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126話
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綺麗に着飾られた雪だるま君一号と二号は子供たちの力作である。
いよいよ今日は教会でパーティだ。さすがに『紅蓮の風』全員を連れてくわけにはいかないから代表として師匠に来てもらった。
「みんな準備はいい? 忘れ物はないね。アンジェロ、トリスタン、装飾品は壊さないようにするんだぞ」
「ワフッ」
「リヤン、寒くない? もう少し上に何か着た方が」
「兄さん、私はもう子供じゃないんだから大丈夫よ」
「あのー……私もご一緒してしまっていいんですか?」
「キャレットさん、雇い主であるリッツ様が良いと申してるのです。楽しめるときに楽しまねば、老いてから後悔しますぞ」
正装したハリスが笑いながらキャレットを説得する。
ハリスは決して体裁を崩したりしない。執事としての業務はもちろん、小さな指示までキャレットと抜かりなくやっている。
だが楽しめばいいというときはしっかり楽しむ。
初めは休むということがうまく出来なかったようだったが、今では休日になると外に出掛けることも多くなった。
割り切ってくれる分、俺としても余計な心配をしなくていい。
「こうしてゆっくりするのも久しぶりな気がするわね」
「昔から師匠とは修行ばかりでしたから、楽しんでもらえればいいんですが」
「リッツ様とならなんだって楽しくなりますよ! 修行だって楽しくなります!」
「恐いこというなよ……」
楽しい修行という想像もできないことを考えているとすぐに教会へ着く。
「本日は来てくださりありがとうございます」
「午後からティーナたちもくるはずだから、それまでゆっくりさせてもらうよ」
パーティといっても教会の子供たちが作ったお菓子や作品を見て回り、昼になったら教会で食べている食事を一緒に分けてもらうというくらいだ。
特別何か変わっているというわけではないため、わざわざ食べに来る人はいないらしいがせっかくなので俺たちはみんなで食べることにした。
子供たちが机を並べ準備を整える。
「いつも教会へのご支援、ご協力、ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
年長の子に合わせて子供たちが礼をする。
料理の入った大きな器が出揃うと俺たちは並んだ。
「せいじんさま、きらいなものはありますか?」
「ないから気にしないで大丈夫だよ。ありがとうね」
料理をもらい椅子に座る。子供のために栄養とバランスを考えて作られているだけあって十分に美味しい。
裏事情として聞いた話だが、あまり豪華にすると苦情がきて、貧しすぎれば横領疑惑がでたりと、教会ならではの苦悩を知ってるからこそ余計に美味しく感じてしまう。
ハリスもほかの国の教会については色々と知ってるらしく、その中でもここはかなりまともだと太鼓判を押していた。
食事を終えると予定を確認する。
「えーっと、確か午後は子供たちの劇だっけ?」
「リッツ様、聞いた話だとこの劇を楽しみに来る人も多いらしいですよ」
「へ~結構すごいんだな。ティーナたちも間に合えばいいんだが」
劇に向けて椅子や机を並び替える中、そろそろこないかと入り口に目を向けていると帽子を被った人物が近づいてきた。
「おやおや、聖人様も劇を見に来たのかな」
「はい、初めてなんですが結構すごいって聞きまして……って、なんでお前がここにいるんだよ」
帽子から顔を覗かせたのはシリウスだった。
王様がほいほいとくるのもどうかと思う。
「今回の劇の内容が気になってね。君はもう聞いたかい?」
「いや、見てからのお楽しみって言われてて何も知らないんだ。どんな内容なんだ?」
「だったら楽しみはとっておいたほうがいいな。さぁて、そろそろ始まる頃だ。席に着こう」
気付けばファーデン家のみんなも到着しており、残るはティーナとエレナさんだけだ。
子供たちの劇がいよいよ始まるというとき、教会の扉が勢いよく開かれ息を切らしたティーナとエレナさんが入ってくる。
「お嬢様、お静かにと言いましたのに……」
「そんなことより! ――ぎりぎり間に合ったんじゃないでしょうか?」
あれがファーデン家の――という声が聞こえてくるなか、俺はティーナたちに手を振って席に案内する。
