想像以上に面倒をかけると思うが、ヤバそうならまた人を増やそう……。
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