挨拶も軽く済ませるといよいよ劇が始まった。
いよいよ今日は教会でパーティだ。さすがに『紅蓮の風』全員を連れてくわけにはいかないから代表として師匠に来てもらった。
「みんな準備はいい? 忘れ物はないね。アンジェロ、トリスタン、装飾品は壊さないようにするんだぞ」
「ワフッ」
「リヤン、寒くない? もう少し上に何か着た方が」
「兄さん、私はもう子供じゃないんだから大丈夫よ」
「あのー……私もご一緒してしまっていいんですか?」
「キャレットさん、雇い主であるリッツ様が良いと申してるのです。楽しめるときに楽しまねば、老いてから後悔しますぞ」
正装したハリスが笑いながらキャレットを説得する。
ハリスは決して体裁を崩したりしない。執事としての業務はもちろん、小さな指示までキャレットと抜かりなくやっている。
だが楽しめばいいというときはしっかり楽しむ。
初めは休むということがうまく出来なかったようだったが、今では休日になると外に出掛けることも多くなった。
割り切ってくれる分、俺としても余計な心配をしなくていい。
「こうしてゆっくりするのも久しぶりな気がするわね」
「昔から師匠とは修行ばかりでしたから、楽しんでもらえればいいんですが」
「リッツ様とならなんだって楽しくなりますよ! 修行だって楽しくなります!」
「恐いこというなよ……」
楽しい修行という想像もできないことを考えているとすぐに教会へ着く。
「本日は来てくださりありがとうございます」
「午後からティーナたちもくるはずだから、それまでゆっくりさせてもらうよ」
パーティといっても教会の子供たちが作ったお菓子や作品を見て回り、昼になったら教会で食べている食事を一緒に分けてもらうというくらいだ。
特別何か変わっているというわけではないため、わざわざ食べに来る人はいないらしいがせっかくなので俺たちはみんなで食べることにした。
子供たちが机を並べ準備を整える。
「いつも教会へのご支援、ご協力、ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
年長の子に合わせて子供たちが礼をする。
料理の入った大きな器が出揃うと俺たちは並んだ。
「せいじんさま、きらいなものはありますか?」
「ないから気にしないで大丈夫だよ。ありがとうね」
料理をもらい椅子に座る。子供のために栄養とバランスを考えて作られているだけあって十分に美味しい。
裏事情として聞いた話だが、あまり豪華にすると苦情がきて、貧しすぎれば横領疑惑がでたりと、教会ならではの苦悩を知ってるからこそ余計に美味しく感じてしまう。
ハリスもほかの国の教会については色々と知ってるらしく、その中でもここはかなりまともだと太鼓判を押していた。
食事を終えると予定を確認する。
「えーっと、確か午後は子供たちの劇だっけ?」
「リッツ様、聞いた話だとこの劇を楽しみに来る人も多いらしいですよ」
「へ~結構すごいんだな。ティーナたちも間に合えばいいんだが」
劇に向けて椅子や机を並び替える中、そろそろこないかと入り口に目を向けていると帽子を被った人物が近づいてきた。
「おやおや、聖人様も劇を見に来たのかな」
「はい、初めてなんですが結構すごいって聞きまして……って、なんでお前がここにいるんだよ」
帽子から顔を覗かせたのはシリウスだった。
王様がほいほいとくるのもどうかと思う。
「今回の劇の内容が気になってね。君はもう聞いたかい?」
「いや、見てからのお楽しみって言われてて何も知らないんだ。どんな内容なんだ?」
「だったら楽しみはとっておいたほうがいいな。さぁて、そろそろ始まる頃だ。席に着こう」
気付けばファーデン家のみんなも到着しており、残るはティーナとエレナさんだけだ。
子供たちの劇がいよいよ始まるというとき、教会の扉が勢いよく開かれ息を切らしたティーナとエレナさんが入ってくる。
「お嬢様、お静かにと言いましたのに……」
「そんなことより! ――ぎりぎり間に合ったんじゃないでしょうか?」
あれがファーデン家の――という声が聞こえてくるなか、俺はティーナたちに手を振って席に案内する。
挨拶も軽く済ませるといよいよ劇が始まった。
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